Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第798話

 その間に武器を失ったヨシナリは得物を探していたのだが、運よくある物が目に留まる。
 
 「アノマリーか」
 「あぁ、良い位置に残してくれたから助かった」

 マルメルがやられた時に落とした物だ。 
 元々、ヨシナリが扱っていた事もあっていきなりでも楽に当てる事が出来た。
 エーテルで強化しつつ連射。 タカミムスビの意識を散らしつつ、ダメージを与える。

 タカミムスビは鬱陶しいと感じたのかヨシナリを狙う素振りを見せたと同時に何かに感づいて背後に跳ぶ。 僅かに遅れて斬撃が地面を縦に切り裂く。
 ふわわが凍露を片付けて駆け付けたのだ。

 「あの図体でよう躱すわぁ」

 確かにあのサイズで躱すのは凄まじい反応と言える。 
 彼女の一撃は空を切ったが決して無駄ではなかった。 隙を晒したと判断したケイロンが背後から強襲。
 タカミムスビは尾で迎撃するが、彼の狙いはそこだった。 ハルバードで尾を絡め取ると一気に引く。

 ピンと張った尾に引っ張られる形で上半身が大きく仰け反る。
 その頃には既にユウヤは真っ直ぐに踏み込んでいた。 間合いに捉えたと同時にアケディアを起動。
 エネルギーの無効化空間を展開。 これで一時的に光学兵器は使用不可能となった。

 重装甲のアマノイワトもユウヤのハンマーで殴られれば無傷とは行かないはずだ。
 それを分かっているタカミムスビは転移で躱すが、読んだベリアルがさっきの意趣返しと言わんばかりに転移先に先回り。

 ヨシナリの攻撃から意識を散らしたタカミムスビにふわわが奇襲。 
 回避した所を狙ったケイロン、ユウヤ、ベリアルの連携。 
 仕留められるかは怪しいが、ほぼ入るタイミングだ。 しかし、タカミムスビはそのほぼに含まれない。

 ベリアルの斬撃に合わせて斥力フィールドを展開。 
 本人も言っていたが空間歪曲ではなく、斥力フィールドを採用した理由はこれのようだ。
 展開する事で斥力を直接当ててパリイしている。 

 想定できない使い方という事はないのだが、ベリアル相手にここまで綺麗に決められるのは少し信じられなかった。

 「――ってかこうして見ると処理の仕方に余裕があるな」
 「今の所、野郎の想定を出ていないんだろうよ」

 恐らくはユウヤの言う通りだろう。 
 映像の中のヨシナリは機動性を削る為に足を狙い、ケイロンは再度背後から尾を狙って動きを封じようと試みる。

 「すまん。 我ながら焦り過ぎた」

 ケイロンは小さく俯く。 
 映像は尾を絡め取るケイロンの姿が映し出されていたが、よくよく考えればタカミムスビがこんな短時間に二度も同じ手段での拘束を許す訳がなかった。

 尾の先端に付いているブレードからニードルが飛び出す。
 重装甲のケイロンの機体に大きなダメージはないが本命は別にある。
 ニードルがら高圧電流が流れ機体を麻痺させたのだ。 数秒ではあるがケイロンが行動不能になる。

 ヨシナリ、ユウヤが即座にカバーに入り、ふわわがケイロンを囮に野太刀による両断を狙う。  
 ベリアルは崩れた体勢を立て直した所でタイミングが合わない。
 タカミムスビはケイロンの処理を優先するらしく、ユウヤを蹴りで追い払いヨシナリを無視。

 ふわわの斬撃に至っては躱しもしない。 

 「液体金属だからか」

 タカミムスビの機体表面が赤熱し、刃が接触すると同時に溶けて弾ける。
 機能的にはニニギの機体と同じ機構だろう。 
 使わせたと前向きに捉えたいが、実際は温存していたとみていい。

 行動を止める事は叶わずケイロンは尾によって串刺しにされて沈黙。 そのまま脱落となった。
 悔し気に拳を握る彼を尻目に映像は続く。 立て直したベリアルが分身を複数展開。
 手数で畳みかけるつもりのようだ。 恐らくは仮に防がれたとしても他が繋いでくれると判断しての事だろう。

 ――そしてタカミムスビはそれを待っていた。

 ウエポンコンテナから不可視の波動が広がり、分身とプセウドテイ本体を覆っていたエーテルが消し飛んだ。 

 「本人も言ってましたけどエーテルの物質化阻害と転移阻害の合わせ技だそうです。 完璧に狙われてましたね」

 タカミムスビはベリアルが分身を大量に展開して一気に消耗した所を待っていたのだ。
 結果、ベリアルは空中で身動きが取れずに棒立ち。 信じられないほどにあっけなく両断。
 そのまま脱落となった。 ベリアルは「すまん」と呟いて俯く。

 ヨシナリは気にするなと首を振って見せた。 
 可能な環境とはいえ、ベリアル相手にここまで完璧な一刺しができるプレイヤーがどれだけいるのか。
 タカミムスビの技量もそうだが、読みの深さに恐ろしさを覚える。

 ふわわが入れ替わるように肉薄。 
 野太刀を始め、液体金属刃、ナインヘッド・ドラゴンは通用しないと判断して通常の太刀と小太刀で突っ込んだ。 迎撃に用いた尾を斬り落として文字通り道を切り開いた。

 ――残しておくと厄介と判断して全部斬り落としたのは流石だ。

 その間にユウヤは死角へと移動。 散弾砲で牽制しつつ反射板を減らす。
 タカミムスビはふわわを仕留めるつもりのようで完全に意識を彼女へと向けていた。
 両肩のウエポンコンテナからの弾幕で圧をかけつつ爪での斬撃を繰り出す。

 懐に入られると不味いと理解しているタカミムスビは徹底して近寄らせない。
 弾幕で圧をかけつつ、腕を振り回して近寄らせない立ち回り。 
 これだけでも大抵の相手は処理できるが、ふわわの機体――正確には強化装甲には磁界を発生させる機能が搭載されており、実体弾を逸らしてダメージを最小に抑えている。

 彼女があの距離で生存している理由だ。 そして何よりも恐ろしいのが――

 「掻い潜って一太刀入れてるんだもんなぁ……」
 「うーん、できれば一太刀で切断したかってんけどえらい頑丈でなぁ……」
 
 そう、躱しながら腕の切断を試みている点だ。 恐らくは弾幕を凌ぎながらだからだろう。
 条件さえ揃っていれば本当に切断できた可能性は高い。
 対するタカミムスビも凄まじい、ユウヤを追い払いながらふわわの相手をしているのだ。

 「お、ここでアイロニーさんが合流したな」
 
 マルメルの言う通り、映像の中で姿を消した彼女がヨシナリに忍び寄り修復用のナノマシンを撃ち込んでいた。 タカミムスビが大きな動きで腕を振り回し、強引にユウヤに距離を取らせる。
 同時にレーザーを使用。 乱反射したレーザーは威力を発揮する前にアイロニーの撒き散らしたスモークによってその威力の大部分を殺されたのだ。
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