Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第810話

 推奨人数は500以上と前よりも多いのは広範囲に渡って行動しなければならないからだろう。

 「『思金神』では挑戦はしたんですか?」
 「したとも。 当然、クリアも問題なかったよ。 僕も参加はしたからそれなりに情報はだせるよ」

 タヂカラオはネタバレオッケーかなと付け加えるのでヨシナリはお願いしますと頷いて見せる。

 「他も異論はないようなので簡単に行こう。 侵攻戦自体の概要に関しては全員が参加者だろうし細かい部分は省いて攻略について触れていくよ」

 あのフィールド最大の特徴は暗闇、吹雪と二重の視界不良を強いてくる点だ。
 その為、暗視などの対策は必須となる。 

 「まぁ、このメンバーは当然のように対策できていると思うから余計な心配かな?」
 「大抵は複合のセンサーを積んでるからナ。 暗視はおまけでついているゾ」
 「ですね。 仮になくても動体か熱源探知が出来れば何とかはなりますよ」

 広大なマップを移動して拠点を陥落させていくといった流れになっている。

 「拠点の規模などはどんな感じですか?」
 「マップ自体がかなり狭くなっている事もあってそこまで多くないよ。 大体、三分の一程度って聞いてる。 拠点の数もそれぐらいに減ってるよ」
 「出現エネミーはどんな感じですかね?」 
 「そっちもそこまで変わらない。 深海魚モチーフのエネミーが大半だね」
 「例の敵性トルーパーは?」 
 「出たり出なかったりだね」

 それを聞いてヨシナリはあぁと察した。

 「違いは推奨人数以下か以上ですかね?」
 「その通りだよ。 500を大きく超過すると一切出てこない。 逆に切ると高頻度で出現する」
 「なるほどナ。 そっちの検証も済ませたのか」
 「前の一件があったからね。 そりゃ試すさ」

 前回の復刻戦は想定外のエネミー、敵機が次々と現れた事で事前準備のいくつかが無駄になってしまったのだ。 情報を持ってきた上で作戦立案に関わったタヂカラオとしてはあまり愉快な経験ではなかった事もあって今回は同じ失敗をしない為に力を入れてリサーチして来たとの事。

 「ただ、推奨人数以下は中々にはっきりしない部分が多いんだ」
 「どういう事だ?」

 ツガルは首を捻るがポンポンはあぁと何かを察したように声を漏らす。

 「要はあれだろ? 中の人が居るから敵の戦力評価が安定しないんじゃないか?」
 「ポンポン君の言う通りだ。 敵の出現が安定しない。 マップが広大という事もあって半端な戦力で挑むと返り討ちに遭う上、敵の強さもその時々で変わって来る」
 「俺としてはあの化け物クラスの敵が出て来るかが気になるんだけど?」
 「はは、らしいね。 ――実を言うと何回か出た」

 タヂカラオの言葉に全員が沈黙。 勝利こそしたが、内容的には素直に喜べない者も多い。
 特に真価を発揮させる前に沈んだヨシナリとしては苦い思い出だ。 
 
 「それは前の時と同じ奴って感じですかね?」
 「いや、違う奴だったらしい。 僕自身が出くわした訳じゃないからははっきりとした事は言えないけど総合力的には同等と見ている」
 「結果は?」
 「遭遇したのは確認されただけで五回。 三回はなす術なく全滅。 残りの二回は一軍が参加していた事もあって一回はニニギ君が、もう一回はタカミムスビさんが倒したらしい」

 タカミムスビが味方と本気で連携を取ったのならあのレベルの相手でも充分に勝てるだろう。
 
 「その敵機体の詳細は?」
 
 最も気になる点がそこだった。 

  「現れたのは三種類。 ふわわ君のように液体金属系の武装を使う近接機、レドーム装備の電子戦特化機――これに関しては負けた事もあって詳細は不明だ、後はバランス重視の汎用機と聞いている。 条件は恐らく推奨人数以下なんだろうけど、必ず現れるとは限らない。 個人的な見解だけど、中身があるから都合が付いたら現れるという形なのかもしれないね」
 「四六時中張り付いていつ来るかも分からないプレイヤーを待つなんて真似はしないでしょうし、俺もそんな感じだと思います」
 
 そうなると出るか出ないかははっきりしない事になる。
 敵の質もバラバラ。 この辺りは有人操作ならではといった所だろう。
 
 「その他の機種は?」
 「基本的にソルジャー+のマイナーチェンジ機といった様子の機体が最も多く、後は既存の機体ばかりだね。 防衛戦の時に出て来た戦隊シリーズみたいなのも確認されてるよ」
 
 一通りは出て来るといった所か。 

 「そう言えば聞きそびれましたが、地下はどうなってますか?」
 「あぁ、発見したのは君達だったね。 そこは塞がれてたよ」

 タヂカラオはウインドウを操作するととある画像を呼び出した。
 
 「地下水路自体はあったけど敵の中枢へ直通の『海』はなかった。 御覧の通り、前まであった穴は塞がってるよ。 代わりにイカが出なくなったけどね?」

 そこには以前、イカ型のエネミーが出現した穴が塞がれている物だった。
 どうやら撮影した物のようだ。

 「つまりは正攻法、大型拠点を陥落させてから連絡通路を使って中に入るんですね」
 「その通りだ。 例によってメガロドン型を筆頭に大型エネミーや各種防衛装置に守られている事もあって陥落は簡単には行かないよ。 それと拠点の配置は固定だけど種類はランダムだからいちいち探さないといけないのも頭に入れておいて欲しいね」
 「なるほど。 位置を覚えて直通の拠点だけを強襲からの突破は通用しないって事ですか」
 「その通り。 まぁ、復刻イベントなんでクリアよりは報酬獲得に軸足を置く者も多くてね。 稼ぎたいなら拠点は可能な限り潰したほうがいい」 
 
 クリアは前提ではあるが、人数をかける事もあって最短の攻略よりも稼ぎも意識した動きも必要か。
 前回の防衛戦と違って変に自由度がある以上、その辺りの配慮は必要だろう。

 「なぁ、それは分かったけど、あたしとしてはボスが何なのかが気になるゾ」
 「……推奨人数以上に関しては反応炉を潰せば終わりだ。 例の肉塊もでない。 ただ、推奨人数以下に関してははっきりしない」
 「どういう事だ?」 
 
 はっきりしないタヂカラオの返答にアドルファスが首を捻る。
 
 「例の強力な機体が出た場合は反応炉の破壊とそれらの撃破で完了なんだけど、出なかった場合や敗北して確認できなかったケースもあって絶対にこいつが出ると言い切れないんだ」

 敵性トルーパーの場合、ランダム性もあって何が出て来るのかが分からないという事だろう。
 今回、参戦メンバーはどれだけ多くても500は越えない。 
 その為、推奨人数以下での挑戦となる。 つまりは未知数の展開が待っているのだ。
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