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第14話
何かに撃ち抜かれ機体が爆散する。
それを成したのは戦場の最後方。 敵の奥の奥にそれは居た。
ヤドカリのような見た目で貝のようなものを背負っているそれらは貝の部分から細長い砲身が突き出ている。 照準を合わせるように砲口が僅かに揺れ、その奥が瞬くように光った。
放たれた砲弾は正確無比と言える精度で空中の機体を撃ち抜く。
「クソが! 空中戦は無理だ! 防壁まで下が――」
誰かがそう叫ぼうとしたが紡がれる前に撃ち抜かれて霧散。
次々と撃墜される友軍機を見て飛行していた全ての機体が後退を開始、その間にも次々と撃ち抜かれて爆散する。 どうにか回避しようとランダムな軌道で飛行しようとするが、一部のプレイヤーを除いて大半は回避が間に合わず胴体を撃ち抜かれてしまう。
狙撃の精度も脅威だが、威力もまた脅威だった。
トルーパーの装甲では一撃も耐え切れずに貫通され、命中すればほぼ即死する。
敵の狙撃部隊は小高い丘の影から狙っていたので、防壁の上は確度の問題があって狙えなかったので空中の獲物がいなくなった事で移動を開始。
高性能のセンサーを積んでいる機体は遠くにいるヤドカリに似た忌々しいスナイパーの動きに気付き、さっと顔を青褪めさせて防壁から飛び降りた。 何をしているのかをいち早く悟ったからだ。
そして彼らの懸念は数分も経たない内に現実のものとなる。 ポジショニングを済ませたヤドカリ達は次々と狙いを定めて砲弾を撃ち込み始めた。
ヤドカリの動きを把握できていないプレイヤー達は次々と撃ち抜かれて即死する。
比較的ではあるが対弾性能に優れたⅡ型ですらあっさりと貫通する狙撃にⅠ型では耐えきれる訳もなく、端から削り落とされて行く。 味方が次々と狙撃で沈んでいく様を見て、慌てて防壁から飛び降りる。 それにより射線から外れはしたが、防壁の上から弾幕を張って敵の接近を防ぐ役目を担う者が居なくなった。
結果、敵の前線の負担は一気に増す事になる。 前線は突破され、一部の敵が防壁に取り付く事を許す事となった。 同時に制空権を奪われ、巨大蛾の撃破が不可能となってカマキリが大量に前線に出現。
初期から出現している甲虫は突進攻撃のみなので密着した状態での攻撃力は大きく落ちる。
角を防壁に叩きつけているが、そこまでのダメージにはなっていないが問題はカマキリだ。
その刃は強度を完全に無視し、防壁に深々と傷を刻みつける。
防壁が攻撃されている事に焦りを覚えたプレイヤーが防壁に飛び乗ったが、顔を出した瞬間に撃ち抜かれて即死。 盾で防ごうと巨大なタワーシールドを持った機体が引き付けるべく防壁の上に立ったが、瞬く間に撃破された。 一応、数発は防ぐ事は出来たのだが、二発、三発と連続して叩き込まれた砲弾に耐える事はできなかったようだ。
「こんなのどうすりゃいいんだよ!」
「このクソゲー! ふざけんな!」
あまりにも手詰まりな状況に口々に文句が飛び交うが、この世界の運営は苦しんでいるプレイヤー達の嘆きを一切聞き入れずに更なる苦難を強要する。
地面に振動が走る。 何だと高層ビルの屋上に陣取っていたプレイヤーがライフルについているスコープを覗き込んで最大望遠にすると、前線の後方から新種が湧いて来たのが見えた。
芋虫のような個体達は鈍重そうな見た目からは想像もつかないスピードで突っ込んで来る。
それは遠目に見れば巨大な津波のようだった。 後方支援が受けられずにズタズタに引き裂かれた前線はそれに抗しうる術を持たず次々と呑み込まれて消える。
――前線の完全崩壊だ。
レーダーから防壁の外にいる味方の反応が全て消える。
「おいおい、これヤベぇんじゃねぇのか!?」
「オワタ……」
絶望的な状況ではあるが、悪いニュースばかりではない。
開始から二時間が経過しEランクのプレイヤーが参戦が始まったのだ。
問題は次の増援が来るまでの時間が一時間に伸びた事だろう。
Eランクプレイヤーは大部分がⅡ型へと機種転換を済ませており、一部は完全に別物と呼んでいい形状の機体も存在した。
パンツァーⅠ型。 下半身が換装型なので専用フレームが必要な機体で大きく分けて戦車型、多脚型の二種類に分類される。 前者は名前の通り戦車に上半身が乗っているような形状で後者は蜘蛛などの昆虫を思わせる形状だ。
パンツァータイプは機動性を犠牲にして重装甲大火力を追求できる。
背中に背負ったバックパックは実弾、エネルギー両兵器に対応しており、武装に見合った物を装備する事で継戦能力を確保できる。 大半は防御の為に使用しているのだが――
一部の戦車型が鈍重な機体を強引に持ち上げるように跳躍し、防壁の上へ上る。
当然のように狙撃が飛んでくるが背中に背負った巨大なバックパックからアンテナのような棒が伸びるとバチバチと発光。 光の膜のように機体を覆い、飛んで来た砲弾を弾き飛ばす。
エネルギーフィールド発生装置。 エネルギーの続く限り大抵の攻撃は弾き返す鉄壁の盾だ。
戦車型達はお返しと言わんばかりに両腕に装着されたガトリング砲を発射。
凄まじい量の弾丸が防壁に取り付いていた敵を薙ぎ払い、薬莢が雨のように吐き出される。
「待たせやがって! ひゅう、今なら喰い放題だぜ!」
戦車型を操るプレイヤー達は思う存分弾丸を吐き出せる状況にすっかり気分を良くしていた。
そして大量のⅡ型が防壁を飛び越えて前線の空へと飛び立つ。
「スナイパー相手にビビってんじゃねーよ雑魚が、防衛報酬が減るだろうが」
そう呟きながら機体を僅かに傾けて回避。 これは参戦するまでに見ていたからと言うのもあるが、狙撃の仕組みを理解したからこその挙動だった。
ヤドカリは狙いを付ける為にレーザー照射を行ってから発射する過程が存在する。
そして狙いは常にコックピットのある胴体。 つまり自分の胴体に意識を配って居れば狙われた瞬間に赤い光点が見えるのだ。 その瞬間に機体を動かせば回避は可能となる。
さっきのはまぐれではなかったと言わんばかりに回避を重ね、得意げに鼻を鳴らす。
「おら、さっさと制空権を取り返す――」
――確かに照射されてすぐに回避運動に入れば躱す事は可能だ。
だが、照射から発射まで一秒と少し。 回避に気を配りながらの空中戦が果たして可能なのだろうか?
少なくとも威勢よく言葉を発した彼には難しかったようだ。
複数から狙われた機体は回避しきれずに撃墜された。
それを成したのは戦場の最後方。 敵の奥の奥にそれは居た。
ヤドカリのような見た目で貝のようなものを背負っているそれらは貝の部分から細長い砲身が突き出ている。 照準を合わせるように砲口が僅かに揺れ、その奥が瞬くように光った。
放たれた砲弾は正確無比と言える精度で空中の機体を撃ち抜く。
「クソが! 空中戦は無理だ! 防壁まで下が――」
誰かがそう叫ぼうとしたが紡がれる前に撃ち抜かれて霧散。
次々と撃墜される友軍機を見て飛行していた全ての機体が後退を開始、その間にも次々と撃ち抜かれて爆散する。 どうにか回避しようとランダムな軌道で飛行しようとするが、一部のプレイヤーを除いて大半は回避が間に合わず胴体を撃ち抜かれてしまう。
狙撃の精度も脅威だが、威力もまた脅威だった。
トルーパーの装甲では一撃も耐え切れずに貫通され、命中すればほぼ即死する。
敵の狙撃部隊は小高い丘の影から狙っていたので、防壁の上は確度の問題があって狙えなかったので空中の獲物がいなくなった事で移動を開始。
高性能のセンサーを積んでいる機体は遠くにいるヤドカリに似た忌々しいスナイパーの動きに気付き、さっと顔を青褪めさせて防壁から飛び降りた。 何をしているのかをいち早く悟ったからだ。
そして彼らの懸念は数分も経たない内に現実のものとなる。 ポジショニングを済ませたヤドカリ達は次々と狙いを定めて砲弾を撃ち込み始めた。
ヤドカリの動きを把握できていないプレイヤー達は次々と撃ち抜かれて即死する。
比較的ではあるが対弾性能に優れたⅡ型ですらあっさりと貫通する狙撃にⅠ型では耐えきれる訳もなく、端から削り落とされて行く。 味方が次々と狙撃で沈んでいく様を見て、慌てて防壁から飛び降りる。 それにより射線から外れはしたが、防壁の上から弾幕を張って敵の接近を防ぐ役目を担う者が居なくなった。
結果、敵の前線の負担は一気に増す事になる。 前線は突破され、一部の敵が防壁に取り付く事を許す事となった。 同時に制空権を奪われ、巨大蛾の撃破が不可能となってカマキリが大量に前線に出現。
初期から出現している甲虫は突進攻撃のみなので密着した状態での攻撃力は大きく落ちる。
角を防壁に叩きつけているが、そこまでのダメージにはなっていないが問題はカマキリだ。
その刃は強度を完全に無視し、防壁に深々と傷を刻みつける。
防壁が攻撃されている事に焦りを覚えたプレイヤーが防壁に飛び乗ったが、顔を出した瞬間に撃ち抜かれて即死。 盾で防ごうと巨大なタワーシールドを持った機体が引き付けるべく防壁の上に立ったが、瞬く間に撃破された。 一応、数発は防ぐ事は出来たのだが、二発、三発と連続して叩き込まれた砲弾に耐える事はできなかったようだ。
「こんなのどうすりゃいいんだよ!」
「このクソゲー! ふざけんな!」
あまりにも手詰まりな状況に口々に文句が飛び交うが、この世界の運営は苦しんでいるプレイヤー達の嘆きを一切聞き入れずに更なる苦難を強要する。
地面に振動が走る。 何だと高層ビルの屋上に陣取っていたプレイヤーがライフルについているスコープを覗き込んで最大望遠にすると、前線の後方から新種が湧いて来たのが見えた。
芋虫のような個体達は鈍重そうな見た目からは想像もつかないスピードで突っ込んで来る。
それは遠目に見れば巨大な津波のようだった。 後方支援が受けられずにズタズタに引き裂かれた前線はそれに抗しうる術を持たず次々と呑み込まれて消える。
――前線の完全崩壊だ。
レーダーから防壁の外にいる味方の反応が全て消える。
「おいおい、これヤベぇんじゃねぇのか!?」
「オワタ……」
絶望的な状況ではあるが、悪いニュースばかりではない。
開始から二時間が経過しEランクのプレイヤーが参戦が始まったのだ。
問題は次の増援が来るまでの時間が一時間に伸びた事だろう。
Eランクプレイヤーは大部分がⅡ型へと機種転換を済ませており、一部は完全に別物と呼んでいい形状の機体も存在した。
パンツァーⅠ型。 下半身が換装型なので専用フレームが必要な機体で大きく分けて戦車型、多脚型の二種類に分類される。 前者は名前の通り戦車に上半身が乗っているような形状で後者は蜘蛛などの昆虫を思わせる形状だ。
パンツァータイプは機動性を犠牲にして重装甲大火力を追求できる。
背中に背負ったバックパックは実弾、エネルギー両兵器に対応しており、武装に見合った物を装備する事で継戦能力を確保できる。 大半は防御の為に使用しているのだが――
一部の戦車型が鈍重な機体を強引に持ち上げるように跳躍し、防壁の上へ上る。
当然のように狙撃が飛んでくるが背中に背負った巨大なバックパックからアンテナのような棒が伸びるとバチバチと発光。 光の膜のように機体を覆い、飛んで来た砲弾を弾き飛ばす。
エネルギーフィールド発生装置。 エネルギーの続く限り大抵の攻撃は弾き返す鉄壁の盾だ。
戦車型達はお返しと言わんばかりに両腕に装着されたガトリング砲を発射。
凄まじい量の弾丸が防壁に取り付いていた敵を薙ぎ払い、薬莢が雨のように吐き出される。
「待たせやがって! ひゅう、今なら喰い放題だぜ!」
戦車型を操るプレイヤー達は思う存分弾丸を吐き出せる状況にすっかり気分を良くしていた。
そして大量のⅡ型が防壁を飛び越えて前線の空へと飛び立つ。
「スナイパー相手にビビってんじゃねーよ雑魚が、防衛報酬が減るだろうが」
そう呟きながら機体を僅かに傾けて回避。 これは参戦するまでに見ていたからと言うのもあるが、狙撃の仕組みを理解したからこその挙動だった。
ヤドカリは狙いを付ける為にレーザー照射を行ってから発射する過程が存在する。
そして狙いは常にコックピットのある胴体。 つまり自分の胴体に意識を配って居れば狙われた瞬間に赤い光点が見えるのだ。 その瞬間に機体を動かせば回避は可能となる。
さっきのはまぐれではなかったと言わんばかりに回避を重ね、得意げに鼻を鳴らす。
「おら、さっさと制空権を取り返す――」
――確かに照射されてすぐに回避運動に入れば躱す事は可能だ。
だが、照射から発射まで一秒と少し。 回避に気を配りながらの空中戦が果たして可能なのだろうか?
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