Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第27話

 「なぁ、取りあえず一緒に頑張るって話で、最終的にはSランクを目指すのは分かったけど、直近で何か目的とかないのか? いきなりそんなデカい目標掲げてもモチベーション続かなくね?」
 
 マルメルが唐突にそんな事を言い出した。
 互いの戦力確認を終えた後、二人でフリーミッションをこなしていた。
 並んで戦車やヘリをハチの巣にする簡単なミッションだ。

 こうして無人兵器群を撃破していると虫型エネミーは強かったんだなと強く感じる。
 ヘリは動きが直線的で単調、戦車に至っては動き自体が遅いので的でしかない。
 ダース単位で来られたら話は違って来るが、十数程度なら全く問題ない。

 同じ事の繰り返しは退屈ではあったが、現在の戦力でGを稼ぐには最も効率の良いやり方だ。
 そう理解はしているが、単調な作業に飽きたマルメルが話を振って来るのは無理もない話だった。
 
 「取りあえずはもう少し効率の良いミッションを請けられるように機体の強化だな。 当面はソルジャーⅡ型への換装を考えている」
 「パンツァータイプも面白そうだけどあれフレームが別だから俺もそっちかなぁ……」
 「連携するに当たって機動性に差があり過ぎる組み合わせはあまりよくないから助かる」  
 「うん。 それはそれとしてⅡ型って一式揃えないと使えないんだろ? ここでチマチマやってたら結構時間かかるんじゃないか?」

 もっともな話だったので今の稼ぎで変えそうな装備をピックアップしておいた。

 「正確にはセンサー系、動力系を揃えれば使えるよ。 ――取りあえずランク戦、イベント戦と軽く経験した身で言うと半端な強化は良くない。 やるならどこかしらにスペックを尖らせる方がいい」
 「早く動くならスピードに集中しろって事か?」
 「どちらかと言うと戦い方だな。 俺は一通り対応できるようにしたいのとワンランク上のミッションを回したいから取りあえずは火力の強化を目指す」 
 「なら高威力の突撃銃かなにか?」
 「いや、俺達は二人だから二人揃って同じ戦い方なのは微妙だな。 マルメルは近~中距離は対応してくれそうだから俺は遠距離をどうにかする為に狙撃銃ライフルを買おうかと思ってる。 ――それにイベントで使ったセミオートの狙撃銃、結構気に入ってたんだ」
 「あぁ、使ったら欲しくなっちゃたのね」
 「それもある」
 「いいんじゃないか? 俺はどうするかなぁ。 突撃銃やら機関銃、短機関銃と種類多いから迷うんだよなぁ。 取りあえず使い勝手で同じタイプの上位の奴を買った感じなんだけど……」

 マルメルは何かおすすめある?と尋ねて来たのでヨシナリはうーんと小さく首を捻る。
 その間もミッションへの集中は切らしていないので、手に持つ突撃銃は淡々と機械的に銃弾を放ち戦車や戦闘ヘリを血祭りにあげる。

 「だったらもっと武器を持てるようにするとかはどうだ?」
 「と言うと? ハードポイントでも付けろって事?」

 ハードポイントと言うのは武器を吊り下げる為の代物だ。
 背中や手足に設置してそこに予備の武器をマウントしていざと言う時に持ち変える。
 ライフルなど、間合いの違う武器を吊るして置くといざと言う時に役に立つかもしれない。

 欠点としては重量が嵩むが最悪捨てればいいので、そこまで邪魔にはならない。
 ただ、ものによっては動きに干渉するのでヨシナリとしてはあまり採用の選択肢に入れたくない装備だったが、中距離戦を得意とするマルメルには別の使い道がある。

 「ただの吊り具じゃなくて、トリガーと連動するタイプがあるからそれを使ったらどうだ?」
 「あ、何かで見たな。 肩と腰に付けてマウントした銃の引き金を引かせる奴だろ?」
 「そう、それそれ」
 「でもあれって機体に固定されるから細かい照準付けられないって聞いたぜ?」
 「中距離で弾をばら撒くだけなら充分だろ? ただ、安物だとマガジン交換が手動になるから捨てる事にはなるだろうから使い捨てって割り切って使うのはどうだ? それに突撃銃とか短機関銃、余ってるんじゃないか?」

 聞いた訳ではないが、口振りから色々と買っているのは明らかだ。
 
 「間違ってたら謝るけど取りあえずで買った後、使わなくなるだろ?」
 「……あー、分かる?」
 「俺にアドバイスを求めてる時点で察した」
 
 そもそもマルメルのプレイスタイル上、大量に弾をばら撒ける制圧射撃は相性がいいはずだ。
 
 「そっかー、ならちょっと買ってこようかな」
 「え? 今から? 思い切り良すぎない?」
 「思い立ったら吉日っていうだろ? これ終わったら一回抜けるな」


 
 「どうよ!」
 
 場所は変わってトレーニングルーム。
 マルメルの機体の腰から二本の細いマジックアームのようなものが伸びており先端に短機関銃と突撃銃がマウントされている。

 「取りあえず、バランスとる意味でも長さは揃えた方がいいんじゃないか?」
 「はっはっは、まったくだな!」

 マルメルは少し迷った後、短機関銃に切り替えた。

 「取りあえず撃ってみるか」

 的に向かって射撃を開始。 腰にマウントされている二挺の短機関銃が火を噴くが――

 「うーん。 当たらん」
 「そもそも狙わずにばら撒くのが目的だからな」

 一応、当たってはいるが、狙った場所に当たっているとは言い難い。
 弾をばら撒く事を目的としているので、命中精度は二の次だ。
 
 「近寄れば当たると思うし、次はそのまま飛び回って見てくれ」
 「あぁ、取りあえずやってみるよ」

 マルメルの機体が大きく跳躍し、右に左にとフィールド内を飛び回る。
 しばらくそうした後に戻ってきた。

 「どうだった?」
 「邪魔にならないしいい感じだな! 弾と銃の分、ちょっと動きが重たいけどそんなに気にならなかった」
 「なるほど、次は突撃銃で試してみよう」
 「いいね」

 マルメルの機体に今度は突撃銃がマウントされる。
 さっきと同じ行動を繰り返す。 的に向かっての射撃からマウントしたまま移動。
 そして戻ってきた所でヨシナリがどうだったと尋ねる。

 ちなみに命中精度に関してはそこまで変わらなかった。

 「重い。 ぶっちゃけちょっと邪魔だった。 でも、射程と威力はあるからばら撒く分にはこっちの方が楽しいな」
 「一通り試してどう思った?」
 「取りあえず、個人戦で使うなら短機関銃で大規模なイベント戦だと突撃銃かな?」
 「使わない方がマシって事はない?」
 「ないない。 思ったよりいい感じだったから使ってみるよ」
 「あ、だったら俺と模擬戦やって慣らした後、ランク戦で試してみろよ」
 「いいね! ちょっと試すのが楽しみになってきたから頼むわ!」
 
 ヨシナリは良し来いと構えた。
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