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第37話
惑星ユーピテル。
太陽から五番目に位置する惑星で太陽系の中では最大級の大きさと質量を誇る。
分厚い雲に常に覆われており、地上は目視出来ない。 つまり見えている斑模様は雲なのだ。
位置関係からあのミッションで使用された場所はユーピテルの周囲を回る衛星イーオーだろう。
資料によれば無数の活火山を抱え、表面は色彩豊かだと記されていたが、フィールドは月面を思わせる色彩の少ない場所だった。 この辺りはゲームの関係だろう。
だが、位置関係はしっかりしていたので再現度としては非常に高いと言える。
ゲームとはいえ、リアルな宇宙旅行ができたと考えればちょっとだけ気分が良い。
嘉成は目を閉じてその風景を反芻する。 確かに雲はあったが、空は澄み切っていた。
そうでもなければユーピテルを目視できるはずなどなかったからだ。
翌朝、嘉成は調べたユーピテルの記事を眺めながら焼いたパンを齧っていた。
ただ、何故あんな場所であんな単純作業を行わせるのだろうか?
貴重なPを配ってまであんな事をやらせる意味は何なのだろう。
よく分からないが、貰えるからいいかと言った気持ちにはなるが気になるものは気になる。
――恐らくだが、新しいイベント用のフィールドと言った所だろう。
プレイヤーを送り込んでいるのはデバッグ作業の一環と考えるのが妥当か。
Pは協力に対する謝礼も兼ねていると見ていい。
考えて納得のいく結論が出た事ですっきりした嘉成は食事の残りを片付けて自室へと戻る。
ゲームの情報サイトで知識を仕入れつつ、ログイン。
これから新しい要素が増えていくこのゲームに置いて、分かり易い指針はランク戦となる。
今の見えている範囲で分かり易く、やる事はミッションをこなしての金稼ぎとランク戦での昇格のみだ。 やる事が少ないと思うが、トルーパーを操る事の快感に支配された者達からすればそれで充分にゲームを続けさせるモチベーションとなっている。
一応、飽きが来にくいように多種多様なミッションは用意されているが、効率を考えるなら報酬の変動しない共同ミッションを周回した方が良い。
そんな事を考えながらアバターへと移行し、嘉成はヨシナリとなった。
フレンドリストを確認するとマルメル、ふわわは二人ともログアウト状態。
居るのなら声をかけようかと思ったが、一人なので何をするべきか……。
ランク戦は機体の更新を行ってから一気に済ませるつもりだったので今はなしだ。
緊急ミッションは入っていないので、単独のミッションを回して適当に稼ぐかとざっくりとした方針を決めて行動を開始した。
単独で請けられるミッションは共同のものと違い報酬は低いが、単独でクリアできる難易度なので下手に難しいものを選ばなければ楽なものだ。 敵基地のアンテナ破壊や、暴走した戦闘機の撃墜など狙撃で楽に片付きそうなもの重点的に選んで請ける。
次々と的を撃ち抜きながら思考は別の事を考えていた。
自分には何が足りていないのだろうか? マルメルは今あるものを伸ばす感じで良いんじゃないかと言われ、ふわわは狙撃の腕は凄いからそれを伸ばせばいいんじゃないかと言われた。
二人の言いたい事と自分をどう評価したのかは理解できている。
マルメルは弱点らしき弱点はないので、総合力を伸ばせばいいといった。
言葉を選んではいたがつまりマルメルはヨシナリをオールラウンダー――悪く言えば器用貧乏と評したのだ。
その認識は間違っていない。
ヨシナリは全てのレンジに置いてそこそこの働きができると自負している。
ただ、中距離での撃ち合いならマルメルに近距離ならふわわと戦ったらあっさりと負けるだろう。
そしてふわわも似たような感想だった。 近距離では自分よりは遥かに格下、中距離でも微妙。
彼女の場合は悪気無しに思った事をそのまま言っているようなので、悪意はないとは思うが少しだけ刺さった。 特に怒っている訳ではないが、リベンジの際は徹底的に叩きのめしてやろうと心に決める。
さて、今の所はイベントの開催情報は出ていないので、しばらくの間はランクを上げるか資金稼ぎのどちらかになるだろう。 イベントの開催間隔を考えると早くても前回から二か月後には復刻されると見ている者は多い。 前回のイベントについての意見交換が行われていた場所を覗いてみたが、例のカタツムリ型のエネミーと蟻型の上位種が出て来て基地は全壊。 一応、Sランクが来るまでは粘ったものの到着時点でもう基地の損壊率は九割を超えていたのでどうにもならなかったようだ。
こればかりは個人の力量でどうにもならない問題なので、生き残る事だけを考えればいい。
ただ、あのイベントに関しては少々、やり過ぎではないのだろうかと思ってしまう。
高ランク帯の参戦制限、敵の無限湧き、そして勝利条件。
どれをとってもまともに勝たせる気がないのではないかと疑ってしまう。
加えて、前回は二回目。 前々回はその二か月前で全く同じ内容だったとの事。
恐らく、クリアされるまで何度でも復刻を繰り返すのではないかと言われている。
開催間隔を考えればその見立ては正しいと考えていた。
このゲームのあってないようなストーリーの進行上、必要なプロセスだからだろうか?
巷では割と見切り発車でサービス開始されたゲームなので、色々なものが追いつくまでの時間稼ぎなのではないのかと囁かれている。
実際、二か月前はSランクプレイヤーがゼロでようやくAランクプレイヤーが誕生した矢先の事だったらしい。 エンジェルタイプは勿論、それよりも下位のトルーパーであるキマイラタイプやソルジャーⅡ型ですら充分な数が居なかったのだ。 勝てる訳がない。
加えて高ランクプレイヤーには時間経過による出撃制限、勝たせるつもりがないと捉える者が多いのも頷ける。 事実として、このクソゲーと叫んで引退した者は多かった。
参加人口とそうプレイヤー数、炎上の規模で考えるなら下手をすれば千ではなく万単位の人数が消えていたとしてもおかしくない。 それでも運営は強気に対応し、二か月後に全く同じイベントを繰り出して来たのだ。
――課金の価格設定といい、こうなる事を織り込み済みな反応は一体どういう意図なのだろうか?
余計な詮索はゲームを楽しむ上でのノイズと理解はしているが、気になるものは気になってしまう。
「おっと、終わったか」
考え事をしている間に全てのターゲットを射抜き、ミッションクリアの表示が出ていた。
報酬を確認しながらもう一周行くかと考えていると画面の隅に運営からのお知らせ通知が来た表示がでる。
――?
ヨシナリは何だろうと首を捻りつつお知らせの内容に目を通した。
太陽から五番目に位置する惑星で太陽系の中では最大級の大きさと質量を誇る。
分厚い雲に常に覆われており、地上は目視出来ない。 つまり見えている斑模様は雲なのだ。
位置関係からあのミッションで使用された場所はユーピテルの周囲を回る衛星イーオーだろう。
資料によれば無数の活火山を抱え、表面は色彩豊かだと記されていたが、フィールドは月面を思わせる色彩の少ない場所だった。 この辺りはゲームの関係だろう。
だが、位置関係はしっかりしていたので再現度としては非常に高いと言える。
ゲームとはいえ、リアルな宇宙旅行ができたと考えればちょっとだけ気分が良い。
嘉成は目を閉じてその風景を反芻する。 確かに雲はあったが、空は澄み切っていた。
そうでもなければユーピテルを目視できるはずなどなかったからだ。
翌朝、嘉成は調べたユーピテルの記事を眺めながら焼いたパンを齧っていた。
ただ、何故あんな場所であんな単純作業を行わせるのだろうか?
貴重なPを配ってまであんな事をやらせる意味は何なのだろう。
よく分からないが、貰えるからいいかと言った気持ちにはなるが気になるものは気になる。
――恐らくだが、新しいイベント用のフィールドと言った所だろう。
プレイヤーを送り込んでいるのはデバッグ作業の一環と考えるのが妥当か。
Pは協力に対する謝礼も兼ねていると見ていい。
考えて納得のいく結論が出た事ですっきりした嘉成は食事の残りを片付けて自室へと戻る。
ゲームの情報サイトで知識を仕入れつつ、ログイン。
これから新しい要素が増えていくこのゲームに置いて、分かり易い指針はランク戦となる。
今の見えている範囲で分かり易く、やる事はミッションをこなしての金稼ぎとランク戦での昇格のみだ。 やる事が少ないと思うが、トルーパーを操る事の快感に支配された者達からすればそれで充分にゲームを続けさせるモチベーションとなっている。
一応、飽きが来にくいように多種多様なミッションは用意されているが、効率を考えるなら報酬の変動しない共同ミッションを周回した方が良い。
そんな事を考えながらアバターへと移行し、嘉成はヨシナリとなった。
フレンドリストを確認するとマルメル、ふわわは二人ともログアウト状態。
居るのなら声をかけようかと思ったが、一人なので何をするべきか……。
ランク戦は機体の更新を行ってから一気に済ませるつもりだったので今はなしだ。
緊急ミッションは入っていないので、単独のミッションを回して適当に稼ぐかとざっくりとした方針を決めて行動を開始した。
単独で請けられるミッションは共同のものと違い報酬は低いが、単独でクリアできる難易度なので下手に難しいものを選ばなければ楽なものだ。 敵基地のアンテナ破壊や、暴走した戦闘機の撃墜など狙撃で楽に片付きそうなもの重点的に選んで請ける。
次々と的を撃ち抜きながら思考は別の事を考えていた。
自分には何が足りていないのだろうか? マルメルは今あるものを伸ばす感じで良いんじゃないかと言われ、ふわわは狙撃の腕は凄いからそれを伸ばせばいいんじゃないかと言われた。
二人の言いたい事と自分をどう評価したのかは理解できている。
マルメルは弱点らしき弱点はないので、総合力を伸ばせばいいといった。
言葉を選んではいたがつまりマルメルはヨシナリをオールラウンダー――悪く言えば器用貧乏と評したのだ。
その認識は間違っていない。
ヨシナリは全てのレンジに置いてそこそこの働きができると自負している。
ただ、中距離での撃ち合いならマルメルに近距離ならふわわと戦ったらあっさりと負けるだろう。
そしてふわわも似たような感想だった。 近距離では自分よりは遥かに格下、中距離でも微妙。
彼女の場合は悪気無しに思った事をそのまま言っているようなので、悪意はないとは思うが少しだけ刺さった。 特に怒っている訳ではないが、リベンジの際は徹底的に叩きのめしてやろうと心に決める。
さて、今の所はイベントの開催情報は出ていないので、しばらくの間はランクを上げるか資金稼ぎのどちらかになるだろう。 イベントの開催間隔を考えると早くても前回から二か月後には復刻されると見ている者は多い。 前回のイベントについての意見交換が行われていた場所を覗いてみたが、例のカタツムリ型のエネミーと蟻型の上位種が出て来て基地は全壊。 一応、Sランクが来るまでは粘ったものの到着時点でもう基地の損壊率は九割を超えていたのでどうにもならなかったようだ。
こればかりは個人の力量でどうにもならない問題なので、生き残る事だけを考えればいい。
ただ、あのイベントに関しては少々、やり過ぎではないのだろうかと思ってしまう。
高ランク帯の参戦制限、敵の無限湧き、そして勝利条件。
どれをとってもまともに勝たせる気がないのではないかと疑ってしまう。
加えて、前回は二回目。 前々回はその二か月前で全く同じ内容だったとの事。
恐らく、クリアされるまで何度でも復刻を繰り返すのではないかと言われている。
開催間隔を考えればその見立ては正しいと考えていた。
このゲームのあってないようなストーリーの進行上、必要なプロセスだからだろうか?
巷では割と見切り発車でサービス開始されたゲームなので、色々なものが追いつくまでの時間稼ぎなのではないのかと囁かれている。
実際、二か月前はSランクプレイヤーがゼロでようやくAランクプレイヤーが誕生した矢先の事だったらしい。 エンジェルタイプは勿論、それよりも下位のトルーパーであるキマイラタイプやソルジャーⅡ型ですら充分な数が居なかったのだ。 勝てる訳がない。
加えて高ランクプレイヤーには時間経過による出撃制限、勝たせるつもりがないと捉える者が多いのも頷ける。 事実として、このクソゲーと叫んで引退した者は多かった。
参加人口とそうプレイヤー数、炎上の規模で考えるなら下手をすれば千ではなく万単位の人数が消えていたとしてもおかしくない。 それでも運営は強気に対応し、二か月後に全く同じイベントを繰り出して来たのだ。
――課金の価格設定といい、こうなる事を織り込み済みな反応は一体どういう意図なのだろうか?
余計な詮索はゲームを楽しむ上でのノイズと理解はしているが、気になるものは気になってしまう。
「おっと、終わったか」
考え事をしている間に全てのターゲットを射抜き、ミッションクリアの表示が出ていた。
報酬を確認しながらもう一周行くかと考えていると画面の隅に運営からのお知らせ通知が来た表示がでる。
――?
ヨシナリは何だろうと首を捻りつつお知らせの内容に目を通した。
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