Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第39話

 装備から明らかに同ランク帯の二チームによる戦闘だが、あまりチーム戦である事は活かせていないように見えた。 理由は単純で各々、相手を見つけて離れて戦っているからだ。
 恐らく今まで大半のプレイヤーは個人戦でやってきたのでこういった連携が求められる戦闘に対してのノウハウが足りていないのだ。 集団でこなすミッションはあったが、それとは勝手が違うのだろう。

 敵の撃破に成功した者が他を助けに入る形になり、後はドミノ倒しのように状況が一気に傾いて終了。
 戦闘の詳細も個人戦が複数同時に展開されているだけだったのでチーム戦として捉えるなら見どころはあまりなかった。

 「やっぱ連携って難しいんだな」
 
 マルメルはそう呟く。 その点に関してはヨシナリも同意だ。
 よほどうまく動かないと互いの足を引っ張り合う事にもなりかねない。
 
 「取り合えず練習するか」
 「そうだな」

 
 練習といってもヨシナリとマルメルは明確にポジションが決まっているので動きに関しては互いに干渉し難い事もあって割と早い段階で形になっていた。
 何だかんだとそれなりの時間、一緒に戦ってきたので互いの機体特性と戦い方に詳しい事も追い風となる。 一通り、動きの確認作業と実践を済ませた二人だったが、次に行うのはユニオンの結成だ。

 「――えーっと、結成には最低二人以上のメンバーとリーダーの決定。 後は維持に関してだが、うわ面倒くさいなこれ」
 「どした?」
 「見ろよこれ」

 一息ついてユニオンに付いての確認作業をしていたヨシナリが思わず顔をしかめる。
 それもそのはずでヨシナリの表示したウインドウにはユニオンの維持に付いてが記されていた。
 まず、ユニオンにはホームを購入できる権利が与えられる。 安い所ならアバターだけが出入りできる小さな事務所のような場所で、高額になると自由に設定できる実戦演習場付きの巨大な島。

 そこは気にならなかった。 規模と資金によって差が出るのは当然だ。
 施設の規模によって維持費に大きく差が出る。 これも気にならない。
 問題はその後の項目だ。 半月間、動きのなかったユニオンは自動的に解散となる。

 「自動解散か。 ちょっと抜けて久しぶりに戻ったらユニオンがなくなってるとか悲しいな。 ってか何を以って動きがないって判断するんだ?」
 「えーっと、まずはログインだな。 要は半月、誰もログインしない幽霊部員だらけのユニオンは勝手に消えるみたいだ」
 「まさに幽霊だな」
 「はは、まぁ、ここの運営だと割と読めてた流れだな。 もう一つがランク戦への参加だ。 半月参加しないと例によって自動消滅だってさ」
 「ぶっちゃけ普通のランク戦と同じで組んで参加するだけだろ? 楽じゃね?」
 「まぁな。 ただ、ユニオンのランク戦って割と負けた時の代償がデカい」
 
 ヨシナリが画面をスクロールさせて該当部分を表示させるとマルメルがずいっと覗き込んで来る。

 「え~と何々……。 うわ、負けたらランクに応じた金額を徴収されるって」
 「いい事ばっかりじゃないな」

 流石に個人の資金にまでは手を出されないが、ユニオンで貯蓄しているGは持って行かれるようだ。
 最低限の温情なのかゼロ以下にはならないようだ。 だが――

 「金がなくなるのは分かったけど、定期的に発生する維持費を賄えなくなるとどうなるんだ?」
 「解散だな」
 「……鬼かよ。 でも新しく作り直せばいいんじゃないか?」
 「それに関してはこっちに書いてあるな」

 ヨシナリがスクロールさせた画面には一度ユニオン解散を経験した者は新規にユニオン結成に関われなくなると記されていた。

 「どういう事?」
 「要はユニオン経営がぽしゃったら新しいユニオンを再結成できなくなるから、以降は他所に入れてもらうしかなくなるって訳だな」
 「はー、ユニオン潰すような奴には組織を率いる才能ないから他の下に付けって事かよ」
 「まぁ、そういう事だな」
 「前々から思ってたけどちょっと厳しすぎない?」
 「それこそ今更な話だろ」

 違いないなと二人が笑っているとヨシナリにメールが届いた。
 何だと確認するとふわわからでユニオン参加に関しては了解との事。

 「ふわわさん?」
 「あぁ、俺らと組んでくれるってさ」
 「お、ありがえてぇな。 あの人いるとこの手の集団戦はかなり楽になる」
 
 ふわわの近接戦の強さは異常なので同ランク帯の相手なら相性にもよるだろうが瞬殺してくれるだろう。 そうなればかなり有利に戦える。
 マルメル、ふわわの二人が居れば下手に強い相手を狙わない限り早々、負ける事はないとヨシナリは思っていたので彼女の参加はかなりありがたかった。

 「取り合えずユニオン作っとくか。 リーダーどうする? じゃんけんで決める?」
 「いや、ここは言いだしっぺのお前だろ」
 「あー……そうなる? でもふわわさんもやりたがるかもしれないし……」

 メールを送ると「ウチは何でもいいから勝手に決めといて」と即座に返事が返ってきた。
 そして追伸にリーダーは任せたと添えられていたので拒否権はないようだ。
 ヨシナリは小さく息を吐くとまぁいいかとやる事にした。

 
 ユニオン作成の手順はそう難しい物ではない。
 自分を含めた二人以上のメンバーで申請すると必要な入力事項を埋めて完了だ。

 「メンバーは俺とマルメル、ふわわさんには申請は送って――ホームは一番安い奴でいいよな。 で、ユニオンの名前とかどうする?」
 「あー、それがあったな。 パッと出てこないし任せるよ」
 「でも変な名前にしたら怒るだろ?」
 「よっぽど変じゃないなら怒らないって」

 ヨシナリはそうか?と首を捻り――少し考えた後、これでどうだと案を口にした。


 「『星座盤コンステレーション・ボード』かぁ、ウチは良い感じだと思うな!」

 その後、合流したふわわはヨシナリの付けたユニオン名にいいんじゃないかと頷いて見せた。
 
 「ウチはネーミングセンスないからこういうのはお任せって決めてたから文句ないよ~。 でも星座盤は中々に素敵な名前やね。 機体もホロスコープやし、ヨシナリ君はお星さま好きなん?」
 「星というよりは宇宙が好きなんですよ。 あのどこまでも広い感じが特に」
 「なるほど。 俺もいい感じだと思うから決定でいいだろ」

 場所は変わってユニオン『星座盤』のホーム。
 四角い部屋に机が一つとパイプ椅子が人数分という簡素な部屋だ。

 「……なんつーか。 殺風景だな」
 
 マルメルがぽつりとつぶやいた。
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