Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

文字の大きさ
51 / 863

第51話

 戦闘終了の表示と共にリザルトが表示。
 同時に事前の取り決め通りにレラナイトの持っていたソルジャーⅡ型系列のパーツの所有権が全て移動した。 ヨシナリが確認するとズラズラとリストにパーツの詳細が表示される。

 ざっと見ただけでブースター等の推進装置、外装、センサー類、武装などなど。

 詳しい確認は後でいいだろうとウインドウを消す。 場所は戦闘が始まる前に居た場所。
 マルメルは喜ぶのかと思ったが、ほっと胸を撫で下ろしていた。
 ふわわは特に何も反応を示さない。 そして対峙していたレラナイト達だが、大半は呆然としていた。

 戦力差は五倍でその大半をふわわ一人に全滅させられた事を考えると無理もない反応だ。 
 元々、ヨシナリの立てた作戦は速攻でレラナイトを撃破し、瓦解するであろう敵のチームを各個撃破するといった内容のものだった。 繰り返しになるが、大渦は悪い意味でレラナイト一人のチームなので非常に行動が読み易い。 リーダーであるレラナイトは特にだ。

 速攻、奇襲。 この二つが勝利の鍵で敵の位置を早期発見し、こちらの位置を把握させない事が重要だった。 その後は同様の手で削っていく予定で、その為に足元に広がる地下道を活用しようとしていたのだが、ふわわの能力だけは想定外だ。 流石に単騎で他を全滅させるとは思っていなかったのでこの結果はヨシナリとしても驚きの大きい結果だった。

 ――というよりはショックが大きいのはレラナイト達だろうな。

 レラナイトは現実を受け入れられないのか呆然としており、思い出したかのようにウインドウを操作して所持パーツを確認していた。 不意に操作している手が止まる。
 全て空になっている事を認識したが、現実を受け入れられないのだろう。

 「――サマだ」

 レラナイトが何かを呟き始めた。 
 よく聞き取れなかったが、碌な事ではなさそうだった。 
 面倒な事になる前にさっさと引き上げようとしたがレラナイトの動きは素早く、ヨシナリは掴みかかられた。

 「イカサマだろ! どんなイカサマをしやがった! 卑怯な真似しやがって! お前にはスポーツマンシップはないのか!? もう一度だ! 俺が勝ったら全部返してお前らの有り金も全部寄越せ!」
 「いや、あんたパーツ全部没収されたじゃないですか? どっちにしろ無理でしょ」
 
 内心で面倒なキレ方しやがったと思いながらそう返す。
 そもそも卑怯な真似したのはお前らだろうがと思ったが、言っても無駄なのでそこには触れない。

 「だったらパーツを返せ!」
 「嫌ですよ。 あれはもう俺達の物です。 貴重なパーツをありがとうございました。 またⅠ型から頑張ってください」
 「この――」

 レラナイトの拳が振り上げられ、ヨシナリのアバターの顔面に炸裂する。
 ちらりとレラナイト仲間を見ると烏合の衆だけあって反応も分かり易い。
 一部はウインドウで何らかの操作を行ってその場からいなくなり、一部は棒立ち、残りはやっちまったなといった様子で顔を手で覆う。

 「テメエやりやがったな!」
 
 即座にマルメルが助けに入ろうとしていたがヨシナリは手で制する。
 どうせ痛みの感じないアバターだ。 好きなだけ殴らせてやればいい。
 終わったらやった事の責任は取ってもらうが。 レラナイトは一発では気が済まなかったのか、更に殴ろうとしていたがいつの間にか背後にいたふわわがその腕を捻り上げて地面に引き倒す。

 「はぁ、レラナイトさんだっけ? あんたみたいな人ってはっきり言わないと分からないみたいから言うけど、ちょっと卑し過ぎじゃない? 強い手下が欲しい、強い武器が欲しい――最後は都合のいい彼女が欲しい?」
 「離せよクソ女! 折角、目をかけてやったのにこんなイカサマをするなんてガッカリだ! 通報されたくなかったら盗んだパーツを返せ! そうしたら俺も穏便に済ませて――」

 まともな会話になっておらず、見苦しく喚くレラナイトを見てヨシナリはちょっとした驚きを感じていた。
 この高いモラルを要求するゲームでこんな輩が普通に棲息できる事にだ。
 少し考えてあぁと納得した。 もしかしてユニオン機能ってこういった輩の炙り出しも含まれているのだろうかと思ったからだ。

 ユニオンというシステムは集団を形成する事で利益を得られる。
 それは質、量が多ければ多いほどに大きい。 少なくともこれまで個人で行動して来た者達は集団行動の適性が試されるといっていいだろう。 
 
 この手のトラブルはこれからあちこちで起こる。 
 場合によっては運営ルールに抵触し、追放される可能性も充分にあり得るはずだ。
 
 ――この運営は何を考えているんだ?

 明らかにプレイヤーを間引いているとも取れる行動に疑問は尽きない。
 選ばれし人間だけが住めるディストピアのモデルケースでも作ろうとしているのだろうか?
 そんな疑問がふっと浮かんだが、考えすぎかと内心で肩を竦めると二人に声をかけてその場を後にした。 レラナイトはその場に放置だ。 礼儀を払う必要のない相手は無視しても問題ない。

 
 「ホント、感じ悪い人やったわ!」

 ホームに戻るとふわわがいつもの調子でぷんすこと怒りを露わにする。
 
 「つーか、割と最初から当たりきつくなかったっすか?」
 「いや、だってあの人、ウチが女って認識したら気持ち悪い声ですり寄ってくるねんもん。 アバターやから分からんかもしれんけど鳥肌が立つわ」
 「あー、確かにそりゃキモいっすね」

 雑談もそこそこにヨシナリはウインドウを可視化させると二人に見せる。
 
 「はい、取り合えず揉めそうな案件はさっさと片付けよう。 取り合えずレラナイトから根こそぎ奪ったⅡ型の関連パーツ及び装備一覧だ」
 「そういや互換性がないから使いたいんやったら一式積まんとあかんのやろ?」

 なんか喋り方変わったなと思いながらも敢えて触れずに話を続ける。

 「はい、パーツの規格がそもそも違うので無理に積もうとしても規格不一致って表示されてエラー吐くだけになります」

 レラナイトが持っていたⅡ型のコアパーツは頭部装備の大型センサー『ホークアイ』。 
 巨大なゴーグルのような見た目で高ランクのステルス装備以外は大抵の機体を早期に補足する事ができる便利な代物だ。
  
 それともう一つ。 内蔵型のセンサーシステム『ゼブラ』
 こちらはゴーグル型ではないのでホークアイに比べるとすっきりとした印象を受ける。

 「こっちのゼブラってやつの方がすっきりしてて使い易そうやね」
 「違いは何なんだ?」

 二人の質問にヨシナリはウインドウを操作しながら答える。
 
 「視野の広さと深さってところだな。 ホークアイは遠くまで見通せるが俺達が普段から使っている奴に比べるとかなり狭くなる。 双眼鏡か何かで遠くを見ている感じが近いかな? だから死角が増える」
 「ふーん? じゃあゼブラは?」
 「こちらは広さだ。 感度はかなり落ちるが真後ろ以外はほぼ見える」

 ほうほうと感心の声を上げる二人の反応に苦笑しながらヨシナリは説明を続ける。
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハズレ職業【フリーター】を授かった少年は、王都で騙されて多額の借金を背負う。しかし、修復スキルでガラクタを修復して最下層の泥底から成り上がる

ninjin
ファンタジー
主人公アルトは、病気の母のため王都で一旗揚げるも、授かったのは「フリーター」という最弱の職業。その直後、無一文となり、多額の借金だけが残ってしまう。絶望の底で、アルトは神から与えられたフリーターの力を使い、誰も見向きもしない廃棄物から価値を創り出すという、裏の稼業に活路を見出す。

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

名もなき民の戦国時代

のらしろ
ファンタジー
 徹夜で作った卒論を持って大学に向かう途中で、定番の異世界転生。  異世界特急便のトラックにはねられて戦国時代に飛ばされた。  しかも、よくある有名人の代わりや、戦国武将とは全く縁もゆかりもない庶民、しかも子供の姿で桑名傍の浜に打ち上げられる。  幸いなことに通りかかった修行僧の玄奘様に助けられて異世界生活が始まる。  でも、庶民、それも孤児の身分からの出発で、大学生までの生活で培った現代知識だけを持ってどこまで戦国の世でやっていけるか。  とにかく、主人公の孫空は生き残ることだけ考えて、周りを巻き込み無双していくお話です。

[完]異世界銭湯

三園 七詩
ファンタジー
下町で昔ながらの薪で沸かす銭湯を経営する一家が住んでいた。 しかし近くにスーパー銭湯が出来てから客足が激減…このままでは店を畳むしかない、そう思っていた。 暗い気持ちで目覚め、いつもの習慣のように準備をしようと外に出ると…そこは見慣れた下町ではなく見たことも無い場所に銭湯は建っていた…

スキルを駆使して人生勝ち組っ!R

momo
ファンタジー
失敗ばかりの人生だった。 夢も、恋も、キャリアも、全部中途半端。 だけど――もう一度やり直せるなら。 三十後半OL、まさかの逆行転生。 与えられたのは“努力を裏切らない”スキルボード。 毎日の積み重ねが、確実に未来を変えていく。 今度こそ堅実に、公務員になって、静かに幸せに暮らす。 そのはずだったのに。 なぜか才能が覚醒。 ピアノ界の神童? 子役スター候補? 違う、そうじゃない! 安定志向アラフォー女子の人生二周目、 思わぬ才能無双で開幕! ※スキルを駆使して人生勝ち組っ!の加筆修正した物になります。