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第64話
「そういえばふわわさんってなんでやられたんだ?」
戦場の推移を眺めながらふと気になったのかマルメルがそんな事を尋ねた。
「確かにタイミング的にも随分とあっさりやられたなって思ったんだけど、何をされたんです?」
「うーん。 ウチも良く分からんのよ。 ビルを飛び越えて上から仕掛けるつもりだったんだけど落下途中で何かに引っかかってビリビリってなって、動けなくなった」
マルメルはなんじゃそりゃと首を捻るが、ヨシナリは心当たりがあったのでセンドウの動きに注視。
あるタイミングで映像を止める。
「多分ここだな。 見てみろ、何かしてる」
「あ、本当だ」
映像の中でセンドウはヨシナリへの牽制を行いながらビルの壁面に何かを射出していた。
設置を済ませると光が蜘蛛の巣のようにあちこちに張り巡らされる。
「何これ?」
「接触した相手に高圧電流を流して一時的に行動不能にするトラップだな。 これ喰らったのか、そりゃ動けなくなるわ」
言いながらヨシナリは先を越されたと少しだけ思っていた。
ふわわを仕留める場合は正攻法より、罠を張って意識の外から攻撃するのが最適解だ。
再戦時には自分が使ってやろうと思っていた手だったので少しだけ複雑だった。
「なにそれ、知らねー」
「まぁ、ぶっちゃけると使いづらいからな」
「そうなのか?」
「あぁ、まず、展開する為に装置を設置しないといけないから準備が面倒」
――というかあのセンドウとかいう女、俺への牽制をしながら片手間でトラップの設置をしていやがったのか。
いや、この場合は俺への牽制の方が片手間かと少しだけ屈辱感が込み上げる。
「後は連続稼働時間がそう長くないので必要のないときは切っておく必要がある」
「つけっぱなしにしとくと止まるって事か?」
「あぁ、高級品ならそうでもないが低ランクの奴は任意で起動する必要がる」
センドウは味方の支援を行いながら自身が接近された時の備えを行っていたのだ。
空き時間を利用してせっせと罠を設置していた。 こうして頭から見直してみると彼女の行動に無駄は一切なく、与えられた時間を最大限に有効活用している。 それと並行して自身の潜伏場所を中心に何か所かに武器を隠していた。
「銃を壊したはずなのにマルメル君に使ってたのはこういう事かぁ……」
あの周辺は既にセンドウのテリトリーだったという訳だ。
その後はふわわが前線で暴れてセンドウに狙撃を行わせ、居場所を特定して突撃。
後は罠にかかって行動不能にされたところで撃破。 センドウは隠していた予備の狙撃銃でマルメルを狙撃。 前線に余裕が出来たのでフカヤが身を隠しつつヨシナリの背後に回り、至近距離でクロスボウでボルトを打ち込んで試合終了だ。
「いや、場面場面で見ればいい勝負だったって思いたいけど、通しで見ると完全に手玉に取られて終わったな」
牽制、奇襲による分断。 それによって連携が取れなくなったヨシナリ達は各個撃破されて終わった。
再生が終わったのでウインドウを消去。 少しの間、誰も何も言わずに沈黙する。
何も言えないのではなくて言葉探しているが故の沈黙だった。
「取り合えず、連携強化が今後の課題だな」
「そうだな」
「うん! ウチがんばるよ!」
マルメルもふわわも負けた事によるダメージはあるが、モチベーションの低下までには繋がっていない事に内心でほっとしながらどうしていくのかを考え――取り合えず動くかと提案をした。
「――で? 『星座盤』はどうだった?」
カナタは戦闘を終え、報告に戻ってきたツガル達にそう尋ねた。
「いやぁ、試合内容見れば割と快勝って感じですけど、場合によってはあっさり引っ繰り返されてたと思うんで割とギリギリだったな。 っつーか、碌に連携できてないのにあれだけ戦えるのってかなりヤベぇよ」
実際、ツガルはヨシナリ達の事を高く評価していた。
勝ちはしたが、自分達のしっかり磨いてきた連携が刺さっただけで、相手が同水準の連携ができたのなら負けていた可能性も充分に存在した。 だから、楽勝できたとはとてもではないが言えなかったのだ。
フカヤは自分も右に同じと答え、センドウは頷いて見せる。
「個人評価としてはどうだった?」
ツガルとフカヤはセンドウの方へ振り返ると彼女は小さく溜息を吐く。
「まず、突出して来たふわわ。 彼女に関しては個人技としてはかなりのものね。 特に接近戦でのプレイヤースキルはそうそう真似できるものじゃない。 一対一だったら正直、勝てる気がしないわ。 ただ、今回のような集団戦だと味方と連動しないのでいくらでもやりようはあった。 総評としては個人技には優れているけど、チーム戦では場合によって足を引っ張る要因になりかねないってところね」
接近戦もそうだが攻撃に関する異常なまでの反応の良さ、ライフル弾を切り払う技量。
あそこまで行くと才能というよりは別種の生き物と思ってしまうほどの違いを感じた。
反面、罠などの絡め手には非常に脆く、フィクションでよくある殺気の類を感じているのではないかとセンドウは冗談抜きにそう信じている。
「次に中衛を務めたマルメル。 やや攻撃に偏っていたのはふわわを守る必要がないからでしょうね。 ただ、味方の突出に引っ張られて、思うように動けていなかった印象があったわ」
「能力面では?」
「良くも悪くも突出した面はないからどこに居ても一定の仕事をしてくれる印象ね。 個人的には集団戦で一番味方に欲しいタイプよ」
センドウにとってツガルやマルメルのような攻守に渡って戦場のバランスを取ってくれる存在は自分の仕事をやり易くしてくれるので基本的に好感度が高い。
その為、中衛を無難に務められる人材は一定の評価をするようにしていた。
「そうだな。 俺とフカヤの二人をきっちり抑えてたから装備次第では化けるかも」
「なるほど。 なら最後のリーダーに関しては?」
ヨシナリについて尋ねられたセンドウは少しだけ悩む素振りを見せるが、頭の中で纏めていたのか語り始めた。
「……私は基本的にスナイパーに関しては自由にさせない方針だから試合開始から頭を押さえて何もさせなかったから何とも言えないわね。 もしかしたら自由にさせたら何か光る物を見せてくれたのかもしれないけど、今回は良い所なしだから評価は保留ね」
戦場の推移を眺めながらふと気になったのかマルメルがそんな事を尋ねた。
「確かにタイミング的にも随分とあっさりやられたなって思ったんだけど、何をされたんです?」
「うーん。 ウチも良く分からんのよ。 ビルを飛び越えて上から仕掛けるつもりだったんだけど落下途中で何かに引っかかってビリビリってなって、動けなくなった」
マルメルはなんじゃそりゃと首を捻るが、ヨシナリは心当たりがあったのでセンドウの動きに注視。
あるタイミングで映像を止める。
「多分ここだな。 見てみろ、何かしてる」
「あ、本当だ」
映像の中でセンドウはヨシナリへの牽制を行いながらビルの壁面に何かを射出していた。
設置を済ませると光が蜘蛛の巣のようにあちこちに張り巡らされる。
「何これ?」
「接触した相手に高圧電流を流して一時的に行動不能にするトラップだな。 これ喰らったのか、そりゃ動けなくなるわ」
言いながらヨシナリは先を越されたと少しだけ思っていた。
ふわわを仕留める場合は正攻法より、罠を張って意識の外から攻撃するのが最適解だ。
再戦時には自分が使ってやろうと思っていた手だったので少しだけ複雑だった。
「なにそれ、知らねー」
「まぁ、ぶっちゃけると使いづらいからな」
「そうなのか?」
「あぁ、まず、展開する為に装置を設置しないといけないから準備が面倒」
――というかあのセンドウとかいう女、俺への牽制をしながら片手間でトラップの設置をしていやがったのか。
いや、この場合は俺への牽制の方が片手間かと少しだけ屈辱感が込み上げる。
「後は連続稼働時間がそう長くないので必要のないときは切っておく必要がある」
「つけっぱなしにしとくと止まるって事か?」
「あぁ、高級品ならそうでもないが低ランクの奴は任意で起動する必要がる」
センドウは味方の支援を行いながら自身が接近された時の備えを行っていたのだ。
空き時間を利用してせっせと罠を設置していた。 こうして頭から見直してみると彼女の行動に無駄は一切なく、与えられた時間を最大限に有効活用している。 それと並行して自身の潜伏場所を中心に何か所かに武器を隠していた。
「銃を壊したはずなのにマルメル君に使ってたのはこういう事かぁ……」
あの周辺は既にセンドウのテリトリーだったという訳だ。
その後はふわわが前線で暴れてセンドウに狙撃を行わせ、居場所を特定して突撃。
後は罠にかかって行動不能にされたところで撃破。 センドウは隠していた予備の狙撃銃でマルメルを狙撃。 前線に余裕が出来たのでフカヤが身を隠しつつヨシナリの背後に回り、至近距離でクロスボウでボルトを打ち込んで試合終了だ。
「いや、場面場面で見ればいい勝負だったって思いたいけど、通しで見ると完全に手玉に取られて終わったな」
牽制、奇襲による分断。 それによって連携が取れなくなったヨシナリ達は各個撃破されて終わった。
再生が終わったのでウインドウを消去。 少しの間、誰も何も言わずに沈黙する。
何も言えないのではなくて言葉探しているが故の沈黙だった。
「取り合えず、連携強化が今後の課題だな」
「そうだな」
「うん! ウチがんばるよ!」
マルメルもふわわも負けた事によるダメージはあるが、モチベーションの低下までには繋がっていない事に内心でほっとしながらどうしていくのかを考え――取り合えず動くかと提案をした。
「――で? 『星座盤』はどうだった?」
カナタは戦闘を終え、報告に戻ってきたツガル達にそう尋ねた。
「いやぁ、試合内容見れば割と快勝って感じですけど、場合によってはあっさり引っ繰り返されてたと思うんで割とギリギリだったな。 っつーか、碌に連携できてないのにあれだけ戦えるのってかなりヤベぇよ」
実際、ツガルはヨシナリ達の事を高く評価していた。
勝ちはしたが、自分達のしっかり磨いてきた連携が刺さっただけで、相手が同水準の連携ができたのなら負けていた可能性も充分に存在した。 だから、楽勝できたとはとてもではないが言えなかったのだ。
フカヤは自分も右に同じと答え、センドウは頷いて見せる。
「個人評価としてはどうだった?」
ツガルとフカヤはセンドウの方へ振り返ると彼女は小さく溜息を吐く。
「まず、突出して来たふわわ。 彼女に関しては個人技としてはかなりのものね。 特に接近戦でのプレイヤースキルはそうそう真似できるものじゃない。 一対一だったら正直、勝てる気がしないわ。 ただ、今回のような集団戦だと味方と連動しないのでいくらでもやりようはあった。 総評としては個人技には優れているけど、チーム戦では場合によって足を引っ張る要因になりかねないってところね」
接近戦もそうだが攻撃に関する異常なまでの反応の良さ、ライフル弾を切り払う技量。
あそこまで行くと才能というよりは別種の生き物と思ってしまうほどの違いを感じた。
反面、罠などの絡め手には非常に脆く、フィクションでよくある殺気の類を感じているのではないかとセンドウは冗談抜きにそう信じている。
「次に中衛を務めたマルメル。 やや攻撃に偏っていたのはふわわを守る必要がないからでしょうね。 ただ、味方の突出に引っ張られて、思うように動けていなかった印象があったわ」
「能力面では?」
「良くも悪くも突出した面はないからどこに居ても一定の仕事をしてくれる印象ね。 個人的には集団戦で一番味方に欲しいタイプよ」
センドウにとってツガルやマルメルのような攻守に渡って戦場のバランスを取ってくれる存在は自分の仕事をやり易くしてくれるので基本的に好感度が高い。
その為、中衛を無難に務められる人材は一定の評価をするようにしていた。
「そうだな。 俺とフカヤの二人をきっちり抑えてたから装備次第では化けるかも」
「なるほど。 なら最後のリーダーに関しては?」
ヨシナリについて尋ねられたセンドウは少しだけ悩む素振りを見せるが、頭の中で纏めていたのか語り始めた。
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