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第153話
「いえーい。 おつかれー」
「おつかれっす」 「お疲れ様です」
分かり易く喜ぶツガルにヨシナリとフカヤも嬉しそうに頷いた。
実際、今回は見事に想定の範囲内で収め、味方の損害ゼロで勝利したのだ。
大満足の結果といえる。 適正人数が揃っているのであれば正攻法での攻略を行ったのだが、人数が三人なので施設を爆破する事で敵の一掃を狙うのが最適解だ。
「いや、お前マジでやるじゃん! 正直、かなりやり易かったぜ!」
「そうですね。 拾いに来てくれたのもいいタイミングでした」
「はは、どうも」
栄光の方針なのかは不明だが、二人ともやたらとヨシナリを褒めてくる。
「ところでウチに入って――」
「あ、それはないです」
だからと言ってホイホイついてく事はないが。
「やっぱ引っかからないか。 で? どうよ? さっきのミッションは?」
「いい感じですね。 NPCとはいえトルーパーと戦えるのは連携を磨く上では便利だと思います」
これは本音だった。 可能であれば自分のユニオンでも扱いたいぐらいだ。
かといってランクを上げたいなら結構な人数が必要なので現状では少し難しい。
ただ、マルメルとふわわが揃っていなくなる事態に直面すると新しいメンバーは欲しいという気持ちも大きくなっていた。 ノルマのユニオン戦も消化できないのでまたどこかのタイミングで適当な相手を臨時で募集しないとなと少し考える。
栄光の待機室でツガルもフカヤも消耗したのか休憩するといった様子なので話題を変える事にした。
「そういえば新しいイベントがどうのって話をしてましたね。 もしよかったら具体的な内容とか教えてくれるとありがたいんですが?」
「あー、実を言うと俺達もはっきりとは知らないんだよ。 ウチのボスやらセンドウさんの見立てだとこの前の大規模防衛戦に近い感じになりそうだとさ」
――あれか。
最後に出て来たボス――恐らくは運営の用意したトルーパーの理不尽な強さは今でも目に焼き付いている。 またアレと同等の敵が出てくるとかなり厳しい事になるなとぼんやり思った。
ヨシナリは折角なので意見を聞いてみるかと話を振ってみる。
「そういえばあの時、最後に出て来たエネミー。 なんだったと思います?」
「……あー、あのイソギンチャクの中から出てきた奴か?」
「はい。 俺はどう見てもトルーパー――それも運営が用意したプレイヤーって考えてます」
「それか運営の一人ってところだろうな」
ツガルも思う所があるのかうーんと腕を組む。
「いや、あいつはマジでヤバかったな。 機体のスペックもそうだが、動かしてる奴の技量も半端ない。 最初は運営のテコ入れシステムアシストでも入ってんじゃないかとも思ったけど、映像を見返すと明らかに挙動がプレイヤーそのものなんだよなぁ」
「それは俺も思いました。 エネミー特有のパターン化された動きの固さみたいなのは感じられなかったので少なくともプレイヤーかは何とも言えませんが、有人操作だとは思ってます」
少なくともあの対応力とプレイヤーの虚を突くような立ち回りはAIには難しいと思っていた。
「だよなぁ、俺なんて良い所なしで瞬殺されちまってさ。 割とショックだったんだよなぁ」
「ツガルさんは良いじゃないですか。 僕はあのウツボの流れ弾を喰らって即死ですよ」
「あぁ、あのタイミングで落ちたんですね。 やたら滅多に撃ちまくってたのでステルスしても関係なかったのが大きかったと思いますよ」
そもそもあそこで求められるのは純粋な強さだ。
あのレベルになると小細工はあまり意味がない。 そんな中で自分にやれる事をやろうとしただけでも充分だろう。 結果は伴わなかったとしてもそういった姿勢は一緒に遊ぶ相手としては良いと思っている。
「はは、どうも。 戦場のニーズと噛み合わなかっただけと思うけど、あっさりやられたのは少し悔しいですよ。 だから次はもうちょっと、せめて気を引けるぐらいにはなりたいですね」
だからこうしてツガルやヨシナリと組んでミッションをこなしつつ腕を磨いている訳だ。
単純に装備で補えばいいといった安易な解決策に飛びつかず、自己を高めようといった選択肢を優先して選ぶのはヨシナリとしては意識が高くていいなと少しだけ思った。
――それにしてもまたあのクラスの敵が出てくるのか……。
確証はないが内容と進行に関しては充分に有り得る話だ。
今年最後のイベントとしては中々に熱くなれそうな内容ではあるが、今の段階で通用するのかは怪しい。 だからと言ってラーガストに任せるのも違うと思っていた。
「まぁ、やれる事をやるだけですね」
「だな。 俺は周りからぼちぼちエンジェルタイプに変えろとか言われたんだけど、どうしたものかねって思っててな。 どう思う?」
「いいと思いますよ。 最大加速はキマイラの方が上ですが、瞬間加速と旋回性は段違いでエンジェルタイプの方が上でしょう」
エネルギーウイングを用いた推進装置ははっきり言って既存品とは段違いだ。
それを賄うジェネレーターやコンデンサーと合わせて凄まじい高額装備ではあるが、それに見合ったスペックではある。
少々の技量差は物ともしないだろう。 恐らくだからこそ購入と使用に制限がかかっているとみていい。
エンジェルタイプ系列の装備、フレームはBランク以上でないと購入、使用ができないようになっている。 これは降格した場合も適用されるので、仮にBランクに上がり、エンジェルタイプを手に入れたとしてもその後、Cランクに落ちた場合使えなくなる。 つまるところ機体のスペックに見合った技量を見せろといった運営からのメッセージだ。
スペシャルな機体を使いたいならスペシャルな腕を身につけろ。
その意図を正確に理解しているプレイヤー達は性能よりも自分の腕を磨く事に重きを置く。
ツガルはその辺りを正確に理解しているようなので、ヨシナリとしては素直に良いのでないかと思ったのだ。
「ぼ、僕はもうⅡ型でいいかなって思ってるけどね」
「せめてキマイラに変えたらどうだ?」
「いや、前にも言ったけど、あのクロスボウが気に入ってるんだよ」
フカヤは頑なにⅡ型を使用しているのは大型のクロスボウの所為だ。
恐らく変形時に干渉するので可変フレームとの相性が悪い。
クロスボウを使いたいフカヤとしてはスペックよりも拘りを優先した訳だ。
それもまた楽しみ方の一つだとは思うので、機種転換しない事のリスクを理解しているのなら肯定するべき選択だろう。
「おつかれっす」 「お疲れ様です」
分かり易く喜ぶツガルにヨシナリとフカヤも嬉しそうに頷いた。
実際、今回は見事に想定の範囲内で収め、味方の損害ゼロで勝利したのだ。
大満足の結果といえる。 適正人数が揃っているのであれば正攻法での攻略を行ったのだが、人数が三人なので施設を爆破する事で敵の一掃を狙うのが最適解だ。
「いや、お前マジでやるじゃん! 正直、かなりやり易かったぜ!」
「そうですね。 拾いに来てくれたのもいいタイミングでした」
「はは、どうも」
栄光の方針なのかは不明だが、二人ともやたらとヨシナリを褒めてくる。
「ところでウチに入って――」
「あ、それはないです」
だからと言ってホイホイついてく事はないが。
「やっぱ引っかからないか。 で? どうよ? さっきのミッションは?」
「いい感じですね。 NPCとはいえトルーパーと戦えるのは連携を磨く上では便利だと思います」
これは本音だった。 可能であれば自分のユニオンでも扱いたいぐらいだ。
かといってランクを上げたいなら結構な人数が必要なので現状では少し難しい。
ただ、マルメルとふわわが揃っていなくなる事態に直面すると新しいメンバーは欲しいという気持ちも大きくなっていた。 ノルマのユニオン戦も消化できないのでまたどこかのタイミングで適当な相手を臨時で募集しないとなと少し考える。
栄光の待機室でツガルもフカヤも消耗したのか休憩するといった様子なので話題を変える事にした。
「そういえば新しいイベントがどうのって話をしてましたね。 もしよかったら具体的な内容とか教えてくれるとありがたいんですが?」
「あー、実を言うと俺達もはっきりとは知らないんだよ。 ウチのボスやらセンドウさんの見立てだとこの前の大規模防衛戦に近い感じになりそうだとさ」
――あれか。
最後に出て来たボス――恐らくは運営の用意したトルーパーの理不尽な強さは今でも目に焼き付いている。 またアレと同等の敵が出てくるとかなり厳しい事になるなとぼんやり思った。
ヨシナリは折角なので意見を聞いてみるかと話を振ってみる。
「そういえばあの時、最後に出て来たエネミー。 なんだったと思います?」
「……あー、あのイソギンチャクの中から出てきた奴か?」
「はい。 俺はどう見てもトルーパー――それも運営が用意したプレイヤーって考えてます」
「それか運営の一人ってところだろうな」
ツガルも思う所があるのかうーんと腕を組む。
「いや、あいつはマジでヤバかったな。 機体のスペックもそうだが、動かしてる奴の技量も半端ない。 最初は運営のテコ入れシステムアシストでも入ってんじゃないかとも思ったけど、映像を見返すと明らかに挙動がプレイヤーそのものなんだよなぁ」
「それは俺も思いました。 エネミー特有のパターン化された動きの固さみたいなのは感じられなかったので少なくともプレイヤーかは何とも言えませんが、有人操作だとは思ってます」
少なくともあの対応力とプレイヤーの虚を突くような立ち回りはAIには難しいと思っていた。
「だよなぁ、俺なんて良い所なしで瞬殺されちまってさ。 割とショックだったんだよなぁ」
「ツガルさんは良いじゃないですか。 僕はあのウツボの流れ弾を喰らって即死ですよ」
「あぁ、あのタイミングで落ちたんですね。 やたら滅多に撃ちまくってたのでステルスしても関係なかったのが大きかったと思いますよ」
そもそもあそこで求められるのは純粋な強さだ。
あのレベルになると小細工はあまり意味がない。 そんな中で自分にやれる事をやろうとしただけでも充分だろう。 結果は伴わなかったとしてもそういった姿勢は一緒に遊ぶ相手としては良いと思っている。
「はは、どうも。 戦場のニーズと噛み合わなかっただけと思うけど、あっさりやられたのは少し悔しいですよ。 だから次はもうちょっと、せめて気を引けるぐらいにはなりたいですね」
だからこうしてツガルやヨシナリと組んでミッションをこなしつつ腕を磨いている訳だ。
単純に装備で補えばいいといった安易な解決策に飛びつかず、自己を高めようといった選択肢を優先して選ぶのはヨシナリとしては意識が高くていいなと少しだけ思った。
――それにしてもまたあのクラスの敵が出てくるのか……。
確証はないが内容と進行に関しては充分に有り得る話だ。
今年最後のイベントとしては中々に熱くなれそうな内容ではあるが、今の段階で通用するのかは怪しい。 だからと言ってラーガストに任せるのも違うと思っていた。
「まぁ、やれる事をやるだけですね」
「だな。 俺は周りからぼちぼちエンジェルタイプに変えろとか言われたんだけど、どうしたものかねって思っててな。 どう思う?」
「いいと思いますよ。 最大加速はキマイラの方が上ですが、瞬間加速と旋回性は段違いでエンジェルタイプの方が上でしょう」
エネルギーウイングを用いた推進装置ははっきり言って既存品とは段違いだ。
それを賄うジェネレーターやコンデンサーと合わせて凄まじい高額装備ではあるが、それに見合ったスペックではある。
少々の技量差は物ともしないだろう。 恐らくだからこそ購入と使用に制限がかかっているとみていい。
エンジェルタイプ系列の装備、フレームはBランク以上でないと購入、使用ができないようになっている。 これは降格した場合も適用されるので、仮にBランクに上がり、エンジェルタイプを手に入れたとしてもその後、Cランクに落ちた場合使えなくなる。 つまるところ機体のスペックに見合った技量を見せろといった運営からのメッセージだ。
スペシャルな機体を使いたいならスペシャルな腕を身につけろ。
その意図を正確に理解しているプレイヤー達は性能よりも自分の腕を磨く事に重きを置く。
ツガルはその辺りを正確に理解しているようなので、ヨシナリとしては素直に良いのでないかと思ったのだ。
「ぼ、僕はもうⅡ型でいいかなって思ってるけどね」
「せめてキマイラに変えたらどうだ?」
「いや、前にも言ったけど、あのクロスボウが気に入ってるんだよ」
フカヤは頑なにⅡ型を使用しているのは大型のクロスボウの所為だ。
恐らく変形時に干渉するので可変フレームとの相性が悪い。
クロスボウを使いたいフカヤとしてはスペックよりも拘りを優先した訳だ。
それもまた楽しみ方の一つだとは思うので、機種転換しない事のリスクを理解しているのなら肯定するべき選択だろう。
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