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第178話
「あの~、俺、命からがら逃げて来たんですけどまた戻るんですかね……」
「諦めろ。 行くぞ」
敵機からの弾薬の回収と分配、簡単なフォーメーションの打ち合わせをしてヨシナリ達は奥へと進む。
人数が増えた事で死角が消えて細い通路から敵が飛び出してきても即座に対応できるようになったのはいいが、武器が敵から奪ったものを使用しているので完全に鹵獲品に依存するのはあまりいい傾向とはいえなかった。 これまでのイベントで散々、運営の情け容赦のなさを見て来たヨシナリとしては運営の思惑通りに進むと碌な目に遭わないのではないかといった懸念があったからだ。
――だからと言って代案があるのかと尋ねられると口を噤むしかない。
「敵、出たぞ!」
誰かの声が響くと即座に銃撃。 迂闊に顔を出した敵機が次々と破壊される。
「正確に当てる事を意識しろ! 特にアーマー持ちはシールドを使われるとしぶとくなるから使う前に処理だ!」
基本的に無理に撃破を狙わず一気に奥まで突っ込んでいく。 無限湧きなのは分かり切っているので敵は障害物として捌き、一直線へと目的地へと向かう事が重要。
速攻をかけて目的地へ。 それが現状の手札でヨシナリ達にできる最適解だ。
代り映えしない景色が続くが一応進んではいるようだ。 ヨシナリはマップを操作。
ここは敵地という設定の所為か、外の場合は大雑把な地形は表示されるが施設の中だと一度通った場所か味方機と同期してデータを貰った場所しか表示されない。 アティメスタリアからマップデータの共有によってこのフロアの全体像が見えてきたのは大きい。 それによるとこの先が最奥なのだが――
「うわ」
思わずマルメルが声を漏らした。 ヨシナリも同じ気持ちで、ヴルトムもおいおいと困惑を浮かべる。
理由は簡単で敵機の残骸が大量に転がっていたからだ。 全ての機体は切り刻まれており、やり口からマルメルとヨシナリは即座に誰の仕業かを察した。
「この辺の奴はほとんど、ブレードかダガーで仕留められてるな。 これどうやったんだ?」
ヴルトムが敵の残骸を確認しながらそう呟く。 ヨシナリも気になったので手近な残骸を蹴り転がして観察するとおやと気になる事があった。 背面――背中の装甲の一部分に突き刺したような跡があったからだ。 ダメージは前面に集中しているので背の損傷は酷く浮いて見える。
「装甲の隙間を狙って刺すの相変わらずだな。 シールドとかどうやって剥がしたんだろ?」
「多分、この背中の部分が急所なんだろうな」
首を傾げるマルメルの質問にヨシナリが答える。 恐らく最初に背に一撃。
それでスパルトイのジェネレーターを破壊して機能を停止させ、ただの重りに変えてしまったのだ。
スパルトイは動作を内蔵ジェネレーターに依存している上、非常に燃費が悪い。
そんな状態でジェネレーターを破壊されれば機体のエネルギーだけでは賄いきれずに動きが止まる。
仮に止まらなかったとしても大きく制限されるだろう。 そんな案山子のような状態の相手、彼女にとってはまな板に乗ってる野菜とそう変わらない。
「背中を一突きして動きを止めた後、コックピット部分を一撃。 段々手慣れてきたのか二撃で機能停止まで追い込んでるな。 誰の仕業だ? こっちに降りたランカーなんて居たか?」
ヴルトムは首を傾げ、マルメルは曖昧に笑う事しかできなかった。
このフロア最奥にあったのは更に下へ向かう為の通路。 慎重に下へと向かうがあちこちに敵の残骸が転がっているが――
「何か残骸の有様が違うな」
やられ方は同じだが、機体に刻まれた傷が違うのだ。
巨大な四本線。 恐らく白黒ツートンが装備していたエネルギークローだろう。
奪い取って使い始めたのだ。 奥に視線を向ける。
この施設は光源が少ないので薄暗い通路と先が見通せず闇がぽっかりと口を開けており、奥からは微かに銃声が聞こえ始めた。
「――やってんなー」
マルメルが思わず呟くき、ヨシナリは小さく溜息を吐いた。
「居場所がはっきりしたのはいい事だ。 さっさと合流しよう」
地下二階のフロアはそこまで広くなく少し進むと大きな広場に出た。
そこは広大な空間で無数のハンガーが並んでおり、その中心に彼女の機体の姿が見える。
ふわわだ。 彼女は両腕に巨大なエネルギークローを装備しており、敵機を次々と屠っていた。
「ほらほら、どうしたん? もっと頑張れ、頑張れー」
言いながら灰色の機体の背後を取ると左の爪を一閃。 背を大きく切り裂かれた機体は膝を付く。
動こうとしているがジェネレーターを破壊されてスパルトイがただの重りに変わってしまっている。
次の瞬間、ふわわは爪を揃えて腰の辺りを一突きしてとどめを刺す。
――爪を使ってるからもう前から装甲の隙間を狙う必要がないのか。
敵は連携を意識していないので散発的に攻撃を繰り返すだけで、効果的な攻撃が出せずにいた。
それを差し引いてもふわわの動きは異常と言っていい。 近くにいる敵機の背後に回り、スパルトイを破壊し、コックピット部分を一突きしてとどめを刺す。
白黒ツートンがエネルギークローで彼女を切り裂かんと横薙ぎに振られるが、彼女は姿勢を低くしてエネルギークローの手甲部分で上手にいなし、懐に入るとカウンターの一撃を入れる。
白黒ツートンはスパルトイを装備していないのでエネルギークローなら一撃で片が付く。
彼女にとっては灰色よりも白黒ツートンの方が仕留め易いようだ。
このフロアに入り、ふわわの姿を認めてから数十秒しか経っていないのにもう五機以上撃破している。
「いや、嘘だろ……」
呆然と誰かが呟くが黙ってい見ている訳にも行かないのでヨシナリはふわわから狙い辛い位置に居る敵機に銃撃、それに弾かれるように我に返ったマルメル達がそれに続いた。
「いや、ふわわさん。 もうマジで勘弁してくださいよ~」
「あはは、ごめんごめん。 楽しくなっちゃってつい、な?」
付近の敵の掃討を完了したヨシナリ達は施設を調べる事となった。
予想通り、機体のメンテナンスだけでなく補給もできる設備があり、奥の端末を弄る事によって敵のリポップも停止。 どうも設定上、ここで敵機を生産して施設内へと送り出していたらしい。
ウインドウで確認するとこの施設の制圧率が表示される。
五十パーセント。 生産設備を抑えただけでは半分という事のようだ。
残りの半分に関しては想像がついていた。 恐らくは外でカナタが戦っているボスだろう。
アレを仕留めれば完了と見ていい。
「諦めろ。 行くぞ」
敵機からの弾薬の回収と分配、簡単なフォーメーションの打ち合わせをしてヨシナリ達は奥へと進む。
人数が増えた事で死角が消えて細い通路から敵が飛び出してきても即座に対応できるようになったのはいいが、武器が敵から奪ったものを使用しているので完全に鹵獲品に依存するのはあまりいい傾向とはいえなかった。 これまでのイベントで散々、運営の情け容赦のなさを見て来たヨシナリとしては運営の思惑通りに進むと碌な目に遭わないのではないかといった懸念があったからだ。
――だからと言って代案があるのかと尋ねられると口を噤むしかない。
「敵、出たぞ!」
誰かの声が響くと即座に銃撃。 迂闊に顔を出した敵機が次々と破壊される。
「正確に当てる事を意識しろ! 特にアーマー持ちはシールドを使われるとしぶとくなるから使う前に処理だ!」
基本的に無理に撃破を狙わず一気に奥まで突っ込んでいく。 無限湧きなのは分かり切っているので敵は障害物として捌き、一直線へと目的地へと向かう事が重要。
速攻をかけて目的地へ。 それが現状の手札でヨシナリ達にできる最適解だ。
代り映えしない景色が続くが一応進んではいるようだ。 ヨシナリはマップを操作。
ここは敵地という設定の所為か、外の場合は大雑把な地形は表示されるが施設の中だと一度通った場所か味方機と同期してデータを貰った場所しか表示されない。 アティメスタリアからマップデータの共有によってこのフロアの全体像が見えてきたのは大きい。 それによるとこの先が最奥なのだが――
「うわ」
思わずマルメルが声を漏らした。 ヨシナリも同じ気持ちで、ヴルトムもおいおいと困惑を浮かべる。
理由は簡単で敵機の残骸が大量に転がっていたからだ。 全ての機体は切り刻まれており、やり口からマルメルとヨシナリは即座に誰の仕業かを察した。
「この辺の奴はほとんど、ブレードかダガーで仕留められてるな。 これどうやったんだ?」
ヴルトムが敵の残骸を確認しながらそう呟く。 ヨシナリも気になったので手近な残骸を蹴り転がして観察するとおやと気になる事があった。 背面――背中の装甲の一部分に突き刺したような跡があったからだ。 ダメージは前面に集中しているので背の損傷は酷く浮いて見える。
「装甲の隙間を狙って刺すの相変わらずだな。 シールドとかどうやって剥がしたんだろ?」
「多分、この背中の部分が急所なんだろうな」
首を傾げるマルメルの質問にヨシナリが答える。 恐らく最初に背に一撃。
それでスパルトイのジェネレーターを破壊して機能を停止させ、ただの重りに変えてしまったのだ。
スパルトイは動作を内蔵ジェネレーターに依存している上、非常に燃費が悪い。
そんな状態でジェネレーターを破壊されれば機体のエネルギーだけでは賄いきれずに動きが止まる。
仮に止まらなかったとしても大きく制限されるだろう。 そんな案山子のような状態の相手、彼女にとってはまな板に乗ってる野菜とそう変わらない。
「背中を一突きして動きを止めた後、コックピット部分を一撃。 段々手慣れてきたのか二撃で機能停止まで追い込んでるな。 誰の仕業だ? こっちに降りたランカーなんて居たか?」
ヴルトムは首を傾げ、マルメルは曖昧に笑う事しかできなかった。
このフロア最奥にあったのは更に下へ向かう為の通路。 慎重に下へと向かうがあちこちに敵の残骸が転がっているが――
「何か残骸の有様が違うな」
やられ方は同じだが、機体に刻まれた傷が違うのだ。
巨大な四本線。 恐らく白黒ツートンが装備していたエネルギークローだろう。
奪い取って使い始めたのだ。 奥に視線を向ける。
この施設は光源が少ないので薄暗い通路と先が見通せず闇がぽっかりと口を開けており、奥からは微かに銃声が聞こえ始めた。
「――やってんなー」
マルメルが思わず呟くき、ヨシナリは小さく溜息を吐いた。
「居場所がはっきりしたのはいい事だ。 さっさと合流しよう」
地下二階のフロアはそこまで広くなく少し進むと大きな広場に出た。
そこは広大な空間で無数のハンガーが並んでおり、その中心に彼女の機体の姿が見える。
ふわわだ。 彼女は両腕に巨大なエネルギークローを装備しており、敵機を次々と屠っていた。
「ほらほら、どうしたん? もっと頑張れ、頑張れー」
言いながら灰色の機体の背後を取ると左の爪を一閃。 背を大きく切り裂かれた機体は膝を付く。
動こうとしているがジェネレーターを破壊されてスパルトイがただの重りに変わってしまっている。
次の瞬間、ふわわは爪を揃えて腰の辺りを一突きしてとどめを刺す。
――爪を使ってるからもう前から装甲の隙間を狙う必要がないのか。
敵は連携を意識していないので散発的に攻撃を繰り返すだけで、効果的な攻撃が出せずにいた。
それを差し引いてもふわわの動きは異常と言っていい。 近くにいる敵機の背後に回り、スパルトイを破壊し、コックピット部分を一突きしてとどめを刺す。
白黒ツートンがエネルギークローで彼女を切り裂かんと横薙ぎに振られるが、彼女は姿勢を低くしてエネルギークローの手甲部分で上手にいなし、懐に入るとカウンターの一撃を入れる。
白黒ツートンはスパルトイを装備していないのでエネルギークローなら一撃で片が付く。
彼女にとっては灰色よりも白黒ツートンの方が仕留め易いようだ。
このフロアに入り、ふわわの姿を認めてから数十秒しか経っていないのにもう五機以上撃破している。
「いや、嘘だろ……」
呆然と誰かが呟くが黙ってい見ている訳にも行かないのでヨシナリはふわわから狙い辛い位置に居る敵機に銃撃、それに弾かれるように我に返ったマルメル達がそれに続いた。
「いや、ふわわさん。 もうマジで勘弁してくださいよ~」
「あはは、ごめんごめん。 楽しくなっちゃってつい、な?」
付近の敵の掃討を完了したヨシナリ達は施設を調べる事となった。
予想通り、機体のメンテナンスだけでなく補給もできる設備があり、奥の端末を弄る事によって敵のリポップも停止。 どうも設定上、ここで敵機を生産して施設内へと送り出していたらしい。
ウインドウで確認するとこの施設の制圧率が表示される。
五十パーセント。 生産設備を抑えただけでは半分という事のようだ。
残りの半分に関しては想像がついていた。 恐らくは外でカナタが戦っているボスだろう。
アレを仕留めれば完了と見ていい。
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