Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第222話

 移動先は見覚えのある基地。
 やはり最初のイベントとほぼ同じ防衛拠点だ。 
 一先ず、ヨシナリは顔見知りを探そうとしたが、その必要はなかった。

 レーダー表示を確認すると友軍表示の中にマルメルやふわわ、後はフレンド登録しているプレイヤーにタグが付いて見易くなっている。 便利だなと思いながら見ていると、ふわわとマルメルもこちらに気付いている様で近寄って来ていた。

 他はと確認するとツガルとポンポン達は拠点の外へと向かっており、ユウヤとラーガストは既に外だ。
 全体的に取り敢えず外に出て外の状況を確認しようといった動きが多い。
 どうもこの施設自体がレーダーの通りを悪くするのか、外の様子――敵の拠点の周囲がどうなっているのかが分からなかったので二人と合流次第外に出よう。

 そう考えていると二人の姿が見えた。 
 二人はヨシナリの姿を見つけると小さく手を上げる。

 「うーっす。 随分、懐かしい拠点が出て来たなぁ」
 「今回は守らんでええみたいやけど、どうする? 様子見?」
 「いえ、状況を確認しておきたいので、一旦外に出ましょう」

 条件は同じはずなので敵の姿は早い段階で見る事は出来るはずだった。
 外に出ていく機体の流れに乗って外へ。 拠点の外は以前のイベントと同じで何もない荒野。
 ここを見るとあのイソギンチャク型エネミーに蹂躙された事を思い出す。

 ヨシナリ達の居る拠点は西側。 
 敵側拠点は東側なのでヨシナリは機体を上昇させて視線をそちらに向けると全く同じ形状の拠点が見えた。 加えて拠点から出た事でシックスセンスによる索敵範囲が大きく広がったので凄まじい数のトルーパーが布陣しようとしているのが見える。

 最大望遠で見てみるとソルジャータイプ、キマイラタイプ、エンジェルタイプといった見覚えのある機体が大量に見えた。 どうやら向こうもこちらと同じで状況の把握から――

 「――違う」

 思わず呟く。 理由は一部の機体が奇妙な行動を取っていたからだ。
 ソルジャータイプの一部が銃のような物をこちらに向けていた。 自動拳銃にしてはやや大きい形状のそれを並んで構えている姿は異様だったが、明らかに意味のある行動だ。

 ――何をしている?

 敵機が引き金を引いたと同時にシックスセンスがある物を検知した。
 赤外線だ。 それが空から無数にこちらに伸びている。 
 ヨシナリは咄嗟に上を見て、何が起こるのかを察した。 
 
 「おいおい、冗談だろ……」

 通信回線を全体に切り替える。 本来なら狙った相手と会話する機能だが、今回は制限を全て取り払って届く相手全員に聞こえるように設定した。

 『逃げろ! 空から来るぞ!』

 同時に機体を攻撃範囲から離脱させる。 僅かに遅れてロックオン警告。
 センサー系のスペックの差で気付くのにかなりの差が出るが反応が早い者達は咄嗟に拠点へと逃げ込むか、その場から離れだす。 
 
 『ハロー、ジャパンエリアの皆さん。 俺達からの挨拶を受け取ってくれ』

 翻訳機を噛ませている所為なのか微妙にノイズ混じりの声が聞こえた。
 そして空から光の雨が戦場へと降り注ぐ。
 

 サテライトレーザー。 この惑星の周りを周回している攻撃衛星を用いてのレーザー照射。
 衛星自体は中立ではあるが、発射をコントロールする為の制御装置を用いる事で利用が可能だ。
 ちなみに日本サーバーでは販売されていない代物でだった。 その為、日本側の対応は大きく遅れる事となる。

 「クソ、衛星兵器だと!? 見た事ねぇぞ!」
 「ふざけんな。 あんなのありかよ!」
 「怒鳴ってないで応戦しろ! 来るぞ!」

 あちこちで悲鳴や怒号が上がるが、混乱している場合ではない。
 衛星攻撃が止んだ後、畳みかけるように戦闘機形態のキマイラタイプが編隊を組んで突っ込んで来る。 敵のキマイラタイプは慣れた様子で日本側を射程に収めるとミサイルを発射。

 綺麗な軌跡を描いてミサイルの群れが飛んできた。 
 流石に黙ってやられる訳には行かないと言わんばかりに日本側は迎撃を開始。
 ミサイルを次々と撃墜し始める。 ヨシナリは急上昇してミサイル攻撃から逃れつつ、ミサイルを発射した直後の敵機編隊の真上を取って急降下。

 「一番槍は頂きだ」

 そう呟いてアタッチメントに接続しているアノマリーと内蔵機銃を連射。 
 ミサイルを発射して軽くなった機体が浮いたタイミングを狙ったので、数機が躱しきれずに被弾して爆散。 

 敵機も黙ってやられる訳はなく、即座に散開する。 

 ――流石に反応が早い。 味方がやられてもほぼ動揺がないな。

 ドッグファイトはツガルと散々練習したんだ。 簡単にやられると思うなよ。
 敵機が即座に背後を取ろうとしてくるが、数機がレーザーや機銃に撃ち抜かれて爆発。
 墜落する機体とすれ違うように無数のキマイラタイプが空へと上がってくる。

 友軍機だ。 

 「ヨシナリぃ! 格好いいじゃねーか!! 俺も混ぜてくれよ!」

 ツガルだ。 ヨシナリを背後から狙っていた機体を機銃で撃墜した後、変形して減速。
 正面から突っ込んでき機体の機首を膝で跳ね上げた後、持っていたエネルギーライフルで射抜く。
 それだけではない。 僅かに遅れて無数の光線が敵機を次々と射抜く。

 エンジェルタイプによるレーザー攻撃。 どうやら衛星攻撃による混乱から立て直したようだ。
 
 「これだけの数で突出するとかこいつらクソ舐めてるナ!」

 ポンポンだ。 彼女も機体を上昇させながら次々と敵機を撃墜している。
 
 「助かりました!」
 「いや、お前の警告がもうちょっと遅かったら被害が増えていた。 偉いゾ!」
 「気付いた奴は他にも結構いたみたいだが、声を出したのはお前が最初だ。 助かったぜ」
 
 先手こそ取られたが立て直しはできた。 ただ、問題は衛星兵器がどの程度の頻度で扱える――

 「あ、これはもう考えなくていい感じかな」

 思わず呟く。 

 「どうした?」
 
 訝しむツガルにヨシナリは機体を変形させると上を指さす。
 それに釣られるように上を見たツガルは思わずうわと顔を顰めた。
 無数の光る何かが摩擦熱で真っ赤に赤熱しながら落下してきていたからだ

 「おい、あれって……」
 「間違いなくさっきの攻撃衛星かと」

 無数の攻撃衛星は崩壊しながらも真っすぐに敵陣へと突っ込んでいく。
 何が起こったのかというと飛んできた先――遥か上空に味方機の反応があったからだ。
 フレンド登録しているのでその正体もすぐに分かった。 

 ラーガスト。 彼は衛星攻撃の後、宇宙へと上がっていたのだ。
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