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第225話
ケヴィンは勝ちを確信した。 目の前のジェネシスフレーム――ベリアルの特性は掴んだ。
単独であるなら相性が良いだけで楽に勝てる相手ではないといった評価に落ち着くが、今回は集団戦でジャンが一緒に戦ってくれるのだ。 負ける訳がない。
ケヴィンの機体「ヘヴィ・クロウラー」はパンツァータイプに近い無限軌道を用いた移動を行う事もあって鈍重な印象を与えるが、エンジェルタイプ以上の出力を誇る高出力のジェネレーターとそれを支えるコンデンサーが齎す莫大なエネルギーは見た目からは想像もつかないスピードを与える。
ヘヴィ・クロウラーは攻撃よりも防御に重きを置いた機体だ。
武装は両肩に搭載された精密誘導ミサイル。 腹部にはアンチ・エネルギーシールド。
これはエネルギー系統の攻撃を検知した場合、自動で展開され範囲内の収束を無効化する。
前面のみという欠点こそあるが、エネルギーライフルの弾は届く前に霧散し、エネルギーブレードは形状を維持できない。
加えて胸部に積んだこの機体の目玉ともいえる装備「エンジェル・パニッシャー」。
これはアンチ・エネルギーシールドと同等の効果を持った波動を指向性を持たせて放つという物で、喰らった相手は僅かな時間ではあるが、エネルギー系統の武装が扱えなくなる。
特に上位の機種になればなるほどエネルギー系統の武装への依存度が高いので、上位のプレイヤー相手には非常に有用な装備だ。 そして両手には90mm砲が搭載されており、そこから吐き出される特殊徹甲弾はエネルギー兵器の守りを失った機体を容易く貫く。
彼の機体は相手のエネルギー系統の武装を無効化して物理攻撃で仕留めるといったコンセプトだ。
当然ながら物理に偏った相手には効果は激減するが、それを補う為の重装甲と高火力。
やや尖った構成ではあるが、彼はこの機体でアメリカ第三サーバーでAランクの座を維持し続けていた。
そして彼の相棒であるジャンもまたAランク。
彼の機体はケヴィンの機体特性と非常に相性が良かった。
ジェネシスフレーム、機体名「ラッシングイーター」
人型で背中のバックパックが特徴的な機体だ。
形状は人型と聞くとソルジャータイプに近いかもしれないが、重装甲と大出力のスラスターのお陰で全体的にボリュームのある見た目をしているので似ても似つかない。
特徴的なバックパックから伸びる弾帯はメイン武装である二門の巨大なガトリング砲に繋がっており、内部には高速で弾丸を精製するプラントが存在する。
肩のアタッチメントには左右に大型の散弾銃。 これは接近された時の備えで使う事は珍しい。
ケヴィンの機体と同様、シンプルな印象を受けるが、彼の機体にも固有ともいえる装備が搭載されていた。
電磁誘導兵装「ライトハンド・ルール」。 機体内部に搭載されたそれは彼の機体の戦闘能力を何倍にも引き上げる強力な代物で弾丸の誘導を行う事ができる。
効果範囲内の対象と自機の間に特殊な磁界を形成する事によって放たれる弾丸をある程度誘導する事を可能としているのだ。 要はライトハンド・ルールによってマーキングされた機体に対して彼の放つ無数の弾丸は自動的に向かうようになる。
そしてそれをガトリング砲でやるのだ。 あくまで誘導なので急旋回、障害物を間に挟む、シールド等を使用する事によって防ぐ事は可能ではあるが、驟雨のような弾丸が常に追いかけてくるという悪夢のような状況から逃れる事は難しい。
ケヴィンの機体がエネルギー兵装を無効化させジャンが無数の弾丸で仕留める。
これが彼等の必勝ともいえる戦い方だった。
それに対するベリアルは完全に敵の術中に嵌まり大きな苦戦を強いられている。
ケヴィンの機体から放たれる不可視の攻撃によって自機に何が起こっているのかを正確に理解した彼はそれが指向性を持っているが故に常に対象を正面に捉え続けなければならないという欠点に気付き、とにかく走り回る事によって被害を最小限に抑える。 無効化と言っても限度があった。
特に同格以上の相手ともなると動力の完全停止は難しい。 だが、出力の低下は免れない。
本来であるなら大きく距離を取っての離脱が望ましい相手なのだが、ベリアルはそれを選択しない。
「ふ、ふは、ふはは、素晴らしい。 素晴らしいぞ。 異邦の戦士達よ! 我が闇を吹き払う風を操るか!? だが、俺は闇を支配する王! 我が闇は何処までも深い深淵! 吹き払ったとしてもそれは表層に過ぎない事を見せてやろう!」
この窮地に大抵の物は匙を投げ、悪態の一つもつくだろう。
だが、彼は闇の王(自称)なのだ。 王は敵に対して背を向けない。 逃げるなど論外だ。
そして何より、こんなに手強い連中を倒せば自分はもっと成長できる。 仕留める事で自分は新しいステージに進めると根拠なく信じていた。
――だから、逃げるなんて真似はしない。 する訳がないのだ。
しかし、劣勢である事には変わりはない。
同時に二人はベリアルの機体であるプセウドテイの正体に気付きつつあった。
そしてその疑念を決定的にする出来事が起こる。 ジャンの放った弾丸がプセウドテイの右腕を撃ち抜き、貫通するが弾丸は確かに機体に穴を開けた。 だが、気体を突き抜けたように中には何もなく、形が僅かに崩れただけだ。 ケヴィンはそれを見て確信。
「ジャン! こいつ、幽霊だ! 恐らくは胴体と頭以外は効果がねぇぞ!」
「ケヴィン、こいつはラッキーじゃねぇか! 俺達にとっては美味しい相手だぁ」
彼等の言葉はある装備の暗喩ではあったが、正解であった。
ベリアルの機体であるプセウドテイは武器を持たずに自身の内部に搭載された唯一の武装「パンドラ」によるエネルギーの形状変化を用いる。 腕は剣に変化し、手の平からはエネルギー弾が飛び出す。
その為、武器を必要としないと思われがちだが、実際は違う。
武器を装備できないのだ。
何故ならプセウドテイは胴体と頭しかないデザインだからだ。 四肢や装甲に見えているのはパンドラがエネルギーをより物質に近い状態で固定する物を「エーテル」と分類するのだが、それで構成されている。 ユウヤがユニット対抗戦でヨシナリに胴体を狙わせたのはこれが理由でもあった。
パンドラは万能ともいえる武装で、可能性は無限ともいえる。
だが、燃費が非常に悪い上、機体のリソースの大半を占有するので他の武装が使い辛いといった欠点もあったのだ。
単独であるなら相性が良いだけで楽に勝てる相手ではないといった評価に落ち着くが、今回は集団戦でジャンが一緒に戦ってくれるのだ。 負ける訳がない。
ケヴィンの機体「ヘヴィ・クロウラー」はパンツァータイプに近い無限軌道を用いた移動を行う事もあって鈍重な印象を与えるが、エンジェルタイプ以上の出力を誇る高出力のジェネレーターとそれを支えるコンデンサーが齎す莫大なエネルギーは見た目からは想像もつかないスピードを与える。
ヘヴィ・クロウラーは攻撃よりも防御に重きを置いた機体だ。
武装は両肩に搭載された精密誘導ミサイル。 腹部にはアンチ・エネルギーシールド。
これはエネルギー系統の攻撃を検知した場合、自動で展開され範囲内の収束を無効化する。
前面のみという欠点こそあるが、エネルギーライフルの弾は届く前に霧散し、エネルギーブレードは形状を維持できない。
加えて胸部に積んだこの機体の目玉ともいえる装備「エンジェル・パニッシャー」。
これはアンチ・エネルギーシールドと同等の効果を持った波動を指向性を持たせて放つという物で、喰らった相手は僅かな時間ではあるが、エネルギー系統の武装が扱えなくなる。
特に上位の機種になればなるほどエネルギー系統の武装への依存度が高いので、上位のプレイヤー相手には非常に有用な装備だ。 そして両手には90mm砲が搭載されており、そこから吐き出される特殊徹甲弾はエネルギー兵器の守りを失った機体を容易く貫く。
彼の機体は相手のエネルギー系統の武装を無効化して物理攻撃で仕留めるといったコンセプトだ。
当然ながら物理に偏った相手には効果は激減するが、それを補う為の重装甲と高火力。
やや尖った構成ではあるが、彼はこの機体でアメリカ第三サーバーでAランクの座を維持し続けていた。
そして彼の相棒であるジャンもまたAランク。
彼の機体はケヴィンの機体特性と非常に相性が良かった。
ジェネシスフレーム、機体名「ラッシングイーター」
人型で背中のバックパックが特徴的な機体だ。
形状は人型と聞くとソルジャータイプに近いかもしれないが、重装甲と大出力のスラスターのお陰で全体的にボリュームのある見た目をしているので似ても似つかない。
特徴的なバックパックから伸びる弾帯はメイン武装である二門の巨大なガトリング砲に繋がっており、内部には高速で弾丸を精製するプラントが存在する。
肩のアタッチメントには左右に大型の散弾銃。 これは接近された時の備えで使う事は珍しい。
ケヴィンの機体と同様、シンプルな印象を受けるが、彼の機体にも固有ともいえる装備が搭載されていた。
電磁誘導兵装「ライトハンド・ルール」。 機体内部に搭載されたそれは彼の機体の戦闘能力を何倍にも引き上げる強力な代物で弾丸の誘導を行う事ができる。
効果範囲内の対象と自機の間に特殊な磁界を形成する事によって放たれる弾丸をある程度誘導する事を可能としているのだ。 要はライトハンド・ルールによってマーキングされた機体に対して彼の放つ無数の弾丸は自動的に向かうようになる。
そしてそれをガトリング砲でやるのだ。 あくまで誘導なので急旋回、障害物を間に挟む、シールド等を使用する事によって防ぐ事は可能ではあるが、驟雨のような弾丸が常に追いかけてくるという悪夢のような状況から逃れる事は難しい。
ケヴィンの機体がエネルギー兵装を無効化させジャンが無数の弾丸で仕留める。
これが彼等の必勝ともいえる戦い方だった。
それに対するベリアルは完全に敵の術中に嵌まり大きな苦戦を強いられている。
ケヴィンの機体から放たれる不可視の攻撃によって自機に何が起こっているのかを正確に理解した彼はそれが指向性を持っているが故に常に対象を正面に捉え続けなければならないという欠点に気付き、とにかく走り回る事によって被害を最小限に抑える。 無効化と言っても限度があった。
特に同格以上の相手ともなると動力の完全停止は難しい。 だが、出力の低下は免れない。
本来であるなら大きく距離を取っての離脱が望ましい相手なのだが、ベリアルはそれを選択しない。
「ふ、ふは、ふはは、素晴らしい。 素晴らしいぞ。 異邦の戦士達よ! 我が闇を吹き払う風を操るか!? だが、俺は闇を支配する王! 我が闇は何処までも深い深淵! 吹き払ったとしてもそれは表層に過ぎない事を見せてやろう!」
この窮地に大抵の物は匙を投げ、悪態の一つもつくだろう。
だが、彼は闇の王(自称)なのだ。 王は敵に対して背を向けない。 逃げるなど論外だ。
そして何より、こんなに手強い連中を倒せば自分はもっと成長できる。 仕留める事で自分は新しいステージに進めると根拠なく信じていた。
――だから、逃げるなんて真似はしない。 する訳がないのだ。
しかし、劣勢である事には変わりはない。
同時に二人はベリアルの機体であるプセウドテイの正体に気付きつつあった。
そしてその疑念を決定的にする出来事が起こる。 ジャンの放った弾丸がプセウドテイの右腕を撃ち抜き、貫通するが弾丸は確かに機体に穴を開けた。 だが、気体を突き抜けたように中には何もなく、形が僅かに崩れただけだ。 ケヴィンはそれを見て確信。
「ジャン! こいつ、幽霊だ! 恐らくは胴体と頭以外は効果がねぇぞ!」
「ケヴィン、こいつはラッキーじゃねぇか! 俺達にとっては美味しい相手だぁ」
彼等の言葉はある装備の暗喩ではあったが、正解であった。
ベリアルの機体であるプセウドテイは武器を持たずに自身の内部に搭載された唯一の武装「パンドラ」によるエネルギーの形状変化を用いる。 腕は剣に変化し、手の平からはエネルギー弾が飛び出す。
その為、武器を必要としないと思われがちだが、実際は違う。
武器を装備できないのだ。
何故ならプセウドテイは胴体と頭しかないデザインだからだ。 四肢や装甲に見えているのはパンドラがエネルギーをより物質に近い状態で固定する物を「エーテル」と分類するのだが、それで構成されている。 ユウヤがユニット対抗戦でヨシナリに胴体を狙わせたのはこれが理由でもあった。
パンドラは万能ともいえる武装で、可能性は無限ともいえる。
だが、燃費が非常に悪い上、機体のリソースの大半を占有するので他の武装が使い辛いといった欠点もあったのだ。
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