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第249話
「お、お疲れ」
マルメルが引き気味の声で迎えてくれた。
ヨシナリも若干、微妙な反応で頷いて見せる。 理由は部屋の隅で小さくなっているグロウモスだ。
流石に何もできずに瞬殺されたのはショックだったらしく、壁に向かって呪詛すら吐き出さない。
「あっはっは、相性が悪かったねー」
そう言ってふわわがグロウモスの肩をバシバシと叩いているのを見てヨシナリは震える。
「あの人、怖いものがないのか」
「凄ぇメンタルだ。 化け物かよ」
マルメルも震えていたが、流石に放置はできないのでヨシナリも内心で深呼吸してそっとグロウモスに近づく。
「お、お疲れっす。 ど、どうでしょう? これがウチのメンバーの実力です。 中々に頼りになると思うんですよ。 ですのでグロウモスさんの狙撃の腕を活かして援護してくれると助かるなぁ……なんて思ってるんです、が……」
徐々に歯切れが悪くなるが、何とか言い切った。
結果的に三人でボコボコにした形になるのだが、グロウモスはどうするのだろうか?
彼女のような極端なタイプはあまり絡んだ事がないので扱いに困っていた。
正直、やる気が失せたのならそれはそれで仕方がないとも思うが、何だか後味が悪いなと思ってしまったのでフォローの意味も込めてどうしますか?と声をかけたのだが――
グロウモスはぐるりと首だけを動かして顔だけを向けて来た。 ヨシナリは怖いなぁと思いながら返事を待つ。
「……よ……おねがいします」
どうやら大丈夫そうだ。
今日はこれまでで訓練などは明日以降に行う事となり、グロウモスはログアウト。
完全にいなくなった事を確認し、ヨシナリは小さく息を吐いた。
「――で? どう思う?」
「ウチは気に入ったかなー? ヨシナリ君を子供っぽくしてコミュ力を取り除いた感じがして可愛いし」
「それはもはや別人なのでは? まぁ、ともあれ戦力評価としてはどうです?」
「いいと思う。 ウチらと上手に連動してくれるかは今の所ははっきりしないけど、Eランクだけあって動き自体は良い感じやったよー」
「まぁ、ふわわさんの言う通り、機能してくれるなら戦力としてはいい感じだと思う。 元々、頭数が足りないし、ヨシナリがキマイラに乗り換えて前に出るようになったこともあって完全な後衛が居なくなったから居てくれると結構ありがたい」
二人の評価は個人戦闘能力に関しては申し分ないが連携となるとやや不安があるといった所だろうか?
「前のイベントを経験したのはヨシナリだけだから聞くけど、実際どうだ?」
「はっきり言って優勝はかなり厳しい。 俺達三人にプラスしてグロウモスさんと助っ人を合わせても五枠も空いている状態だからな」
「あ、噂の助っ人君は来てくれるんだ?」
「どうにか話が付きました。 条件付きで力を貸してくれるそうです」
前回での経験を踏まえると一人でも来てくれただけマシだった。
「例のSランクとかAランクの人は無理なのか?」
「一応、連絡は入れたがどっちも不参加だ」
ユウヤに関しては今回は勝負しないとの事で不参加。
念の為にツガルに裏を取ったが本当に何もないようだ。 カナタもいつも通りとの事でほっとしていると言っていた辺り、困った問題なんだろうなと少し同情した。
ラーガストには当然のように断られたが、これは仕方がない。 仮に来たとしてもあの圧倒的な強さを背景に優勝したとしても勝った気がしない上、周囲からの心証も悪くなるので必要に迫られない限り、意図してそういった事は余りしたくなかった。 そもそもイベントに参加しないので寧ろ彼等と戦わなくて済んだ事を喜んだ方が良いのかもしれない。
――瞬殺されるのが目に見えているからな。
いつかは倒したい相手ではあるが、今はまだその時ではない。
「優勝は難しくても予選の撃破数と生き残れれば本戦での勝利数と撃破数で追加の報酬も貰えるから参加する意味はある」
恐らくだが、グロウモスも参加目的で来たのだろう。
あのイベントは中々に報酬面で美味しいが、ユニオン一つに付き合計で三十人しか出られないのだ。
大抵のユニオンは報酬は個人ではなくユニオンに還元する形にしているらしいので、そういった不満は出難くなっているが『星座盤』に関しては個人報酬はそのまま持って行っていいと明記してあるので正規メンバーもそうするべきだ。
「まぁ、まだ時間はある。 それまでに誰かが入ってくれるかもしれないからほどほどに期待して待っていよう」
それから三人でミッションを回した後、解散となった。
ログアウト。 ヨシナリから嘉成へ。
意識をアバターから肉体に戻った事で小さく息を吐く。
二度目のイベントではあるが前回に比べて機体性能も上がり、腕もしっかりと磨いてきた。
予選はよほど危険な相手と出くわさない限りは突破できると思っているが本戦は枠を埋めないと話にならない。 望み薄だが、募集は続けておこう。
「まぁ、後の事は後で考えよう」
そう呟いて時間を確認すると食事まで少しあるのでゲーム情報サイトをチェック。
ICpwについてだ。 基本的に外には深い情報は出回らないが、ここ最近は少しずつだが運営がゲーム外にも情報を吐き出し始めた。
理由は恐らくサーバー対抗戦を行ったからだろう。
海外のクリア状況やプレイヤーのインタビュー記事などが許可が下りたのか公開されている。
真っ先に目を引いたのはアメリカ第一サーバー。
前回戦った第三サーバーよりも先発のサーバーなのでプレイヤーの層が厚いという事は分かっていたが、クリア状況が凄まじい。 防衛イベント初回クリア、侵攻戦二回目でクリア。
あの極寒惑星をクリアした事もそうだが、それ以上に防衛イベントを初回クリアしている事が驚きだった。
「いや、あのイソギンチャク初見で倒したのかよ……」
信じられねぇと呟きながら他はどんな感じだと見ていると他にもいくつか初見でクリアしているサーバーが存在し、世界の広さを感じざるを得ない。
現段階で公開されているのはクリアの進捗だけなので、復刻の際に役に立ちそうな情報はなさそうだ。 インタビューはいくつかざっと眺めたが、RMTで稼いで人生が変わったとか言っているプレイヤーの自慢話が最初に目に飛び込んできたので見る気が失せてしまった。
今はいいかとニュースサイトに切り替えた。
マルメルが引き気味の声で迎えてくれた。
ヨシナリも若干、微妙な反応で頷いて見せる。 理由は部屋の隅で小さくなっているグロウモスだ。
流石に何もできずに瞬殺されたのはショックだったらしく、壁に向かって呪詛すら吐き出さない。
「あっはっは、相性が悪かったねー」
そう言ってふわわがグロウモスの肩をバシバシと叩いているのを見てヨシナリは震える。
「あの人、怖いものがないのか」
「凄ぇメンタルだ。 化け物かよ」
マルメルも震えていたが、流石に放置はできないのでヨシナリも内心で深呼吸してそっとグロウモスに近づく。
「お、お疲れっす。 ど、どうでしょう? これがウチのメンバーの実力です。 中々に頼りになると思うんですよ。 ですのでグロウモスさんの狙撃の腕を活かして援護してくれると助かるなぁ……なんて思ってるんです、が……」
徐々に歯切れが悪くなるが、何とか言い切った。
結果的に三人でボコボコにした形になるのだが、グロウモスはどうするのだろうか?
彼女のような極端なタイプはあまり絡んだ事がないので扱いに困っていた。
正直、やる気が失せたのならそれはそれで仕方がないとも思うが、何だか後味が悪いなと思ってしまったのでフォローの意味も込めてどうしますか?と声をかけたのだが――
グロウモスはぐるりと首だけを動かして顔だけを向けて来た。 ヨシナリは怖いなぁと思いながら返事を待つ。
「……よ……おねがいします」
どうやら大丈夫そうだ。
今日はこれまでで訓練などは明日以降に行う事となり、グロウモスはログアウト。
完全にいなくなった事を確認し、ヨシナリは小さく息を吐いた。
「――で? どう思う?」
「ウチは気に入ったかなー? ヨシナリ君を子供っぽくしてコミュ力を取り除いた感じがして可愛いし」
「それはもはや別人なのでは? まぁ、ともあれ戦力評価としてはどうです?」
「いいと思う。 ウチらと上手に連動してくれるかは今の所ははっきりしないけど、Eランクだけあって動き自体は良い感じやったよー」
「まぁ、ふわわさんの言う通り、機能してくれるなら戦力としてはいい感じだと思う。 元々、頭数が足りないし、ヨシナリがキマイラに乗り換えて前に出るようになったこともあって完全な後衛が居なくなったから居てくれると結構ありがたい」
二人の評価は個人戦闘能力に関しては申し分ないが連携となるとやや不安があるといった所だろうか?
「前のイベントを経験したのはヨシナリだけだから聞くけど、実際どうだ?」
「はっきり言って優勝はかなり厳しい。 俺達三人にプラスしてグロウモスさんと助っ人を合わせても五枠も空いている状態だからな」
「あ、噂の助っ人君は来てくれるんだ?」
「どうにか話が付きました。 条件付きで力を貸してくれるそうです」
前回での経験を踏まえると一人でも来てくれただけマシだった。
「例のSランクとかAランクの人は無理なのか?」
「一応、連絡は入れたがどっちも不参加だ」
ユウヤに関しては今回は勝負しないとの事で不参加。
念の為にツガルに裏を取ったが本当に何もないようだ。 カナタもいつも通りとの事でほっとしていると言っていた辺り、困った問題なんだろうなと少し同情した。
ラーガストには当然のように断られたが、これは仕方がない。 仮に来たとしてもあの圧倒的な強さを背景に優勝したとしても勝った気がしない上、周囲からの心証も悪くなるので必要に迫られない限り、意図してそういった事は余りしたくなかった。 そもそもイベントに参加しないので寧ろ彼等と戦わなくて済んだ事を喜んだ方が良いのかもしれない。
――瞬殺されるのが目に見えているからな。
いつかは倒したい相手ではあるが、今はまだその時ではない。
「優勝は難しくても予選の撃破数と生き残れれば本戦での勝利数と撃破数で追加の報酬も貰えるから参加する意味はある」
恐らくだが、グロウモスも参加目的で来たのだろう。
あのイベントは中々に報酬面で美味しいが、ユニオン一つに付き合計で三十人しか出られないのだ。
大抵のユニオンは報酬は個人ではなくユニオンに還元する形にしているらしいので、そういった不満は出難くなっているが『星座盤』に関しては個人報酬はそのまま持って行っていいと明記してあるので正規メンバーもそうするべきだ。
「まぁ、まだ時間はある。 それまでに誰かが入ってくれるかもしれないからほどほどに期待して待っていよう」
それから三人でミッションを回した後、解散となった。
ログアウト。 ヨシナリから嘉成へ。
意識をアバターから肉体に戻った事で小さく息を吐く。
二度目のイベントではあるが前回に比べて機体性能も上がり、腕もしっかりと磨いてきた。
予選はよほど危険な相手と出くわさない限りは突破できると思っているが本戦は枠を埋めないと話にならない。 望み薄だが、募集は続けておこう。
「まぁ、後の事は後で考えよう」
そう呟いて時間を確認すると食事まで少しあるのでゲーム情報サイトをチェック。
ICpwについてだ。 基本的に外には深い情報は出回らないが、ここ最近は少しずつだが運営がゲーム外にも情報を吐き出し始めた。
理由は恐らくサーバー対抗戦を行ったからだろう。
海外のクリア状況やプレイヤーのインタビュー記事などが許可が下りたのか公開されている。
真っ先に目を引いたのはアメリカ第一サーバー。
前回戦った第三サーバーよりも先発のサーバーなのでプレイヤーの層が厚いという事は分かっていたが、クリア状況が凄まじい。 防衛イベント初回クリア、侵攻戦二回目でクリア。
あの極寒惑星をクリアした事もそうだが、それ以上に防衛イベントを初回クリアしている事が驚きだった。
「いや、あのイソギンチャク初見で倒したのかよ……」
信じられねぇと呟きながら他はどんな感じだと見ていると他にもいくつか初見でクリアしているサーバーが存在し、世界の広さを感じざるを得ない。
現段階で公開されているのはクリアの進捗だけなので、復刻の際に役に立ちそうな情報はなさそうだ。 インタビューはいくつかざっと眺めたが、RMTで稼いで人生が変わったとか言っているプレイヤーの自慢話が最初に目に飛び込んできたので見る気が失せてしまった。
今はいいかとニュースサイトに切り替えた。
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