Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第250話

 ニュースサイトをざっと眺め、気になる記事を読む。
 嘉成が気になったのは――

 ・惑星マールスで新たな宇宙港と周回軌道にステーションの完成。
 ・宇宙開発の拡大につき増税を検討。 
 ・アフリカ地区南部で過激派武装組織の活動が活性化。
 
 一つ目のニュースはお隣の惑星開拓は順調ですよといった内容だった。
 元々、月面の開拓と自然採掘はかなり進んでいるので特に驚きは少ない。
 ここ最近はあちこちであれが足りないこれが足りないと言った話が目につくので不足が補えるというのならいい話ではないのだろうか? 知らんけど。

 二つ目は一つ目に関連したニュースだ。 
 要は開発頑張るので国民の皆さんも税金で応援してくださいと言ったものだった。
 物価が上がるのちょっと嫌だなぁと思いながらそのままスルー。
 
 最後の一つは割と以前からあちこちで言われている話だった。
 武装組織。 大抵はアフリカ地区にいるらしい。 
 昔は世界中に居たのだが、ここ十数年で随分と減った。

 所謂、テロリストと呼ばれる迷惑な連中で、主張としてはこの世界を支配している体制に対する反抗との事。 統一国家として成立し、人類が一枚岩になった事が不自然だとか言っているのだが嘉成には今一つ良く分からなかった。 歴史の授業の一環で少しだけ調べたのだが、最初は電子化に反対する抗議団体だったようだ。 

 彼等はナノマシンによる脳内チップ移植義務が大層気に入らないらしく、最終的には武力で反抗を始めたとの事。 脳内チップの恩恵を十全に受けている嘉成には良く分からない話だった。
 彼に言わせればこんなに便利なのに何が不満なのだろうか?といった感想しか出ないからだ。

 ――まさか宇宙からの電波を受信してしまうとか?

 考えて少し笑ってしまった。 
 脳内チップは文字通り脳内に存在するので宇宙からの電波を受信する事により、人格に悪影響を及ぼすとの事。 防ぐ為にはアルミホイルを巻く必要があるらしい。

 そんな事を言っている人が昔ネットにいた事を思い出したのだ。 一時、話題になったが、飽きられたのか早々に姿を消した。 他にも脳内チップに関しては様々な話が存在する。
 所謂、陰謀論という奴だ。 

 曰く、脳内チップは国が最上位のアクセス権を有しているのでいつでも国民を洗脳する事ができる。       
 曰く、この世界は実はAIに支配されており、全ての人類は脳内チップによって洗脳されている。
 
 ――どいつもこいつも洗脳好きすぎるだろ。

 他にも色々とあるが有名なのはこの辺りだった。 
 正直、自覚がないのでお前は洗脳されているとか言われても嘉成には「はぁ、そうですか」としか言えない。 話としては少し面白いとは思ったがその程度だ。

 そこまで考えてあふと小さく欠伸をする。 
 食事の時間まで少しあるかと判断した嘉成はベッドで横になった。
 目を閉じてICpwとこの後の予定の事を考えているとそのまま意識が睡魔に屈して眠りに落ちる。

 ――イベント楽しみだな。

 
 戦闘機形態のキマイラタイプが急上昇をかけ、雲の中へと飛び込む。
 それを追うようにエネルギーライフルから放たれたエネルギー弾が光の尾を引いて飛んでいく。
 雲を蒸発させながら貫通するが、命中した手応えはない。

 飛び出したキマイラタイプが雲の上部から飛び出してインメルマンターン。
 標的であるエンジェルタイプの背後を取りに行く。 それを読んでいたのかエンジェルタイプは即座に持っていたエネルギーライフルを発射。 キマイラタイプは機体を横回転――バレルロールで回避。

 「はっ、前よりやるようになったナ!」
 「俺としても負けっぱなしで終われねぇからよぉ、ここは勝たせて貰うぜ!」

 エンジェルタイプを操っていたポンポンの言葉にツガルは吼えるようにそう返した。
 瞬く間に間合いを詰めたツガルに対してポンポンは逃げずにエネルギーブレードを展開。
 居合のような体勢での抜き打ち。 ツガルは変形する事で急制動をかける。

 ポンポンの斬撃が際どい所で空を切った。 

 「いただき――」
 「あたしがな!」

 ツガルが拳銃を抜いたと同時にポンポンの機体の腹部が展開。
 エネルギーが収束し、発射されると同時にツガルの拳銃からも弾丸が吐き出される。
 攻撃が命中したのは同時だったが、ポンポンは咄嗟に腕を差し込んだ事で腕を失うだけで済んだがツガルはまともに喰らってしまい機体が爆散。

 試合終了となった。

 
 「――だぁー! 負けたー!」
 「ケケケ、あたしの勝ちだナ」

 場所は変わって街の一角。 二人は感想戦を行っていた。
 ランク戦で偶然マッチングしたので特に示し合わせた訳でもない遭遇戦。
 知り合いだからと手を抜く訳もなく、二人は全力で潰し合ったのだ。

 「そういや次のイベント出んのか?」
 「当然出るゾ。 お前も出るんだろ?」
 「あぁ、前の模擬戦と今回と負けっぱなしだからな。 当たったら勝ちに行かせて貰うぜ」
 「面白い。 まぁ、次も返り討ちだがナ!」
 「言ってろ。 ――そういや、ヨシナリはどうするんだろ?」
 「出るとは思うゾ。 今回はラーガストはいないみたいだし予選突破できればいい方なんじゃないか?」 
 「だろうなぁ。 今回は例の賭けもないみたいだし、普通に楽しめそうだ」
 「あー、お前の所のボスはユウヤにご執心だったか」
 「……お前も知ってるのかよ」
 「少しでも『栄光』と付き合いがある奴なら誰でも知ってるゾ。 だったらユウヤも不参加か」
 「俺としては純粋に勝負を楽しめるだけでありがてぇよ」
 「ケケケ、何だったら抜けてウチに入るか? その手の悩みとは無縁だゾ?」
 「勘弁してくれ。 今のユニオンは気に入ってるんだ。 抜ける訳ねぇだろうが」
 
 ツガルはユニオンシステムが実装される前からカナタの世話になっているので裏切るような真似はしたくなかった。 それは他の面子もそうだろうと思っている。
 だからこそ『栄光』はそれなりに上手くやれているのだ。

 「ま、ウチは前回予選落ちだったからナ。 今回は本戦まで上がって暴れるつもりだ」
 「ラーガストに瞬殺されたんだっけ? 災難だったな」
 「まったくだ。 一秒ぐらいでやられると結構メンタルにくるんだよナぁ……」

 リーダーであるツェツィーリエの援護に入ったのだが、ついでとばかりに瞬殺されたのは未だに忘れられない。 何をされたのか分からないままに撃墜されたのはあれが初めてだった。
 正直、同格の機体を使っても勝てる気がしない相手だ。
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