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第283話
「はい、では昨日の感想戦を行いたいと思います」
翌日、ヨシナリは星座盤のメンバーを集めてそういった。
引き摺っていないかと聞かれれば嘘になるが、努めて表に出さない。
マルメル、ふわわ、グロウモス、ベリアルと全員が揃っており、特に何も言わずに同意する。
準備ができたと判断したヨシナリはウインドウを可視化して全員に見えるように表示。
星座盤の動きとしてはまずはベリアルとふわわが突出。 一気に前に出る。
それに合わせてヨシナリがフィールドの中央――凍った湖の上へ移動。
これはシックスセンスのセンサーリンクを行う上で必要な位置取りだった。
味方機に観測したデータを送信する事でこの劣悪な視界の悪さを解消する事が可能ではあるが、ホロスコープを中心に一定の距離に居なければならない。 その為、ヨシナリは湖の上からは動けないのだ。
グロウモスは湖に沿ってマップの南側から移動、ふわわをフォローする為のポジショニング。
マルメルは全員で持ち込んだ狙撃銃を湖の西側に半包囲する形で配置。
本来ならヨシナリが遠隔操作を行うのだが、ソルジャータイプならまだしも高速戦闘を行うキマイラタイプを操りながら狙撃銃の遠隔操作は無理だったのでマルメルに任せる事にしたのだ。
残念ながらこの環境下でマルメルは実力を発揮しきれない。
センサーシステムのリンクで見えなくはないのだが、相手はエンジェルタイプで固めている以上、この環境下ではまともな機動性を確保できずに沈むのは目に見えていた。 その為、マルメルには悪いがやや変則とも言える後方支援に徹して貰ったのだ。
手順としては簡単で配置した狙撃銃に一から十までの番号を振ってヨシナリが指示した番号の銃をマルメルが撃つだけの簡単な仕事だ。 牽制程度にしか使えないが人数差があるので、相手の攻撃を制限できるのはかなり大きい。
「質問」
「はい、マルメルどうぞ」
「俺を狙って来るとは思わなかったのか?」
ポンポン達は狙撃の精度の低さにヨシナリが操作しているとは思っていないだろう。
なら消去法でマルメルだ。 位置も探せば見つかるので先に潰すという発想はなかったのだろうかと思ったのだが、ヨシナリは小さく首を振る。
「なくはないけど可能性としては低いと思ってた」
「何で?」
「まず、このステージに於いて敵味方共に一番やられたら困る事って何だと思う?」
「眼を潰される事だと、お、思う」
意外な事に答えたのはグロウモスだった。
「その通り、敵にとって最優先で撃破したいのはシックスセンスを持っている俺だ。 俺を潰せれば星座盤の索敵能力は大きくダウンするので情報でも優位を取れる」
「まぁ、ポンポンちゃんが居るからヨシナリ君を狙うのは分かり切っとったな」
「そういう意味でも俺があの位置に陣取るのは必要だったんですよ」
ヨシナリ達が動くように敵も戦力を展開させる。 ポンポンが二機を引き連れてヨシナリの所へ向かい、ツェツィーリエは湖の中央でベリアルと一騎打ち。
残りは湖を渡り切ったふわわと回り込んでいるグロウモスの処理を優先して動きを止める。
まずは問題のヨシナリの戦闘をフォーカス。
ポンポンは数の有利を活かして手数で圧倒していた。 前衛のニャーコが追いかけ回し、中衛を務めるおたまというプレイヤーが付かず離れずの距離を維持し、突撃銃やエネルギーライフルで行動を制限しつつ撃墜を狙い、ポンポン自身はやや後方に下がってエネルギーライフルを構え、ヨシナリの隙を窺う。
「あー、これは完璧に対策されとるねぇ……」
ふわわがそう呟く。 彼女の見立ては正しい。
ヨシナリはシックスセンスを使っている関係で情報処理にかなりのリソースを使っており、切れ目なく攻撃を繰り返して畳みかける事で思考する余裕を奪っているのだ。
そうする事により強みである先読みを封じている。
実際、ヨシナリは回避に専念させられ、効果的な反撃が出来ていない。
マルメルの支援こそあったが、最初の数発で弾道を見切られている様であまり効果が出ていなかった。
「うわぁ、やっぱ俺には遠隔操作は無理だわ」
碌に当たらない狙撃にマルメルは顔を覆う。
「……遠隔操作は一つでも当てるのは難しい。 援護と割り切れば、いいと思う……」
「はは、どうも」
グロウモスのフォローにマルメルは苦笑。
「グロウモスさんの言う通りだ。 普通の銃でもきついのに遠隔で複数、しかも発射のタイミングは俺の指示。 当たる訳がない。 牽制としては効果が出てたので問題ない」
「そうかぁ?」
「あぁ、お前は良くやってくれたよ」
画面の向こうではヨシナリは状況の打開を図る為に勝負に出ている所だった。
ニャーコがエネルギーブレードを一閃したタイミングで人型に変形して紙一重で回避しつつ仰向けの状態で股下を抜け、すれ違うタイミングで二挺拳銃でエネルギーウイング同時に破壊。
「うわ、ヤバ。 なんだあの動き」
思わずマルメルが声を漏らす。 ニャーコの動きを完璧な精度で回避。
すれ違うと同時にエネルギーウイングを破壊。 推進装置を失ったニャーコはそのまま墜落死。
急な変調と味方の撃墜に動揺したのかおたまの動きが止まる。 ほんの一瞬だったが、ヨシナリには充分だった。 棒立ちになった機体にそのまま全弾打ち込んで撃墜。
「ふわぁ、一機撃墜してほぼノータイムで二機目に仕掛けてるなぁ。 これは狙ったん?」
「はい、あの三人の攻撃の組み立てはニャーコが前に出て俺が下がった所をおたまが仕掛けて行動を制限する形だったので来る位置は何となくですが読めてました。 牽制メインの装備構成で防御より回避に念頭を置いた機体構成だったのも助かりましたね。 棒立ちになってくれなければ仕留められたかは少し怪しかったですが」
ヨシナリはそう答えた後、小さく溜息を吐く。
何故ならこの後は彼の失態が映される事になるからだ。
二機が落とされ前衛を失ったポンポンが急降下しながら距離を取り、ヨシナリは畳みかける為に追撃に入る。 こうして俯瞰してみれば明らかに逃げる位置を調整しているようだ。
「あぁ……クソ。 焦り過ぎた」
ヨシナリが頭を抱える。 画面の向こうではホロスコープがツェツィーリエの機体の前を横切り、足に仕込んだエネルギーブレードによる蹴撃によって両断されたところだった。
翌日、ヨシナリは星座盤のメンバーを集めてそういった。
引き摺っていないかと聞かれれば嘘になるが、努めて表に出さない。
マルメル、ふわわ、グロウモス、ベリアルと全員が揃っており、特に何も言わずに同意する。
準備ができたと判断したヨシナリはウインドウを可視化して全員に見えるように表示。
星座盤の動きとしてはまずはベリアルとふわわが突出。 一気に前に出る。
それに合わせてヨシナリがフィールドの中央――凍った湖の上へ移動。
これはシックスセンスのセンサーリンクを行う上で必要な位置取りだった。
味方機に観測したデータを送信する事でこの劣悪な視界の悪さを解消する事が可能ではあるが、ホロスコープを中心に一定の距離に居なければならない。 その為、ヨシナリは湖の上からは動けないのだ。
グロウモスは湖に沿ってマップの南側から移動、ふわわをフォローする為のポジショニング。
マルメルは全員で持ち込んだ狙撃銃を湖の西側に半包囲する形で配置。
本来ならヨシナリが遠隔操作を行うのだが、ソルジャータイプならまだしも高速戦闘を行うキマイラタイプを操りながら狙撃銃の遠隔操作は無理だったのでマルメルに任せる事にしたのだ。
残念ながらこの環境下でマルメルは実力を発揮しきれない。
センサーシステムのリンクで見えなくはないのだが、相手はエンジェルタイプで固めている以上、この環境下ではまともな機動性を確保できずに沈むのは目に見えていた。 その為、マルメルには悪いがやや変則とも言える後方支援に徹して貰ったのだ。
手順としては簡単で配置した狙撃銃に一から十までの番号を振ってヨシナリが指示した番号の銃をマルメルが撃つだけの簡単な仕事だ。 牽制程度にしか使えないが人数差があるので、相手の攻撃を制限できるのはかなり大きい。
「質問」
「はい、マルメルどうぞ」
「俺を狙って来るとは思わなかったのか?」
ポンポン達は狙撃の精度の低さにヨシナリが操作しているとは思っていないだろう。
なら消去法でマルメルだ。 位置も探せば見つかるので先に潰すという発想はなかったのだろうかと思ったのだが、ヨシナリは小さく首を振る。
「なくはないけど可能性としては低いと思ってた」
「何で?」
「まず、このステージに於いて敵味方共に一番やられたら困る事って何だと思う?」
「眼を潰される事だと、お、思う」
意外な事に答えたのはグロウモスだった。
「その通り、敵にとって最優先で撃破したいのはシックスセンスを持っている俺だ。 俺を潰せれば星座盤の索敵能力は大きくダウンするので情報でも優位を取れる」
「まぁ、ポンポンちゃんが居るからヨシナリ君を狙うのは分かり切っとったな」
「そういう意味でも俺があの位置に陣取るのは必要だったんですよ」
ヨシナリ達が動くように敵も戦力を展開させる。 ポンポンが二機を引き連れてヨシナリの所へ向かい、ツェツィーリエは湖の中央でベリアルと一騎打ち。
残りは湖を渡り切ったふわわと回り込んでいるグロウモスの処理を優先して動きを止める。
まずは問題のヨシナリの戦闘をフォーカス。
ポンポンは数の有利を活かして手数で圧倒していた。 前衛のニャーコが追いかけ回し、中衛を務めるおたまというプレイヤーが付かず離れずの距離を維持し、突撃銃やエネルギーライフルで行動を制限しつつ撃墜を狙い、ポンポン自身はやや後方に下がってエネルギーライフルを構え、ヨシナリの隙を窺う。
「あー、これは完璧に対策されとるねぇ……」
ふわわがそう呟く。 彼女の見立ては正しい。
ヨシナリはシックスセンスを使っている関係で情報処理にかなりのリソースを使っており、切れ目なく攻撃を繰り返して畳みかける事で思考する余裕を奪っているのだ。
そうする事により強みである先読みを封じている。
実際、ヨシナリは回避に専念させられ、効果的な反撃が出来ていない。
マルメルの支援こそあったが、最初の数発で弾道を見切られている様であまり効果が出ていなかった。
「うわぁ、やっぱ俺には遠隔操作は無理だわ」
碌に当たらない狙撃にマルメルは顔を覆う。
「……遠隔操作は一つでも当てるのは難しい。 援護と割り切れば、いいと思う……」
「はは、どうも」
グロウモスのフォローにマルメルは苦笑。
「グロウモスさんの言う通りだ。 普通の銃でもきついのに遠隔で複数、しかも発射のタイミングは俺の指示。 当たる訳がない。 牽制としては効果が出てたので問題ない」
「そうかぁ?」
「あぁ、お前は良くやってくれたよ」
画面の向こうではヨシナリは状況の打開を図る為に勝負に出ている所だった。
ニャーコがエネルギーブレードを一閃したタイミングで人型に変形して紙一重で回避しつつ仰向けの状態で股下を抜け、すれ違うタイミングで二挺拳銃でエネルギーウイング同時に破壊。
「うわ、ヤバ。 なんだあの動き」
思わずマルメルが声を漏らす。 ニャーコの動きを完璧な精度で回避。
すれ違うと同時にエネルギーウイングを破壊。 推進装置を失ったニャーコはそのまま墜落死。
急な変調と味方の撃墜に動揺したのかおたまの動きが止まる。 ほんの一瞬だったが、ヨシナリには充分だった。 棒立ちになった機体にそのまま全弾打ち込んで撃墜。
「ふわぁ、一機撃墜してほぼノータイムで二機目に仕掛けてるなぁ。 これは狙ったん?」
「はい、あの三人の攻撃の組み立てはニャーコが前に出て俺が下がった所をおたまが仕掛けて行動を制限する形だったので来る位置は何となくですが読めてました。 牽制メインの装備構成で防御より回避に念頭を置いた機体構成だったのも助かりましたね。 棒立ちになってくれなければ仕留められたかは少し怪しかったですが」
ヨシナリはそう答えた後、小さく溜息を吐く。
何故ならこの後は彼の失態が映される事になるからだ。
二機が落とされ前衛を失ったポンポンが急降下しながら距離を取り、ヨシナリは畳みかける為に追撃に入る。 こうして俯瞰してみれば明らかに逃げる位置を調整しているようだ。
「あぁ……クソ。 焦り過ぎた」
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