Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第287話

 グロウモスは二挺の狙撃銃と腰には例の大型拳銃。
 機体を隠すようにすっぽりと隠密用の布を被っているのでパーツ構成に関しては分からない。
 相手はⅡ型で突撃銃、短機関銃と中距離戦特化機体に見える。

 「マルメル君と同じタイプかな?」
 「ですね。 後は腰裏にダガーが有りますが、一応って感じですかね」
 「そうやねー。 あんまり使うって感じに見えへんわ。 マルメル君的にはどう?」
 「まぁ、なんか言えってんなら言いますけど、装備構成からオーソドックスな中衛タイプですね。 なんか妙な仕込みもしてないし、素直に中距離から削っていく感じかと」

 マルメルがヨシナリに同意を求めるように視線を向けるとヨシナリも頷きで応える。

 「そうですね。 ブースターやスラスターも特に怪しい点は見えないので見たまんまの機体かと」
 
 話している間に試合開始となり、両者が動き出した。
 ステージは森林。 互いに視界が通らないので相手を見つける所から始めなければならないが、互いが先に見つけたいと思っているのか大きな動きはしない。

 グロウモスは近くの山へと向かい頂上に狙撃銃を一挺設置し、最後に布を被せて見つかり辛くする。
 
 「あら? あのライフルって大口径やね。 方針変えた?」
 「基本は今までのスタイルで行く事にしたみたいですが、他の武器を持ち込んで対応力を上げるつもりみたいですね」
 「初見であいつを捉えるの難しいぞー」
 
 散々、嬲り者にされたマルメルとしてはやや複雑な物があるようで口調にはそれが現れていた。
 気配を消しつつ移動して別の山に登る。 頂上に近づいた所で積んでいた装置を起動、姿が掻き消えた。

 「あ、光学迷彩。 使う事にしたんやね」
 「ジェネレーターの容量喰うから微妙とか言っていたけど割り切ったみたいですね」
 「でも、あれって長持ちしないんじゃないのか?」
 「多分だけどそれで充分なんだろうよ」
 「どういう事だ?」
 「見てれば分かるよ」

 ヨシナリの見ている先でグロウモスは山の頂上から狙撃銃を構えて森をじっと見つめていた。
 観戦モードだと敵味方の配置がすぐに分かるようになっているのでグロウモスが敵機を発見した事は見ていて分かった。 敵の位置を確認するとグロウモスは即座に下山し、森の中へと戻る。

 「あぁ、なるほど見えなくして索敵の時間を稼ぐのか」
 「ある程度、位置がバレるリスクを飲み込んだ上で探しに行ったな」
 「前まではコソコソするのが優先やったのに積極的になったなぁ」

 ヨシナリ達がそれぞれなるほどと頷いている間にグロウモスは森を進む。
 静音フィールドを使用しているのか木々を掻き分けても音がしない。
 敵機はそれを知らないので動きを止めて音からグロウモスはの位置を探ろうとしていた。

 「あー、こりゃまともに貰うな」
 「音を消してる相手の音探ろうとしている時点でもうあかんわ」
 「まぁ、完全に消せはしないので探せば見つからない事はないと思いますが……あの様子じゃ無理か」

 グロウモスは敵機の斜め後方に移動するとすっと小口径の狙撃銃を構えるとそのまま連射。 
 静音フィールドのお陰で全くの無音で発射されたライフル弾は敵機のメインブースターを破壊する。
 敵機は突然の奇襲に驚いているようだったが、流石はEランクと言うべきか立て直しが速い。

 即座に飛んできた方へと突撃銃を連射。 

 「あー、分かるー。 あれやられると焦るんだよなぁ……」
 「いや、まだ比較的ではあるけど冷静っぽいぞ」
 「そうやね。 小刻みに撒いて焙り出そうとしてる」

 敵機は闇雲に撃ち込んでいるように見えるが広範囲になるように意識していた。
 撃ち込む事で反応を見ているのだ。 恐らくだがグロウモスが何らかのステルス装備を使っていると確信しての行動だろう。

 ただ、対応が致命的に遅かった。 
 敵機が弾をばら撒いている間にグロウモスは既に回り込んで距離を取っている。
 何処へ向かっているのかと思えば最初に狙撃銃を隠した場所へと向かっていた。

 どうにかグロウモスを炙り出そうとしている敵機の背にすっと銃口を向け――発射。
 大口径の狙撃銃は一撃で敵機の胴体に風穴を開けた。 そのまま爆散、試合終了となった。

 「おつかれー」
 「お疲れです。 危なげなく勝ちましたね」

 実際、グロウモスの立ち回りは特に言う事はなかった。
 最初に大口径の狙撃銃を隠し、光学迷彩を用いて見通しの良い場所で索敵を行い、一方的に敵の居場所を把握。 死角に回り込んで一撃を入れて機動力を奪い、当て易い状況を作る。

 その後、隠した大口径の狙撃銃で一撃。 
 ヨシナリとしては死角に回らずに最初から仕留めに行けばいいと思いはしたが、結果が伴っているので問題はないだろう。 言うとしたら負けた場合でいいと思うのでうんうんと頷いて見せる。

 「そ、そうかな? うへへ」

 グロウモスは手放しでほめられて嬉しそうだった。
 
 「よし! なら次は俺の番だな!」

 マルメルがやる気満々と言った様子でマッチングを開始。
 ふわわ、グロウモスと危なげなく勝っているので今度は自分の番だと気合を入れている。

 「マルメル君張り切ってるねー」
 「が、頑張れぇ……」

 ヨシナリは「ここで負けたら格好悪いぞ」と言いかけたが、変にプレッシャーをかけるのは良くないと思い無難に頑張れよとだけ伝えておいた。 
 
 「っしゃぁ! 行くぜ!」

 相手が決まりマルメルのアバターが移動する。
 ウインドウにマルメルの機体が現れた。 両肩に大型のブースターと全体的に盛った装甲。
 腰に二挺の短機関銃と給弾用のボックス。 左腕にハンドレールキャノン、右手に突撃銃。

 頭部の形状が微妙に変わっているのでセンサー系の強化に力を入れたようだ。
 
 「相手はどんな感じかなー?」 
 
 対戦相手の機体構成を確認すると――おやと少し驚いた。
 大きく着膨れしたⅡ型。 恐らくは侵攻イベントで使った「スパルトイ」の廉価版である強化装甲だ。 武器は大型のポンプアクションのショットガン。

 「ってか銃身が長いし、銃口デカいな」
 「ほえー。 当たったら痛そう」
 「……重そう」

 珍しいタイプの銃だった。 大きさから弾も専用の物を使用するタイプだろう。 
 強化装甲は最近実装されたはずなので使い始めて日が浅いはずだ。
 付け入るとしたらその辺りだろうか? レンジ的には被っている感じなので技量差が勝敗に直結するだろう。 ステージは市街地なので地形を上手く活用する事で変わって来るが――
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