Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第297話

 「まず軽くおさらいしましょう。 次のイベント戦の舞台となっているのは太陽からかなり離れた惑星。 モデルとしてはネプトゥヌスだろうと俺は思ってます。 太陽の光が届かないから基本的に真っ暗で、常時強い風が吹いているのでかなりうるさく、視覚的にも音響的にも最悪のフィールドです」
 
 ふわわ、マルメルは無言で頷く。 そう言えばとヨシナリは残りの一人に視線を向ける。
 
 「グロウモスさんってイベント参加してました?」
 「い、一応、してたけど、ユニオンに所属してなかったから単独でうろうろしてた。 で、道に迷って訳も分からない内に終わってて……」
 「わ、分かりました。 参加してたのなら細かい説明は不要ですね!」

 どんどん声のトーンが落ちていくグロウモスの言葉を遮り話を戻す。

 「ルールとしてはあの見通し最悪の惑星に存在する全ての基地と惑星事態を維持しているであろう反応炉を停止、もしくは破壊する事が勝利条件となる」

 ヨシナリはウインドウを可視化させ、全員に「思金神」から貰ったデータが見えるように表示。

 「エネミーとかの細かい話は後でするとして、『思金神』の作戦としてはまず通信施設の破壊に専念する事になる」
 「あぁ、前に言ってたな。 通信施設を残したまま他をやるとあのクソデカいサメがすっ飛んでくるんだろ?」
 「そうだ。 まぁ、検証できてないから不確かではあるがな。 状況的にあそこを潰すとメガロドン型が陥落した基地の破壊に乗り出す事はないとは言えないが直行は避けられると思われている」
 「その思金神さんの話は分かったけど、ヨシナリ君的にはどうなん?」
 「どうとは?」
 「そのアンテナ壊してサメが来えへんようになると思う?」
 「……正直、直行はなくなると思いますが、最終的には来る事になるって考えてますね」

 根拠は敵のエネミーだ。 
 仕留めると他の仲間を呼ぶタイプがいたので、何らかの手段で互いの状態をモニターできる可能性が充分にあった。 その為、通信施設を破壊すれば来なくなるといった楽観は抱いていない。

 「まぁ、効果があるのかを確認する手段はあるのでその結果次第ってところでしょうかね」 
 「手段?」
 「ほら、例の大暗斑ですよ。 通信施設を破壊した後、アレの動きに変化がなければ一応はごまかせてるんじゃないかの目安になるって事です」

 実際、タイミング的に生産拠点を落としたと同時ぐらいに動き出したのだ。
 
 「まぁ、それは分かったんだけどよ。 場所とかどうするんだ?」
 「それは問題ない。 思金神がマッピングして基地の場所とかも記録してくれてるみたいだ」

 そう言ってヨシナリは画面を切り替えると惑星の全体図と基地の配置、内容が細かく表示される。
 
 「はー、すっごいなぁ。 流石は数十万人。 前のイベント中にマッピングもやっててんなぁ……」
 「この辺は頭数が居るからこその強みですね。 恐らくは最初から戦闘には参加させずに情報収集だけを専門にした部隊が居たんじゃないかって思ってます」

 そうでもなければこんな詳細な地図を作るなんて真似は不可能だ。
 
 「で? 通信施設をぶっ壊してサメ野郎共を来させなくして、その後はどうするんだ?」
 「当然、生産拠点の確保だ。 敵地である以上は橋頭保は絶対に必要だからな」
 
 ヨシナリはふぅと小さく息を吐くと。 画面を更に切り替える。
 映っているのは思金神で見せられた生産拠点で作成する予定の大規模破壊兵器だ。
  
 「……何これ?」
 「見ての通りの代物だ。 こいつを生産拠点で作って敵の拠点にぶち込むんだとさ」

 そこまで聞いて全員の脳裏に理解が広がる。 

 「ははぁ、このすっごい武器で面倒そうな敵の拠点を掃除するんやね。 でも、これ上手く行くん?」
 「正直、かなり怪しいと思ってます」

 スパルトイという強力な装備を与えておきながら直後に効果がない敵を寄越すような運営だ。
 こんな素直な手で勝たせてくれる訳がない。 ただ、ある程度の効果は期待できそうなので反対する気もなかったが。 

 「ふーん。 まぁ、話は分かったわ。 で、ウチらはどう動くん?」
 「基本的に前と同じですが、今回は『豹変』とも一緒にやる事になってます。 ただ、初期配置がランダムなので合流できない場合も想定する必要がありますね」

 前回、比較的早く『栄光』と合流できたのは初期配置が近かったという幸運があったからだ。
 
 「ヨシナリ、質問」
 「はい、マルメルどうぞ!」
 「今回は助っ人いないのか? ベリアルが居れば戦力的にかなり安心できると思うんだけど……」
 「一応、ベリアルともう一人に声をかけたが、ベリアルは参加はするけど自分を追い込みたいとかで合流はしない。 もう一人はちょっと微妙だったから過度な期待はしない方がいいな」

 ――仮に引き受けたとしても出してきた交換条件がなぁ……。

 脈はあったが提示してきた条件がかなり重かったのでヨシナリとしても微妙だった。

 「助っ人に関しては運が良ければ助けに来てくれる程度の認識で居てくれ」
 「分かった。 なら、俺達の行動としては『豹変』と『栄光』の近くに居る方、または両方との合流をした後、通信施設に仕掛けるって感じでいいのか?」
 「それでいい。 これは大手ユニオンの総意なんだが、例のメガロドン型対策でAランクを最低でも二人以上は固めておいた方がいいって話になってた」

 実際、前回の敗北は純粋な火力不足だ。 
 もう一人か二人ほどAランクが居れば二体目のメガロドン型が合流する前に仕留められた可能性は充分にある。 

 「通信施設を一通り壊して生産拠点を奪った後、例のすっごい武器で厄介な基地やメガロドン型を撃破って流れかぁ。 作戦としてはあんまり突っ込みどころはないなぁ。 ウチとしては地下のイカが気になってるんやけど……」 
 「俺もかなり気になってます。 情報が足りないからほぼ無視されてますが、俺としては地下がすっげー気になるんですよね」
 「でもよぉ、あそこのイカって無限湧きだろ? 下手に潜ったら餌になっちまうぞ」
 「通用するか微妙だけど一応、手は考えてある」

 ヨシナリは基本的に一度やられた相手の事は忘れないので、イカの事も仕留める手段を模索していた。 その中で割と有効そうな手を考えてついていたのだ。
 
 「マジかよ。 アレどうにかなんの?」
 「どうにかなるようにできているはずだから行けるはず」
 「……だ、だったらいいね?」

 グロウモスの呟きにヨシナリは少しだけ不安な気持ちになった。
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