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第300話
周囲を警戒しつつ、全ての機体の補給と整備を完了させた一行は移動を開始する事となったのだが、何処に向かうかが問題だ。 ヨシナリ達『星座盤』のメンバーと『大渦』の三十機が合流した事で大所帯になったので、方針を決めておく必要がある。
「基本的に俺達は『思金神』の方針には賛成だ。 だから、他と合流を目指したいと思っている」
――というのはヴルトムの言だ。
ヨシナリとしてもそれは同じで、可能な限り早く味方と合流して戦力的に一息ついておきたい。
マップを開いてフレンドの居場所をチェック。 『栄光』――ツガルとフカヤは移動中だ。
南下している所を見ると『豹変』との合流を狙っているとみていい。
その『豹変』は動いていない。 理由は近くに通信設備があるからだろう。
恐らくは戦力が揃うまで待つつもりのようだ。
「ここから南西方向に『豹変』が居るんでそっちと合流ってのはどうだ?」
「『豹変』か、かなり大きい所だな。 いいぜ、俺は構わない」
「分かった。 今回もよろしく頼む」
「あぁ、頼りにしてるぜヨシナリ!」
方針が決まれば早速移動開始だ。 クレバスからどうにかシャトル引っ張り上げ、飛行できない機体と一緒に走行させる。 布陣としてはシャトルを囲むようなフォーメーション。
全機が互いを見失わない距離を維持しつつ周囲を警戒。 シャトルが目印になるので、全員にシャトルを見失ったらすぐにいうようにと徹底している。
基本的にはヨシナリがシックスセンスで常に索敵を行っているので早々先に発見されるような事にはならないが絶対はないので警戒は怠れない。
特に『大渦』は始めたばかりの新人が多い事もあって慎重に動くべきだという事もあって移動速度はかなりゆっくりだ。
「なぁ、この先って他に何かあったりするのか?」
沈黙に耐えかねたのか隣を歩くヴルトムが話を振って来た。
こんな環境なのでお喋りをして気を紛らせたくなるのも分かるヨシナリはマップをちらりと確認する。
「一応、少し離れた所に生産拠点があるけど進行ルートからは外れてるから行きは無視する事になると思う。 ただ、通信設備を落とした後には仕掛けに行く事になるだろうな」
「あぁ、例の核だかを作ってぶっ放すって奴か。 上手く行くのかねぇ……」
ヴルトムはそう言って不安を口にする。 どいつもこいつも同じ事を言うなとヨシナリは苦笑。
この運営がそんな簡単に勝たせてくれる訳がないといった謎の信頼から来ている。
嫌な信頼だなと思いながらも現状、分かり易く有効な手が他に思いつかないので試してみるしかないのだ。 ヨシナリは空を見上げる。
太陽光の届かない真っ暗な空。 ごうごうとうるさい風の音に常に視界に入り続ける雪。
一人で歩くと孤独感に押し潰されそうな文字通りの極地だ。 黙々と歩くと頭がどうにかなりそうな環境ではあったが、互いに言葉を交わす事でそれを紛らわす事ができる。
前回の孤独な移動を思い出して小さく身を震わせた。
特に今回からはシックスセンスもあるので前回よりも多くの物が見える事もあって恐怖は小さい。
「ストップ。 前方、約二百メートルにフグが居ます。 右に大きな氷山があるのでそこを迂回する形で抜けましょう」
それにこういった索敵作業があるので孤独や恐怖を感じている余裕がない。
慎重に進み、フグなら迂回してやり過ごし、それ以外なら狙撃などで可能な限り静かに仕留める。
特にデメニギス型は比較的、脆いので仕留め易い。
風の音でほとんど聞き取れない銃声が微かに響き、少し先にいたデメニギス型三体の反応が消えた。
グロウモスだ。 レーダー表示で俯瞰してみると彼女の狙撃精度の高さがよく分かる。
センサーリンクをしているとはいえ、ヨシナリが方角と距離を伝えるだけで視界がほぼゼロの状態で確実に当てて行っているのは凄まじい。
頑丈なトカゲハダカ型はふわわや『大渦』の近接に自信のある者が忍び寄って奇襲して排除。
ゆっくりとしたペースではあるが、可能な限り無駄を削ぎ落した行軍は思った以上に良いペースで進めている。 レーダー表示を確認すると『栄光』はかなり強引に距離を稼いでいるのか、合流間近だ。
「……早いな」
明らかに徒歩ではなく飛行で移動している。
焦っている感じがして少し不穏な物を感じたので一旦、休憩を兼ねて足を止め、その間に持ち込んだ通信機でポンポンに通信を試みる。 グロウモスから通信機を借りて通信範囲を拡大。
通信施設によって通信範囲が大幅に制限されているのでこういった代物で補う事で範囲を広げる事ができたのはありがたい。
――まぁ、限度はあるがな。
ある程度近づいたのでそろそろ行けるだろうと試してみると――
「――ヨシナリか」
応答した。 かなりノイズが多いが何とか聞き取れるレベルだ。
「通信できる距離まで来たので一声かけようと思ったんですけど、そっちはどんな感じですか?」
「――ドジっちまった」
「はい?」
ポンポンの声は苦い上、明らかに集中できていない所を見ると戦闘中の可能性が高い。
「何があったんですか?」
「実は降下地点が例のフグ野郎の巡回ルートでいきなり出くわしちまってナ。 シャトルの真下に居たから圧し潰しちまった。 あいつらは撃破されると味方に信号を送るタイプだろ? 後は次から次へと敵が群がってきている。 しかも最悪な事に例のジンベエザメ型もきやがった」
そこまで聞いてヨシナリは内心で表情を歪める。
『栄光』が急いでいる理由に納得がいったからだ。 『豹変』は他所に救援を求めなければならないレベルで追いつめられていたらしい。
「本当だったらお前にも声をかけるつもりだったんだゾ? でも、遠かったからなぁ……」
「すぐに救援に――」
「嬉しいけど難しいだろ? こっちでもお前の動きはモニターできてるんだ。 他を引き連れてるから身動きが取れない。 違うか?」
違わなかった。
Ⅱ型はともかく『大渦』のメンバーにはⅠ型が多く、無理に移動すれば速度差で脱落者が出てしまう。
「ま、心配すんナ。 このポンポン様がいるんだ。 どうにかするって」
彼女は軽い調子で言っていたが、同じようにフレンド登録したニャーコとまんまるの反応が既にロストしている点からも全滅は時間の問題だろう。 位置を考えると『栄光』が間に合うかは微妙だ。
位置で考えるならヨシナリ達の方が近いので急げば駆け付ける事は可能だが、その為には他を置いていかなければならない。 それ以前に一機増えた程度で助けになれるかも怪しかった。
「基本的に俺達は『思金神』の方針には賛成だ。 だから、他と合流を目指したいと思っている」
――というのはヴルトムの言だ。
ヨシナリとしてもそれは同じで、可能な限り早く味方と合流して戦力的に一息ついておきたい。
マップを開いてフレンドの居場所をチェック。 『栄光』――ツガルとフカヤは移動中だ。
南下している所を見ると『豹変』との合流を狙っているとみていい。
その『豹変』は動いていない。 理由は近くに通信設備があるからだろう。
恐らくは戦力が揃うまで待つつもりのようだ。
「ここから南西方向に『豹変』が居るんでそっちと合流ってのはどうだ?」
「『豹変』か、かなり大きい所だな。 いいぜ、俺は構わない」
「分かった。 今回もよろしく頼む」
「あぁ、頼りにしてるぜヨシナリ!」
方針が決まれば早速移動開始だ。 クレバスからどうにかシャトル引っ張り上げ、飛行できない機体と一緒に走行させる。 布陣としてはシャトルを囲むようなフォーメーション。
全機が互いを見失わない距離を維持しつつ周囲を警戒。 シャトルが目印になるので、全員にシャトルを見失ったらすぐにいうようにと徹底している。
基本的にはヨシナリがシックスセンスで常に索敵を行っているので早々先に発見されるような事にはならないが絶対はないので警戒は怠れない。
特に『大渦』は始めたばかりの新人が多い事もあって慎重に動くべきだという事もあって移動速度はかなりゆっくりだ。
「なぁ、この先って他に何かあったりするのか?」
沈黙に耐えかねたのか隣を歩くヴルトムが話を振って来た。
こんな環境なのでお喋りをして気を紛らせたくなるのも分かるヨシナリはマップをちらりと確認する。
「一応、少し離れた所に生産拠点があるけど進行ルートからは外れてるから行きは無視する事になると思う。 ただ、通信設備を落とした後には仕掛けに行く事になるだろうな」
「あぁ、例の核だかを作ってぶっ放すって奴か。 上手く行くのかねぇ……」
ヴルトムはそう言って不安を口にする。 どいつもこいつも同じ事を言うなとヨシナリは苦笑。
この運営がそんな簡単に勝たせてくれる訳がないといった謎の信頼から来ている。
嫌な信頼だなと思いながらも現状、分かり易く有効な手が他に思いつかないので試してみるしかないのだ。 ヨシナリは空を見上げる。
太陽光の届かない真っ暗な空。 ごうごうとうるさい風の音に常に視界に入り続ける雪。
一人で歩くと孤独感に押し潰されそうな文字通りの極地だ。 黙々と歩くと頭がどうにかなりそうな環境ではあったが、互いに言葉を交わす事でそれを紛らわす事ができる。
前回の孤独な移動を思い出して小さく身を震わせた。
特に今回からはシックスセンスもあるので前回よりも多くの物が見える事もあって恐怖は小さい。
「ストップ。 前方、約二百メートルにフグが居ます。 右に大きな氷山があるのでそこを迂回する形で抜けましょう」
それにこういった索敵作業があるので孤独や恐怖を感じている余裕がない。
慎重に進み、フグなら迂回してやり過ごし、それ以外なら狙撃などで可能な限り静かに仕留める。
特にデメニギス型は比較的、脆いので仕留め易い。
風の音でほとんど聞き取れない銃声が微かに響き、少し先にいたデメニギス型三体の反応が消えた。
グロウモスだ。 レーダー表示で俯瞰してみると彼女の狙撃精度の高さがよく分かる。
センサーリンクをしているとはいえ、ヨシナリが方角と距離を伝えるだけで視界がほぼゼロの状態で確実に当てて行っているのは凄まじい。
頑丈なトカゲハダカ型はふわわや『大渦』の近接に自信のある者が忍び寄って奇襲して排除。
ゆっくりとしたペースではあるが、可能な限り無駄を削ぎ落した行軍は思った以上に良いペースで進めている。 レーダー表示を確認すると『栄光』はかなり強引に距離を稼いでいるのか、合流間近だ。
「……早いな」
明らかに徒歩ではなく飛行で移動している。
焦っている感じがして少し不穏な物を感じたので一旦、休憩を兼ねて足を止め、その間に持ち込んだ通信機でポンポンに通信を試みる。 グロウモスから通信機を借りて通信範囲を拡大。
通信施設によって通信範囲が大幅に制限されているのでこういった代物で補う事で範囲を広げる事ができたのはありがたい。
――まぁ、限度はあるがな。
ある程度近づいたのでそろそろ行けるだろうと試してみると――
「――ヨシナリか」
応答した。 かなりノイズが多いが何とか聞き取れるレベルだ。
「通信できる距離まで来たので一声かけようと思ったんですけど、そっちはどんな感じですか?」
「――ドジっちまった」
「はい?」
ポンポンの声は苦い上、明らかに集中できていない所を見ると戦闘中の可能性が高い。
「何があったんですか?」
「実は降下地点が例のフグ野郎の巡回ルートでいきなり出くわしちまってナ。 シャトルの真下に居たから圧し潰しちまった。 あいつらは撃破されると味方に信号を送るタイプだろ? 後は次から次へと敵が群がってきている。 しかも最悪な事に例のジンベエザメ型もきやがった」
そこまで聞いてヨシナリは内心で表情を歪める。
『栄光』が急いでいる理由に納得がいったからだ。 『豹変』は他所に救援を求めなければならないレベルで追いつめられていたらしい。
「本当だったらお前にも声をかけるつもりだったんだゾ? でも、遠かったからなぁ……」
「すぐに救援に――」
「嬉しいけど難しいだろ? こっちでもお前の動きはモニターできてるんだ。 他を引き連れてるから身動きが取れない。 違うか?」
違わなかった。
Ⅱ型はともかく『大渦』のメンバーにはⅠ型が多く、無理に移動すれば速度差で脱落者が出てしまう。
「ま、心配すんナ。 このポンポン様がいるんだ。 どうにかするって」
彼女は軽い調子で言っていたが、同じようにフレンド登録したニャーコとまんまるの反応が既にロストしている点からも全滅は時間の問題だろう。 位置を考えると『栄光』が間に合うかは微妙だ。
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