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第341話
機体が思った通りに動く。 滑るように動く機体にマルメルは興奮の声を上げる。
腰にマウントした短機関銃が弾をばら撒くが、前に使っていた機体よりも集弾率が高い。
思った以上に狙った位置に当たる。 機体側からの操作で弾をエネルギーに切り替えて発射。
左右二挺からエネルギー弾がターゲットから逸れ、ビルを射抜く。
「流石に必中とは行かないか」
「発射にタイムラグがあるからワンテンポずらすぐらいの感覚でやってみると良いかもな」
「やってみる」
鈍重な機体ではあるが、細かな挙動は素早く、構えてから射撃に移行するまでが滑らかだ。
マルメルは性能の違いに震えていた。 びっくりするほど機体の反応がいい。
それ以上にヨシナリの奴はどれだけ俺の挙動を分析してるんだと少し震える。
腰の短機関銃による撃ち分け、携行火器を使った立ち回り、直線加速のテスト、飛行、ハンドレールキャノンの試し撃ち。 一通り済ませたマルメルは満足気に息を吐いた。
「どうよ?」
「最高だよ、最高!」
嬉しそうなマルメルの様子に満足していたヨシナリだったが、不意に何かに気が付いたように振り返る。
「どした?」
「ふわわさんが来たから話をしてくる。 お前はその調子で楽しんでくれ。 機体で気になる事があったら共有していこう」
ヨシナリはそれだけ言うとトレーニングルームを後にした。
あのイベント戦はマルメル達が居なければ勝てなかったので彼等にはしっかりと金を使おうと決めていた。 その為、彼の装備や機体に関しては出し惜しみは一切しなかったのだ。
割と時間をかけて強化プランを練ったので喜んでくれて少しだけほっとしていた。
元々、彼は戦闘スタイル上、キマイラやエンジェルタイプとあまり相性が良くないのでソルジャー+を極限まで強化する形が最適解だと思っていた。 中距離に特化しており、近と遠はやや微妙である以上、長所を伸ばすのは理に適っている。 強みを伸ばしつつ得意距離を広げていく強化を意識したのだが、扱わせてみると思った以上に良い動きをしていたので後でユニオン戦で一緒に戦うのが楽しみだ。
「――で、次はウチに機体と装備を買ってくれるん?」
「はい、イベント戦で結構な報酬が入ったので是非、皆に還元したいと思いまして」
「嬉しいけどええの? 次にウチと戦る時、負けちゃうかもよ?」
「考えなかった訳じゃありませんが、ふわわさんにはお世話になっているのでこれぐらいさせてくださいよ」
本心だった。 彼女は強力なライバルではあるが、それ以前に一緒に戦う仲間なのだ。
世話にもなっている事もあるが、自分がプロデュースした機体でどんな動きをしてくれるのかを見てみたい気持ちも強かった。
「――と、いう訳でふわわさんにも勝手ながら機体の構成を考えさせていただきました」
機体構成に関してはフレームはソルジャー+。
ジェネレーター、コンデンサーは小型、高出力を意識した構成にし、可能な限り軽量化。
そもそもふわわは受けるのではなく、躱すか打ち落とすので防御力は要らない。
推進装置はエネルギーウイング。
出力よりも小回りの良さを優先した結果、最大出力に関してはマルメルの機体よりも大きく落ちるが、瞬間加速と旋回性能に関してはエンジェルタイプと同等以上だ。
センサー系に関してはややプレイヤースキルに依存する形にして動体をメインに熱源など必要最低限に。 恐らくだが、余計な情報は彼女にとってはノイズでしかないからだ。
「どうでしょう? 元々、ふわわさんの場合、反応が良すぎて機体側のフィードバックが遅れている印象を受けました。 その為、使い手の思考に即応できる機体をコンセプトに組んでみました」
ふわわはふむふむと機体の図面を見ていたのだが、小さく首を傾げる。
「いい感じやと思うけど武器は?」
そう、この図面には武装が積まれていなかった。
それを聞いてヨシナリは小さく唸る。
「あー、実はですね。 武器に関しては実を言うとあの手の武器を扱った経験がなくて、何を選んだらいいのかよく分からなかったんですよ。 何か欲しいのあります?」
「なーに? 好きなの買ってくれるん?」
「はい、何でも言ってください」
「それやったらちょうどよかったわ。 相談したい事もあったんよー」
ふわわはウインドウを操作すると可視化し、メール画面をヨシナリに見せる。
何だと覗き込むと内容は、ちょっと判断に迷うものだった。
送り主は運営経由でこのメールを送ってきたようだ。
タイトルは新製品のご案内。
最初はウチの商品を使ってくれてありがとうございます。
あなたのお陰で我々の開発した武器のフィードバックが増えましたと感謝が綴られていた。
――どういう事だ?
字面通りに受け取るなら武器のデザインなどを行っているスタッフからの私信に見える。
このゲームのショップ商品には通販サイトのように五段階評価を付ける事ができるという変わったシステムが存在しており、ヨシナリは武器の使用感等のデータを吸い上げる為の仕組みと解釈していた。
このゲームの武器の種類はバリエーションやカスタムパーツなどを合わせると数百万種類以上だ。
同系統の武器で選ぶための指針にもなるので、買う際の参考にはなる。
――で、ふわわの使っている装備なのだが――
まずは野太刀、正式名称、液体金属刀『オロチノアラマサ』と言うのだが、ショップ評価は五段階評価で★1.4というとんでもない低評価だ。 レビューを見てみると使えないだのゴミだのと散々な言われようだった。 鞘に関しても同様だったので、似た系統の装備はいくつか見つけたのだが、どれが良いのかさっぱり分からなかったのだ。
どうやらふわわが目立つ形で使用した事によって少しだけ評価が高まったのかもしれない。
――ゲーム内でも売り上げの競争でもあるのだろうか?
無料ゲーとは言え、色々とあるんだなぁと思いながらメールを読み進めると、内容は本題に入る。
何が書いてあったのかと言うと、新しく開発した新製品のテスターになって欲しいとの事。
要は新製品をあげるからレビューを書いて欲しいといった感じだ。
――胡散臭ぇ。
真っ先に思ったのはそれだったが相手もその辺は理解しているらしく、運営を経由していた。
何か変な意図がないとは思えないが、運営が噛んでいる以上は危険という事もないだろう。
腰にマウントした短機関銃が弾をばら撒くが、前に使っていた機体よりも集弾率が高い。
思った以上に狙った位置に当たる。 機体側からの操作で弾をエネルギーに切り替えて発射。
左右二挺からエネルギー弾がターゲットから逸れ、ビルを射抜く。
「流石に必中とは行かないか」
「発射にタイムラグがあるからワンテンポずらすぐらいの感覚でやってみると良いかもな」
「やってみる」
鈍重な機体ではあるが、細かな挙動は素早く、構えてから射撃に移行するまでが滑らかだ。
マルメルは性能の違いに震えていた。 びっくりするほど機体の反応がいい。
それ以上にヨシナリの奴はどれだけ俺の挙動を分析してるんだと少し震える。
腰の短機関銃による撃ち分け、携行火器を使った立ち回り、直線加速のテスト、飛行、ハンドレールキャノンの試し撃ち。 一通り済ませたマルメルは満足気に息を吐いた。
「どうよ?」
「最高だよ、最高!」
嬉しそうなマルメルの様子に満足していたヨシナリだったが、不意に何かに気が付いたように振り返る。
「どした?」
「ふわわさんが来たから話をしてくる。 お前はその調子で楽しんでくれ。 機体で気になる事があったら共有していこう」
ヨシナリはそれだけ言うとトレーニングルームを後にした。
あのイベント戦はマルメル達が居なければ勝てなかったので彼等にはしっかりと金を使おうと決めていた。 その為、彼の装備や機体に関しては出し惜しみは一切しなかったのだ。
割と時間をかけて強化プランを練ったので喜んでくれて少しだけほっとしていた。
元々、彼は戦闘スタイル上、キマイラやエンジェルタイプとあまり相性が良くないのでソルジャー+を極限まで強化する形が最適解だと思っていた。 中距離に特化しており、近と遠はやや微妙である以上、長所を伸ばすのは理に適っている。 強みを伸ばしつつ得意距離を広げていく強化を意識したのだが、扱わせてみると思った以上に良い動きをしていたので後でユニオン戦で一緒に戦うのが楽しみだ。
「――で、次はウチに機体と装備を買ってくれるん?」
「はい、イベント戦で結構な報酬が入ったので是非、皆に還元したいと思いまして」
「嬉しいけどええの? 次にウチと戦る時、負けちゃうかもよ?」
「考えなかった訳じゃありませんが、ふわわさんにはお世話になっているのでこれぐらいさせてくださいよ」
本心だった。 彼女は強力なライバルではあるが、それ以前に一緒に戦う仲間なのだ。
世話にもなっている事もあるが、自分がプロデュースした機体でどんな動きをしてくれるのかを見てみたい気持ちも強かった。
「――と、いう訳でふわわさんにも勝手ながら機体の構成を考えさせていただきました」
機体構成に関してはフレームはソルジャー+。
ジェネレーター、コンデンサーは小型、高出力を意識した構成にし、可能な限り軽量化。
そもそもふわわは受けるのではなく、躱すか打ち落とすので防御力は要らない。
推進装置はエネルギーウイング。
出力よりも小回りの良さを優先した結果、最大出力に関してはマルメルの機体よりも大きく落ちるが、瞬間加速と旋回性能に関してはエンジェルタイプと同等以上だ。
センサー系に関してはややプレイヤースキルに依存する形にして動体をメインに熱源など必要最低限に。 恐らくだが、余計な情報は彼女にとってはノイズでしかないからだ。
「どうでしょう? 元々、ふわわさんの場合、反応が良すぎて機体側のフィードバックが遅れている印象を受けました。 その為、使い手の思考に即応できる機体をコンセプトに組んでみました」
ふわわはふむふむと機体の図面を見ていたのだが、小さく首を傾げる。
「いい感じやと思うけど武器は?」
そう、この図面には武装が積まれていなかった。
それを聞いてヨシナリは小さく唸る。
「あー、実はですね。 武器に関しては実を言うとあの手の武器を扱った経験がなくて、何を選んだらいいのかよく分からなかったんですよ。 何か欲しいのあります?」
「なーに? 好きなの買ってくれるん?」
「はい、何でも言ってください」
「それやったらちょうどよかったわ。 相談したい事もあったんよー」
ふわわはウインドウを操作すると可視化し、メール画面をヨシナリに見せる。
何だと覗き込むと内容は、ちょっと判断に迷うものだった。
送り主は運営経由でこのメールを送ってきたようだ。
タイトルは新製品のご案内。
最初はウチの商品を使ってくれてありがとうございます。
あなたのお陰で我々の開発した武器のフィードバックが増えましたと感謝が綴られていた。
――どういう事だ?
字面通りに受け取るなら武器のデザインなどを行っているスタッフからの私信に見える。
このゲームのショップ商品には通販サイトのように五段階評価を付ける事ができるという変わったシステムが存在しており、ヨシナリは武器の使用感等のデータを吸い上げる為の仕組みと解釈していた。
このゲームの武器の種類はバリエーションやカスタムパーツなどを合わせると数百万種類以上だ。
同系統の武器で選ぶための指針にもなるので、買う際の参考にはなる。
――で、ふわわの使っている装備なのだが――
まずは野太刀、正式名称、液体金属刀『オロチノアラマサ』と言うのだが、ショップ評価は五段階評価で★1.4というとんでもない低評価だ。 レビューを見てみると使えないだのゴミだのと散々な言われようだった。 鞘に関しても同様だったので、似た系統の装備はいくつか見つけたのだが、どれが良いのかさっぱり分からなかったのだ。
どうやらふわわが目立つ形で使用した事によって少しだけ評価が高まったのかもしれない。
――ゲーム内でも売り上げの競争でもあるのだろうか?
無料ゲーとは言え、色々とあるんだなぁと思いながらメールを読み進めると、内容は本題に入る。
何が書いてあったのかと言うと、新しく開発した新製品のテスターになって欲しいとの事。
要は新製品をあげるからレビューを書いて欲しいといった感じだ。
――胡散臭ぇ。
真っ先に思ったのはそれだったが相手もその辺は理解しているらしく、運営を経由していた。
何か変な意図がないとは思えないが、運営が噛んでいる以上は危険という事もないだろう。
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