Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

文字の大きさ
342 / 865

第342話

 「うーん。 一応、確認しときましょうか」

 ヨシナリはふわわのメールをコピーして運営に問い合わせのメールを送る。
 内容は単純で『これは本物ですか?』と言ったものだ。
 返答は即座だ。 『本物です』との事だった。 なら問題ないだろう。

 「受け取ってないんですよね」
 「うん、なんか怪しかったから……」
 「大丈夫そうなんで受け取っても問題ないかと。 ――取り敢えず、モノを見て判断しましょう」

 ふわわは小さく頷いてメールに添付されているアイテムを受け取る。
 それにより受け取った装備の詳細が費用辞された。 ふわわはウインドウをヨシナリの見える位置に移動させる。 内容は二つ。 名称は『アメノハバキリ』ふわわの使っている『オロチノアラマサ』の上位互換――というよりは発展型と言った感じだ。 形成の際にある程度形状を弄れるとの事だ。 ふわわのスタイルを考えると微妙だったが、硬質化の効率等のスペックも向上しているので悪い代物ではない。

 これに関しては同系統の武器をまともに扱えないヨシナリには判断が付き辛いが、仕様を見る限り使いこなせれば攻撃の幅が大きく広がるだろう。 ちなみに二個届いていた。 
 それはいいとして、問題はもう一つの方だ。 

 「野太刀用じゃなくて太刀用の鞘か。 名称は『ナインヘッドドラゴン』えらく強そうだな」
 「専用の太刀とセットみたいやねー」
 「仕様見てるんですけど、これまともに当てられるんですか? 正直、使いこなす以前に扱える自信がないんですけど」

 ふわわはうーんと首を捻っている。 ヨシナリはそれを見てマジかよと震えた。 
 何故ならふわわは明らかにどう使うかを思案しているからだ。 
 ヨシナリは改めて仕様書に視線を落とし、書いてある事を見て色々と納得した。

 こんなイロモノばかり作ってるから不人気なんだろうなという事が分かったからだ。
 ただ、使いこなせるのであれば凄まじい威力を発揮するだろう。
 
 「そう言えば武器も買ってくれるって話やったよね?」
 「はい」
 「だったら太刀と小太刀を適当にお願い。 後、機体ありがとね?」
 「同じ長さの物でグレードの高い物でいいですか?」
 「うん。 野太刀用の鞘はそのまま使うわ」

 ヨシナリは了解ですと組んだ機体をそのままふわわに送り、ショップで太刀と小太刀を選んで完了だ。 ふわわは受け取った機体と装備を確認し、ふむふむと頷く。

 「取り敢えず、トレーニングルームで慣らしましょう。 動かせるようになったら模擬戦で調整をかける感じで大丈夫ですか?」
 「うん。 それでいこっか。 ――えーっと、ところで別の話やねんけど前にウチが言った事覚えてる?」

 前に言った事? ヨシナリは何だったかと記憶を探るとイベント戦の前に言われた事を思い出した。
 
 「妹さんがこのゲームを始めたいとか何とかでしたか?」
 「そうそう。 顔合わせして貰いたいねんけど今からで大丈夫?」
 「今からですか? 随分と急ですね。 まぁ、構いませんが……」

 ――いきなりぶっこんで来るなぁ。 ふわわの妹か。

 ヨシナリは考える。 どんなのか全く想像できない。
 似たような感じなのかな? それとも真逆とか? 話し易い相手だといいんだけど……。
 
 「マルメルも呼びますか?」
 「や、一先ずヨシナリ君だけで会ってくれへんかな? で、駄目そうやったら諦めろと言って欲しいんよ!」

 それを聞いてヨシナリは僅かに眉を顰める。
 
 「何です? 遠回しに向いてないから止めろって言えって事ですか?」 
 「え、えー? そんな事はないよぉ??」

 アバター越しでも目が泳いでいるのが丸分かりだった。 
 態度からふわわは妹がこのゲームを始める事を歓迎していないようだ。 
 どちらにしても見てみない事には何とも言えない。 それに妹とやらがふわわの半分ぐらいでも強いのなら戦力として充分に使える。 人数的に厳しい『星座盤』としては頭数が欲しいのでヨシナリ個人としては余程、合わない限りは歓迎したいのだが――


 「どうも、姉がお世話になっております。 シニフィエといいます」

 そう言って深々と頭を下げたのはやや小柄な初期アバターだ。 声の感じからヨシナリ達と同年代かやや下といった印象を受けた。
 ユニオン加入申請が行われたので取り敢えず受諾し、ステータスを確認する。
 ランクはI、戦績は0戦0勝。 チュートリアルを終えたばかりのルーキーだ。

 「これはご丁寧にどうも。 ヨシナリです。 こちらこそお姉さんにはいつも助けてもらってます」
 
 シニフィエはじっとヨシナリを見つめる。 
 何だか値踏みされているような感じがして少しだけ居心地が悪かった。
 ふわわは彼女にしては珍しくそわそわしており、落ち着かない様子だ。

 ――身内が来たのだからそんな感じになるのも無理はないのかもしれない。

 「あ、あの、俺が何か――」
 「あぁ、失礼しました。 我が家の不良債権を引き取ってくれるのはどのような方かと思いまして」
 「はい? 不良?」

 ヨシナリが聞き返しそうとしたが、それよりも早くふわわがシニフィエの口を塞ぐように頭部を抱きしめる。

 「わー! ちょっ、ちょっと、何を言いだすのかなぁ! す――じゃなかったシニフィエちゃん?」
 
 頑張って塞いでいるが、アバターは口の部分で発声している訳ではないので余り意味のない行動だった。

 「いえ、ここ最近、ゲームで知り合った男の事を楽しそうに話す物ですのでてっきり彼氏でもできたのかと思いまして」

 ――彼氏? 俺が?

 ヨシナリは思わず首を傾げてしまった。 ちらりとふわわを見る。
 ふわわの人となりはある程度ではあるが掴めていた。 さて、シニフィエの発言意図は不明だが、言われてしまえば少し考えてしまう。 自分とふわわがそう言った交際関係になったと仮定した状況を思い浮かべる。 

 ――駄目だ。 潰し合っている絵面しか浮かばない。
 
 ふわわと二人で何かすると考えると真っ先に対戦が思い浮かび、新調したホロスコープで完膚なきまでに打ち負かす事しか考えられなかった。

 「あー、何か勘違いをされているみたいですが俺とふわわさんはそんな関係ではありませんよ? 仲良くはさせて貰ってますが……」
 「そうなんですか?」
 
 シニフィエは心底不思議といった様子でヨシナリを見つめる。
 何なんだこいつは? 何をどう勘違いしたら自分とふわわがデキてるなんて話になるんだろうか?
 そもそも彼女はヨシナリよりも年上で、社会人だ。 そんな彼女が自分のようなガキを相手にするわけがないだろうが。 

 「そうなんです。 えっと、もしかして俺を見に来ただけって感じですか?」

 冷やかしならさっさと帰ってくれないかなと少し思ったが、シニフィエは小さく首を振る。

 「いえ、飽きっぽい姉が随分と熱心にプレイしているので、私も遊んでみようと思いました。 真面目にやる必要があるというのは聞いていますので、お役に立てるかは何とも言えませんが真剣にやらせていただきます」
 
 ヨシナリの思考を見透かしたかのような返しに少し驚いたが、やる気があるなら問題はない。
感想 0

あなたにおすすめの小説

局地戦闘機 飛電の栄光と終焉

みにみ
歴史・時代
十四試局戦 後の三菱雷電J2Mとして知られるこの戦闘機は爆撃機用の火星エンジンを搭載したため胴体直径の増加、前方視界不良などが続いたいわば少し残念な機体である この十四試局戦計画に地方の無名メーカーが参加、雷電を超える高性能機が誕生し、零戦の後継として太平洋戦線を駆ける これは設計者、搭乗員の熱く短い6年間を描いた物語だ

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

森のカフェしっぽっぽ

森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
五十代後半の初老――サトルが営むのは、就労支援B型事業所を兼ねた猫カフェ「森のカフェしっぽっぽ」。 一階には利用者が作った木工小物や布雑貨が並び、 猫たち(イチ・きな・トラ・チビ・そして極度の臆病猫ジル)が自由気ままに接客(?)をしている。 しかしこの店には、誰も知らない“もう一つの顔”があった。 地下の倉庫兼店舗は異世界と繋がっている。 ただし、異世界人は地球には来られない。 行き来できるのはサトルだけ。 向こう側には|蜥蜴人族≪リザードマン≫の商人、 頑固な|鉱人族≪ドワーフ≫の職人、 静かな|森人族≪エルフ≫たちがいて、 サトルは彼らから“ちょっとだけ現実を楽にする品”を仕入れている。 仕事に疲れた会社員。 将来に迷う若者。 自信をなくした人。 サトルは客の空気を読み、異世界の商品をさりげなく勧める。 そして、棚の影で震えるジル。 怖がりで、音にびくつき、すぐ隠れる。 それでも店からは逃げない。 その姿が、なぜか人の心を少しだけ軽くする。 これは―― 福祉と商売と猫と異世界が、ゆるく混ざり合う物語。 震えながらでも前に立つ者が、 今日も小さく世界をつなぐ。

ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》

盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。  ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……  始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。    さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。

52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった

よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】 皆様の熱い応援、本当にありがとうございます! ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です! 【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】 電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。 気がついたら異世界召喚。 だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。 52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。 結論――王都の地下下水道に「廃棄」。 玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。 血管年齢は実年齢マイナス20歳。 そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。 だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。 下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。 捨てられた魔道具。 長年魔素を吸い続けた高純度魔石。 そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。 チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。 あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。 汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。 スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。 この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。 魔力は毒である。代謝こそが命である。 軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。 でも、だからこそ――まず1話、読んでください。 【最新情報&著者プロフィール】 代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作! ◆ 2月に待望の【第2巻】刊行! ◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中! ◆ 【コミカライズ企画進行中】! すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。