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第357話
――クソ、かなり動きがいいな。
一機はまんまるが仕留め、狙撃手の牽制もしてくれているのでヨシナリは残りの一機に集中できる。
性能差は変わらず、武装にも大きな差はない。 だが、相手の方が中距離戦に慣れているのか、動きがかなり良かった。 無理に狙いに行かず、ばら撒く事でこちらの反応を引き出そうとする動きだ。
中距離戦の経験値がかなり高いプレイヤー。
加えて突撃銃の扱いにかなり慣れている印象がある。 動きに無駄が少ない。
ヨシナリは相手の得意距離に付き合わずに回避に専念しつつ、相手のリロードを狙って応射。
当たった手応えから命中していない。 弾が切れたと同時に障害物に身を隠している。
見事な立ち回りだ。 あらかじめ身を隠す場所に当たりを付けておき、常に優位を取れるようなポジショニング。 誘いに乗った段階で不利な戦いになる事は理解していたが、相手の動きの良さは想定以上だ。
ヨシナリの弾が切れたと同時に相手が撃ち返してくる。
――おかしい。
戦っていて違和感を感じた。 噛み合いすぎる。
攻守の入れ替わりが意図していないにも関わらずターン制のゲームのようにスムーズだ。
中距離戦が得意であの動き。 思い浮かぶ人物が一人しか思い浮かばなかった。
「ここで出くわすのかよ。 マルメル」
――ヨシナリかよ。 やり難いなぁ……。
マルメルはヨシナリとほぼ同時に相手の正体に気が付いた。
ここまで戦い方が噛み合う相手に他に心当たりがなかったので、ほぼ間違いないだろう。
同じチームではない以上、何処かでぶつかる可能性があるとは思っていたが、二回戦で当たるのは想定外だった。 装備構成はほぼ同じ、距離は自分が得意な中距離戦。
「悪いが今回は勝たせて貰うぜ?」
一機やられはしたが、背後には頼りになる狙撃手がいるので、勝ち目は充分にある。
ヨシナリ側の機体も一機仕留めた以上、戦力は同等だが事前に下調べを済ませたので地の利はこちらにあった。 ここはちょっとした岩場で遮蔽物になり、銃弾を防いでくれる盾には事欠かない。
対するヨシナリ側は森を背負っている形になるが、樹では銃弾を完全に止める事は難しい。
視界が明瞭であるなら銃撃で倒して利用するといった使い方も可能だが、この深い霧の中ではそんな曲芸じみた真似はマルメルの技量では無理だ。
そもそもヨシナリ相手に変に捻った事をしても通用しない可能性が高い。
マルメルは相棒の事を完全に理解しているかは少し怪しいが、ある程度は分かっているつもりだった。 ヨシナリ、このゲームで出来た最初の友達。
当初は下手糞で碌に役目を果たせないマルメルに根気強く付き合い、一緒に強くなろうとここまで引っ張り上げてくれた恩人でもある。 彼が居なければマルメルはここまで成長できなかっただろう。
何処か冷めた印象を受けるかもしれないが、負ければ死ぬほど悔しがる熱い奴だ。
そして何よりもこのゲームに真剣に打ち込んでいる。
彼の背中を見ていると自分も頑張ろうといった気持ちにさせてくれるのだ。
元々、マルメルはゲームに対してはもっと気楽に構えていたのだが、ヨシナリを見ていると真剣な気持ちで戦える。
――だから、真剣にヨシナリをぶちのめそう。
それこそが相棒の本気に応えられる唯一の事だと信じているからだ。
付け加えるならここ最近、新メンバーや臨時メンバーが現れた所為でちょっと自分の影が薄くなっているのではないかと思っているので、ここでちょっと強さを見せつけて一番頼りになるのは誰なのかと刻みつけてやりたいとも思っていた。
「相手はあなたのお友達って事で間違いないのね?」
不意に通信が入る。 相手は後衛の狙撃手――センドウだ。
彼女は狙撃手としてだけならヨシナリ以上なので、仲間としては非常に頼りになる。
「はい、俺がヨシナリを見間違う訳ないじゃないっすか」
「そう。 できれば私が仕留めてやりたいのだけれど、今回は譲るわ」
「はは、そりゃどうも。 もう一機の方はどうっすか?」
「動きはいいけど、狙撃手としては粗が多い。 ただ、狙い自体は正確だから遠距離武器自体には慣れている感じ。 ポジショニングも上手いから仕留めるのは少しかかりそうね」
ヨシナリが撃ち返してくる。 弾切れを待って応射。
「って事は俺が仕留めりゃ勝ちって事ですね」
「えぇ、でも急いで。 彼、何か企んでるみたいよ?」
「でしょうね。 ちなみに何かわかります?」
見えないので位置ぐらいしか分からない。
「仲間と合流しようとしてる。 何をしようとしてるか分からないけど、止めさせた方がいいと思うけど?」
「ってもこの状況で下手に突っ込むとこっちがやられそうなんですけど……」
センドウは少し沈黙。 何かを考えているようだ。
「少し危ないけどあなたのお友達を先に仕留めましょう。 次に仕掛けてきた時に合わせて撃ち合いなさい。 そこを私が仕掛けて崩すわ」
「はは、正面から殴り合えって事っすか」
「できない?」
マルメルは少し口を閉ざすが、ややあって笑って見せる。
「やりましょう」
ヨシナリが応射してきたタイミングでマルメルが飛び出して突撃銃を連射。
この変調は想定内であっても対処に思考を割かれるはずだ。 そこを突く。
ヨシナリの連射が途切れるが、即座に射撃が再開される。 センドウが即座に居場所を捉え、狙いを付けて狙撃。 ライフル弾がヨシナリの居るであろう場所を射抜く――が、仕留めてない。
霧の向こうから何かが突っ込んで来る。 そこをマルメルが突撃銃を連射。
突っ込んで来た機体に次々と命中。 弾丸が機体に食い込む音は岩や樹に当たる音とは違うので直ぐに分かる。 これだけ喰らわせればⅠ型なら大破――していなかった。
「うっそだろ!?」
何でだよと目を凝らすとトルーパーが胴体だけになった機体を盾にして突っ込んで来ていた。
さっきやられた味方機だ。 ヨシナリにしては時間をかけるなと思ったら移動して盾を調達していたらしい。 だったら手足を狙ってやるとマガジンを交換しながら構える。
ヨシナリだったらこの距離なら盾を捨てて突っ込んで来るはずだ。
この読みは彼を良く知っているマルメルならではだった。
回避先を狙うと動きの変調に意識を傾ける。 右か左かと思ったが突っ込んで来た機体は盾を捨てずにそのまま突っ込んで来た。 ここに来て荷物でしかない盾を手放さないのは何故だとも思ったが、捨てないのならこのまま仕留めればいい。
一機はまんまるが仕留め、狙撃手の牽制もしてくれているのでヨシナリは残りの一機に集中できる。
性能差は変わらず、武装にも大きな差はない。 だが、相手の方が中距離戦に慣れているのか、動きがかなり良かった。 無理に狙いに行かず、ばら撒く事でこちらの反応を引き出そうとする動きだ。
中距離戦の経験値がかなり高いプレイヤー。
加えて突撃銃の扱いにかなり慣れている印象がある。 動きに無駄が少ない。
ヨシナリは相手の得意距離に付き合わずに回避に専念しつつ、相手のリロードを狙って応射。
当たった手応えから命中していない。 弾が切れたと同時に障害物に身を隠している。
見事な立ち回りだ。 あらかじめ身を隠す場所に当たりを付けておき、常に優位を取れるようなポジショニング。 誘いに乗った段階で不利な戦いになる事は理解していたが、相手の動きの良さは想定以上だ。
ヨシナリの弾が切れたと同時に相手が撃ち返してくる。
――おかしい。
戦っていて違和感を感じた。 噛み合いすぎる。
攻守の入れ替わりが意図していないにも関わらずターン制のゲームのようにスムーズだ。
中距離戦が得意であの動き。 思い浮かぶ人物が一人しか思い浮かばなかった。
「ここで出くわすのかよ。 マルメル」
――ヨシナリかよ。 やり難いなぁ……。
マルメルはヨシナリとほぼ同時に相手の正体に気が付いた。
ここまで戦い方が噛み合う相手に他に心当たりがなかったので、ほぼ間違いないだろう。
同じチームではない以上、何処かでぶつかる可能性があるとは思っていたが、二回戦で当たるのは想定外だった。 装備構成はほぼ同じ、距離は自分が得意な中距離戦。
「悪いが今回は勝たせて貰うぜ?」
一機やられはしたが、背後には頼りになる狙撃手がいるので、勝ち目は充分にある。
ヨシナリ側の機体も一機仕留めた以上、戦力は同等だが事前に下調べを済ませたので地の利はこちらにあった。 ここはちょっとした岩場で遮蔽物になり、銃弾を防いでくれる盾には事欠かない。
対するヨシナリ側は森を背負っている形になるが、樹では銃弾を完全に止める事は難しい。
視界が明瞭であるなら銃撃で倒して利用するといった使い方も可能だが、この深い霧の中ではそんな曲芸じみた真似はマルメルの技量では無理だ。
そもそもヨシナリ相手に変に捻った事をしても通用しない可能性が高い。
マルメルは相棒の事を完全に理解しているかは少し怪しいが、ある程度は分かっているつもりだった。 ヨシナリ、このゲームで出来た最初の友達。
当初は下手糞で碌に役目を果たせないマルメルに根気強く付き合い、一緒に強くなろうとここまで引っ張り上げてくれた恩人でもある。 彼が居なければマルメルはここまで成長できなかっただろう。
何処か冷めた印象を受けるかもしれないが、負ければ死ぬほど悔しがる熱い奴だ。
そして何よりもこのゲームに真剣に打ち込んでいる。
彼の背中を見ていると自分も頑張ろうといった気持ちにさせてくれるのだ。
元々、マルメルはゲームに対してはもっと気楽に構えていたのだが、ヨシナリを見ていると真剣な気持ちで戦える。
――だから、真剣にヨシナリをぶちのめそう。
それこそが相棒の本気に応えられる唯一の事だと信じているからだ。
付け加えるならここ最近、新メンバーや臨時メンバーが現れた所為でちょっと自分の影が薄くなっているのではないかと思っているので、ここでちょっと強さを見せつけて一番頼りになるのは誰なのかと刻みつけてやりたいとも思っていた。
「相手はあなたのお友達って事で間違いないのね?」
不意に通信が入る。 相手は後衛の狙撃手――センドウだ。
彼女は狙撃手としてだけならヨシナリ以上なので、仲間としては非常に頼りになる。
「はい、俺がヨシナリを見間違う訳ないじゃないっすか」
「そう。 できれば私が仕留めてやりたいのだけれど、今回は譲るわ」
「はは、そりゃどうも。 もう一機の方はどうっすか?」
「動きはいいけど、狙撃手としては粗が多い。 ただ、狙い自体は正確だから遠距離武器自体には慣れている感じ。 ポジショニングも上手いから仕留めるのは少しかかりそうね」
ヨシナリが撃ち返してくる。 弾切れを待って応射。
「って事は俺が仕留めりゃ勝ちって事ですね」
「えぇ、でも急いで。 彼、何か企んでるみたいよ?」
「でしょうね。 ちなみに何かわかります?」
見えないので位置ぐらいしか分からない。
「仲間と合流しようとしてる。 何をしようとしてるか分からないけど、止めさせた方がいいと思うけど?」
「ってもこの状況で下手に突っ込むとこっちがやられそうなんですけど……」
センドウは少し沈黙。 何かを考えているようだ。
「少し危ないけどあなたのお友達を先に仕留めましょう。 次に仕掛けてきた時に合わせて撃ち合いなさい。 そこを私が仕掛けて崩すわ」
「はは、正面から殴り合えって事っすか」
「できない?」
マルメルは少し口を閉ざすが、ややあって笑って見せる。
「やりましょう」
ヨシナリが応射してきたタイミングでマルメルが飛び出して突撃銃を連射。
この変調は想定内であっても対処に思考を割かれるはずだ。 そこを突く。
ヨシナリの連射が途切れるが、即座に射撃が再開される。 センドウが即座に居場所を捉え、狙いを付けて狙撃。 ライフル弾がヨシナリの居るであろう場所を射抜く――が、仕留めてない。
霧の向こうから何かが突っ込んで来る。 そこをマルメルが突撃銃を連射。
突っ込んで来た機体に次々と命中。 弾丸が機体に食い込む音は岩や樹に当たる音とは違うので直ぐに分かる。 これだけ喰らわせればⅠ型なら大破――していなかった。
「うっそだろ!?」
何でだよと目を凝らすとトルーパーが胴体だけになった機体を盾にして突っ込んで来ていた。
さっきやられた味方機だ。 ヨシナリにしては時間をかけるなと思ったら移動して盾を調達していたらしい。 だったら手足を狙ってやるとマガジンを交換しながら構える。
ヨシナリだったらこの距離なら盾を捨てて突っ込んで来るはずだ。
この読みは彼を良く知っているマルメルならではだった。
回避先を狙うと動きの変調に意識を傾ける。 右か左かと思ったが突っ込んで来た機体は盾を捨てずにそのまま突っ込んで来た。 ここに来て荷物でしかない盾を手放さないのは何故だとも思ったが、捨てないのならこのまま仕留めればいい。
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