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第393話
――訳が分からない。
ヨシナリはフィールドの中央で始まった二機の戦いを見てそう思った。
片方はラーガスト。 もう片方は最大望遠で姿を確認すると球体に人型の上半身が埋まっているという異様な機体。 間違いなくジェネシスフレームで、ラーガスト相手に単騎で相対している点からもSランクプレイヤーである事は明らかだ。
それ以前にラーガストがエネルギーウイングを最初から四基使っている時点で強敵なのは間違いない。
エイコサテトラが凄まじいスピードで切り込むが、敵機は周囲に浮遊している球体を用いて防御。
ブレードを謎の球体が完全に受け止めている。 防御されたと同時にラーガストがエネルギーウイング噴かして回避。 一瞬後に他の球体が点滅するように瞬くと足元の水――恐らくは海水が蒸発し、弾け飛ぶ。
僅かな時間だが、水が完全に吹き飛んで底が見えていた。
とんでもない威力だ。 何よりも攻撃が通常の方法で観測できないのが問題だ。
空間情報に変動があったので恐らくは侵攻戦のボスエネミーが使っていた例のサイコキネシスに近い攻撃だろう。 最近見たばかりと言う事もあって当然のように使って来るのかと思ってしまった。
二機のトルーパーは周囲の被害を避ける為なのか、攻撃の応酬を行いながら一気に戦場から離脱していく。 一先ずはあの戦いに巻き込まれる事はないのだろうが、終わったら勝った方が戻って来るのかと考えるとラーガストに戻ってきて欲しいと祈る事しかできなかった。
嵐が去ったと判断したのかフランス側から無数の敵機が飛んでくる。
射程に入ったと同時にエネルギー系の武装を持った機体が次々と攻撃を開始――しようしたが、それよりも早く敵機の頭上を飛び越えて無数のエネルギー弾や、レールキャノンの弾体が飛翔。
何処を狙ってるんだと思ったが、一瞬後に理解した。
飛んで来た弾は空中のある地点でいきなり角度を変えてこちらに飛んで来からだ。
それだけでは飽き足らず、レーザーが何かに反射するように何度も屈折を繰り返して飛んでくる。
気づいたプレイヤー達は回避、または防御姿勢を取るが、間に合わなかった機体は次々と直撃を受けて大破。
「何をされたんだよ!?」
シックスセンスで解析し、即座に看破。
どうやら敵機は移動しながら途中に中継用のドローンをばら撒いているようだ。
次にドローンを解析。 どうやら命中したエネルギー兵器の威力を増幅するらしい。
――それでこっちに届くのか。
じゃあ何で実弾兵器も届くんだよという疑問もそのドローンの特性にあった。
二種類居て、半分は命中した実体弾の運動エネルギーを増幅するようだ。
とんでもない代物だった。 中継できるのであれば実質、射程が無限になるからだ。
対策できていない点から日本側にこの手の反射兵器に対する備えはない。
つまり、これから一方的に撃たれ続ける事となる。
橋の上と空中では先行した友軍が戦闘を開始。 結果論ではあるが、先行した者達が正しかった事になる。
『どうするよ?』
不意にマルメルからの通信。 ヨシナリはシックスセンスで戦場を俯瞰する。
こうなってしまえば取れる手はそう多くない。
――まぁ、元々あんまり乗り気じゃなかったしちょうどいいか。
「俺達も突っ込もう。 ここに居ても撃たれるだけだからな」
『いいねぇ。 空中戦に混ざるのか?』
「折角だし敵地に殴り込もうぜ」
ドローンを操っている連中を始末できるなら戦況的にも悪くないだろう。
『そう言う事ならウチらはお先に行かせて貰うわ!』
『あ、私も一緒に行くんですね……』
話を聞いていたのかふわわとシニフィエが橋を渡り始めていた。
動き出しの早さから最初から突っ込む気だったようだ。
『あの、先輩。 俺は――』
『お前は俺と一緒に来い!』
『うっす、分かりました』
ホーコートもマルメルに引っ張られる形で移動を開始。
『わ、私はドローンを破壊できるか試してみる』
「お願いします。 俺も行くので何かあれば連絡を」
『分かった』
最後にグロウモスと簡単に言葉を交わし『星座盤』の方針は決定した。
ヨシナリは機体を変形させて真っすぐに敵陣へと向かう。
胸中にあるのは作戦が破綻した事よりも面白くなってきたという謎の期待感だった。
日本側で真っ先に斬り込んだ機体が正面に居たエンジェルタイプを持っていたハンマーで叩き潰す。
――最初から守る事を考えるとか馬鹿なのか?
赤黒い機体――プルガトリオを操るユウヤは内心でそう思っていた。
現在地は橋の中央。 そろそろ折り返しといった位置だったが、同様に突っ込んで来ていた敵機と接触し、交戦を開始した。 スラスターの噴射に合わせて加速し、歩幅を大きく伸ばす事で相手のタイミングをずらすテクニックを用いて先頭のエンジェルタイプを仕留めた所だった。
後続の機体が取り囲むように散開しようとしたが、それよりも早く跳躍して死角に回り込もうとしたエンジェルタイプに散弾砲を撃ち込む。 Bランク以上のプレイヤーだ。
そんな単調な攻撃には当たってやらないとばかりにエネルギーウイングを噴かして急旋回。
散弾を躱したのだが、ガクリと機体が何かに引っ張られたかのように止まる。
いつの間にかプルガトリオの腕から伸びていた鞭が絡みついていたのだ。
放電。 足から流れた高圧電流が敵機の機能を一時的に麻痺させる。
囚われた味方を解放しようと他の機体が持っていた携行武器を構えるがそれよりも早くユウヤは鞭を巻き取ると行動不能にした敵機を引き寄せて盾にする。
エネルギー弾や実体弾が次々と盾に命中して破壊し、使い物にならなくなったと同時にユウヤは盾を投げ捨て、橋の欄干を蹴って急上昇。 敵機の照準をスラスターの噴射を調整する事で微妙に狂わせ、動きに迷いが出た瞬間を狙って飛びつく。 大剣を真っすぐに突き出して串刺しにし、他の機体に散弾砲を撃ち込む。
「思った以上に大した事ねぇ――」
ユウヤはそんな事を呟いたが串刺しにした機体を蹴って反転。
僅かに遅れて巨大な剣がユウヤの居た位置を通り過ぎる。
『単騎で正面から突っ込んで来た度胸は買いましょう。 ですが、無謀と蛮勇を履き違えてはいませんか? だとしたらこの私、エドゥルネと我が機体「ツァフキエル=ビナー」がその愚かさを身を以て教えて差し上げましょう』
聞こえるのは少女の声、聞こえた先は前方。
橋の真ん中に居る一際目立つ機体がそうだろう。
「は、ようやくランカーのお出ましか」
ユウヤはそう言って目の前に現れた機体に視線を向けた。
ヨシナリはフィールドの中央で始まった二機の戦いを見てそう思った。
片方はラーガスト。 もう片方は最大望遠で姿を確認すると球体に人型の上半身が埋まっているという異様な機体。 間違いなくジェネシスフレームで、ラーガスト相手に単騎で相対している点からもSランクプレイヤーである事は明らかだ。
それ以前にラーガストがエネルギーウイングを最初から四基使っている時点で強敵なのは間違いない。
エイコサテトラが凄まじいスピードで切り込むが、敵機は周囲に浮遊している球体を用いて防御。
ブレードを謎の球体が完全に受け止めている。 防御されたと同時にラーガストがエネルギーウイング噴かして回避。 一瞬後に他の球体が点滅するように瞬くと足元の水――恐らくは海水が蒸発し、弾け飛ぶ。
僅かな時間だが、水が完全に吹き飛んで底が見えていた。
とんでもない威力だ。 何よりも攻撃が通常の方法で観測できないのが問題だ。
空間情報に変動があったので恐らくは侵攻戦のボスエネミーが使っていた例のサイコキネシスに近い攻撃だろう。 最近見たばかりと言う事もあって当然のように使って来るのかと思ってしまった。
二機のトルーパーは周囲の被害を避ける為なのか、攻撃の応酬を行いながら一気に戦場から離脱していく。 一先ずはあの戦いに巻き込まれる事はないのだろうが、終わったら勝った方が戻って来るのかと考えるとラーガストに戻ってきて欲しいと祈る事しかできなかった。
嵐が去ったと判断したのかフランス側から無数の敵機が飛んでくる。
射程に入ったと同時にエネルギー系の武装を持った機体が次々と攻撃を開始――しようしたが、それよりも早く敵機の頭上を飛び越えて無数のエネルギー弾や、レールキャノンの弾体が飛翔。
何処を狙ってるんだと思ったが、一瞬後に理解した。
飛んで来た弾は空中のある地点でいきなり角度を変えてこちらに飛んで来からだ。
それだけでは飽き足らず、レーザーが何かに反射するように何度も屈折を繰り返して飛んでくる。
気づいたプレイヤー達は回避、または防御姿勢を取るが、間に合わなかった機体は次々と直撃を受けて大破。
「何をされたんだよ!?」
シックスセンスで解析し、即座に看破。
どうやら敵機は移動しながら途中に中継用のドローンをばら撒いているようだ。
次にドローンを解析。 どうやら命中したエネルギー兵器の威力を増幅するらしい。
――それでこっちに届くのか。
じゃあ何で実弾兵器も届くんだよという疑問もそのドローンの特性にあった。
二種類居て、半分は命中した実体弾の運動エネルギーを増幅するようだ。
とんでもない代物だった。 中継できるのであれば実質、射程が無限になるからだ。
対策できていない点から日本側にこの手の反射兵器に対する備えはない。
つまり、これから一方的に撃たれ続ける事となる。
橋の上と空中では先行した友軍が戦闘を開始。 結果論ではあるが、先行した者達が正しかった事になる。
『どうするよ?』
不意にマルメルからの通信。 ヨシナリはシックスセンスで戦場を俯瞰する。
こうなってしまえば取れる手はそう多くない。
――まぁ、元々あんまり乗り気じゃなかったしちょうどいいか。
「俺達も突っ込もう。 ここに居ても撃たれるだけだからな」
『いいねぇ。 空中戦に混ざるのか?』
「折角だし敵地に殴り込もうぜ」
ドローンを操っている連中を始末できるなら戦況的にも悪くないだろう。
『そう言う事ならウチらはお先に行かせて貰うわ!』
『あ、私も一緒に行くんですね……』
話を聞いていたのかふわわとシニフィエが橋を渡り始めていた。
動き出しの早さから最初から突っ込む気だったようだ。
『あの、先輩。 俺は――』
『お前は俺と一緒に来い!』
『うっす、分かりました』
ホーコートもマルメルに引っ張られる形で移動を開始。
『わ、私はドローンを破壊できるか試してみる』
「お願いします。 俺も行くので何かあれば連絡を」
『分かった』
最後にグロウモスと簡単に言葉を交わし『星座盤』の方針は決定した。
ヨシナリは機体を変形させて真っすぐに敵陣へと向かう。
胸中にあるのは作戦が破綻した事よりも面白くなってきたという謎の期待感だった。
日本側で真っ先に斬り込んだ機体が正面に居たエンジェルタイプを持っていたハンマーで叩き潰す。
――最初から守る事を考えるとか馬鹿なのか?
赤黒い機体――プルガトリオを操るユウヤは内心でそう思っていた。
現在地は橋の中央。 そろそろ折り返しといった位置だったが、同様に突っ込んで来ていた敵機と接触し、交戦を開始した。 スラスターの噴射に合わせて加速し、歩幅を大きく伸ばす事で相手のタイミングをずらすテクニックを用いて先頭のエンジェルタイプを仕留めた所だった。
後続の機体が取り囲むように散開しようとしたが、それよりも早く跳躍して死角に回り込もうとしたエンジェルタイプに散弾砲を撃ち込む。 Bランク以上のプレイヤーだ。
そんな単調な攻撃には当たってやらないとばかりにエネルギーウイングを噴かして急旋回。
散弾を躱したのだが、ガクリと機体が何かに引っ張られたかのように止まる。
いつの間にかプルガトリオの腕から伸びていた鞭が絡みついていたのだ。
放電。 足から流れた高圧電流が敵機の機能を一時的に麻痺させる。
囚われた味方を解放しようと他の機体が持っていた携行武器を構えるがそれよりも早くユウヤは鞭を巻き取ると行動不能にした敵機を引き寄せて盾にする。
エネルギー弾や実体弾が次々と盾に命中して破壊し、使い物にならなくなったと同時にユウヤは盾を投げ捨て、橋の欄干を蹴って急上昇。 敵機の照準をスラスターの噴射を調整する事で微妙に狂わせ、動きに迷いが出た瞬間を狙って飛びつく。 大剣を真っすぐに突き出して串刺しにし、他の機体に散弾砲を撃ち込む。
「思った以上に大した事ねぇ――」
ユウヤはそんな事を呟いたが串刺しにした機体を蹴って反転。
僅かに遅れて巨大な剣がユウヤの居た位置を通り過ぎる。
『単騎で正面から突っ込んで来た度胸は買いましょう。 ですが、無謀と蛮勇を履き違えてはいませんか? だとしたらこの私、エドゥルネと我が機体「ツァフキエル=ビナー」がその愚かさを身を以て教えて差し上げましょう』
聞こえるのは少女の声、聞こえた先は前方。
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