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第407話
マルメルは機体を一気に加速させる。
僅かに遅れて一瞬前まで彼の機体が居た場所に銃弾が突き刺さった。
タイミングを外す事で狙撃を躱したのだ。
――よし、タイミングが合って来たな。
現在、彼はグロウモスとの模擬戦中だ。 マルメルは先日のサーバー対抗戦を思い返す。
ミスはなかったと思いたい。 少なくとも連携に関してはしっかりと機能していたと言える。
なら何故、グリゼルダ相手に勝ち切れなかったのか?
相手がSランクだったから?
それはあるかもしれないと思うが、ヨシナリはそうは思わないだろう。
足りなかったのは個々の実力。 あの結果になった原因は非常に単純で自分達の実力不足だろう。
マルメルもそれは理解していたのでこうしてたまたま居たグロウモスに模擬戦を頼む事にしたのだ。
これまでに何度か模擬戦を行ってきた相手で実を言うと相性が余り良くないので苦手な相手ではあったが、苦手であるからこそこうして積極的に挑んでそれを払拭していくべきだと思っていた。
彼の機体――アウグストはヨシナリによって大幅な改修を施されたがまだ足りない。
機体に不満はない。 問題はその性能を100%引き出せていない自分自身の技量の低さだ。
手っ取り早く技量を上げるには経験を積むのが早道。 そしてそこから問題を洗い出して改善、反映だ。 それが彼が親友から教わった哲学。
マルメルはそれを心から信じていた。 だから、今日も戦い、経験を重ねる。
意識を戦闘に戻す。 グロウモスの位置は不明。
今のアウグストのセンサーシステムでは発見は困難だが、さっき撃ってきたので大雑把な方角は分かる。 グロウモスを仕留めるにはある程度接近する必要があった。
これは必須と言える。 だが、彼女の機体も大幅に強化されているので簡単に接近させてくれない。
相手の位置を一方的に把握して刺してくるのは彼女の得意な勝ちパターンだ。
追いつくには真っすぐ向かう必要があるが、『星座盤』の中でもマルメルの機体は鈍足の部類なのでそういった意味でも相性は悪かった。
――やるか。
マルメルは両腕のハンドレールキャノンを展開。 弾体をセット。
エネルギーをチャージ。 二連射はかなり危険ではあるが、これぐらいのリスクを負わないと勝ちには届かない。 タイミングは相手が撃ってきたと同時。
散々、喰らってきた事もあってグロウモスの撃ちこんで来るタイミングは何となく分かるようになってきた。
彼女は一度撃った後、少しのタイムラグがある。 理由は撃った後、即座に移動するからだ。
そして移動先はさっきとは全く違う角度かつ、こちらから死角になる位置から。
以上の二点を意識しておけば何となくどの方角から飛んでくるのかは何となく分かる。
――来る。
レールガンが建物を貫通してマルメルに襲い掛かるが、際どい所で回避。
だが、完全に躱しきれずに肩にマウントしていた突撃銃が半ばで砕けた。
内心で小さく舌打ちしながら、左のハンドレールキャノンを構えて発射。
特に狙っていない。 飛んで来た方向に当たりを付けて適当に撃ち返した。
基本的にグロウモスは市街地など、建物の多いフィールドなら屋上に陣取り、山などが多い所では山頂などの高所。 それが難しい場合は遮蔽物に身を隠しながら座射で狙いに来る。
今回の市街地ステージの場合はビルの屋上。 飛んで来た角度的にも間違いない。
急上昇。 街を俯瞰する。 熱源やレーダーに映らなくても、こちらには高感度の動体センサーが付いているので上からなら発見は比較的ではあるが容易だった。
タイミング的にポジショニングの最中だろう。 尻尾を見せろ。
センサー感度を全開にして探すが反応がない。 どういう事だ?
思考時間は僅か。 だが、その一瞬で何が起こったのかを看破した。
ビルの屋上にフォーカス。
そこには巨大な狙撃銃――スコーピオン・アンタレスを構えたグロウモスの姿。
既にマルメルに狙いを付けていた。 彼女はその場から動いていなかったのだ。
「外してくるとかありかよ!?」
発射。 普段の彼ならここで諦める所だろうが、マルメルは咄嗟に強化装甲をパージして身を軽くし、エネルギーウイングを噴かして急降下。 逃げる為ではなくグロウモスに向けて突っ込む為だ。
一気に肉薄しながら右のハンドレールキャノンを構える。 グロウモスも逃げずに次弾を装填。
銃身がバチバチと放電。 どうやら真っ向勝負に出るようだ。
――面白ぇ!
有効射程という意味では既に捉えているが当てるにはもう少し近寄りたい。
だが、グロウモスはそれを許してくれそうもなかった。
つまりここで勝負に出る必要があった。 構えて狙いを付ける。
一応、前に使っていたのに比べれば命中精度は大きく向上しているが、未だに命中率は安定しない。
だが、ここで当てれば勝てる。 発射は同時。
マルメルの一射はグロウモスのスコーピオン・アンタレスと片腕を捉えて抉り取る。
だが、グロウモスの一撃はマルメルの胴体に風穴を開けた。
――クソ。
マルメルが敗北を悟ったと同時に機体が爆散。 試合終了となった。
「――だぁ! クソ、負けた負けた!」
「お、お疲れ」
「あ、ども。 お疲れっす」
グロウモスは無言でウインドウを可視化してさっきの試合映像を流す。
感想戦だ。 ヨシナリの影響なのか『星座盤』のメンバーは自然と感想戦を行うようになっていた。
あれこれとお互いの動きと問題点を指摘し合う。 具体的には有利な状況になった場合、何故それが出来たのかの確認だ。 理由としては有利な立ち回りができるという事は相手側にとっては不利な状況になっているので、何故そうなったのかを知れれば改善の糸口になる。
「あ、もうこの時点で捕捉されたのか」
「も、森とか山岳地帯ならもうちょっとかかるけど、市街地ならかなり早めに捕捉できるから開始から直ぐに見つかってると判断した方がいい」
「あー、だとしたら速攻をかけた方がいい感じですかね」
「ま、マルメルの機体は直線加速は凄いけど、小回りは利かないからそう動いたら躱せない場所まで誘導して一撃入れる。 だから、速攻をかけるにしても一工夫は要るかも……」
マルメルはなるほどとグロウモスの話に耳を傾けつつ脳内のメモ帳にガリガリと記載。
彼は客観的に自身を見る事があまり得意ではないので他者からの指摘は非常に有用だ。
その為、真剣に話を聞いていた。 そうする事で更に強くなれると信じて。
僅かに遅れて一瞬前まで彼の機体が居た場所に銃弾が突き刺さった。
タイミングを外す事で狙撃を躱したのだ。
――よし、タイミングが合って来たな。
現在、彼はグロウモスとの模擬戦中だ。 マルメルは先日のサーバー対抗戦を思い返す。
ミスはなかったと思いたい。 少なくとも連携に関してはしっかりと機能していたと言える。
なら何故、グリゼルダ相手に勝ち切れなかったのか?
相手がSランクだったから?
それはあるかもしれないと思うが、ヨシナリはそうは思わないだろう。
足りなかったのは個々の実力。 あの結果になった原因は非常に単純で自分達の実力不足だろう。
マルメルもそれは理解していたのでこうしてたまたま居たグロウモスに模擬戦を頼む事にしたのだ。
これまでに何度か模擬戦を行ってきた相手で実を言うと相性が余り良くないので苦手な相手ではあったが、苦手であるからこそこうして積極的に挑んでそれを払拭していくべきだと思っていた。
彼の機体――アウグストはヨシナリによって大幅な改修を施されたがまだ足りない。
機体に不満はない。 問題はその性能を100%引き出せていない自分自身の技量の低さだ。
手っ取り早く技量を上げるには経験を積むのが早道。 そしてそこから問題を洗い出して改善、反映だ。 それが彼が親友から教わった哲学。
マルメルはそれを心から信じていた。 だから、今日も戦い、経験を重ねる。
意識を戦闘に戻す。 グロウモスの位置は不明。
今のアウグストのセンサーシステムでは発見は困難だが、さっき撃ってきたので大雑把な方角は分かる。 グロウモスを仕留めるにはある程度接近する必要があった。
これは必須と言える。 だが、彼女の機体も大幅に強化されているので簡単に接近させてくれない。
相手の位置を一方的に把握して刺してくるのは彼女の得意な勝ちパターンだ。
追いつくには真っすぐ向かう必要があるが、『星座盤』の中でもマルメルの機体は鈍足の部類なのでそういった意味でも相性は悪かった。
――やるか。
マルメルは両腕のハンドレールキャノンを展開。 弾体をセット。
エネルギーをチャージ。 二連射はかなり危険ではあるが、これぐらいのリスクを負わないと勝ちには届かない。 タイミングは相手が撃ってきたと同時。
散々、喰らってきた事もあってグロウモスの撃ちこんで来るタイミングは何となく分かるようになってきた。
彼女は一度撃った後、少しのタイムラグがある。 理由は撃った後、即座に移動するからだ。
そして移動先はさっきとは全く違う角度かつ、こちらから死角になる位置から。
以上の二点を意識しておけば何となくどの方角から飛んでくるのかは何となく分かる。
――来る。
レールガンが建物を貫通してマルメルに襲い掛かるが、際どい所で回避。
だが、完全に躱しきれずに肩にマウントしていた突撃銃が半ばで砕けた。
内心で小さく舌打ちしながら、左のハンドレールキャノンを構えて発射。
特に狙っていない。 飛んで来た方向に当たりを付けて適当に撃ち返した。
基本的にグロウモスは市街地など、建物の多いフィールドなら屋上に陣取り、山などが多い所では山頂などの高所。 それが難しい場合は遮蔽物に身を隠しながら座射で狙いに来る。
今回の市街地ステージの場合はビルの屋上。 飛んで来た角度的にも間違いない。
急上昇。 街を俯瞰する。 熱源やレーダーに映らなくても、こちらには高感度の動体センサーが付いているので上からなら発見は比較的ではあるが容易だった。
タイミング的にポジショニングの最中だろう。 尻尾を見せろ。
センサー感度を全開にして探すが反応がない。 どういう事だ?
思考時間は僅か。 だが、その一瞬で何が起こったのかを看破した。
ビルの屋上にフォーカス。
そこには巨大な狙撃銃――スコーピオン・アンタレスを構えたグロウモスの姿。
既にマルメルに狙いを付けていた。 彼女はその場から動いていなかったのだ。
「外してくるとかありかよ!?」
発射。 普段の彼ならここで諦める所だろうが、マルメルは咄嗟に強化装甲をパージして身を軽くし、エネルギーウイングを噴かして急降下。 逃げる為ではなくグロウモスに向けて突っ込む為だ。
一気に肉薄しながら右のハンドレールキャノンを構える。 グロウモスも逃げずに次弾を装填。
銃身がバチバチと放電。 どうやら真っ向勝負に出るようだ。
――面白ぇ!
有効射程という意味では既に捉えているが当てるにはもう少し近寄りたい。
だが、グロウモスはそれを許してくれそうもなかった。
つまりここで勝負に出る必要があった。 構えて狙いを付ける。
一応、前に使っていたのに比べれば命中精度は大きく向上しているが、未だに命中率は安定しない。
だが、ここで当てれば勝てる。 発射は同時。
マルメルの一射はグロウモスのスコーピオン・アンタレスと片腕を捉えて抉り取る。
だが、グロウモスの一撃はマルメルの胴体に風穴を開けた。
――クソ。
マルメルが敗北を悟ったと同時に機体が爆散。 試合終了となった。
「――だぁ! クソ、負けた負けた!」
「お、お疲れ」
「あ、ども。 お疲れっす」
グロウモスは無言でウインドウを可視化してさっきの試合映像を流す。
感想戦だ。 ヨシナリの影響なのか『星座盤』のメンバーは自然と感想戦を行うようになっていた。
あれこれとお互いの動きと問題点を指摘し合う。 具体的には有利な状況になった場合、何故それが出来たのかの確認だ。 理由としては有利な立ち回りができるという事は相手側にとっては不利な状況になっているので、何故そうなったのかを知れれば改善の糸口になる。
「あ、もうこの時点で捕捉されたのか」
「も、森とか山岳地帯ならもうちょっとかかるけど、市街地ならかなり早めに捕捉できるから開始から直ぐに見つかってると判断した方がいい」
「あー、だとしたら速攻をかけた方がいい感じですかね」
「ま、マルメルの機体は直線加速は凄いけど、小回りは利かないからそう動いたら躱せない場所まで誘導して一撃入れる。 だから、速攻をかけるにしても一工夫は要るかも……」
マルメルはなるほどとグロウモスの話に耳を傾けつつ脳内のメモ帳にガリガリと記載。
彼は客観的に自身を見る事があまり得意ではないので他者からの指摘は非常に有用だ。
その為、真剣に話を聞いていた。 そうする事で更に強くなれると信じて。
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