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第408話
各々が自らを高める為に日々を過ごしていた。
次回のイベント通知は未だに来ていない。 そんなある日の事だ。
「――はい、そろそろ『星座盤』内で割とガチ目な模擬戦を行いたいと思います」
不意にヨシナリがそんな事を言い出した。
それを聞いて揃っていたメンバー達は思わず顔を見合わせる。
「唐突にどうしたんだ?」
「イベントのローテーション的に次はユニオン対抗戦だ。 ユウヤ、ベリアルには声をかけているが、現状は返事待ちなので来るかは何とも言えない。 その為、俺達は互いの練度を高めると同時にどれだけ強くなったのかを把握しておく必要がある」
今回はシニフィエ、ホーコートの二人が居るので最初の段階で半分以上が埋まっている状態だ。
それにユウヤかベリアル、もしくは両方が加われば枠は七、八機分埋まる。
一応、全員揃う事を前提に二人ほど募集しようかとも考えたが、『星座盤』の現状を考えるとノイズになるかもしれないので少し悩んでいた。 グロウモスと同等のプレイヤーが来てくれればありがたいが、そんな幸運は何度も続かない。
「それと募集かけようか迷ってるんだけどどうする? やるんだったら二枠だけど……」
ヨシナリとしては追加の戦力は欲しいが、枠が半分埋まったので無理に知らない相手を増やすのもどうだろうといった思考もあっての質問だった。
「強い奴が来てくれるかもしれないから有りだと思う。 来なきゃこの面子で行けばいいだろ」
「そやねー。 居るだけでも何かの足しにはなるんやない?」
「お義兄さんにお任せします」
「同じく」
メンバーとしては募集はありのようだ。
協調性のない奴だったら囮にでもして――そこでふと内心で首を傾げる。
妙な既視感を感じたからだ。 記憶を探ったが何も思い出せなかったのでまぁいいかと流す。
とりあえずだが、枠二つで募集をかけるとしよう。 来るかは望み薄だが。
「そんな事よりヨシナリ君。 ガチ目な感じでやるって事やけどどんな感じにするん?」
「あぁ、俺、マルメル、ふわわさん、グロウモスさんで総当たり。 シニフィエとホーコートで一戦って考えてます。 機体のスペック差がモロに出るんでこっちに混ぜるにはまだ早いですね。 そんな訳で悪いんですけど別枠って扱いにしてます」
それを聞いてふわわは嬉しそうに笑う。
「楽しみやわぁ。 ヨシナリ君とはイーブンやからそろそろ勝ち越しときたいって思っててん」
「そうですか? このままでいたら負けずに済んだかもしれませんよ?」
「言うやん。 いつやるの? えぇ声で泣かしたるわ」
「二日後ぐらいを予定しています。 その間にお互いに対策を練っておきましょう。 あ、ふわわさんは俺に負けた時の為に涙を拭くハンカチでも用意したらどうです?」
ヨシナリとふわわは楽しそうに笑う。
お互いがお互いを叩き潰したくて仕方がないといった様子だ。
「ま、取り敢えず各自準備を怠らないように。 俺からは以上です。 他に何かありますか?」
誰も何も言わない。 どうやら話は終わったようだ。
「はい、では解散。 明後日を楽しみにしてますよ」
そう言ってヨシナリは早々に姿を消し、ふわわは自室に引っ込んだ。
マルメルはどうしたものかと考える。 ヨシナリ、ふわわ、グロウモス。
三人とも自分よりも格上なのだ。 対策をしっかりと練っておかないとあっさり負ける。
うーんと唸っていると肩を小さく叩かれた。
何だと振り返るとシニフィエだ。 声をかけてくるとは珍しいと首を傾げる。
「どうかした?」
「えっとですね。 お義兄さんと姉はいつもあんな感じなんですか?」
質問を聞いてあぁと納得した。
「まぁ、対戦するぞって話になったらあんな感じだな。 仲自体は悪くないんだが、お互いをライバル視しているのか、勝負になるとマジで殺しに行くから見てておっかねぇよ」
二人ともそれを楽しんでいる節があるのでマルメルからすれば真似できない関係性だった。
シニフィエはそれを聞いて納得したように頷く。
「なるほどー。 姉が気に入る訳です。 やはりお義兄さんにはウチの道場に来て貰わないと……」
いや、何か理由を付けて誘い込むか?
そんな物騒な事を呟いているシニフィエからマルメルはそっと目を逸らす。
段々とヨシナリの人間関係が凄い事になっているなと思ってはいたが、マルメルとしては自分もここでちょっといい所を見せたいと思っているので真剣に勝ちに行きますかと気合を入れた。
二日というのは思った以上に早く経過し『星座盤』の内部模擬戦当日となった。
「はい、では前置きはもう要らないと思うのでさくっと始めたいと思います。 まずは一戦目はシニフィエ対ホーコート。 二人とも頑張ってくれ!」
「了解です。 前座として場を温めさせてもらいますよ」
「うっす。 今度こそ勝つ!」
二人が前に出てそのままヨシナリが用意したトレーニングルームへと移動。
ステージはデフォルトの市街地。 可視化されたウインドウの向こうで二人の機体がマップの東西に出現する。
シニフィエの機体は相変わらずの腕にガントレットのような追加装甲とスラスター。
腰には手裏剣を入れているであろうポーチ。 背のハードポイントには棒状の近接武器。
「ロッド? 相変わらず打撃に特化してるな」
「あの子、ウチの財布をなんやと思ってるんやろ……」
どうやらまたふわわが何かを買わされたようだ。
対するホーコートの機体は両肩のハードポイントに突撃銃と散弾銃。
腰にはグレネードとエネルギーブレードに予備のマガジン。
こちらはあまり変化がない。 恐らくは例のチートとの兼ね合いで大きく武装を弄れないのだろう。
「どう見る?」
「まぁ、これまでの戦績を見るとシニフィエだな」
「ホーコート君がどの程度ズルに頼らなくなったかで変わってくると思うけど、今の所はちょーっと望み薄やね」
「わ、私もそう思う」
全員一致でシニフィエの勝利は動かないと思われている。
正直、ヨシナリとしても現状でホーコートがシニフィエに勝つのは難しいだろうと思っていた。
だから、個人的にはチート頼みではなく、彼のプレイヤーとしての成長が見られる事を期待している。 そういった意味でもヨシナリはこの試合を楽しみにしていた。
試合開始。 ホーコートは真っ先に上を取りに行き、シニフィエは動かない。
恐らくは出方を窺うつもりのようだ。
次回のイベント通知は未だに来ていない。 そんなある日の事だ。
「――はい、そろそろ『星座盤』内で割とガチ目な模擬戦を行いたいと思います」
不意にヨシナリがそんな事を言い出した。
それを聞いて揃っていたメンバー達は思わず顔を見合わせる。
「唐突にどうしたんだ?」
「イベントのローテーション的に次はユニオン対抗戦だ。 ユウヤ、ベリアルには声をかけているが、現状は返事待ちなので来るかは何とも言えない。 その為、俺達は互いの練度を高めると同時にどれだけ強くなったのかを把握しておく必要がある」
今回はシニフィエ、ホーコートの二人が居るので最初の段階で半分以上が埋まっている状態だ。
それにユウヤかベリアル、もしくは両方が加われば枠は七、八機分埋まる。
一応、全員揃う事を前提に二人ほど募集しようかとも考えたが、『星座盤』の現状を考えるとノイズになるかもしれないので少し悩んでいた。 グロウモスと同等のプレイヤーが来てくれればありがたいが、そんな幸運は何度も続かない。
「それと募集かけようか迷ってるんだけどどうする? やるんだったら二枠だけど……」
ヨシナリとしては追加の戦力は欲しいが、枠が半分埋まったので無理に知らない相手を増やすのもどうだろうといった思考もあっての質問だった。
「強い奴が来てくれるかもしれないから有りだと思う。 来なきゃこの面子で行けばいいだろ」
「そやねー。 居るだけでも何かの足しにはなるんやない?」
「お義兄さんにお任せします」
「同じく」
メンバーとしては募集はありのようだ。
協調性のない奴だったら囮にでもして――そこでふと内心で首を傾げる。
妙な既視感を感じたからだ。 記憶を探ったが何も思い出せなかったのでまぁいいかと流す。
とりあえずだが、枠二つで募集をかけるとしよう。 来るかは望み薄だが。
「そんな事よりヨシナリ君。 ガチ目な感じでやるって事やけどどんな感じにするん?」
「あぁ、俺、マルメル、ふわわさん、グロウモスさんで総当たり。 シニフィエとホーコートで一戦って考えてます。 機体のスペック差がモロに出るんでこっちに混ぜるにはまだ早いですね。 そんな訳で悪いんですけど別枠って扱いにしてます」
それを聞いてふわわは嬉しそうに笑う。
「楽しみやわぁ。 ヨシナリ君とはイーブンやからそろそろ勝ち越しときたいって思っててん」
「そうですか? このままでいたら負けずに済んだかもしれませんよ?」
「言うやん。 いつやるの? えぇ声で泣かしたるわ」
「二日後ぐらいを予定しています。 その間にお互いに対策を練っておきましょう。 あ、ふわわさんは俺に負けた時の為に涙を拭くハンカチでも用意したらどうです?」
ヨシナリとふわわは楽しそうに笑う。
お互いがお互いを叩き潰したくて仕方がないといった様子だ。
「ま、取り敢えず各自準備を怠らないように。 俺からは以上です。 他に何かありますか?」
誰も何も言わない。 どうやら話は終わったようだ。
「はい、では解散。 明後日を楽しみにしてますよ」
そう言ってヨシナリは早々に姿を消し、ふわわは自室に引っ込んだ。
マルメルはどうしたものかと考える。 ヨシナリ、ふわわ、グロウモス。
三人とも自分よりも格上なのだ。 対策をしっかりと練っておかないとあっさり負ける。
うーんと唸っていると肩を小さく叩かれた。
何だと振り返るとシニフィエだ。 声をかけてくるとは珍しいと首を傾げる。
「どうかした?」
「えっとですね。 お義兄さんと姉はいつもあんな感じなんですか?」
質問を聞いてあぁと納得した。
「まぁ、対戦するぞって話になったらあんな感じだな。 仲自体は悪くないんだが、お互いをライバル視しているのか、勝負になるとマジで殺しに行くから見てておっかねぇよ」
二人ともそれを楽しんでいる節があるのでマルメルからすれば真似できない関係性だった。
シニフィエはそれを聞いて納得したように頷く。
「なるほどー。 姉が気に入る訳です。 やはりお義兄さんにはウチの道場に来て貰わないと……」
いや、何か理由を付けて誘い込むか?
そんな物騒な事を呟いているシニフィエからマルメルはそっと目を逸らす。
段々とヨシナリの人間関係が凄い事になっているなと思ってはいたが、マルメルとしては自分もここでちょっといい所を見せたいと思っているので真剣に勝ちに行きますかと気合を入れた。
二日というのは思った以上に早く経過し『星座盤』の内部模擬戦当日となった。
「はい、では前置きはもう要らないと思うのでさくっと始めたいと思います。 まずは一戦目はシニフィエ対ホーコート。 二人とも頑張ってくれ!」
「了解です。 前座として場を温めさせてもらいますよ」
「うっす。 今度こそ勝つ!」
二人が前に出てそのままヨシナリが用意したトレーニングルームへと移動。
ステージはデフォルトの市街地。 可視化されたウインドウの向こうで二人の機体がマップの東西に出現する。
シニフィエの機体は相変わらずの腕にガントレットのような追加装甲とスラスター。
腰には手裏剣を入れているであろうポーチ。 背のハードポイントには棒状の近接武器。
「ロッド? 相変わらず打撃に特化してるな」
「あの子、ウチの財布をなんやと思ってるんやろ……」
どうやらまたふわわが何かを買わされたようだ。
対するホーコートの機体は両肩のハードポイントに突撃銃と散弾銃。
腰にはグレネードとエネルギーブレードに予備のマガジン。
こちらはあまり変化がない。 恐らくは例のチートとの兼ね合いで大きく武装を弄れないのだろう。
「どう見る?」
「まぁ、これまでの戦績を見るとシニフィエだな」
「ホーコート君がどの程度ズルに頼らなくなったかで変わってくると思うけど、今の所はちょーっと望み薄やね」
「わ、私もそう思う」
全員一致でシニフィエの勝利は動かないと思われている。
正直、ヨシナリとしても現状でホーコートがシニフィエに勝つのは難しいだろうと思っていた。
だから、個人的にはチート頼みではなく、彼のプレイヤーとしての成長が見られる事を期待している。 そういった意味でもヨシナリはこの試合を楽しみにしていた。
試合開始。 ホーコートは真っ先に上を取りに行き、シニフィエは動かない。
恐らくは出方を窺うつもりのようだ。
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