Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第410話

 四人の総当たりなのでくじ引きで組み合わせを決める事となった。
 組み合わせに番号を振ってそれが表示された球を箱から引く形で決める。
 引いていけば最終的に全ての組み合わせを網羅できるという訳だ。

 番号の詳細としては――
 1.ヨシナリvsマルメル。 2.ヨシナリvsふわわ。 3.ヨシナリvsグロウモス。
 4.マルメルvsふわわ。 5.マルメルvsグロウモス。 6.ふわわvsグロウモス。

 ――となる。

 「ところでその箱どうしたんだ?」
 「昨日買った。 ちなみに引きたい人居る?」

 誰も何も言わないのでヨシナリはじゃあ俺がと箱に手を突っ込んで球を引く。
 引いた番号は――2。 第一戦はヨシナリとふわわの戦いとなる。
 
 「へぇ、いきなりヨシナリ君とかぁ。 泣く準備してきた?」
 「えぇ、準備はしてきましたよ。 ふわわさんを叩きのめして勝鬨を上げる準備をね」

 二人は楽しそうに笑った後、フィールドへと移動した。


 可視化されたウインドウの向こうにヨシナリとふわわの機体が現れる。
 
 「いきなりクライマックスだなぁ。 なぁ、どっちが勝つと思う?」
 
 マルメルが振り返ると他のメンバーはうーんと悩むように小さく唸る。

 「ここはお義兄さんと言いたい所ですが、姉に分があるかと」
 「わ、私はヨシナリだと思う」
 「俺は先輩が勝つと思います!」

 意見が一通り出はしたが、マルメルからすればどちらが勝つかは判断が付かなかった。
 あの恐ろしい太刀による転移を用いた斬撃があり、彼女は徐々にだが使いこなしつつある。
 そんな要因もあってややふわわ寄りだった。 ただ、ヨシナリが何の対策も練らずにここに来るとは思えない。 そういった意味でも読めない戦いだった。

 判断材料が欲しいので機体を確認するとふわわは装備構成に変化なし。
 両肩の野太刀と腰に太刀と小太刀のセットが左右。 腕にはグルーキャノン。
 対するヨシナリの機体だが――少し分かり易い変化があった。

 右肩にマウントされているアシンメトリー、腰にはアトルムとクルックス。
 これまでは左肩には何もなかったのだが、今回は見慣れないものがくっついていた。
 肉厚の大剣がマウントされている。 

 「は? 剣? ヨシナリの奴、ふわわさんとチャンバラするつもりか?」

 だとしたら血迷ったのかと言いたくなる。 

 「大剣? 剣にしては随分と肉厚ですね。 あれでは鈍器です」
 「……あれ? あの剣、どこかで……」

 シニフィエとグロウモスは大剣の形状に首を傾げ、ホーコートは無言で注視。
 マルメルも言われてみれば見た事あるなと思っていたが、思い出す前に戦闘が本格的に始まった。
 初手はヨシナリ。 アシンメトリーの実弾をばら撒きながら接近。

 間合いは中距離よりやや前。 
 恐らくは転移、野太刀の両方に対応できる距離があの間合いなのだろう。 
 当然ながらふわわはそんな間合いの取り方を許す訳もなく、エネルギーウイングを噴かして間合いを潰しに行く。 最初は微妙と言っていたが、ここに来てBランクプレイヤーと比べても遜色ないレベルまで使いこなしているのは彼女の高いセンス故だろう。

 『ヨシナリ君、珍しい物を吊ってるやん。 ウチと斬り合いしてくれるん?』
 『はは、それはどうですかね。 まだ、使いこなせてないので剣としては使うかは何とも』

 ヨシナリはふわわに接近されないように地上に降りてビルを上手く利用して彼女の視線を切る。
 同時にアシンメトリーのエネルギー弾をビル越しに撃ちこむ。

 「うわ、えげつねぇ」

 マルメルは思わず呟き、内心で同時に上手いと思った。
 ビルを盾にふわわの視界を切って、その盾越しに攻撃を仕掛ける。 
 アノマリーよりも高威力なアシンメトリーだからこそできる力技だが、ふわわ相手には有効だった。

 「流石はお義兄さん。 あれでは間合いが測れませんね」

 攻撃のタイミングも秀逸だ。 ふわわとの距離がビル一棟分になったと同時に攻撃、彼女に踏み込ませないように攻撃と同時に後退。 ふわわが攻撃に対するアクションを起こしている間に距離を稼いでる。 追いつかれそうになったらビル越しに一撃。 その繰り返しだ。

 シックスセンスがあるとはいえ、あのふわわから完全に動き出しのタイミングを盗んでいるのは凄まじい。 

 『ヨシナリ君、前以上にやらしい戦い方をするようになったやん』
 『言い方。 ――悪いですけど、半端に時間を与えるとあなたは何をしてくるか分からないのでこうして常に圧をかけ続けさせてもらいますよ。 ほらほら、躱さないと一撃で射抜きますよ』
 『絶対に泣かしたるわ』
 
 ふわわもふわわでヨシナリの射撃の間隔を掴んだのか、躱す姿に徐々にだが余裕が出てきた。
 
 「眼が慣れて来たみたいですね。 姉相手に同じような事をしていると早々に見切られて食い破られますよ」

 躱しながらふわわの野太刀がバチバチと放電している。 どうやら使うつもりのようだ。
 マルメルはふわわの意図に気が付く。 恐らくは攻撃ごと野太刀で切って落とすつもりだ。
 それはヨシナリにも見えているはず。 どうする? 更に距離を取る?

 それとも何か考えているのか? 
 マルメルにはさっぱり分からなかったが、何かを狙っている事だけは分かった。
 動くとしたら次。 見逃さないようにじっと目を凝らす。

 距離がビル一棟分に縮まる。 攻撃のタイミング。
 その時点で野太刀のエネルギー充填は完了しておりふわわは既に手をかけていた。
 振り下ろしが――違う。 野太刀が横向きになっている。
 
 どうやら固定しているアタッチメントを変えて自由に動かせるタイプにしたようだ。
 横薙ぎの一撃が来る。 上手い、マルメルもヨシナリも彼女の野太刀の一撃は基本上から来ると思い込んでいた。 初手から横薙ぎは想定していないはずだ。

 「入る」

 シニフィエが小さく呟く。 マルメルも全くの同意見だ。
 ヨシナリはアシンメトリーを構え――ずに大剣に手をかける。
 このタイミングで剣? 何を考えている? 答えは即座だ。

 ふわわの横薙ぎの一閃がビルごとヨシナリを切断しようと襲い掛かる。
 タイミングは完璧。 完全にホロスコープを捉えており、両断できる軌道だ。
 ふわわの斬撃はビルを豆腐か何かのように切断しながらヨシナリへと届いた。

 ――と同時に半ばで折れ飛んだ。

 「は? 何で?」
 「え? あれで切断できない?」
 「あ、思い出した。 あの剣って確か――」

 ふわわの一閃はヨシナリが盾にした大剣を切断できずに折れ飛んだのだ。
 よくよく見てその正体に思い至り、グロウモスが答えを口にした。

 「――ユウヤのプルガトリオが使っていた大剣」
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