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第411話
ジェネシスフレーム『プルガトリオ』。
その機体が持つ武装群『ジ・アビス』その内の二つを担う大剣。
『イラ』と『スペルビア』。 前者は重量と内部に仕込まれた回転刃による切断。
後者は中心の持ち手を引く事で変形するハンマー形態。
こちらは完全に重量で叩き潰す事を目的とした武装だ。
特にヘッド部分にはエネルギーフィールドを破壊する機能が備わっているので打撃武装としては非常に強力な代物と言える。 だが、その破壊力に目が行きがちだが、この武装には最も特筆するべき点があった。
強度だ。 どんな敵を叩き潰しても傷が付かない、エネルギー兵器を受けても表面が一切焼けない。
ありとあらゆる攻撃に対して非常に高い耐性を誇っているこの大剣は見方によっては鉄壁の盾とも言えるのだ。 事実としてふわわの大抵の物は容易く両断する斬撃に対してもその頑強さは遺憾なく発揮され、彼女の野太刀は屈して折れ飛んだのだから。
「おいおい、マジかよ。 アレ、ジェネシスフレームの専用装備じゃねぇか」
基本的にジェネシスフレームは他機体と規格が全く違うので武器を始め、ほとんどの物が扱えないというのが常識レベルの話だったのだがどうやらあの大剣に限ってはそうでもなかったようだ。
流石にこれは想定していなかったのかふわわが驚きで僅かに固まる。 その僅かな隙を逃さずヨシナリはイラを構えて突っ込む。 野太刀を使った直後なのでジェネレーター出力にはあまり余裕がない。
ここが攻め時と判断しての事だろう。
ふわわが周囲のビルを切断したので視界は良好で、肉薄するには好都合。
「まさかここまで読んでたのか?」
マルメルは相棒の読みの深さに震える。
大剣という隠し玉には驚いたが、驚かせるだけでは済まさないのが相棒の恐ろしい所だ。
『その剣には驚いたけど、まともに扱えるん?』
『どうでしょうね? 一応、練習はして来たんで、見てってくださいよ』
ブースターを全開に噴かしての刺突。 ふわわはサイドステップで回避。
ヨシナリは回避と同じタイミングでエネルギーウイングを噴かして急制動。
刃部分の半ばについている持ち手を引いてハンマーに変形。 リーチは短くなるがその分、コンパクトに振れる。
「そうか。 エネルギーウイング」
シニフィエが何かに気が付いたかのように呟く。
ヨシナリはエネルギーウイングを噴かす事で機体ごと回転。 横薙ぎの一撃を見舞う。
その動きには見覚えがあった。 恐らくはツェツィーリエの戦い方を参考にしたのだろう。
エネルギーウイングを用いての近接戦。 機体ごと獲物を振り回して相手を叩き潰す手法。
彼女の場合は斬撃なのでスピード特化といった印象だったが、ヨシナリの場合はパワーと重量で叩き潰す動きだ。 ただの模倣ではなく自分なりの解釈によって、昇華された彼のオリジナル。
流石にこれは躱せないと判断したのかふわわは肩にマウントした野太刀を外して掴み、ハンマーの一撃をいなす。 飛んでくるヘッド部分の勢いを殺さず、動きの軌道を変えるような流し方は即興とは思えないほどに滑らかだ。 ヨシナリの一撃が空振るが、野太刀が――正確には鞘に亀裂が走る。
野太刀を使った事によるパフォーマンス低下から回復したのか、ふわわは使い物にならなくなった野太刀を投げ捨てながら後退。
「凄い。 姉が下がった」
ふわわがこの間合いで後退する場面はかなり珍しい。
身内であるシニフィエもあまり見た記憶がないレベルだ。
『クソ、やっぱまだ練度が足りなかったか』
『いや、びっくりしたわ。 その剣もやけど、また戦い方が変わってるやん』
『仕留めるつもりだったので外してる時点でまだまだですよ』
ヨシナリは大剣を手放し、アシンメトリーに持ち替えて銃撃。
大剣は柄についているアタッチメントによって自動で肩にマウントされる。
ふわわは素早く太刀と小太刀を抜いて銃弾を片端から切り払う。
「これ、いつ見ても意味分からねぇ……」
ヨシナリは銃撃しながら距離を取ろうとするが、それに合わせてふわわが前進するので距離が開かない。 実弾が切れ、マガジンを輩出しながらエネルギーに切り替えて更に連射。
その間にマガジン交換を行おうとしたが、エネルギー弾は実弾に比べると連射力で劣るのでふわわ相手には時間稼ぎにもならない。 即座に間合いに踏み込まれる。
ヨシナリはアシンメトリーを手放し、待ってましたと言わんばかりにアトルムとクルックスを抜く。
即座にバースト射撃。 ふわわは一太刀で三連射された銃弾を切り払い、もう一歩前へ。
ヨシナリはアトルムとクルックスの銃身の下に着けているエネルギー式の銃剣を起動。
エネルギーの刃が出現。 既にふわわの間合いだ。
太刀による斬撃、下からの斜めに振るわれた刃を銃剣で受ける。
小太刀による刺突。 首を傾けての回避――から腕に着いたアームガンが展開。
『それは前に見てるんだよ!』
ヨシナリは膝でふわわの腕を蹴り上げて狙いを強引に逸らす。
『分かっとるよ』
片足が浮いた所でふわわがヨシナリの胴へと蹴りを入れて吹き飛ばす。
ヨシナリもただで蹴られる訳もなく吹き飛びながらアトルムとクルックスを連射。
小太刀で切り払うが、数発弾いた所で砕けた。 咄嗟に太刀で受けたが、躱しきれずに肩や腹に数発被弾。 だが、戦闘は続行可能なようで気にもしない。
距離が開いた。
「アレが来るな」
マルメルが呟く。
それは正しく、ふわわが鞘に収まったままの太刀に手を添えて小さく腰を落として抜刀の姿勢。
ヨシナリは即座に転移先の座標を割り出して銃撃。 それにより転移を妨害する。
ふわわは構わずに一閃。 柄だけの太刀が抜き放たれた。
同時にヨシナリを囲むように九分割された刃が飛来。 だが、半数は明後日の方向へと飛んでいく。
元々、空間転移はかなりデリケートなもので転移先の空間に何らかの異常――大気の大きな乱れ、エネルギーの残留等があると転移の際、微妙に座標が狂うのだ。 それは繊細な操作が要求される斬撃には致命的。 狙いを狂わされてまともに飛ばなくなる。
だが、それでも残りの半分は狙いを過たずにヨシナリの方へと殺到。
『クソ』
ヨシナリは二挺で撃ち落とせないと判断し、クルックスを手放して両手でアトルムを構えて飛んでくる半数――四つの刃を撃ち落とす。
全て撃ち落としたのは流石と言えるが、ふわわ相手にその隙は命取りだ。
撃ち落とし終えた頃には既にふわわはヨシナリを仕留められる間合い。
『今回はウチの勝ちかな?』
ふわわの手元から刃が迸り――
その機体が持つ武装群『ジ・アビス』その内の二つを担う大剣。
『イラ』と『スペルビア』。 前者は重量と内部に仕込まれた回転刃による切断。
後者は中心の持ち手を引く事で変形するハンマー形態。
こちらは完全に重量で叩き潰す事を目的とした武装だ。
特にヘッド部分にはエネルギーフィールドを破壊する機能が備わっているので打撃武装としては非常に強力な代物と言える。 だが、その破壊力に目が行きがちだが、この武装には最も特筆するべき点があった。
強度だ。 どんな敵を叩き潰しても傷が付かない、エネルギー兵器を受けても表面が一切焼けない。
ありとあらゆる攻撃に対して非常に高い耐性を誇っているこの大剣は見方によっては鉄壁の盾とも言えるのだ。 事実としてふわわの大抵の物は容易く両断する斬撃に対してもその頑強さは遺憾なく発揮され、彼女の野太刀は屈して折れ飛んだのだから。
「おいおい、マジかよ。 アレ、ジェネシスフレームの専用装備じゃねぇか」
基本的にジェネシスフレームは他機体と規格が全く違うので武器を始め、ほとんどの物が扱えないというのが常識レベルの話だったのだがどうやらあの大剣に限ってはそうでもなかったようだ。
流石にこれは想定していなかったのかふわわが驚きで僅かに固まる。 その僅かな隙を逃さずヨシナリはイラを構えて突っ込む。 野太刀を使った直後なのでジェネレーター出力にはあまり余裕がない。
ここが攻め時と判断しての事だろう。
ふわわが周囲のビルを切断したので視界は良好で、肉薄するには好都合。
「まさかここまで読んでたのか?」
マルメルは相棒の読みの深さに震える。
大剣という隠し玉には驚いたが、驚かせるだけでは済まさないのが相棒の恐ろしい所だ。
『その剣には驚いたけど、まともに扱えるん?』
『どうでしょうね? 一応、練習はして来たんで、見てってくださいよ』
ブースターを全開に噴かしての刺突。 ふわわはサイドステップで回避。
ヨシナリは回避と同じタイミングでエネルギーウイングを噴かして急制動。
刃部分の半ばについている持ち手を引いてハンマーに変形。 リーチは短くなるがその分、コンパクトに振れる。
「そうか。 エネルギーウイング」
シニフィエが何かに気が付いたかのように呟く。
ヨシナリはエネルギーウイングを噴かす事で機体ごと回転。 横薙ぎの一撃を見舞う。
その動きには見覚えがあった。 恐らくはツェツィーリエの戦い方を参考にしたのだろう。
エネルギーウイングを用いての近接戦。 機体ごと獲物を振り回して相手を叩き潰す手法。
彼女の場合は斬撃なのでスピード特化といった印象だったが、ヨシナリの場合はパワーと重量で叩き潰す動きだ。 ただの模倣ではなく自分なりの解釈によって、昇華された彼のオリジナル。
流石にこれは躱せないと判断したのかふわわは肩にマウントした野太刀を外して掴み、ハンマーの一撃をいなす。 飛んでくるヘッド部分の勢いを殺さず、動きの軌道を変えるような流し方は即興とは思えないほどに滑らかだ。 ヨシナリの一撃が空振るが、野太刀が――正確には鞘に亀裂が走る。
野太刀を使った事によるパフォーマンス低下から回復したのか、ふわわは使い物にならなくなった野太刀を投げ捨てながら後退。
「凄い。 姉が下がった」
ふわわがこの間合いで後退する場面はかなり珍しい。
身内であるシニフィエもあまり見た記憶がないレベルだ。
『クソ、やっぱまだ練度が足りなかったか』
『いや、びっくりしたわ。 その剣もやけど、また戦い方が変わってるやん』
『仕留めるつもりだったので外してる時点でまだまだですよ』
ヨシナリは大剣を手放し、アシンメトリーに持ち替えて銃撃。
大剣は柄についているアタッチメントによって自動で肩にマウントされる。
ふわわは素早く太刀と小太刀を抜いて銃弾を片端から切り払う。
「これ、いつ見ても意味分からねぇ……」
ヨシナリは銃撃しながら距離を取ろうとするが、それに合わせてふわわが前進するので距離が開かない。 実弾が切れ、マガジンを輩出しながらエネルギーに切り替えて更に連射。
その間にマガジン交換を行おうとしたが、エネルギー弾は実弾に比べると連射力で劣るのでふわわ相手には時間稼ぎにもならない。 即座に間合いに踏み込まれる。
ヨシナリはアシンメトリーを手放し、待ってましたと言わんばかりにアトルムとクルックスを抜く。
即座にバースト射撃。 ふわわは一太刀で三連射された銃弾を切り払い、もう一歩前へ。
ヨシナリはアトルムとクルックスの銃身の下に着けているエネルギー式の銃剣を起動。
エネルギーの刃が出現。 既にふわわの間合いだ。
太刀による斬撃、下からの斜めに振るわれた刃を銃剣で受ける。
小太刀による刺突。 首を傾けての回避――から腕に着いたアームガンが展開。
『それは前に見てるんだよ!』
ヨシナリは膝でふわわの腕を蹴り上げて狙いを強引に逸らす。
『分かっとるよ』
片足が浮いた所でふわわがヨシナリの胴へと蹴りを入れて吹き飛ばす。
ヨシナリもただで蹴られる訳もなく吹き飛びながらアトルムとクルックスを連射。
小太刀で切り払うが、数発弾いた所で砕けた。 咄嗟に太刀で受けたが、躱しきれずに肩や腹に数発被弾。 だが、戦闘は続行可能なようで気にもしない。
距離が開いた。
「アレが来るな」
マルメルが呟く。
それは正しく、ふわわが鞘に収まったままの太刀に手を添えて小さく腰を落として抜刀の姿勢。
ヨシナリは即座に転移先の座標を割り出して銃撃。 それにより転移を妨害する。
ふわわは構わずに一閃。 柄だけの太刀が抜き放たれた。
同時にヨシナリを囲むように九分割された刃が飛来。 だが、半数は明後日の方向へと飛んでいく。
元々、空間転移はかなりデリケートなもので転移先の空間に何らかの異常――大気の大きな乱れ、エネルギーの残留等があると転移の際、微妙に座標が狂うのだ。 それは繊細な操作が要求される斬撃には致命的。 狙いを狂わされてまともに飛ばなくなる。
だが、それでも残りの半分は狙いを過たずにヨシナリの方へと殺到。
『クソ』
ヨシナリは二挺で撃ち落とせないと判断し、クルックスを手放して両手でアトルムを構えて飛んでくる半数――四つの刃を撃ち落とす。
全て撃ち落としたのは流石と言えるが、ふわわ相手にその隙は命取りだ。
撃ち落とし終えた頃には既にふわわはヨシナリを仕留められる間合い。
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