Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第412話

 ――と同時にヨシナリはアトルムを構えるが、撃たずに身を捻って回避。
 
 銃身が半ばで断ち切られて破壊される。 残った銃身を投げつけながら肩から吊っているイラを前に出す。
 金属音。 ふわわの斬撃が当たった音だ。 それでも衝撃を殺しきれずに転がる。
 これは決まったかとマルメルは決着を悟った。 体勢的にヨシナリが引っ繰り返すのは難しい。

 ユウヤの剣を持ち出してきたのは驚いたが、接近戦でふわわを降すのは無理があった。
 初手で仕留められなかった以上、奇襲は空振りだ。 状況的に勝敗は明らかだが、マルメルは何故かここでヨシナリが終わらないような気がしていた。 根拠はない。

 ただ、強いて挙げるなら追いつめられ方がやや露骨な事だろうか?
 ふわわも警戒はしているだろうが、そのまま押し切れると判断したのか仕留めに行った。
 マルメルは考える。 仮にヨシナリがここで引っ繰り返すとしたらどうする? 

 アシンメトリーとイラは肩に吊っている状態なので抜くのは間に合わない。 
 残りはアトルムとクルックスだが、アトルムは破壊。 クルックスを抜いているが拳銃だけでふわわの斬撃を凌げるか? 悪足掻きとばかりにバースト射撃を行うが、突撃銃のフルオートを防ぐような相手には通用しない。

 キンキンと金属を弾く音がして銃弾を小太刀で切り払う。 
 ヨシナリは下がりながら更に銃撃するが、ふわわの踏み込みの方が速い。
 拳銃はロングマガジンで補ってはいるが、装弾数はそこまで多くないのでバースト射撃なんて使い方をしていれば――ガチリ。 クルックスから弾丸が吐き出されずにそんな金属音が響く。

 『今回はウチの勝ちやね』

 万策尽きたか。 
 他のメンバーもこれは決まったという空気を出していたが、マルメルは何となく違うと感じておりそれは正しかった。 ヨシナリはクルックスを手放し、手の平を大きく広げる。
 同時に手の平が開いて噴射口のような物が現れた。 仕込みの射撃武器?
 
 完全に虚を突いたタイミング。 大抵の相手なら決まるがふわわにはそうはいかない。
 何かが起こる前にふわわは小太刀で手の平を串刺しにする。 
 
 『ふ、我が闇の帳に触れたな』
 『え?』

 唐突にヨシナリがそんな事を言い出したと同時にふわわの機体が無数の闇色のエネルギー弾に貫かれて穴だらけになった。 
 
 『や、それはずるいわ……』

 ふわわはそう呟いて崩れ落ち、機体が爆散。 試合終了となった。
 
 
 ――ずっと考えていた事があった。
 
 ジェネシスフレームは確かにワンオフの機体でパーツに互換性がない。
 それもそのはず、フレームの形状から違うのだ。 互換性などある訳もない。
 なら武装はどうだろうか? 侵攻戦の最後、ヨシナリはユウヤから武器を借り受ける形で使用し、勝利を収めた。 つまり、武器に関しては下位のフレームでも充分に扱えるのだ。

 正直、欲しいとは思っていたが手に入るとは思っていなかった。
 専用の装備は自分のジェネシスフレームを手に入れた時。
 そんな事を考えていたある日――というよりは数日前だが、ユウヤとベリアルに呼び出されたのだ。 
 
 元々、訓練に付き合って欲しいと打診していたのでそれの関係かと思ったが、二人から提案された事はヨシナリにとって意外な物だった。

 二人は機体をアップグレードしたので型落ちになった武器とパーツを譲りたいと。
 ユウヤからは大剣イラをそしてベリアルからは特殊ジェネレーターである『パンドラ』を譲り受けた。 基本的に通常のジェネレーターとそこまでのサイズ差はないので内部には収まるが規格を合わせる為にベリアルが専用に用意した変換コネクターを噛ませて強引に搭載した。 両方ともかなり強力な武器だったが、扱いが非常に難しい。 

 その為、この二日間はベリアルとユウヤ相手に模擬戦――要はイラとパンドラの扱いを学ぶ為の訓練に費やしたのだ。
 
 この二つの武装は非常に強力ではあるがキマイラタイプで扱うにはかなりオーバースペックな代物だった。 イラに関しては重量のある大剣という事でこれまでに碌に扱ってこなかった部類の武器だった事もあって扱いにはかなり悩む事となったが、徐々にだが組み込んだ戦い方が形になっている。

 そしてもう一つ。 パンドラだ。
 使い勝手自体は通常のジェネレーターとそう変わらない。
 単純に総出力が大きく上がっただけではあるが、問題はエネルギーをエーテルへと変換しての攻撃と防御だ。 

 ベリアルの場合はプセウドテイ本体のあちこちに付いてる給排気口のような部分からエーテルが噴き出し、それによりあの姿を形成している。 
 常に維持を続ける必要がある関係で出力は既存品とは桁外れだ。 

 さて、パンドラは元々プセウドテイの為にデザイン、設計された代物なので他の機体に搭載する事は想定していない。 本来なら搭載する発想自体があり得ないのだが、ここでヨシナリは二人からジェネシスフレームの製造の経緯を教わった。

 まずAランクに上がる事。 そうするとショップにオーダーメイドの項目が追加される。
 実はそこからが少し長い。 まずは申請を行うとあちこちのメーカー――恐らくは開発スタッフからウチに作らせてください、こんなのはどうですかと設計図が送られてくる。 その中から気に入った物を選び、基礎となるフレームのデザインが決まるのだ。 後はメーカー側とプレイヤー側でのやり取りで武装などを決定。

 ――という過程を経てジェネシスフレームは完成する。

 強化プランもその延長にあり、メーカー側に打診を行い「こんな装備が欲しい」と申請すれば用意してくれるらしい。 ただ、料金はPのみの一括払いで、内容次第でどこまでも高額になる。
 裏を返せば下位機体に互換性を持たせる為のパーツ程度なら比較的ではあるが安価だ。
 
 そんな理由でヨシナリのホロスコープにパンドラという心臓が移植される事となった。
 さて、パンドラという強力な武器を手に入れたのだが、使いこなすのが特に難しい代物と言える。
 まずホロスコープでエーテルを扱う為に必要なのは効率良く機外に排出する為の吸排気口だ。

 パンドラは内部のエネルギーをエーテルに変換して攻防に利用する関係で外に出さなければならない。 その為にホロスコープの胸部を始め、機体各所に大きめの吸排気口を付けた。
 それにより、各所に強力な武装を搭載したに等しい。 

 実際、ふわわも完全に意表を突かれて防御が間に合わなかった。 
 彼女に喰わらせたのは胸部の吸排気口から吐き出したエーテルを槍状に物質化して飛ばした物だ。
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