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第413話
ふわわも簡単すぎると思ったのかもしれないが、油断を誘う為には追いつめられる必要があった。
狙うはとどめを刺そうとする瞬間。 初見、奇襲、そして攻撃に傾いた意識の隙。
その三つが重なって初めて当てる事ができると思っていたので、ヨシナリは最初からこのタイミングを狙っていたのだ。
三つだ。 三つの要因を重ねてやっと当てられる。
恐らく二つだと何らかの手段で防がれるとヨシナリは根拠なく信じていたので、これに関しては最後の最後まで妥協せずに狙っていった。 十中八九、次は通用しないので次回はまた別の手段を考える必要がある。
「やられたわー。 剣はユウヤ君、最後のはベリアル君の使ってた奴やんな?」
「そうですよ。 イラを積極的に使ったのはふわわさんから警戒心を可能な限り削ぎ落す為です。 流石にパンドラを持ち出してくるとは想像もしなかったでしょ?」
「うん。 びっくりしたわ」
ふわわの口調からは驚きと関心が混ざっていた。
「そりゃよかった。 ふわわさんは一回見た攻撃はほぼ完璧に対策してくるんで、当てるだけならどうにでもなりますが、仕留めるとなると初見の攻撃じゃないと駄目だって思ってるのでこんな手段を取らせて貰いました」
正直、勝てて気分のいいヨシナリは少しだけ上機嫌でそう語る。
「むー、次は負けへんからねー」
「はは、この調子で逃げ切らせて貰いますよ。 ――さて、細かい感想戦は終わった後にやるとして次の対戦カードを決めますか」
ヨシナリは箱に手を突っ込んで球を引いたのだが――
「えーっと1? おいおい、また俺かよ」
1と言う事は相手はマルメルだ。 マルメルは小さく笑う。
「前のイベントの時はお互いにⅠ型だったから色々と出しきれなかったが、今回はガチで行けるな」
「あぁ、いっちょやりますか」
さっさと始めようとばかりにマルメルはウインドウを操作して移動。
ヨシナリもそれを追う形でウインドウを操作してフィールドへと向かう。
可視化されたウインドウには二人の機体がフィールドに出現。
それをふわわはじっと見つめる。 考える事はどちらが勝つかだ。
彼女の見立てでは7:3でヨシナリ優勢だと判断している。 少なくとも技量でマルメルがヨシナリを上回るのは難しいだろう。 だからと言って絶対に負けるとは言い切れない。
マルメルも自分なりにこの戦いに備えているであろう事は容易に想像できるので、それが刺さるか否かで勝敗が決まっていくとふわわは思っていた。
装備構成に関してはヨシナリはそのまま、マルメルは少し変わっている。
強化装甲に両肩にアノマリーと大型の突撃銃がマウントされているのは変わらないが、更に散弾砲が乗っていた。 恐らくは肩に乗せたままで撃てるタイプだ。
「うーん。 露骨に火力を盛ってきたなぁ」
「……うん。 手数を増やしてる」
ふわわはやや訝しむようにグロウモスはやや感心したかのようにそう呟く。
反応が違うのはふわわからすれば元々、動きが重たい機体なのに更に盛って重くしてどうするんだといった事から、グロウモスは火力を上げる事で中距離戦での制圧力を上げたと解釈したので納得したからだ。
「や、火力を盛るのは良いんですけど、相手はお義兄さんでしょ? そもそも当たるんですかね?」
シニフィエの見立てでは銃口を増やした所でまともに当てられるとは思えなかった。
ちなみにホーコートは何かそれっぽい事を言おうとしたが何も思いつかなかったので静かだ。
「マルメル君も考えてはいるだろうから無策って訳じゃないと思うけど……」
ふわわが首を傾げたタイミングでウインドウの向こうで戦闘が開始された。
『行くぜヨシナリぃ!』
『おう!』
開始早々にマルメルはエネルギーウイングを全開に噴かして直進。
重さの所為で旋回性能こそ低いが、直線加速に関しては決して遅くはない。
射程に入ったと同時にアノマリーを実弾で連射。 ヨシナリは大きく旋回して回避。
「流石にあの距離じゃ当たらへんやろ」
「……うん。 マルメルの得意距離は中距離。 射程に入ってすぐに撃っても届くだけで当たっても大したダメージにならない」
「ついでにお義兄さんの射撃精度はマルメルさんより遥かに上ですからねー」
ヨシナリがマルメルの弾切れを待ってアシンメトリーで撃ち返す。
エネルギー弾が飛んでくるが、マルメルは咄嗟にエネルギーフィールドを展開して防ぐ。
「あ、上手い。 当たるタイミングで展開した。 ウチと戦る時はあんまり使わへんからなー」
マルメルは防ぎながらリロードを済ませ、弾種をエネルギーに切り替えて撃ち返す。
ヨシナリは最低限の挙動で躱し、そのまま応射。 マルメルは飛んで来たエネルギー弾をフィールドで防御。
「……膠着」
「ですね。 お義兄さんの攻撃はエネルギーフィールドで防がれる。 マルメルさんの攻撃は当たらない。 この間合いだと決着は着かないでしょうね」
「ダラダラ粘るって手もあるけど、あの二人はそんな事はせーへんやろ」
ホーコートは何か言って会話に加わらなければと考えるが何も思いつかなかった。
ヨシナリは動き回りながらすっと慎重に狙いを付ける。 同時にアシンメトリーにエネルギーが充填される。 高威力のエネルギー弾で撃ち抜くつもりだ。
マルメルは弾をばら撒いているが、挙動に乱れがないので冷静でなのが見て取れる。
「マルメル君、随分と落ち着いてるね」
「防御のタイミングの取り方から慌ててる感じはしないですね」
「……撃つ」
ヨシナリがアシンメトリーを発射。
マルメルは機体の向きを変え、エネルギーウイングを噴かして強引に旋回。
ビルの隙間に飛び込む。 明らかに飛び込む先として意識している。
しっかりとこの状況を想定している証拠だった。
マルメルは今日の戦いにしっかりと備えてきている事はよく分かったが、それはヨシナリも同様だろう。 恐らくは打開の為の手段を考えているはずだ。
ヨシナリは機体を変形させて加速して急降下。
ビルの隙間に消える。 マルメルは加速して降下点に向かう。
「あのスピードでビルの隙間を縫って飛ぶなんてよくできますね」
「……私も前にあれでやられた。 多分、隙間から飛び出して撃ち込んで来る」
グロウモスの言葉通り、マルメルの背後。 少し離れた位置――ビルの隙間から飛び出す。
既にチャージの済んだアシンメトリーを構え、道路を挟んで向かいのビルの隙間に飛び込む前に発射した。
狙うはとどめを刺そうとする瞬間。 初見、奇襲、そして攻撃に傾いた意識の隙。
その三つが重なって初めて当てる事ができると思っていたので、ヨシナリは最初からこのタイミングを狙っていたのだ。
三つだ。 三つの要因を重ねてやっと当てられる。
恐らく二つだと何らかの手段で防がれるとヨシナリは根拠なく信じていたので、これに関しては最後の最後まで妥協せずに狙っていった。 十中八九、次は通用しないので次回はまた別の手段を考える必要がある。
「やられたわー。 剣はユウヤ君、最後のはベリアル君の使ってた奴やんな?」
「そうですよ。 イラを積極的に使ったのはふわわさんから警戒心を可能な限り削ぎ落す為です。 流石にパンドラを持ち出してくるとは想像もしなかったでしょ?」
「うん。 びっくりしたわ」
ふわわの口調からは驚きと関心が混ざっていた。
「そりゃよかった。 ふわわさんは一回見た攻撃はほぼ完璧に対策してくるんで、当てるだけならどうにでもなりますが、仕留めるとなると初見の攻撃じゃないと駄目だって思ってるのでこんな手段を取らせて貰いました」
正直、勝てて気分のいいヨシナリは少しだけ上機嫌でそう語る。
「むー、次は負けへんからねー」
「はは、この調子で逃げ切らせて貰いますよ。 ――さて、細かい感想戦は終わった後にやるとして次の対戦カードを決めますか」
ヨシナリは箱に手を突っ込んで球を引いたのだが――
「えーっと1? おいおい、また俺かよ」
1と言う事は相手はマルメルだ。 マルメルは小さく笑う。
「前のイベントの時はお互いにⅠ型だったから色々と出しきれなかったが、今回はガチで行けるな」
「あぁ、いっちょやりますか」
さっさと始めようとばかりにマルメルはウインドウを操作して移動。
ヨシナリもそれを追う形でウインドウを操作してフィールドへと向かう。
可視化されたウインドウには二人の機体がフィールドに出現。
それをふわわはじっと見つめる。 考える事はどちらが勝つかだ。
彼女の見立てでは7:3でヨシナリ優勢だと判断している。 少なくとも技量でマルメルがヨシナリを上回るのは難しいだろう。 だからと言って絶対に負けるとは言い切れない。
マルメルも自分なりにこの戦いに備えているであろう事は容易に想像できるので、それが刺さるか否かで勝敗が決まっていくとふわわは思っていた。
装備構成に関してはヨシナリはそのまま、マルメルは少し変わっている。
強化装甲に両肩にアノマリーと大型の突撃銃がマウントされているのは変わらないが、更に散弾砲が乗っていた。 恐らくは肩に乗せたままで撃てるタイプだ。
「うーん。 露骨に火力を盛ってきたなぁ」
「……うん。 手数を増やしてる」
ふわわはやや訝しむようにグロウモスはやや感心したかのようにそう呟く。
反応が違うのはふわわからすれば元々、動きが重たい機体なのに更に盛って重くしてどうするんだといった事から、グロウモスは火力を上げる事で中距離戦での制圧力を上げたと解釈したので納得したからだ。
「や、火力を盛るのは良いんですけど、相手はお義兄さんでしょ? そもそも当たるんですかね?」
シニフィエの見立てでは銃口を増やした所でまともに当てられるとは思えなかった。
ちなみにホーコートは何かそれっぽい事を言おうとしたが何も思いつかなかったので静かだ。
「マルメル君も考えてはいるだろうから無策って訳じゃないと思うけど……」
ふわわが首を傾げたタイミングでウインドウの向こうで戦闘が開始された。
『行くぜヨシナリぃ!』
『おう!』
開始早々にマルメルはエネルギーウイングを全開に噴かして直進。
重さの所為で旋回性能こそ低いが、直線加速に関しては決して遅くはない。
射程に入ったと同時にアノマリーを実弾で連射。 ヨシナリは大きく旋回して回避。
「流石にあの距離じゃ当たらへんやろ」
「……うん。 マルメルの得意距離は中距離。 射程に入ってすぐに撃っても届くだけで当たっても大したダメージにならない」
「ついでにお義兄さんの射撃精度はマルメルさんより遥かに上ですからねー」
ヨシナリがマルメルの弾切れを待ってアシンメトリーで撃ち返す。
エネルギー弾が飛んでくるが、マルメルは咄嗟にエネルギーフィールドを展開して防ぐ。
「あ、上手い。 当たるタイミングで展開した。 ウチと戦る時はあんまり使わへんからなー」
マルメルは防ぎながらリロードを済ませ、弾種をエネルギーに切り替えて撃ち返す。
ヨシナリは最低限の挙動で躱し、そのまま応射。 マルメルは飛んで来たエネルギー弾をフィールドで防御。
「……膠着」
「ですね。 お義兄さんの攻撃はエネルギーフィールドで防がれる。 マルメルさんの攻撃は当たらない。 この間合いだと決着は着かないでしょうね」
「ダラダラ粘るって手もあるけど、あの二人はそんな事はせーへんやろ」
ホーコートは何か言って会話に加わらなければと考えるが何も思いつかなかった。
ヨシナリは動き回りながらすっと慎重に狙いを付ける。 同時にアシンメトリーにエネルギーが充填される。 高威力のエネルギー弾で撃ち抜くつもりだ。
マルメルは弾をばら撒いているが、挙動に乱れがないので冷静でなのが見て取れる。
「マルメル君、随分と落ち着いてるね」
「防御のタイミングの取り方から慌ててる感じはしないですね」
「……撃つ」
ヨシナリがアシンメトリーを発射。
マルメルは機体の向きを変え、エネルギーウイングを噴かして強引に旋回。
ビルの隙間に飛び込む。 明らかに飛び込む先として意識している。
しっかりとこの状況を想定している証拠だった。
マルメルは今日の戦いにしっかりと備えてきている事はよく分かったが、それはヨシナリも同様だろう。 恐らくは打開の為の手段を考えているはずだ。
ヨシナリは機体を変形させて加速して急降下。
ビルの隙間に消える。 マルメルは加速して降下点に向かう。
「あのスピードでビルの隙間を縫って飛ぶなんてよくできますね」
「……私も前にあれでやられた。 多分、隙間から飛び出して撃ち込んで来る」
グロウモスの言葉通り、マルメルの背後。 少し離れた位置――ビルの隙間から飛び出す。
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