Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

文字の大きさ
426 / 865

第426話

 一週間という期間は思った以上に短い。 
 ユウヤ、ベリアル、そして助っ人の参戦によって『星座盤』は九枠まで埋める事が出来た。
 ほぼフルメンバーだ。 当日となった今日、ユニオンホームにはメンバーが全員揃っていた。

 ヨシナリがぐるりと周りを見回すとメンバーが出発の時を今か今かと待っている。
 マルメルが肘で軽く小突く。 

 「ささ、リーダー。 ここで気合が入る言葉を頼むぜ!」
 
 ヨシナリは小さく息を吐く。 この一週間でやれる事は全てやった。
 
 「今回で三回目の参戦となります。 今回は優勝を狙っていく。 マルメル、今日も頼むぜ」
 「任せとけって!」
 
 マルメルはどんと胸を叩いて大きく頷いた。
 ヨシナリは順番にメンバーに声をかけていく。

 「ふわわさん。 頼りにしています」
 「うん。 頼ってくれてええよ?」

 ふわわは小さく笑う。

 「グロウモスさん。 背中は任せます」
 「ふ、ふひひ、ま、任された」

 グロウモスはにちゃりとした笑みを見せるがヨシナリは努めて気にしない。

 「シニフィエ、ホーコート。 頼むぜ」
 「はい、頼まれました。 頑張ったらご褒美を期待したいですね」
 「うっす。 頑張ります!」

 シニフィエは自然体で、ホーコートはやや緊張気味に何度も頷く。
 そして――
 
 「――闇の王よ。 今がその時と捉えて良いのだな?」
 「あぁ、戦友よ。 貴様の齎した贄によって我がプセウドテイは新たな心臓を得た。 それにより我が闇は更なる深淵に至ったと言えよう。 任せておけ、我が掌中に眠る圧倒的な闇はこの現実すら歪める混沌カオスとなる」

 つまり強くなったから期待してくれていいと言っているようだ。

 「また、一緒に戦えて嬉しい。 ――共に勝利の美酒に酔おうではないか」

 ベリアルはあぁと小さく笑う。 
 最後にユウヤへと振り返る。
 
 「今回は力を貸してくれるって事でいいんだよな?」
 「あぁ、お前にはアルフレッドの修理費用を負担してもらった借りもある。 ――それにこの厨二野郎が敵で出ないなら大抵の奴はどうにでもなる。 落ちてる金を拾いに行くのも悪くない」
 「ふ、煉獄の化身よ。 貴様と肩を並べる事になるとは、な。 運命とは数奇な物よ。 だが、我が闇を最も苦しめた好敵手、貴様との共闘を想うと心が躍る。 この集いし星々と共に勝利の美酒が波打つ聖杯を手に入れようではないか!」

 ユウヤに評価されてちょっと嬉しいのかベリアルは肩をポンと叩き力強く頷く。

 「……お、おう。 足を引っ張んなよ」
 「任せておけ」

 ユウヤはベリアルの反応にやや引き気味だが、共闘すると頼りになる事は理解しているので手を組む事自体には乗り気のようだ。 

 「――で? 最後の一人は何処だ?」

 マルメルは助っ人が気になるのかキョロキョロと周りを見回す。

 「あぁ、向こうで合流する手筈になってる。 所属はウチになっているから移動したら居ると思うぞ」
 「どんな奴なんだ? 強いのか?」
 「実力に関しては申し分ない。 合う合わないは何とも言えないけど器用なタイプなのであんまり心配していない」
 
 気になる様子のマルメルにそう返し、フィールドへの入場許可が出たので全員で移動の準備に入る。
 
 「向こうでの動きは頭に入っているな?」
 
 予選での動きに関しては既に全員と共有済みなので否定の声は上がらない。
 
 「よし、じゃあ行きますか! まずは予選突破! 気を抜かずに行くぞ!」

 全員が応と拳を振り上げ、フィールドへと移動。 もはや三回目なので見慣れたフィールドに降り立った。 位置はやや高い山の山頂付近で見通しはかなりいい。
 全員の機体が揃ってはいるが、一機だけ見慣れない機体が居た。

 「やぁ、今日はよろしく頼むよ」

 エンジェルタイプの上位互換、アークエンジェルタイプ。
 大型のエネルギーウイングと背面にブースター。 武装はエネルギー、実弾の撃ち分けができる突撃銃。 後は使い捨てのパンツァーファウストが腰にマウントされており、背には筒状のミサイル発射管と肩には四連発のミサイルポッド。 脇には大型の自動拳銃が左右に二挺吊ってある。

 「えぇ、よろしくお願いします。 こき使わせて貰うので覚悟しておいてくださいね?」
 「はは、お手柔らかに頼むよ」

 プレイヤーネーム『タヂカラオ』。 
 所属は『思金神』なのだが、今回の参戦に伴って一時的に籍を移している。 
 彼が参加する経緯なのだが、数日前に連絡があったのだ。 内容は次のイベントに助っ人枠で参加させて欲しいと。 理由を尋ねると三軍から落ちたのでイベントへの参加資格を失ってしまったとの事。

 模擬戦でヨシナリ達に負けた事でユニオン内での立場が一気に悪くなり、折角手に入れたジェネシスフレームも没収されたので、以前まで使っていた機体での参戦となる。
 どうやらユニオンマスターのタカミムスビと約束をしたらしい。 この大会で優秀な成績を収めたのなら三軍復帰を検討するとの事だった。 その為にはどうにか参加しなければならない。

 大手のユニオンでも良かったのだが、いきなり臨時で入った新参をメンバーに加えてくれるのかも怪しく、弱小だと予選で沈みかねない。 考えたタヂカラオはヨシナリ達に目を付けたのだ。
 『星座盤』は二回とも本戦出場の実績のある強豪ではあるが人数が少ない。 つまり自分をメンバーに入れてくれる可能性が極めて高いと判断した結果なのだ。

 正直、ヨシナリとしては変な勧誘して来る迷惑な人物という先入観もあって少し苦手だったが、実力自体は本物なので是非とも欲しい人材だった。 選り好みしている余裕もないので、迷いはしたがよろしくお願いしますと彼の差し出した手を握ったのだ。

 「あ、『思金神』の人やん。 機体が違うけどどうかしたん?」
 「はは、君達に負けた事で僕にはジェネシスフレームを扱うには実力が足りないと判断されて没収されてしまったよ。 まぁ、それでもアークエンジェルタイプなので役には立てると思うがね?」
 「お仲間と当たるかもしれへんけどええの?」
 「寧ろ望むところだね。 タカミムスビさんは我々には淘汰圧が必要とか言っているので味方同士で潰し合う形で高め合うのは寧ろ望ましいと思っている節がある。 僕個人としてもあの人の判断が間違っていたと証明する意味も含めて是非とも叩き潰してやりたいと思っているよ」

 にこやかに話しているが言葉の端々に微かな怒りが乗っている点からも信用はしても良さそうだ。
 少なくともこいつは仲間が相手でも容赦なく撃てる。 そう確信できる反応だった。
 正直、ヨシナリとしてはそういう熱い感情は好感が持てる。 理由はどうあれ、ゲームを真剣にやれる相手は大歓迎だ。 タヂカラオの紹介をしている間に開始のカウントダウンが始まった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

ホスト異世界へ行く

REON
ファンタジー
「勇者になってこの世界をお救いください」 え?勇者? 「なりたくない( ˙-˙ )スンッ」 ☆★☆★☆ 同伴する為に客と待ち合わせしていたら異世界へ! 国王のおっさんから「勇者になって魔王の討伐を」と、異世界系の王道展開だったけど……俺、勇者じゃないんですけど!?なに“うっかり”で召喚してくれちゃってんの!? しかも元の世界へは帰れないと来た。 よし、分かった。 じゃあ俺はおっさんのヒモになる! 銀髪銀目の異世界ホスト。 勇者じゃないのに勇者よりも特殊な容姿と特殊恩恵を持つこの男。 この男が召喚されたのは本当に“うっかり”だったのか。 人誑しで情緒不安定。 モフモフ大好きで自由人で女子供にはちょっぴり弱い。 そんな特殊イケメンホストが巻きおこす、笑いあり(?)涙あり(?)の異世界ライフ! ※注意※ パンセクシャル(全性愛)ハーレムです。 可愛い女の子をはべらせる普通のハーレムストーリーと思って読むと痛い目をみますのでご注意ください。笑

局地戦闘機 飛電の栄光と終焉

みにみ
歴史・時代
十四試局戦 後の三菱雷電J2Mとして知られるこの戦闘機は爆撃機用の火星エンジンを搭載したため胴体直径の増加、前方視界不良などが続いたいわば少し残念な機体である この十四試局戦計画に地方の無名メーカーが参加、雷電を超える高性能機が誕生し、零戦の後継として太平洋戦線を駆ける これは設計者、搭乗員の熱く短い6年間を描いた物語だ

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》

盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。  ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……  始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。    さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった

よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】 皆様の熱い応援、本当にありがとうございます! ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です! 【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】 電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。 気がついたら異世界召喚。 だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。 52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。 結論――王都の地下下水道に「廃棄」。 玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。 血管年齢は実年齢マイナス20歳。 そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。 だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。 下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。 捨てられた魔道具。 長年魔素を吸い続けた高純度魔石。 そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。 チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。 あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。 汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。 スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。 この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。 魔力は毒である。代謝こそが命である。 軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。 でも、だからこそ――まず1話、読んでください。 【最新情報&著者プロフィール】 代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作! ◆ 2月に待望の【第2巻】刊行! ◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中! ◆ 【コミカライズ企画進行中】! すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!

森のカフェしっぽっぽ

森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
五十代後半の初老――サトルが営むのは、就労支援B型事業所を兼ねた猫カフェ「森のカフェしっぽっぽ」。 一階には利用者が作った木工小物や布雑貨が並び、 猫たち(イチ・きな・トラ・チビ・そして極度の臆病猫ジル)が自由気ままに接客(?)をしている。 しかしこの店には、誰も知らない“もう一つの顔”があった。 地下の倉庫兼店舗は異世界と繋がっている。 ただし、異世界人は地球には来られない。 行き来できるのはサトルだけ。 向こう側には|蜥蜴人族≪リザードマン≫の商人、 頑固な|鉱人族≪ドワーフ≫の職人、 静かな|森人族≪エルフ≫たちがいて、 サトルは彼らから“ちょっとだけ現実を楽にする品”を仕入れている。 仕事に疲れた会社員。 将来に迷う若者。 自信をなくした人。 サトルは客の空気を読み、異世界の商品をさりげなく勧める。 そして、棚の影で震えるジル。 怖がりで、音にびくつき、すぐ隠れる。 それでも店からは逃げない。 その姿が、なぜか人の心を少しだけ軽くする。 これは―― 福祉と商売と猫と異世界が、ゆるく混ざり合う物語。 震えながらでも前に立つ者が、 今日も小さく世界をつなぐ。

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。