Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第438話

 その間にヨシナリ、マルメル、シニフィエ、ホーコートの四人がフィアーバの撃破に向かう。
 ウィルが落ちた以上、残ったAランクはフィアーバとコンシャス、エーデの三人になるが、エーデに関してはベリアルに任せるつもりだったので無視。

 コンシャスはまともに戦えば時間がかかるので勝ち筋が明確にイメージできているフィアーバに的を絞ったのだ。 
 フィアーバはエネルギー管理がかなり重要な機体だ。 その為、シックスセンスでエネルギー流動が見えている以上、比較的ではあるがやり易い相手だった。

 両肩にマウントされた盾をジョイントを駆使して180°旋回させ、左右360°で上下以外の全ての攻撃に対応できる。 防御性能はこのゲームでもトップクラスだが、エネルギーフィールド、歪曲フィールドと機構を用いての防御なので盾自体の強度は高い止まりだった。

 「それにしても反則みたいな防御性能だな」

 スコーピオン・アンタレスの高出力のレーザー攻撃を防ぎ、マルメルのハンドレールキャノンの弾体ですら弾き飛ばした。 恐らくはふわわの野太刀でも無理だろう。
 正面からならという但し書きが付くが。 フィアーバというプレイヤーは防御に徹し、相手の綻びを狙うスタイルなのだが、孤立させてしまえばその強みの大半は消える。

 取り巻きを早々に減らし、残りをシニフィエ達に任せたヨシナリとマルメルはとにかく手数で攻めた。 

 「二人とも撃ちまくってるけど、これは相手を釘付けにする為?」
 「あぁ、このフィアーバってAランクの盾は単純にエネルギーを使った分だけ防御性能を上げられる代物と思ってください。 要は防げば防ぐほどにリソースを盾に割り振らないといけないので機体のパフォーマンスが落ちるんですよ」

 最初は返り討ちにするつもりだったので撤退を意識していなかったから気付いていなかったようだが、これが後になって効いてくるのだ。
 
 「あぁ、そうやったんかー。 グロウモスちゃんにも撃たせてるのは削りの一環?」
 「ですね。 後はコンシャス達を引き寄せる意味もありました」

 フィアーバは一対多では強みを活かせないが、多対一、多対多であるならかなり脅威度が上がる。
 コンシャス達に混ざられると厳しい事になっていただろう。 

 「まぁ、そこは僕が担当する事になったんだけど、中々に人使いが荒いリーダーだね?」
 「最初からコキ使うって言ってるじゃないですか。 正直、期待以上でしたよ」

 本音だった。 グロウモスを連れて逃げ回ってくれればいいぐらいの期待感だったのだが、しっかりと守り抜いたのはタヂカラオの実力と言える。 戦闘にフォーカスすると敵の遠距離攻撃をエネルギーフィールドで防ぎつつ、ミサイルをばら撒きながら突撃銃で牽制。

 無理に撃破を狙わずに時間を稼ぐ立ち回りだ。 
 突っ込んで来た敵は上手く盾にして数の利を活かさせない動きは参考になる。
 その間にグロウモスは高出力のレーザーを発射する為の外部パーツを排除してタヂカラオの援護に回っていた。 ヨシナリ、マルメルと直接戦闘に入ったので誤射の危険もあって切り替えたのだ。

 機体を盾にしなくて良くなったタヂカラオは自由になり、グロウモスは地形を活かして逃げ回りながら狙撃を狙う。 少し遅れて残りの二機を片付けたふわわが合流する形になっていた。

 「ところでお義兄さん。 私の活躍はどうですか?」
 
 唐突にシニフィエがそんな事を言い出したのでどれどれと映像を少し巻き戻してフォーカス。
 タイミングとしてはマルメルはハンドレールキャノンで削りに徹していたので、ヨシナリ、シニフィエ、ホーコートが仕掛けた頃だ。 

 ヨシナリが一機を撃墜し、そのままフィアーバへと向かった裏でシニフィエが敵機の背後に忍び寄って組み付き、推進装置を拳の一撃で破壊して機動性を奪うとそのまま地面に引き倒し、拳を引くと叩きつけるように振り下ろした。 腰の裏――正確にコックピットを狙うやり方は姉に通ずる面がある。

 「うわ、一撃かよ」

 マルメルが思わず呟く。 
 機体の脆い個所を的確に狙って打ち込んでいるのは流石だった。
 シニフィエが「褒めてくれていいんですよ?」と言っていたのでヨシナリは「偉い、偉い」と流した。

 「何かお義兄さん、私に辛辣じゃありません!?」
 「あっはっは、あんたは褒めると調子に乗るからこれぐらいがちょうどいいんやない?」

 抗議の声を上げるシニフィエの反応にふわわが笑っているのを尻目に映像をホーコートにフォーカス。 やられたのは知っていたが、経緯は知らないので見てみると――

 「あー……」

 思わず声が漏れた。 
 ちらりとホーコートを一瞥すると、消えてしまいたいと言わんばかりに縮こまっている。
 何が起こったのかというと、得意の右旋回からのアタックで仕留めるつもりだったのだが、樹にぶつかったのだ。 そこを狙い撃たれて撃破。 

 「す、すんません。 俺、何やってんだろう……」
 「まぁ、こういう事もあるだろ。 今回はちょっと焦り過ぎたな。 人数差あったし焦る気持ちは分かるから気にしなくていいよ」

 明らかに落ち込んでいるホーコートに対してヨシナリは努めて優しくそういった。 
 別にわざと足を引っ張っている訳でもないので、責める事はないだろう。
 元々、ホーコートはGランクだ。 それを加味すればまぁ、いいかといった気持ちになる。

 期待していないのかと聞かれると嘘になるが、最初から気長に育てるつもりでいるので本人にやる気がある限りは面倒を見るつもりだった。

 「はっはっは、やっちまったな後輩! 敵に集中しすぎて周りが見えなくなる奴だろ? 俺も経験あるぜ!」
 「そう言う事もあるやろ。 いくらでも挽回の機会はあるから次、頑張りー」

 マルメルは笑ってホーコートの肩をバシバシと叩き、ふわわは次頑張れと一言。
 グロウモスは同調するようにうんうんと頷く。 シニフィエ一瞥するだけで無言。
 ユウヤとベリアルは見向きもせず、タヂカラオは苦笑。

 映像を進めると景気よく遠くから撃ちまくっていた『ベクヴェーム』をベリアルとユウヤが――正確にはベリアルが全滅させ、その間にユウヤがヨシナリ達に合流。 三人でフィアーバを撃破。
 残ったコンシャスはふわわ、シニフィエが合流した事によって形勢が逆転して勝利、決着となった。
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