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第442話
――やべぇ。
マルメルは僅かに焦りを滲ませながらアノマリーを連射。
敵の戦力構成は一通り出揃ったので何が居て何がいないのかは分かっている。
まずはカナタ、センドウ、ツガルの三人。 二人がジェネシスフレームに乗り換えているのは流石に想定外だった。 Bランクプレイヤーの中でも上位の二人だったのでAに上がってもおかしくはないのだが、実際に目の当たりしてしまうと驚きが勝る。
次にイワモト。
ソルジャー+に強化装甲とタワーシールドという防御特化という強みを伸ばした機体構成に変わっている。 自分達も機体を新調したのだ。 相手も同じ事をやっていてもおかしくはない。
フカヤの姿はないが、ヨシナリとのセンサーリンクのお陰で居るのだけは分かる。
残りは機動性重視のエンジェルタイプが三機に砲戦使用のプリンシパリティが二機。
マルメルは焦りをどうにか抑えつけて努めて冷静に戦況を確認する。
現状はかなり不利だ。 グロウモス、ホーコートがやられたので二機の損失。
ホーコートは一応は慎重に動いてはいたが、ついさっきセンドウの狙撃で沈んだ。
コックピット部分を撃ち抜かれて即死だ。 綺麗に急所を射抜かれたのでグロウモスと同様に機体はほぼ無傷の状態で転がっている。
――敵は『星座盤』の事をよく研究していた。
彼らの強みはその連携の高さにある。
その為、戦力を削ぐのに最も分かり易く効果的なのは分断する事。
プリンシパリティは下手に機体を狙わず、連携を寸断する事に力を注いでいた。
それだけならどうにでもなるが、常にセンドウとフカヤに狙われている状態はあまり心臓によろしくない。 シックスセンスとのセンサーリンクを行っており、かなり探知項目が増えているので何かしらに引っかかると思っていたのだが、かなり上手に隠れているのか見つからない。
奇襲を警戒しながら目の前の敵に対処しなければならないのはマルメルにとってはかなりのプレッシャーだった。
――いつ来るか分からない奇襲を気にしなければならないのは怖いな。
ちらりと空を見るとヨシナリがツガルと空中戦を繰り広げているが、ジェネシスフレーム相手では分が悪いのか明らかに苦戦していた。 ふわわとシニフィエはどうにか得意距離に持ち込もうとしているが、砲戦機は意地でも近づけないと言わんばかりに彼女達に火力を集中させる。
障害物が少ないフィールドという事もあって中々、近づけないようだ。
戦場から離れた何もない場所では激しい戦闘音。 ユウヤがカナタと激しく戦っているのだろう。
ベリアルは姿が見えない。 恐らくはセンドウを抑えに行ったのだが、できれば進捗を聞かせて欲しい所だった。
「さて、余り良くない感じに膠着する事となったね」
マルメルがぐるぐると考えていると通信が入った。 タヂカラオだ。
「敵の戦力構成は概ね把握した。 ジェネシスフレームを三機も用意して来るとは『栄光』は思った以上に資金力があるようだね。 ここは素直に相手を褒めておこう」
「そりゃ俺も同感なんですけど、どうすりゃ勝てると思いますかね?」
マルメルの質問にタヂカラオは小さく笑って応える。
「勝ち筋は無ければ作る物だよ。 センドウ君はベリアル君の活躍に期待して無視、残りのフカヤ君とやらが仕掛けてきたタイミングで反撃に出る。 少なくとも他は全員、居場所がめくれているからね。 ギャンブルになるが、そこそこ分がいいと思わないかな?」
「いいですねー。 お義兄さんもそろそろ限界っぽいですし、いつまでも逃げ回る訳にも行かないので私は賛成です」
「やねー。 それにフカヤ君が狙うんはウチかシニフィエやと思うからこっちに来たら任せて貰うわ」
タヂカラオはミサイルをばら撒きながら少し前進。
シニフィエ、ふわわは届かないので飛び回って回避に専念している。
「ほぅ、その根拠は?」
「殺気を感じるって言ったら信じる?」
タヂカラオの質問に対する答えを聞いて彼はなるほどと呟く。
「結構、ではフカヤ君はふわわ君に任せるとして、残りは――まぁ、我々だけでもなんとかなるだろう。 タイミングはフカヤ君が仕掛けた時だ。 それに合わせて仕掛ける。 各々、準備を頼むよ」
「了解」
マルメルはそう返して戦場の些細な変化も見逃さないと神経を集中させる。
特に意識してふわわを視界に入れて、いざとなったら援護できる位置を確保。
敵の砲撃が近くに着弾して地面が抉れて土や泥が飛び散る。 土煙が徐々に充満していく中でゆらりとふわわに向けて何かが動いたのが見えた。
――来た。
「ふわわさん!」
「大丈夫。 気づいてるよー」
クロスボウ用のボルトがふわわの下へと飛んでいく。 発射位置は砲撃によって地面に空いた穴。
恐らく、敵の砲撃はフカヤの塹壕を作る目的もあったのだろう。
ふわわが回避行動を取って次の行動に移る僅かな間、そこを狙っての一矢。
虚を突くという点で見れば完璧なタイミングだ。
実際、マルメルがフカヤの立場なら命中を確信するだろう。
――が、彼はふわわというプレイヤーへの認識が甘い。
そんな事で仕留められるのであればとっくに自分はもっと勝率を上げている。
ふわわは躱さずに腰の太刀――『ナインヘッド・ドラゴン』に手を添えて一閃。
振り切った太刀には刃が存在しない。
それが最期、ふわわ目掛けて飛んで来たボルトは空中で二つになってふわわの左右を通り過ぎ、塹壕から顔を出していたフカヤの機体らしきトルーパーが上半身を縦に割られていた。
力なく崩れ落ち、僅かに遅れて爆発。
「よし、皆、行くよー」
そう言ってふわわがエネルギーウイングを噴かして急加速。 敵へと突っ込んで行った。
「いや、本当に凄まじいね。 どうやってるのかまったく理解できないよ」
そう言ってタヂカラオがミサイルをばら撒きながら後に続き、マルメルもその背を追う。
シニフィエの姿はなかったが恐らくは何かしらの考えがあるはずなので気にしない。
彼女は放っておいてもいい仕事をするからだ。
――抜け目がないというかそつがないというか……。
シニフィエはマルメルにとって中々に難解な生き物なので、放っておけば何かしてくれると勝手に解釈する事で彼女の行動には根拠なく納得していた。 気にしたら負けなのだ。
エネルギーフィールドを全開にして敵の砲撃を掻い潜り、こちらの有効射程に捉えた。
――そろそろ反撃開始だぜ。
内心でそう呟くとアノマリーを連射した。
マルメルは僅かに焦りを滲ませながらアノマリーを連射。
敵の戦力構成は一通り出揃ったので何が居て何がいないのかは分かっている。
まずはカナタ、センドウ、ツガルの三人。 二人がジェネシスフレームに乗り換えているのは流石に想定外だった。 Bランクプレイヤーの中でも上位の二人だったのでAに上がってもおかしくはないのだが、実際に目の当たりしてしまうと驚きが勝る。
次にイワモト。
ソルジャー+に強化装甲とタワーシールドという防御特化という強みを伸ばした機体構成に変わっている。 自分達も機体を新調したのだ。 相手も同じ事をやっていてもおかしくはない。
フカヤの姿はないが、ヨシナリとのセンサーリンクのお陰で居るのだけは分かる。
残りは機動性重視のエンジェルタイプが三機に砲戦使用のプリンシパリティが二機。
マルメルは焦りをどうにか抑えつけて努めて冷静に戦況を確認する。
現状はかなり不利だ。 グロウモス、ホーコートがやられたので二機の損失。
ホーコートは一応は慎重に動いてはいたが、ついさっきセンドウの狙撃で沈んだ。
コックピット部分を撃ち抜かれて即死だ。 綺麗に急所を射抜かれたのでグロウモスと同様に機体はほぼ無傷の状態で転がっている。
――敵は『星座盤』の事をよく研究していた。
彼らの強みはその連携の高さにある。
その為、戦力を削ぐのに最も分かり易く効果的なのは分断する事。
プリンシパリティは下手に機体を狙わず、連携を寸断する事に力を注いでいた。
それだけならどうにでもなるが、常にセンドウとフカヤに狙われている状態はあまり心臓によろしくない。 シックスセンスとのセンサーリンクを行っており、かなり探知項目が増えているので何かしらに引っかかると思っていたのだが、かなり上手に隠れているのか見つからない。
奇襲を警戒しながら目の前の敵に対処しなければならないのはマルメルにとってはかなりのプレッシャーだった。
――いつ来るか分からない奇襲を気にしなければならないのは怖いな。
ちらりと空を見るとヨシナリがツガルと空中戦を繰り広げているが、ジェネシスフレーム相手では分が悪いのか明らかに苦戦していた。 ふわわとシニフィエはどうにか得意距離に持ち込もうとしているが、砲戦機は意地でも近づけないと言わんばかりに彼女達に火力を集中させる。
障害物が少ないフィールドという事もあって中々、近づけないようだ。
戦場から離れた何もない場所では激しい戦闘音。 ユウヤがカナタと激しく戦っているのだろう。
ベリアルは姿が見えない。 恐らくはセンドウを抑えに行ったのだが、できれば進捗を聞かせて欲しい所だった。
「さて、余り良くない感じに膠着する事となったね」
マルメルがぐるぐると考えていると通信が入った。 タヂカラオだ。
「敵の戦力構成は概ね把握した。 ジェネシスフレームを三機も用意して来るとは『栄光』は思った以上に資金力があるようだね。 ここは素直に相手を褒めておこう」
「そりゃ俺も同感なんですけど、どうすりゃ勝てると思いますかね?」
マルメルの質問にタヂカラオは小さく笑って応える。
「勝ち筋は無ければ作る物だよ。 センドウ君はベリアル君の活躍に期待して無視、残りのフカヤ君とやらが仕掛けてきたタイミングで反撃に出る。 少なくとも他は全員、居場所がめくれているからね。 ギャンブルになるが、そこそこ分がいいと思わないかな?」
「いいですねー。 お義兄さんもそろそろ限界っぽいですし、いつまでも逃げ回る訳にも行かないので私は賛成です」
「やねー。 それにフカヤ君が狙うんはウチかシニフィエやと思うからこっちに来たら任せて貰うわ」
タヂカラオはミサイルをばら撒きながら少し前進。
シニフィエ、ふわわは届かないので飛び回って回避に専念している。
「ほぅ、その根拠は?」
「殺気を感じるって言ったら信じる?」
タヂカラオの質問に対する答えを聞いて彼はなるほどと呟く。
「結構、ではフカヤ君はふわわ君に任せるとして、残りは――まぁ、我々だけでもなんとかなるだろう。 タイミングはフカヤ君が仕掛けた時だ。 それに合わせて仕掛ける。 各々、準備を頼むよ」
「了解」
マルメルはそう返して戦場の些細な変化も見逃さないと神経を集中させる。
特に意識してふわわを視界に入れて、いざとなったら援護できる位置を確保。
敵の砲撃が近くに着弾して地面が抉れて土や泥が飛び散る。 土煙が徐々に充満していく中でゆらりとふわわに向けて何かが動いたのが見えた。
――来た。
「ふわわさん!」
「大丈夫。 気づいてるよー」
クロスボウ用のボルトがふわわの下へと飛んでいく。 発射位置は砲撃によって地面に空いた穴。
恐らく、敵の砲撃はフカヤの塹壕を作る目的もあったのだろう。
ふわわが回避行動を取って次の行動に移る僅かな間、そこを狙っての一矢。
虚を突くという点で見れば完璧なタイミングだ。
実際、マルメルがフカヤの立場なら命中を確信するだろう。
――が、彼はふわわというプレイヤーへの認識が甘い。
そんな事で仕留められるのであればとっくに自分はもっと勝率を上げている。
ふわわは躱さずに腰の太刀――『ナインヘッド・ドラゴン』に手を添えて一閃。
振り切った太刀には刃が存在しない。
それが最期、ふわわ目掛けて飛んで来たボルトは空中で二つになってふわわの左右を通り過ぎ、塹壕から顔を出していたフカヤの機体らしきトルーパーが上半身を縦に割られていた。
力なく崩れ落ち、僅かに遅れて爆発。
「よし、皆、行くよー」
そう言ってふわわがエネルギーウイングを噴かして急加速。 敵へと突っ込んで行った。
「いや、本当に凄まじいね。 どうやってるのかまったく理解できないよ」
そう言ってタヂカラオがミサイルをばら撒きながら後に続き、マルメルもその背を追う。
シニフィエの姿はなかったが恐らくは何かしらの考えがあるはずなので気にしない。
彼女は放っておいてもいい仕事をするからだ。
――抜け目がないというかそつがないというか……。
シニフィエはマルメルにとって中々に難解な生き物なので、放っておけば何かしてくれると勝手に解釈する事で彼女の行動には根拠なく納得していた。 気にしたら負けなのだ。
エネルギーフィールドを全開にして敵の砲撃を掻い潜り、こちらの有効射程に捉えた。
――そろそろ反撃開始だぜ。
内心でそう呟くとアノマリーを連射した。
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