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第449話
変に委縮せず、はっきりと物を言い、要求する時は必要な事を必要なだけ。
アルフレッドが友人であると告げた時にも特に反応を示さなかった事も彼にとってはありがたかった。
ヨシナリを通して少しだけ、他者との交友範囲が広がったのだ。
特に相容れないと思っていたベリアルとの共闘を実現できたのはヨシナリのお陰だった。
相容れないとは思っていたが、嫌ってはなかったのでこうして肩を並べる機会を得たのは少しだけ嬉しかったのだ。 元々、強敵だと認めている相手だったのでその思いは強い。
今までは黙々とただ実績を積み重ね、自己を肯定するだけの日々だったが、今になってようやくこのゲームが楽しいと思えるようになってきたのだ。
いや、楽しかったのは初めからだったのだが、ここ最近は更に楽しいと感じるようになった。
――だから、邪魔してんじゃねぇよクソ女ぁ!
プルガトリオは先日、アップグレードを済ませた事で更に強化された。
手に持つ大剣『イラ』も新造の『オディウム=イラ』に。
その為、使わなくなった古い『イラ』はヨシナリに譲った。
この『オディウム=イラ』。 基本的な能力はそこまで変化はない。
回転刃を内蔵した攻撃ギミックとハンマーへの変形機能。
だが、新たに重力制御機構を組み込んでいるので重量自体は減ったが、斬撃の重さは増すという扱いやすさの面で大きく向上したと言える。
当然ながらハンマー形態も強化されており『オディウム=スペルビア』。
ヘッド部分の無効化範囲が強化され、メーカーによれば斥力フィールド等の既存の物から逸脱した防御手段にも有効になったとの事。 それともう一点、胸部に仕込んだ新武装。
見た目は水晶のような代物だが、動力に直結しているので燃費は悪い。
名称は『アケディア』。 正式な名称は『エネルギー拡散力場発生装置』というらしく、エネルギーの結合や収束を無効化する光を放つ代物で、カナタの大剣から光を奪ったのはこの機能だ。
基本的にユウヤのプルガトリオという機体は攻撃に偏っており、それを支える武装群『ジ・アビス』も様々なアプローチで対象を破壊する事を念頭に置いたコンセプトだ。
近距離では斬撃の『イラ』、圧壊の『スペルビア』。
中距離では散弾砲による破砕の『グラ』、内部破壊を狙った電撃の『ルクスリア』。
そして相手の防御を破壊する無効の『アケディア』。
ただ、対象に深く干渉する関係で燃費が非常に悪く、長時間の使用はジェネレーターに高い負荷をかける事もあって使用は一秒前後が推奨されていた。
要は一瞬光らせて敵の光学兵器をいなす、または防御を抉じ開けるのに使う。
この新しい力でクソ女をぶち殺し、今回のイベントで優勝を目指す。
今は一回戦、つまりこの戦いは通過点に過ぎない。 だから、ユウヤは憎悪よりも勝利に執着する。
怒りと憎しみを僅かに抑え、勝つ事のみに集中しろ。 今の俺なら勝てる。
飢えた獣のように姿勢を低くした独特なスプリントでカナタへと突っ込む。
大剣はギミックを展開させ、回転刃が唸りを上げる。
斬撃の間合い入る直前に僅かに跳躍。 空中で一回転して威力を上乗せした斬撃を繰り出す。
カナタは受けずに小さく後ろに跳んで回避。 大剣が地面に叩きつけられたと同時にカナタに向けて散弾砲を撃ち込む。 連結した大剣で防御。
それにより僅かに狭まったカナタの視界の外へと回り込んで背後から横薙ぎの一撃。
エネルギーウイングを噴かして躱すかと思ったが、カナタは軽く飛んで大剣でユウヤの一撃を受ける。 地面に足が付いていないので、威力を殺せずに吹き飛ぶ。
――距離を取りに来たか。
カナタの『ヘレボルス・ニゲル』は近距離機体かと思われがちだが、その真髄は延長したエネルギーの刃による中距離戦にある。 自由に長さを弄る事で相手の間合いを外しつつ、自分は自由に攻める事ができるという相手の行動の制限しつつ自分の強みを活かす戦い方だ。
刃の分離機能は接近された時の対策といった所だろう。
ベリアルが過去に交戦した際は二本を柄で連結するといった使い方を披露したらしい。
回転を軸とした斬撃は見切るのが難しいという事も聞いている。
だが、ユウヤには関係のない話だった。 彼は自分のスタイルを貫く事しかできないからだ。
距離を取ったと同時にカナタは大剣を振りかぶる。 巨大なエネルギーの刃が形成されて刺突。
振り下ろしではなく刺突である事に僅かに違和感を覚えたが、ユウヤは臆する事なく突き進み、刃が触れる直前にアケディアで刃を消し去る――と目の前には分離したカナタは切っ先。
エネルギーの刃を視界を塞ぐのに使ったのだ。 初見のはずなのにもう対応して来た。
「――っ!?」
咄嗟に体を傾けて回避。 頭部を刃が僅かに掠める。
大剣を持ち代えて電磁鞭を一閃。 もう一本の剣で切断される。
だったらと散弾砲を向けるがエネルギーウイングによる旋回で既に背後。
カナタは二本の剣を柄で連結し、器用に回転させながら斜め下からの斬り上げ。
仰け反って回避してカウンターという選択肢が脳裏を過ぎるが、似たようなシチュエーションでベリアルが一撃喰らったという話を思い出して跳んで回避。
その判断は正しく、カナタは刃を蹴って加速させ、ユウヤのタイミングを外してきた。
――危ねぇ。 厨二野郎の話を聞いといて良かったぜ。
決まったと同時に『我が闇の叡智を授けよう』とか言い出したのは何事かと思ったがしっかりと役には立った。
カナタは躱された事に対して特に驚く様子もなく、器用に回転させながら追撃。
大剣と二本を連結した両剣では攻撃の回転が違う。
ユウヤは舌打ちしながら大剣を盾にしつつ隙を窺おうとしたが、カナタはこのままフィニッシュまで持って行くつもりのようで一気に押し込んで来る。
機動性ならプルガトリオの方が上なので下がれば逃げ切れるといった考えもあったが、ベリアルからもう一つ授けられた闇の叡智があった。 カナタのヘレボルス・ニゲルは外部の装甲をパージする事によって軽量化を図って加速する手段だ。
恐らく目が慣れてきたタイミングか離されそうになるかのどちらかのタイミングで仕掛けてくる。
どちらにせよ攻撃の回転速度では敵わない。 アケディアでエネルギーウイングを無効化する事は可能ではあるが、一度見せている以上は使う素振りを見せたら足で踏み込んで来るだろう。
どう決着を着けるか。
ユウヤは冷静に、そして冷徹にどうやってこの状況を打開できるのかを探る。
アルフレッドが友人であると告げた時にも特に反応を示さなかった事も彼にとってはありがたかった。
ヨシナリを通して少しだけ、他者との交友範囲が広がったのだ。
特に相容れないと思っていたベリアルとの共闘を実現できたのはヨシナリのお陰だった。
相容れないとは思っていたが、嫌ってはなかったのでこうして肩を並べる機会を得たのは少しだけ嬉しかったのだ。 元々、強敵だと認めている相手だったのでその思いは強い。
今までは黙々とただ実績を積み重ね、自己を肯定するだけの日々だったが、今になってようやくこのゲームが楽しいと思えるようになってきたのだ。
いや、楽しかったのは初めからだったのだが、ここ最近は更に楽しいと感じるようになった。
――だから、邪魔してんじゃねぇよクソ女ぁ!
プルガトリオは先日、アップグレードを済ませた事で更に強化された。
手に持つ大剣『イラ』も新造の『オディウム=イラ』に。
その為、使わなくなった古い『イラ』はヨシナリに譲った。
この『オディウム=イラ』。 基本的な能力はそこまで変化はない。
回転刃を内蔵した攻撃ギミックとハンマーへの変形機能。
だが、新たに重力制御機構を組み込んでいるので重量自体は減ったが、斬撃の重さは増すという扱いやすさの面で大きく向上したと言える。
当然ながらハンマー形態も強化されており『オディウム=スペルビア』。
ヘッド部分の無効化範囲が強化され、メーカーによれば斥力フィールド等の既存の物から逸脱した防御手段にも有効になったとの事。 それともう一点、胸部に仕込んだ新武装。
見た目は水晶のような代物だが、動力に直結しているので燃費は悪い。
名称は『アケディア』。 正式な名称は『エネルギー拡散力場発生装置』というらしく、エネルギーの結合や収束を無効化する光を放つ代物で、カナタの大剣から光を奪ったのはこの機能だ。
基本的にユウヤのプルガトリオという機体は攻撃に偏っており、それを支える武装群『ジ・アビス』も様々なアプローチで対象を破壊する事を念頭に置いたコンセプトだ。
近距離では斬撃の『イラ』、圧壊の『スペルビア』。
中距離では散弾砲による破砕の『グラ』、内部破壊を狙った電撃の『ルクスリア』。
そして相手の防御を破壊する無効の『アケディア』。
ただ、対象に深く干渉する関係で燃費が非常に悪く、長時間の使用はジェネレーターに高い負荷をかける事もあって使用は一秒前後が推奨されていた。
要は一瞬光らせて敵の光学兵器をいなす、または防御を抉じ開けるのに使う。
この新しい力でクソ女をぶち殺し、今回のイベントで優勝を目指す。
今は一回戦、つまりこの戦いは通過点に過ぎない。 だから、ユウヤは憎悪よりも勝利に執着する。
怒りと憎しみを僅かに抑え、勝つ事のみに集中しろ。 今の俺なら勝てる。
飢えた獣のように姿勢を低くした独特なスプリントでカナタへと突っ込む。
大剣はギミックを展開させ、回転刃が唸りを上げる。
斬撃の間合い入る直前に僅かに跳躍。 空中で一回転して威力を上乗せした斬撃を繰り出す。
カナタは受けずに小さく後ろに跳んで回避。 大剣が地面に叩きつけられたと同時にカナタに向けて散弾砲を撃ち込む。 連結した大剣で防御。
それにより僅かに狭まったカナタの視界の外へと回り込んで背後から横薙ぎの一撃。
エネルギーウイングを噴かして躱すかと思ったが、カナタは軽く飛んで大剣でユウヤの一撃を受ける。 地面に足が付いていないので、威力を殺せずに吹き飛ぶ。
――距離を取りに来たか。
カナタの『ヘレボルス・ニゲル』は近距離機体かと思われがちだが、その真髄は延長したエネルギーの刃による中距離戦にある。 自由に長さを弄る事で相手の間合いを外しつつ、自分は自由に攻める事ができるという相手の行動の制限しつつ自分の強みを活かす戦い方だ。
刃の分離機能は接近された時の対策といった所だろう。
ベリアルが過去に交戦した際は二本を柄で連結するといった使い方を披露したらしい。
回転を軸とした斬撃は見切るのが難しいという事も聞いている。
だが、ユウヤには関係のない話だった。 彼は自分のスタイルを貫く事しかできないからだ。
距離を取ったと同時にカナタは大剣を振りかぶる。 巨大なエネルギーの刃が形成されて刺突。
振り下ろしではなく刺突である事に僅かに違和感を覚えたが、ユウヤは臆する事なく突き進み、刃が触れる直前にアケディアで刃を消し去る――と目の前には分離したカナタは切っ先。
エネルギーの刃を視界を塞ぐのに使ったのだ。 初見のはずなのにもう対応して来た。
「――っ!?」
咄嗟に体を傾けて回避。 頭部を刃が僅かに掠める。
大剣を持ち代えて電磁鞭を一閃。 もう一本の剣で切断される。
だったらと散弾砲を向けるがエネルギーウイングによる旋回で既に背後。
カナタは二本の剣を柄で連結し、器用に回転させながら斜め下からの斬り上げ。
仰け反って回避してカウンターという選択肢が脳裏を過ぎるが、似たようなシチュエーションでベリアルが一撃喰らったという話を思い出して跳んで回避。
その判断は正しく、カナタは刃を蹴って加速させ、ユウヤのタイミングを外してきた。
――危ねぇ。 厨二野郎の話を聞いといて良かったぜ。
決まったと同時に『我が闇の叡智を授けよう』とか言い出したのは何事かと思ったがしっかりと役には立った。
カナタは躱された事に対して特に驚く様子もなく、器用に回転させながら追撃。
大剣と二本を連結した両剣では攻撃の回転が違う。
ユウヤは舌打ちしながら大剣を盾にしつつ隙を窺おうとしたが、カナタはこのままフィニッシュまで持って行くつもりのようで一気に押し込んで来る。
機動性ならプルガトリオの方が上なので下がれば逃げ切れるといった考えもあったが、ベリアルからもう一つ授けられた闇の叡智があった。 カナタのヘレボルス・ニゲルは外部の装甲をパージする事によって軽量化を図って加速する手段だ。
恐らく目が慣れてきたタイミングか離されそうになるかのどちらかのタイミングで仕掛けてくる。
どちらにせよ攻撃の回転速度では敵わない。 アケディアでエネルギーウイングを無効化する事は可能ではあるが、一度見せている以上は使う素振りを見せたら足で踏み込んで来るだろう。
どう決着を着けるか。
ユウヤは冷静に、そして冷徹にどうやってこの状況を打開できるのかを探る。
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