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第467話
「何?」
ベリアルは思わず目を見開く。 何故なら機体の腹部から刃が突き出ているからだ。
『ヒ、ヒヒ、や、やや、やっと隙を晒したなぁ』
その声には覚えがあった。 相手チームに居るであろう最後のAランクプレイヤーの物だ。
『アノビィ』。 機体名は『デス・ビートル』
ステルスを用いての奇襲を得意とするプレイヤーだ。
当初は居ないと思われていたが、他が全員居るのでいない訳がないと警戒はしていた。
加えてシニフィエの不自然なやられ方を見れば居るのは明らかだ。
その為、ユウヤは近くにアルフレッドを待機させ、シックスセンスによるセンサーシステムのリンクを行っており、近寄れば探知できるのでそこまで意識を割いていなかった事も大きい。
「ぐ、死の甲虫か。 煉獄の番犬の監視をどうやって掻い潜った?」
『へ、お、おお、お前が知る必要はねぇよ。 く、くく、くたばってろゴミがよぉ!』
ベリアルは不味いと思いつつもこの状況は詰んでいるとも理解していた。
こいつがシックスセンスの監視を搔い潜った理由は不明だが、このまま野放しにするのは危険だ。
せめて手傷だけでも――
振り返って仕掛けようとしたが、突き刺さったナイフから高圧電流が流れ、動力が停止する。
エーテルの鎧は少々の電流は防ぐ事は可能だが、内部で流されてしまえばどうにもならない。
味方に警告を飛ばそうにもプセウドテイの機能は完全に停止しており、ベリアルにできる事は屈辱に拳を握る事だけだった。
『ウゼぇんだよ!』
ラドンの散弾銃が火を噴くがユウヤは器用に大剣を盾にする事で被弾を最小に抑え、一気に肉薄する。
ベリアルと相手を交換した事によりラドンとカラカラの両方を相手にする事となったが、どちらも相性のいい相手なのでそこまで苦ではなかった。
それは相手もよく理解しているようでラドンの口調からは露骨な焦りが見て取れる。
「は、雑魚は大変だなぁ。 お友達がいねぇとランクも維持できねぇ上、厨二野郎一匹も狩れねぇときた」
『舐めてんじゃねぇぞ! その厨二野郎とツルんでユニオンに居るゴミがよぉ!』
ユウヤはラドンの返しに鼻で笑う。
彼はラドンやカラカラのような金の為に地位を守る事に必死な連中が大嫌いだった。
知っている物は少数だが、Aランクを維持する簡単な方法は実は存在する。
さて、このゲームのランク戦。
マッチングに参加すると同ランクの相手がランダムで当たる仕組みになっている。
だが、ログインしていない相手とは当たれない。
要はこいつ等は相性のいい相手、もしくは身内と当たり易い人の少ない時間を狙ってランク戦を消化しているのだ。 談合に近い試合内容で勝利数を盛っている可能性も高い。
少なくともユウヤは不自然に技量の低いランカーは一人残らず談合していると思っているので、ここ最近のランク戦で当たらない上、弱い相手はその手のカスだと決めつけていた。
運営に目を付けられないのは不思議ではあったが、少なくとも彼の中ではそう結論付けられているので目の前の二人はイカサマ野郎と決まっている。
そんな理由でユウヤは目の前の二人が死ぬほど嫌いだったのだ。
『あー、そーっすかー。 だったらその雑魚にさっさとやられちまえよ』
カラカラがエネルギーウイングを噴かして旋回をかけようとしたが、ユウヤは振り向きもせずに胸部にアケディアを機動。 エネルギーの無効化フィールドが発生する。
カラカラの加速が停止し、態勢が大きく崩れた。
カラカラの援護を期待していたラドンはマジかよと呟きながら散弾銃をセミオートに切り替えて連射。 大剣で受け止めて正面突破。
ラドンは離脱しようとしたが、推進装置が機能しない。 ユウヤの仕業だ。
逃げられない。
覚悟を決めたのか散弾銃を手放し、拳を握ると手甲に似たパーツが展開してナックルダスターに変化。 迎え撃つ構えだ。
恐らくは斬撃を掻い潜っての打撃を狙っているのだろうが、ラドンの近接スキルは同ランク帯でも下から数えた方が早いので怖さは特に感じなかった。
大剣で仕掛けると見せかけてハンマーに変形させて叩き潰す。 それで終わりだ。
大剣を上段に振りかぶる。
ラドンが姿勢を低くして掻い潜ろうとしたタイミングで大剣をハンマーに変形。
タイミングも完璧だ。 このまま叩き潰し――ハンマーが空を切った。
ユウヤの一撃はラドンの機体をすり抜けたのだ。
――立体映像? アルフレッドの支援がある状態でそれはない。
ならこれはどういう状況だ? 不明な点が多いが自分が大きな隙を晒した事だけは分かった。
ユウヤは咄嗟にアケディアを最大展開。 エネルギーの消耗は大きくなるが、このまま棒立ちだとやられるのは目に見えている。 同時にコックピット部分を大剣で防御。
バキリと脚部が破壊される。 何の前触れもなく足が吹き飛んだ。
ステータス上は膝から下が完全に逝っている。 視覚上は何も確認できない。
バランスが崩れ、転倒しそうになったので咄嗟に大剣を地面に突き立ててどうにか踏みとどまる。
それによりコックピット部分のガードが開いた。
来るのは分かっていたので大剣を手放して何もない場所へと拳を突き出す。
視覚上は虚空を殴ったが、何か固い物に当たった手応えがあった。
『な、何で――』
「何をしたか知らねぇが、来るのは読めてんだよカスが」
ラドンの動揺した声が聞こえたが無視して叩きこんだ腕にある散弾砲を発射。
ゼロ距離で叩きこまれた散弾を喰らってラドンの機体は大破したはずだ。
何故はずなのかと言うと、ここまではっきりとした手応えがあるにも関わらず視覚上は何も起こっていないのだ。
一機撃破したがユウヤもここまでだった。
アケディアを全力稼働したのでジェネレーターが限界だ。 アケディアの機能が停止。
同時にコックピット部分にエネルギーブレードが突き立てられる。
背後から来るのは読めていたので機体が爆発する前に背後に全力で肘を叩きこんだ。
何かに当たった感触はあったが、それを確認する事も出来ずに機体は大破。
脱落となった。
「くっそ、やってくれる」
目の前で残骸へと成り果てたプルガトリオを見てカラカラは忌々し気に呟く。
大損害だ。 ラドンはやられ、自分の機体も頭部が破壊されたお陰で前が碌に見えない。
振り返ると既存機よりやや小柄な機体がすっと現れた。 濃い紫色が特徴的な機体はアノビィだ。
「遅せーぞ。 ベリアルは仕留めたんだろーな?」
「し、しし、仕留めたが、ウルツァイトがやられた。 お、俺が行くまで粘れと言ったのにあ、ああ、あの役立たずが」
想定外は多々あったが、一先ずは片付いた。
次は中央の敵機の処理だ。 一番厄介な二人は仕留めた以上、後は比較的ではあるが楽なはずだ。
カラカラはアノビィを連れて次の場所へと動き出した。
ベリアルは思わず目を見開く。 何故なら機体の腹部から刃が突き出ているからだ。
『ヒ、ヒヒ、や、やや、やっと隙を晒したなぁ』
その声には覚えがあった。 相手チームに居るであろう最後のAランクプレイヤーの物だ。
『アノビィ』。 機体名は『デス・ビートル』
ステルスを用いての奇襲を得意とするプレイヤーだ。
当初は居ないと思われていたが、他が全員居るのでいない訳がないと警戒はしていた。
加えてシニフィエの不自然なやられ方を見れば居るのは明らかだ。
その為、ユウヤは近くにアルフレッドを待機させ、シックスセンスによるセンサーシステムのリンクを行っており、近寄れば探知できるのでそこまで意識を割いていなかった事も大きい。
「ぐ、死の甲虫か。 煉獄の番犬の監視をどうやって掻い潜った?」
『へ、お、おお、お前が知る必要はねぇよ。 く、くく、くたばってろゴミがよぉ!』
ベリアルは不味いと思いつつもこの状況は詰んでいるとも理解していた。
こいつがシックスセンスの監視を搔い潜った理由は不明だが、このまま野放しにするのは危険だ。
せめて手傷だけでも――
振り返って仕掛けようとしたが、突き刺さったナイフから高圧電流が流れ、動力が停止する。
エーテルの鎧は少々の電流は防ぐ事は可能だが、内部で流されてしまえばどうにもならない。
味方に警告を飛ばそうにもプセウドテイの機能は完全に停止しており、ベリアルにできる事は屈辱に拳を握る事だけだった。
『ウゼぇんだよ!』
ラドンの散弾銃が火を噴くがユウヤは器用に大剣を盾にする事で被弾を最小に抑え、一気に肉薄する。
ベリアルと相手を交換した事によりラドンとカラカラの両方を相手にする事となったが、どちらも相性のいい相手なのでそこまで苦ではなかった。
それは相手もよく理解しているようでラドンの口調からは露骨な焦りが見て取れる。
「は、雑魚は大変だなぁ。 お友達がいねぇとランクも維持できねぇ上、厨二野郎一匹も狩れねぇときた」
『舐めてんじゃねぇぞ! その厨二野郎とツルんでユニオンに居るゴミがよぉ!』
ユウヤはラドンの返しに鼻で笑う。
彼はラドンやカラカラのような金の為に地位を守る事に必死な連中が大嫌いだった。
知っている物は少数だが、Aランクを維持する簡単な方法は実は存在する。
さて、このゲームのランク戦。
マッチングに参加すると同ランクの相手がランダムで当たる仕組みになっている。
だが、ログインしていない相手とは当たれない。
要はこいつ等は相性のいい相手、もしくは身内と当たり易い人の少ない時間を狙ってランク戦を消化しているのだ。 談合に近い試合内容で勝利数を盛っている可能性も高い。
少なくともユウヤは不自然に技量の低いランカーは一人残らず談合していると思っているので、ここ最近のランク戦で当たらない上、弱い相手はその手のカスだと決めつけていた。
運営に目を付けられないのは不思議ではあったが、少なくとも彼の中ではそう結論付けられているので目の前の二人はイカサマ野郎と決まっている。
そんな理由でユウヤは目の前の二人が死ぬほど嫌いだったのだ。
『あー、そーっすかー。 だったらその雑魚にさっさとやられちまえよ』
カラカラがエネルギーウイングを噴かして旋回をかけようとしたが、ユウヤは振り向きもせずに胸部にアケディアを機動。 エネルギーの無効化フィールドが発生する。
カラカラの加速が停止し、態勢が大きく崩れた。
カラカラの援護を期待していたラドンはマジかよと呟きながら散弾銃をセミオートに切り替えて連射。 大剣で受け止めて正面突破。
ラドンは離脱しようとしたが、推進装置が機能しない。 ユウヤの仕業だ。
逃げられない。
覚悟を決めたのか散弾銃を手放し、拳を握ると手甲に似たパーツが展開してナックルダスターに変化。 迎え撃つ構えだ。
恐らくは斬撃を掻い潜っての打撃を狙っているのだろうが、ラドンの近接スキルは同ランク帯でも下から数えた方が早いので怖さは特に感じなかった。
大剣で仕掛けると見せかけてハンマーに変形させて叩き潰す。 それで終わりだ。
大剣を上段に振りかぶる。
ラドンが姿勢を低くして掻い潜ろうとしたタイミングで大剣をハンマーに変形。
タイミングも完璧だ。 このまま叩き潰し――ハンマーが空を切った。
ユウヤの一撃はラドンの機体をすり抜けたのだ。
――立体映像? アルフレッドの支援がある状態でそれはない。
ならこれはどういう状況だ? 不明な点が多いが自分が大きな隙を晒した事だけは分かった。
ユウヤは咄嗟にアケディアを最大展開。 エネルギーの消耗は大きくなるが、このまま棒立ちだとやられるのは目に見えている。 同時にコックピット部分を大剣で防御。
バキリと脚部が破壊される。 何の前触れもなく足が吹き飛んだ。
ステータス上は膝から下が完全に逝っている。 視覚上は何も確認できない。
バランスが崩れ、転倒しそうになったので咄嗟に大剣を地面に突き立ててどうにか踏みとどまる。
それによりコックピット部分のガードが開いた。
来るのは分かっていたので大剣を手放して何もない場所へと拳を突き出す。
視覚上は虚空を殴ったが、何か固い物に当たった手応えがあった。
『な、何で――』
「何をしたか知らねぇが、来るのは読めてんだよカスが」
ラドンの動揺した声が聞こえたが無視して叩きこんだ腕にある散弾砲を発射。
ゼロ距離で叩きこまれた散弾を喰らってラドンの機体は大破したはずだ。
何故はずなのかと言うと、ここまではっきりとした手応えがあるにも関わらず視覚上は何も起こっていないのだ。
一機撃破したがユウヤもここまでだった。
アケディアを全力稼働したのでジェネレーターが限界だ。 アケディアの機能が停止。
同時にコックピット部分にエネルギーブレードが突き立てられる。
背後から来るのは読めていたので機体が爆発する前に背後に全力で肘を叩きこんだ。
何かに当たった感触はあったが、それを確認する事も出来ずに機体は大破。
脱落となった。
「くっそ、やってくれる」
目の前で残骸へと成り果てたプルガトリオを見てカラカラは忌々し気に呟く。
大損害だ。 ラドンはやられ、自分の機体も頭部が破壊されたお陰で前が碌に見えない。
振り返ると既存機よりやや小柄な機体がすっと現れた。 濃い紫色が特徴的な機体はアノビィだ。
「遅せーぞ。 ベリアルは仕留めたんだろーな?」
「し、しし、仕留めたが、ウルツァイトがやられた。 お、俺が行くまで粘れと言ったのにあ、ああ、あの役立たずが」
想定外は多々あったが、一先ずは片付いた。
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