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第471話
防御を剥がし、アベリアがそのままタヂカラオを仕留めようと――違和感に気が付いた。
自機の胴体部分に風穴が開いている事に。
「は? なん――」
爆発。 その結果を見てタヂカラオはほっと胸を撫で下ろした。
「い、いやぁ、助かったよマルメル君。 今のは流石に肝が冷えたね」
タヂカラオはやや引き攣った声で振り返ると地上にはマルメルが発射後のハンドレールキャノンを構えていた。
彼がやった事は単純でアベリアをマルメルの射線に誘い込んだだけだ。
気付かれない工夫はしたが、タヂカラオにとっては確実に当ててくれると信じるという少し高いハードルがあった。
何故ならハンドレールキャノンの弾体はタヂカラオの脇から抜けてアベリアへ当たる軌道だったからだ。
少しでもズレていたらタヂカラオだけが撃墜されるという間抜けな結果に終わっていた。
「お、俺もここまで上手く行くとは思ってませんでしたよ」
マルメルの声も少し震えていた。 ホーコートがやられ、ヨシナリが敵のリーダーと相打ち。
そんな中、追い込まれたタヂカラオだったが、マルメルがちょうどいい位置に居たので通信を送ったのだ。
射線に誘い込むから撃ち抜けと。 アベリアは直情傾向にあるが、Aランク。
見えている状態だとまず当たらない。
当てたいのなら最低でも発射の瞬間を見られないようにする必要があった。
加えてアベリアの警戒心を可能な限り削ぎ落す事で命中率を上げる。
その為には必須なのは劣勢になる事だ。
元々、スペック差もあったので普通に戦っていれば何もしなくても追い込まれる事になる。
後はエネルギーフィールドを多用して追いつめられている事をアピールしつつ、フィールドの消失で完全に詰んだと思わせる。
ここまでやればアベリアの意識はタヂカラオを仕留める事に大きく傾く。
後は自機でマルメルの機体を隠して完了だ。 最後に必要なのは仲間を信じる事。
ハンドレールキャノンのような命中精度に難がある武装での精密射撃はランカーでもできない者が多い。 少なくともタヂカラオには無理だ。
――上手く行って本当に良かった。
いつまでもほっとはしていられない。 まだ、戦いは終わっていないからだ。
ふわわとグロウモスを助けに――振り返ると小さな爆発が目に入った。
同時にグロウモスと交戦中の敵機の反応が消失。 どうやら返り討ちにしたようだ。
そして間を置かずにふわわが一機仕留めたらしく、谷の向こうに居る機体の反応も消えた。
間髪入れずにグロウモスの居る位置から高出力のレーザーが飛び、フィールドの一角を焼き払う。
距離があった所為で分かり辛かったが何かが爆発したのが見えた。
「うーん、流石だね。 後ろを気にしなくて良くなったのは朗報だ。 マルメル君はここで援護を、僕はふわわ君を助けに行くとするよ」
ベリアルとユウヤのやられ方が不自然だった事もあって単独にするには不安が残る。
急がなければとタヂカラオは機体を北へと向かわせた。
アノビィは内心でほくそ笑む。 想定外は多いが、まだ充分に勝てる盤面だ。
シニフィエ、ベリアル、ユウヤと三機を立て続けに撃破したのは紛れもなく彼の功績だった。
数日前にアップグレードを行った機体の新装備を用いる事で奇襲に成功したのだ。
運も良かった。 彼の装備はアルフレッドに対して特に有効だった事もあって、本来なら瞬殺されるレベルの技量差がある相手を二人も仕留めたのだ。
大金星と言えるだろう。 残りはふわわ、マルメル、グロウモスとタヂカラオの四人。
対するアノビィ達の残りはアノビィとカラカラの二人。
戦力的には厳しいが、ヨシナリとアルフレッドが居ない以上、今のアノビィを捉える事は難しいはずなので充分に引っ繰り返せる。
――役立たず共め。 な、情けない連中だ。
こちらはAランクが七機も居たというのにここまで押されるのは情けないとしか言いようがない。
ウルツァイトやアベリアならまだしもヤガミがやられたのはアノビィにとっては想定外だった。
だが、これはいい機会だった。 中堅クラスのプレイヤー相手に相打ちという失態を演じたのだ。
三軍のトップの座を奪えるかもしれないと思っていた。
同じ三軍でもトップとヒラでは待遇がかなり違う。
特に昇格などの任命権を握れるのはかなり美味しい立ち位置だ。
恩を売る事もできる上、場合によっては賄賂的な物も貰えるかもしれない。
アノビィは全員とは言わないが、何人かは賄賂を貰って美味しい思いをしていると決めつけていた。
AランクはPを換金すれば金には困らないが、金はいくらあってもいいと思っているのでもっといいポジションに就いてもっとPを貰える環境を作っていきたい。
だから、不利に見える状況は彼にとって非常に都合が良かったのだ。
敵の残りは四機。 カラカラは視界が完全ではないので戦力としてはあまり期待できない。
つまり、自分が手柄を独り占めできる。 次に考えるのは誰を狙うかだ。
最初はふわわで決まりだ。 理由は単純に一番近くに居るからだった。
次はこちらに向かっているタヂカラオ、マルメル、最後にグロウモスの順で終わりだ。
移動している間に先行したカラカラがふわわを捉えた。 タヂカラオが合流する前に仕留めるつもりのようだ。
こちらも効果範囲に捉えた。 機体に内蔵されている機能を使用する。
標的はふわわ。 完全に影響下に置いた事を確認。
これでふわわは正確に外界を認識できなくなった。 アノビィは腰のダガーを抜きながら忍び寄る。
ないと思うがカラカラがしくじった場合にとどめを刺す為だ。
「おい、本当に大丈夫なんだろうな?」
「し、しし、心配するな。 あいつには見えてない。 や、殺れ」
カラカラがそっとふわわの背後に回り込んでエネルギーブレードを展開。
頭部パーツの破損により、視界が悪い事もあって確実に当てられる刺突で仕留めるようだ。
残り五歩といった所か。 なるべく音を立てないように忍び寄る。
それを見てアノビィは内心で小さく溜息を吐く。
――そんな事をしなくても聞こえてねぇよ。
カラカラが「悪く思うな」と呟き、刺突の為にブレードを引いたと同時にそれは起こった。
ふわわがおもむろに腰の太刀を抜いて振り向きながら背後に一閃。
「え?」「は?」
カラカラとアノビィは同時に声を上げた。 カラカラは袈裟に両断されて崩れ落ちる。
「おい……見えてねぇんじゃ――」
カラカラが呻くようにそう呟き、爆発。 アノビィには何が起こったのかさっぱり分からなかった。
機体をチェック。 明らかにふわわの機体は影響下にある。
見えている訳がないのだ。 そもそもソルジャータイプの電子戦能力でコレを防げる訳が――
自機の胴体部分に風穴が開いている事に。
「は? なん――」
爆発。 その結果を見てタヂカラオはほっと胸を撫で下ろした。
「い、いやぁ、助かったよマルメル君。 今のは流石に肝が冷えたね」
タヂカラオはやや引き攣った声で振り返ると地上にはマルメルが発射後のハンドレールキャノンを構えていた。
彼がやった事は単純でアベリアをマルメルの射線に誘い込んだだけだ。
気付かれない工夫はしたが、タヂカラオにとっては確実に当ててくれると信じるという少し高いハードルがあった。
何故ならハンドレールキャノンの弾体はタヂカラオの脇から抜けてアベリアへ当たる軌道だったからだ。
少しでもズレていたらタヂカラオだけが撃墜されるという間抜けな結果に終わっていた。
「お、俺もここまで上手く行くとは思ってませんでしたよ」
マルメルの声も少し震えていた。 ホーコートがやられ、ヨシナリが敵のリーダーと相打ち。
そんな中、追い込まれたタヂカラオだったが、マルメルがちょうどいい位置に居たので通信を送ったのだ。
射線に誘い込むから撃ち抜けと。 アベリアは直情傾向にあるが、Aランク。
見えている状態だとまず当たらない。
当てたいのなら最低でも発射の瞬間を見られないようにする必要があった。
加えてアベリアの警戒心を可能な限り削ぎ落す事で命中率を上げる。
その為には必須なのは劣勢になる事だ。
元々、スペック差もあったので普通に戦っていれば何もしなくても追い込まれる事になる。
後はエネルギーフィールドを多用して追いつめられている事をアピールしつつ、フィールドの消失で完全に詰んだと思わせる。
ここまでやればアベリアの意識はタヂカラオを仕留める事に大きく傾く。
後は自機でマルメルの機体を隠して完了だ。 最後に必要なのは仲間を信じる事。
ハンドレールキャノンのような命中精度に難がある武装での精密射撃はランカーでもできない者が多い。 少なくともタヂカラオには無理だ。
――上手く行って本当に良かった。
いつまでもほっとはしていられない。 まだ、戦いは終わっていないからだ。
ふわわとグロウモスを助けに――振り返ると小さな爆発が目に入った。
同時にグロウモスと交戦中の敵機の反応が消失。 どうやら返り討ちにしたようだ。
そして間を置かずにふわわが一機仕留めたらしく、谷の向こうに居る機体の反応も消えた。
間髪入れずにグロウモスの居る位置から高出力のレーザーが飛び、フィールドの一角を焼き払う。
距離があった所為で分かり辛かったが何かが爆発したのが見えた。
「うーん、流石だね。 後ろを気にしなくて良くなったのは朗報だ。 マルメル君はここで援護を、僕はふわわ君を助けに行くとするよ」
ベリアルとユウヤのやられ方が不自然だった事もあって単独にするには不安が残る。
急がなければとタヂカラオは機体を北へと向かわせた。
アノビィは内心でほくそ笑む。 想定外は多いが、まだ充分に勝てる盤面だ。
シニフィエ、ベリアル、ユウヤと三機を立て続けに撃破したのは紛れもなく彼の功績だった。
数日前にアップグレードを行った機体の新装備を用いる事で奇襲に成功したのだ。
運も良かった。 彼の装備はアルフレッドに対して特に有効だった事もあって、本来なら瞬殺されるレベルの技量差がある相手を二人も仕留めたのだ。
大金星と言えるだろう。 残りはふわわ、マルメル、グロウモスとタヂカラオの四人。
対するアノビィ達の残りはアノビィとカラカラの二人。
戦力的には厳しいが、ヨシナリとアルフレッドが居ない以上、今のアノビィを捉える事は難しいはずなので充分に引っ繰り返せる。
――役立たず共め。 な、情けない連中だ。
こちらはAランクが七機も居たというのにここまで押されるのは情けないとしか言いようがない。
ウルツァイトやアベリアならまだしもヤガミがやられたのはアノビィにとっては想定外だった。
だが、これはいい機会だった。 中堅クラスのプレイヤー相手に相打ちという失態を演じたのだ。
三軍のトップの座を奪えるかもしれないと思っていた。
同じ三軍でもトップとヒラでは待遇がかなり違う。
特に昇格などの任命権を握れるのはかなり美味しい立ち位置だ。
恩を売る事もできる上、場合によっては賄賂的な物も貰えるかもしれない。
アノビィは全員とは言わないが、何人かは賄賂を貰って美味しい思いをしていると決めつけていた。
AランクはPを換金すれば金には困らないが、金はいくらあってもいいと思っているのでもっといいポジションに就いてもっとPを貰える環境を作っていきたい。
だから、不利に見える状況は彼にとって非常に都合が良かったのだ。
敵の残りは四機。 カラカラは視界が完全ではないので戦力としてはあまり期待できない。
つまり、自分が手柄を独り占めできる。 次に考えるのは誰を狙うかだ。
最初はふわわで決まりだ。 理由は単純に一番近くに居るからだった。
次はこちらに向かっているタヂカラオ、マルメル、最後にグロウモスの順で終わりだ。
移動している間に先行したカラカラがふわわを捉えた。 タヂカラオが合流する前に仕留めるつもりのようだ。
こちらも効果範囲に捉えた。 機体に内蔵されている機能を使用する。
標的はふわわ。 完全に影響下に置いた事を確認。
これでふわわは正確に外界を認識できなくなった。 アノビィは腰のダガーを抜きながら忍び寄る。
ないと思うがカラカラがしくじった場合にとどめを刺す為だ。
「おい、本当に大丈夫なんだろうな?」
「し、しし、心配するな。 あいつには見えてない。 や、殺れ」
カラカラがそっとふわわの背後に回り込んでエネルギーブレードを展開。
頭部パーツの破損により、視界が悪い事もあって確実に当てられる刺突で仕留めるようだ。
残り五歩といった所か。 なるべく音を立てないように忍び寄る。
それを見てアノビィは内心で小さく溜息を吐く。
――そんな事をしなくても聞こえてねぇよ。
カラカラが「悪く思うな」と呟き、刺突の為にブレードを引いたと同時にそれは起こった。
ふわわがおもむろに腰の太刀を抜いて振り向きながら背後に一閃。
「え?」「は?」
カラカラとアノビィは同時に声を上げた。 カラカラは袈裟に両断されて崩れ落ちる。
「おい……見えてねぇんじゃ――」
カラカラが呻くようにそう呟き、爆発。 アノビィには何が起こったのかさっぱり分からなかった。
機体をチェック。 明らかにふわわの機体は影響下にある。
見えている訳がないのだ。 そもそもソルジャータイプの電子戦能力でコレを防げる訳が――
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