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第478話
「ヨシナリ君!」
タヂカラオが咄嗟に援護に入ろうとするが、別の機体が真っすぐに突っ込んで来る。
ピンク色が目立つ細身の軽量機体で、武装は持っているように見えないがかなり離れた位置で拳を一閃。
ヨシナリと近いお陰でシックスセンスによる情報支援を得られている事もあって異変にはすぐに気が付いた。
ミサイルを撃ちながらエネルギーウイングを噴かして旋回。
一瞬前までタヂカラオのいた位置に貫手――機体の腕だけが現れていた。
『ハロー、新人君。 ジェネシスフレームはどうしたんだい?』
「どうも。 実はちょっと没収されてしまいまして」
やや幼い感じのする女性の声。
プレイヤーネーム『バド』、機体名『ドリーミープリマ』。
彼女に関しては他に比べて詳しかった。
幸か不幸かランク戦で当たった経験があって情報を多少は得ていたからだ。
ちなみに惨敗だった。 彼女の機体『ドリーミープリマ』は最近、アップグレードを行った事でバトルスタイルを大きく変えたようだ。
元々は加速を用いて肉薄しての打撃や貫手による刺突を得意としている。
タヂカラオとしてはシニフィエ辺りとぶつかって欲しい相手だったが、こちらに来たかと内心で厄介なのに絡まれたと呟く。
『ふーん? 大変だね? ボクとしては噂のヨシナリ君と戦りたかったけど、ウチの方針としては早い者勝ちで獲物の横取りは厳禁なんだ。 だからカカラさんが負けたらボクが貰うんだー』
「なるほど。 そっちも色々と大変そうですね」
『そうなんだよー。 タヂカラオ君とは一回戦ったからもういいかなって思ってるし、取り敢えず落ちといてね』
以前と今とでは違う点がある。
ジェネシスフレームではなくなっているので総合力では大きく落ち込んでいるが、今回はシックスセンスによる情報支援があるのでバドの攻撃の起点が視える点だ。
彼女の攻撃はカテゴリー上は転移だが、空間を繋げるタイプなので転移先をかき回してやれば妨害は出来るが回転が速いので出を潰す事は難しい。
――つまり、回避が最適解。
出現点さえ掴めれば躱す事自体はそう難しくはない。
加えて彼女の打撃はふわわの斬撃と違って放り込むような転移ではなく、繋ぐ点での攻撃なのでどうにでもなるのだ。 ミサイルをばら撒きながら突撃銃を連射。
『うーん、おっそい遅い!』
唐突に飛んで来たミサイルの軌道が変わり他と衝突する事で爆発。
膝を転移させてミサイルを跳ね上げて強引に軌道を変えて来た。
――ミサイルは無理か。
こうなると邪魔なので全弾発射してミサイルポッドを切り離して身を軽くする。
幸いにもバドは重装甲という訳ではないので当てられたのなら落とせはするので、どうにもならない相手ではない。
気を付けるべきは爪と膝や肘だ。
彼女の武装は手持ちではなく、身体の延長。 爪は全て短いエネルギーブレード。
肘と膝には接触した相手に衝撃波を叩きこんで内部から破壊する凶悪な代物だ。
以前までなら近寄らせなければどうにでもなったのだが、今は距離を開けてもあまり意味がない厄介な相手となっている。 ちらりと上空を見るとヨシナリがカカラの猛攻を神がかった挙動で躱し続けていた。 連携が取れるのなら勝ち筋が視えてくるのだが、ここは独力で打開する必要がある。
「うーん。 参ったな、勝ち筋が視えない」
一先ずは凌いでどうにか突破口開くべきか。
タヂカラオは身軽になった機体を加速させ、敵の攻撃に対して意識を張り巡らせた。
マルメルはエネルギーウイングを噴かして直線加速。
マップを確認してヨシナリの支援が受けられる範囲を意識しつつ移動する。
範囲から出てしまうと索敵能力が大幅に落ち込むのでヨシナリからは可能な限り離れるなと指示を受けていた。
立ち回りとしては前回と同じではあるが、今回は人数が居るのでマルメルも本来のポジションである中衛として力を発揮できる。
前回は支援に徹する形になったが今回は活躍してやるぜと気合を入れたのだが、早々に厄介なのと遭遇してしまった。
現在、マルメルは湖を沿うように移動しているがそれに併走するように足音が響く。
銀を基調とし、あちこちが金色の高級感のあるカラーリング。
デザインは特徴的で下半身が馬を思わせる四つ足。 所謂、ケンタウロスのような見た目だ。
片手には先端が回転している丸鋸のようなハルバード。
刃が赤熱している点からも喰らうと不味そうだった。
肩にはロングバレルの突撃銃や散弾銃らしきものが合計で三挺マウントされている。
動きの重たさからスピード自体はそこまで速くはないので、距離を維持する事は可能だ。
問題は――マルメルは手榴弾を放り投げる。 爆発。
敵機は意に介さずに突っ込んで来る。 機体の装甲もだが、全体的に重厚な印象を受けるだけあって並の攻撃では傷一つ付かない。
「手榴弾じゃ目くらましにもならねぇか」
小さく呟いてアノマリーを実弾に切り替えて背後へとばら撒く。
敵機は躱しもしない。 銃弾は金属音がするだけで弾かれる。
音がしている点から効いていない事はないが、装甲を貫くには集中して当てる必要があるだろう。
マップを見るとそろそろヨシナリの支援範囲から外れてしまいそうなので直進から緩やかにカーブするが、そこを狙っていたらしく敵機が一気に加速。
瞬く間に真横まで寄ってきた。 背筋が冷える。
咄嗟に動けたのは普段からふわわと模擬戦をしているからかもしれない。
僅かに身を屈めたと同時にさっきまで頭部のあった場所をハルバードが薙ぐ。
躱したと認識し、即座にエネルギーウイングの推進力を絞って減速。 敵機との距離が開く。
僅かに遅れて敵機が持っていた散弾銃を発砲。
ズンと重たい銃声がして無数の散弾が吹雪の中に消えた。
――振りながらマウントした銃を抜いたのか。
あのハルバードは片手で振る事が前提の造りのようだ。
少なくともパワーでは勝負にならない事は良く分かった。
「こりゃ、捕まったら終わるな」
呟きながらアノマリーをエネルギーに切り替えて二連射。
エネルギー弾は敵機の銀色の装甲に触れて霧散した。 対エネルギー兵器用のコーティング。
アノマリーの一撃を防ぐレベルとなると相当な代物だ。
あくまでコーティングなので何度も喰らわせれば熱で剥がれるが、この環境下ではかなり撃ち込まないと難しいだろう。
取り敢えず、瞬殺されるような相性の相手ではないのが好材料だが――
「誰か助けてくれねぇかなぁ……」
そう呟きたくなる程度には厳しい相手だった。
タヂカラオが咄嗟に援護に入ろうとするが、別の機体が真っすぐに突っ込んで来る。
ピンク色が目立つ細身の軽量機体で、武装は持っているように見えないがかなり離れた位置で拳を一閃。
ヨシナリと近いお陰でシックスセンスによる情報支援を得られている事もあって異変にはすぐに気が付いた。
ミサイルを撃ちながらエネルギーウイングを噴かして旋回。
一瞬前までタヂカラオのいた位置に貫手――機体の腕だけが現れていた。
『ハロー、新人君。 ジェネシスフレームはどうしたんだい?』
「どうも。 実はちょっと没収されてしまいまして」
やや幼い感じのする女性の声。
プレイヤーネーム『バド』、機体名『ドリーミープリマ』。
彼女に関しては他に比べて詳しかった。
幸か不幸かランク戦で当たった経験があって情報を多少は得ていたからだ。
ちなみに惨敗だった。 彼女の機体『ドリーミープリマ』は最近、アップグレードを行った事でバトルスタイルを大きく変えたようだ。
元々は加速を用いて肉薄しての打撃や貫手による刺突を得意としている。
タヂカラオとしてはシニフィエ辺りとぶつかって欲しい相手だったが、こちらに来たかと内心で厄介なのに絡まれたと呟く。
『ふーん? 大変だね? ボクとしては噂のヨシナリ君と戦りたかったけど、ウチの方針としては早い者勝ちで獲物の横取りは厳禁なんだ。 だからカカラさんが負けたらボクが貰うんだー』
「なるほど。 そっちも色々と大変そうですね」
『そうなんだよー。 タヂカラオ君とは一回戦ったからもういいかなって思ってるし、取り敢えず落ちといてね』
以前と今とでは違う点がある。
ジェネシスフレームではなくなっているので総合力では大きく落ち込んでいるが、今回はシックスセンスによる情報支援があるのでバドの攻撃の起点が視える点だ。
彼女の攻撃はカテゴリー上は転移だが、空間を繋げるタイプなので転移先をかき回してやれば妨害は出来るが回転が速いので出を潰す事は難しい。
――つまり、回避が最適解。
出現点さえ掴めれば躱す事自体はそう難しくはない。
加えて彼女の打撃はふわわの斬撃と違って放り込むような転移ではなく、繋ぐ点での攻撃なのでどうにでもなるのだ。 ミサイルをばら撒きながら突撃銃を連射。
『うーん、おっそい遅い!』
唐突に飛んで来たミサイルの軌道が変わり他と衝突する事で爆発。
膝を転移させてミサイルを跳ね上げて強引に軌道を変えて来た。
――ミサイルは無理か。
こうなると邪魔なので全弾発射してミサイルポッドを切り離して身を軽くする。
幸いにもバドは重装甲という訳ではないので当てられたのなら落とせはするので、どうにもならない相手ではない。
気を付けるべきは爪と膝や肘だ。
彼女の武装は手持ちではなく、身体の延長。 爪は全て短いエネルギーブレード。
肘と膝には接触した相手に衝撃波を叩きこんで内部から破壊する凶悪な代物だ。
以前までなら近寄らせなければどうにでもなったのだが、今は距離を開けてもあまり意味がない厄介な相手となっている。 ちらりと上空を見るとヨシナリがカカラの猛攻を神がかった挙動で躱し続けていた。 連携が取れるのなら勝ち筋が視えてくるのだが、ここは独力で打開する必要がある。
「うーん。 参ったな、勝ち筋が視えない」
一先ずは凌いでどうにか突破口開くべきか。
タヂカラオは身軽になった機体を加速させ、敵の攻撃に対して意識を張り巡らせた。
マルメルはエネルギーウイングを噴かして直線加速。
マップを確認してヨシナリの支援が受けられる範囲を意識しつつ移動する。
範囲から出てしまうと索敵能力が大幅に落ち込むのでヨシナリからは可能な限り離れるなと指示を受けていた。
立ち回りとしては前回と同じではあるが、今回は人数が居るのでマルメルも本来のポジションである中衛として力を発揮できる。
前回は支援に徹する形になったが今回は活躍してやるぜと気合を入れたのだが、早々に厄介なのと遭遇してしまった。
現在、マルメルは湖を沿うように移動しているがそれに併走するように足音が響く。
銀を基調とし、あちこちが金色の高級感のあるカラーリング。
デザインは特徴的で下半身が馬を思わせる四つ足。 所謂、ケンタウロスのような見た目だ。
片手には先端が回転している丸鋸のようなハルバード。
刃が赤熱している点からも喰らうと不味そうだった。
肩にはロングバレルの突撃銃や散弾銃らしきものが合計で三挺マウントされている。
動きの重たさからスピード自体はそこまで速くはないので、距離を維持する事は可能だ。
問題は――マルメルは手榴弾を放り投げる。 爆発。
敵機は意に介さずに突っ込んで来る。 機体の装甲もだが、全体的に重厚な印象を受けるだけあって並の攻撃では傷一つ付かない。
「手榴弾じゃ目くらましにもならねぇか」
小さく呟いてアノマリーを実弾に切り替えて背後へとばら撒く。
敵機は躱しもしない。 銃弾は金属音がするだけで弾かれる。
音がしている点から効いていない事はないが、装甲を貫くには集中して当てる必要があるだろう。
マップを見るとそろそろヨシナリの支援範囲から外れてしまいそうなので直進から緩やかにカーブするが、そこを狙っていたらしく敵機が一気に加速。
瞬く間に真横まで寄ってきた。 背筋が冷える。
咄嗟に動けたのは普段からふわわと模擬戦をしているからかもしれない。
僅かに身を屈めたと同時にさっきまで頭部のあった場所をハルバードが薙ぐ。
躱したと認識し、即座にエネルギーウイングの推進力を絞って減速。 敵機との距離が開く。
僅かに遅れて敵機が持っていた散弾銃を発砲。
ズンと重たい銃声がして無数の散弾が吹雪の中に消えた。
――振りながらマウントした銃を抜いたのか。
あのハルバードは片手で振る事が前提の造りのようだ。
少なくともパワーでは勝負にならない事は良く分かった。
「こりゃ、捕まったら終わるな」
呟きながらアノマリーをエネルギーに切り替えて二連射。
エネルギー弾は敵機の銀色の装甲に触れて霧散した。 対エネルギー兵器用のコーティング。
アノマリーの一撃を防ぐレベルとなると相当な代物だ。
あくまでコーティングなので何度も喰らわせれば熱で剥がれるが、この環境下ではかなり撃ち込まないと難しいだろう。
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