Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第521話

 エレベーターは複数固まっており、人間用の小型。
 トルーパー用の中型、資材搬入に使用するであろう大型の三つ。
 大型一つ置けばいいんじゃないかと思いながら、中型のエレベーターを使用。

 機体経由で操作が可能らしく、動かすのは難しくなかった。
 二層へと戻ったヨシナリは森をぐるりと見回す。 周囲に怪しい反応もない。
 そろそろ始まって一時間を越えるが地上に変化はなく、味方が優勢のままだ。
 
 「何かあるならそろそろだと思うんだがなぁ……」

 そう呟いていると――銃声と爆発音。 明らかに戦闘の物と思われる音だ。
 ヨシナリはそれを聞いて内心で少しだけ安心した。 来るとは思っていた事もあって実際に現れるとほっとしてしまう。 やはり変に考えるよりは戦っていた方が気持ち的に楽だった。

 ――わざわざ侵入してくるんだ。 どんなエネミーだ?

 近くに居た味方の反応が次々とロスト。 最大望遠にしてエネミーの姿を視認したのだが――

 「ボーンヘッド?」

 つい最近見た機体だった。 
 粗製トルーパー『ボーンヘッド』。 それが複数、昇降口のある施設から次々と飛び出している。
 エネミーではなくテロリストの機体が出てくるのは予想外だった。 

 念の為に確認するが識別はエネミー。 
 意外な相手ではあったが、やる事は変わらない。 叩き潰すだけだ。
 近くに居た機体をアシンメトリーで順番に撃ち抜く。 性能は緊急ミッションの時と変わっていない。 Ⅰ型ならまだしも今のホロスコープなら楽勝だ。

 瞬く間に一ダースほど撃破。 敵機は流石に不味いと判断したのか固まらずに散開。
 僅かにヨシナリが判断に迷った所で咄嗟に機体を急降下。 ライフル弾が通り過ぎる。
 何だと飛んで来た方を見るとこれまた見覚えのある機体が現れた。

 リベリオンフレーム。 今回は以前と違い、装備が整っているように感じる。

 ――ボーンヘッドであれだけ減らしてくるのはおかしいと思ったらこいつの仕業か。

 肩に大型の四連ブースターとロングバレルの突撃銃。 腰には実体剣。
 脇には大型の拳銃。 足には蹴りを放つ為なのかレガースが付いている。

 ――なんか微妙に俺の機体と似てるな。

 装備構成がかなり近い。 敵機と睨み合う形になったのは僅か。
 動いたのはほぼ同時だ。 ヨシナリはアシンメトリーを敵機は突撃銃を連射。
 
 ――まずは相手の分析から入る。

 今の攻防だけでも相手の技量が高いのは分かった。 仕留めるには少し苦労しそうだ。
 変形してインメルマンターン。 背後を取りに行くが、敵機は読んでいたのか即座に反転して移動先に銃弾をばら撒く。

 キマイラの強みは戦闘機と違って途中で変形する事で機動をキャンセルできる点にある。 
 人型に戻す事で制動をかけて停止。 アシンメトリーで応射するが、撃った頃には既に敵機は視界の外。
 速い。 反応だけならランカーと同等だろう。

 機体も緊急ミッションで遭遇した物に比べると完成度が高かった。
 どちらかと言うと乗り手の問題か? 四つのブースターを巧みに操る事で小刻みに加速と減速を繰り返している事もあって動きの緩急が激しい。

 武装は突撃銃に見えるがセミオート、フルオートに切り替える事で撃ち方を切り替えている。
 もしかすると本領は狙撃なのかもしれない。 狙いもかなり正確でこちらの機動を的確に読んで来る。  
 しつこく死角に回ろうとするので足を止めるのは危険な相手だ。

 結果、互いに背後を取り合う形で空中戦を繰り広げる事となった。
 
 『ヨシナリ! 大丈夫か!?』

 不意にマルメルからの通信が入る。 
 声には僅かな焦りがあったのでどうやら上で問題が発生したようだ。

 「今の所は大丈夫だけど、厄介なのとぶつかっちまった。 あんまり余裕がないから用事があるなら手短に頼む」
 『地上に関してはそこまでの問題は起こってない。 ただ、中がかなり騒がしくなってる。 何処からかは知らないけど入られたみたいだ』
 「みたいだな。 上に居るのはエネミーなんだよな?」
 
 敵機が連射に切り替えて撃ってくるのを加速で振り切り、相手の弾切れと同時にアシンメトリーを実弾に切り替えて連射。 敵機はさっきのヨシナリと似た挙動で振り切る。

 『あ、あぁ、見覚えのあるやつらばっかりだ』

 妙だな。 テロリストの機体は施設内だけに現れているという事か?

 「ボーンヘッドはいないのか?」
 『ボーンヘッド?』
 「トルーパーの胴体っぽいのに砲とフロートが付いた。 テロリストの機体だ」
 
 ヨシナリは残弾が切れたのでエネルギーに切り替えて連射。
 敵機は機体を左右に振って回避。 掠りもしない。
 
 ――アシンメトリーで捉えるのは難しいか。

 『いや、見てない。 そんなのが居たら流石に気付くと思うから居ないと思うぞ』
 「どうやら外と内では湧いてくるエネミーの傾向が違うみたいだな。 こっちは敵性トルーパーばっかりだ」
 『マジかよ。 どうする? 俺達もそっちに行くか?』
 「今の所は大丈夫だ。 ボーンヘッドは大した事はないが、それに混ざってるリベリオンフレームっていうエンジェルフレームのコピーみたいな奴が中々に厄介でな。 仕留めるのに割とかかりそうだ」
 『リベリオンフレーム?』

 ヨシナリはあぁと応えようとしてあれ?と内心で首を傾げた。
 ボーンヘッドはともかくリベリオンフレームという名称を自然と使っていたが、どこで知ったのだろうか?
 状況的には前の緊急ミッションの時だろうが、知識を仕入れた記憶がなかった。

 それに少しだけ気持ち悪いなと思いながらも目の前の戦闘に集中する。
 アシンメトリーのエネルギーが切れた所で敵機が加速。 リロードを終えた突撃銃を連射。
 ヨシナリはアシンメトリーを手放すとアトルムとクルックスに武器を切り替えて撃ち返す。
 
 装甲は最低限。 エネルギーフィールドなし。
 機動性は人型時は同等、飛行形態ならこちらに分がある。 
 切り札の類がないのならスペックに関しては一通り捲れた事になる。
 
 手っ取り早く仕留めたいのなら地上に引っ張り出してランカー辺りを巻き込むのがいい。
 
 ――が、それはやらない。

 戦闘スタイルが似ている以上、総合力で上回っているので勝ち目は充分にある。
 それに似ている所為か何故か負けたくないと思ってしまう。
 
 『おい、大丈夫か?』
 「あぁ、大丈夫だ。 集中したいから一旦切るぞ」 
 
 マルメルの頑張れよという声に小さく頷いて目の前の敵に集中する。
 敵機は近距離に切り替えたのか突っ込んで来た。 
 腰のブレードに手をかけるのを見て応じるようにイラを掴む。
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