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第583話
「――話があると言う事ですが? 何かあったんですか?」
ログアウトしていたメンバーが戻って来た所でマルメルとエーデは早速カナタに話を切り出したのだが、エーデはもごもごと口ごもったので結局、マルメルが前に出る事になりそうだった。
お前が言いだしっぺ何だから話の切り出しぐらいは自分でやれよと思わなくもなかったが、手を貸すといった手前はまぁいいかと諦める。
――どちらにせよ誰かが言わないといけない話ではあるしな。
マルメルは内心で溜息を吐く。 こうして思い返すと相棒のありがたみが身に染みる。
今後はもう少しあいつに気を遣おう。
そんな事を考えてやや困惑気味のカナタにどういうべきかと言葉を探す。
「あー、さっきの戦いなんですけど、勝ちはしましたけど割と不味い部分が多かったと思うんっすよ。 訓練とはやや違ったフォーメーションになるとは思うんですけどその辺の擦り合わせが出来たらなって思ってまして。 つ、つきましては全員の意見を交換して微調整をかけられたらなーって……」
全員という言葉を強調して責任を分散。
カナタのアバターは人体に非常に近い造形をしているだけあって表情もリアルだ。
それだけに反応も普通のアバターよりは比較的ではあるが分かり易い。
何故なら表情が消えたからだ。
――こ、怖ぇ……。
造詣が美しいだけあって無表情にはある種の迫力があった。
マルメルは逃げ出したくてたまらなかったが、もう口に出した以上は後には引けない。
エーデに何か言えと振り返ると少し離れた位置でうんうんと頷いているのを見て、このクソ野郎と内心で罵る。
言いだしっぺの癖に他人を矢面立たせてんじゃねぇぞと言いたくなるのをぐっと堪えてカナタの辺地等を待つ。
その間にマルメルは現実逃避気味に他の反応を見るとアリスは面白いと言わんばかりにアバターの表情には笑みが浮かんでおり、まんまるは無言。
アバターの中で背中にだらだらと汗をかきながら永遠にも感じられる沈黙の時間を耐える。
ヨシナリが死ぬほど恋しかった。 相棒がこの場に居ればどれだけ心強かっただろうか。
「……話は分かりました。 具体的にはどう不味いと思いますか? それと改善案があればそちらもお願いします」
「なら私から」
マルメルが口を開く前に挙手をしたのはアリスだ。 明らかに助け舟だった。
視線で「貸しにしてあげる」と言わんばかりに一瞬、マルメルに視線を向ける。
「このチームの特徴はカナタを核として私達がそれを補助する形で成り立っている。 そこはアンタ自身も認識しているよね?」
「はい、私が斬り込み、皆さんが抉じ開ける。 時間もなかったので即興で形にし易いフォーメーションだと思っているのですけど」
カナタは何が問題だと言わんばかりだ。
「確かにやる事を絞るのは悪い事じゃない。 でもね、相手にお見通しの場合、逆手に取られるのよ」
アリスはウインドウを可視化。 そこにはこのチームのフォーメーションを示した図が描かれている。
「少なくともツェツィーリエはその辺をよく理解していた。 だから、ウィルとケイロンの三人で張り付いてアンタを仕留めようって考えたみたいよ。 ――まぁ、そこの彼の方にケイロンが行ったから台無しにはなったけどね?」
アリスの視線がマルメルの方へ向く。 何か喋れと言わんばかりだ。
流石にアリスにばかり喋らせるのはよろしくない。 彼女からのパスを受けたマルメルは口を開く。
「ぶっちゃけるとこのフォーメーションって割と致命的な弱点があってですね、カナタさんに張り付かれると後衛が仕事できないんですよ」
明らかにツェツィーリエもウィルも後衛からの援護を封じる為にカナタにべったりと張り付いていた。
マルメルはアリスに倣って後衛の二人に視線で何か喋れとパスを送る。
「え? あ、そ、そうだね。 もうちょっと後衛を意識してくれた方がやり易いかな?」
「広範囲系の武器が多いので少し距離を取るような戦い方を意識して貰えると嬉しいですぅ……」
まんまるはともかく他人事のようなエーデの物言いにマルメルはこの野郎と拳を握りしめる。
まるでマルメルが同調圧力をかけようとしているような展開に凄まじい理不尽を感じたが、切り出した以上は最後まで話を続けるしかなかった。
ただ、今後はエーデの相談には二度と乗るのを止めようと心に誓いつつカナタの反応を見る。
カナタは後衛の二人を一瞥してマルメルに視線を戻す。
「分かりました。 では、フォーメーションを少し弄りましょうか。 ――そうなると私も戦い方を変えた方がいいですね」
「そっすね。 張り付いてくる奴が多い時は大剣を分割した二刀で行って、距離を維持して来る連中が相手なら当初の戦い方でいいと思います」
ヨシナリの言動を意識しつつ、なるべくカナタに不快感を抱かせないように言葉を選ぶ。
正直、マルメル自身のワードセンスに任せた言い方だと高い確率で怒らせそうだったので、当人としては危うい綱渡りをしている気分だった。
――頼むから怒らないでくれよ。 俺はただ、円滑にチームプレイをしたいだけなんだよぉ……。
エーデにそそのかされた結果ではあるがそれは紛れもない本音だった。
「いいんじゃない? 私は彼の意見に賛成。 下手に振り回さなければ中衛としても援護しやすいし、実際さっきも上手く機能していたでしょう?」
「別に俺達はケチを付けたい訳じゃないんすよ。 ただ、その方が効率がいいって思ってるだけで、折角チームを組んだんだし、協力し合っていい結果を残しに行きましょうよ」
我ながら必死だなと思いながら言い訳を並べる。
アリスも援護してくる事もあってカナタはややあって頷いた。
「分かりました。 次回からは形に拘らずにもう少し味方を意識していきたいと思います」
その返答にマルメルはほっと胸を撫で下ろした。
「戦闘の方針に関しては理解しました。 次は行動に関する方針ですが、プレイヤーを狙うという形でいいですか?」
「そうね。 スコアで機能開放やヒントが提示されるのなら積極的に稼ぎに行くのは悪くないと思う」
「俺も同意です。 ただ、機体のケアをし易いようにここを中心に行動範囲を広げていく感じでどうっすかね」
カナタは特に異論はないようでそのまま出発となった。
ログアウトしていたメンバーが戻って来た所でマルメルとエーデは早速カナタに話を切り出したのだが、エーデはもごもごと口ごもったので結局、マルメルが前に出る事になりそうだった。
お前が言いだしっぺ何だから話の切り出しぐらいは自分でやれよと思わなくもなかったが、手を貸すといった手前はまぁいいかと諦める。
――どちらにせよ誰かが言わないといけない話ではあるしな。
マルメルは内心で溜息を吐く。 こうして思い返すと相棒のありがたみが身に染みる。
今後はもう少しあいつに気を遣おう。
そんな事を考えてやや困惑気味のカナタにどういうべきかと言葉を探す。
「あー、さっきの戦いなんですけど、勝ちはしましたけど割と不味い部分が多かったと思うんっすよ。 訓練とはやや違ったフォーメーションになるとは思うんですけどその辺の擦り合わせが出来たらなって思ってまして。 つ、つきましては全員の意見を交換して微調整をかけられたらなーって……」
全員という言葉を強調して責任を分散。
カナタのアバターは人体に非常に近い造形をしているだけあって表情もリアルだ。
それだけに反応も普通のアバターよりは比較的ではあるが分かり易い。
何故なら表情が消えたからだ。
――こ、怖ぇ……。
造詣が美しいだけあって無表情にはある種の迫力があった。
マルメルは逃げ出したくてたまらなかったが、もう口に出した以上は後には引けない。
エーデに何か言えと振り返ると少し離れた位置でうんうんと頷いているのを見て、このクソ野郎と内心で罵る。
言いだしっぺの癖に他人を矢面立たせてんじゃねぇぞと言いたくなるのをぐっと堪えてカナタの辺地等を待つ。
その間にマルメルは現実逃避気味に他の反応を見るとアリスは面白いと言わんばかりにアバターの表情には笑みが浮かんでおり、まんまるは無言。
アバターの中で背中にだらだらと汗をかきながら永遠にも感じられる沈黙の時間を耐える。
ヨシナリが死ぬほど恋しかった。 相棒がこの場に居ればどれだけ心強かっただろうか。
「……話は分かりました。 具体的にはどう不味いと思いますか? それと改善案があればそちらもお願いします」
「なら私から」
マルメルが口を開く前に挙手をしたのはアリスだ。 明らかに助け舟だった。
視線で「貸しにしてあげる」と言わんばかりに一瞬、マルメルに視線を向ける。
「このチームの特徴はカナタを核として私達がそれを補助する形で成り立っている。 そこはアンタ自身も認識しているよね?」
「はい、私が斬り込み、皆さんが抉じ開ける。 時間もなかったので即興で形にし易いフォーメーションだと思っているのですけど」
カナタは何が問題だと言わんばかりだ。
「確かにやる事を絞るのは悪い事じゃない。 でもね、相手にお見通しの場合、逆手に取られるのよ」
アリスはウインドウを可視化。 そこにはこのチームのフォーメーションを示した図が描かれている。
「少なくともツェツィーリエはその辺をよく理解していた。 だから、ウィルとケイロンの三人で張り付いてアンタを仕留めようって考えたみたいよ。 ――まぁ、そこの彼の方にケイロンが行ったから台無しにはなったけどね?」
アリスの視線がマルメルの方へ向く。 何か喋れと言わんばかりだ。
流石にアリスにばかり喋らせるのはよろしくない。 彼女からのパスを受けたマルメルは口を開く。
「ぶっちゃけるとこのフォーメーションって割と致命的な弱点があってですね、カナタさんに張り付かれると後衛が仕事できないんですよ」
明らかにツェツィーリエもウィルも後衛からの援護を封じる為にカナタにべったりと張り付いていた。
マルメルはアリスに倣って後衛の二人に視線で何か喋れとパスを送る。
「え? あ、そ、そうだね。 もうちょっと後衛を意識してくれた方がやり易いかな?」
「広範囲系の武器が多いので少し距離を取るような戦い方を意識して貰えると嬉しいですぅ……」
まんまるはともかく他人事のようなエーデの物言いにマルメルはこの野郎と拳を握りしめる。
まるでマルメルが同調圧力をかけようとしているような展開に凄まじい理不尽を感じたが、切り出した以上は最後まで話を続けるしかなかった。
ただ、今後はエーデの相談には二度と乗るのを止めようと心に誓いつつカナタの反応を見る。
カナタは後衛の二人を一瞥してマルメルに視線を戻す。
「分かりました。 では、フォーメーションを少し弄りましょうか。 ――そうなると私も戦い方を変えた方がいいですね」
「そっすね。 張り付いてくる奴が多い時は大剣を分割した二刀で行って、距離を維持して来る連中が相手なら当初の戦い方でいいと思います」
ヨシナリの言動を意識しつつ、なるべくカナタに不快感を抱かせないように言葉を選ぶ。
正直、マルメル自身のワードセンスに任せた言い方だと高い確率で怒らせそうだったので、当人としては危うい綱渡りをしている気分だった。
――頼むから怒らないでくれよ。 俺はただ、円滑にチームプレイをしたいだけなんだよぉ……。
エーデにそそのかされた結果ではあるがそれは紛れもない本音だった。
「いいんじゃない? 私は彼の意見に賛成。 下手に振り回さなければ中衛としても援護しやすいし、実際さっきも上手く機能していたでしょう?」
「別に俺達はケチを付けたい訳じゃないんすよ。 ただ、その方が効率がいいって思ってるだけで、折角チームを組んだんだし、協力し合っていい結果を残しに行きましょうよ」
我ながら必死だなと思いながら言い訳を並べる。
アリスも援護してくる事もあってカナタはややあって頷いた。
「分かりました。 次回からは形に拘らずにもう少し味方を意識していきたいと思います」
その返答にマルメルはほっと胸を撫で下ろした。
「戦闘の方針に関しては理解しました。 次は行動に関する方針ですが、プレイヤーを狙うという形でいいですか?」
「そうね。 スコアで機能開放やヒントが提示されるのなら積極的に稼ぎに行くのは悪くないと思う」
「俺も同意です。 ただ、機体のケアをし易いようにここを中心に行動範囲を広げていく感じでどうっすかね」
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