594 / 865
第594話
「――っ!?」
思わず息を呑み、ややあって吐き出す。 アバターだというのに呼吸が乱れる。
脳裏には一瞬前まで繰り広げられた地獄のような光景とそれに纏わる者達の様々な感情が広がり、本当にこれはゲームなのかという疑問が――
――あれ?
ヨシナリはユニオンホームではっと我に返った。
時間を見ると深夜。 いつの間に戻って来たんだろうかと記憶を掘り返すと徐々に思い出してきた。
確かマルメル達を倒した後、エリア移動していくつかのチームを撃破して――
「あぁ、畜生。 負けたんだった」
スコアが一定数を越えた所で行けるようになった新しいエリアで特殊エネミーの群れに襲われたんだ。
スペックもカミキリムシの比ではない厄介な相手で、とにかく数で圧してきた。
あれは無理だ。 単純に処理ができない戦力をぶつけられて当然のように負けたとしか言いようがない。
もう少ししっかりと思い出そうとしたのだが何故か頭がぼんやりとしていて疲労感が酷かった。
加えて喉の奥に何かが引っ掛かっているような違和感。
まるで泣きはらした後のような、怒りを吐き出した後のような奇妙な感覚が僅かに尾を引いていた。
――負けて悔しいからって我ながら感情的になり過ぎだな。
今日の所は寝るかとウインドウを操作しようとして手を止める。
メッセージが来ていたからだ。 何だと開けると珍しい相手からだった。
一度、直接会って話がしたい。 頼みがあるとの事だったが、今日はもう遅いので明日だな。
ヨシナリは相手に明日会おうと返事を送ってそのままログアウト――しようとしたのだが即座に返事が来た。 凄まじい速さでほぼノータイムだった。
内容は今から頼むとの事。
「いや、必死過ぎないか?」
それだけ深刻な内容という事だろうか?
まぁ、いいかと了承の返事を送り、入る許可を貰いウインドウを操作して移動した。
移動先はとあるユニオンホーム。
構造は縦に細長い廊下で扉が等間隔に並んでいる。
「えーっと03号室だったか?」
指定された番号が振ってある部屋をノックすると中から応答があった。
そのまま中に入ると甚兵衛を着た青年と中年の間のような男性型のアバターが出迎える。
「よく来てくれた。 さぁ、入ってくれ」
促されるままに中に入るとそこは五畳ぐらい広さの畳が敷かれた和室といったデザインの部屋だった。
用意していたらしい座布団に座り相手と向かい合う形となる。
「ど、どうもです。 直接、話すのは初めてですかね。 ヨシナリです」
「こんな時間に無理を言って来てくれた事に感謝する。 モタシラだ」
モタシラ。 『烏合衆』所属のAランクプレイヤー。
ほぼ剣技だけであのふわわを仕留めた実力者だ。
正直、ヨシナリはモタシラの剣術に興味があった。
経験と才覚によって成立している面もあるが、その根本にあるのは合理だ。
つまり最終的には誰にでも扱える事を目指した形。
だからヨシナリは彼の技術を少しでも学べればと思っていた。
「時間も時間だ。 本題から入らせて貰っても構わないか?」
「はい、どうぞ」
一体何なんだと思っていたが、モタシラの雰囲気から嫌な予感がした。
「俺はリアルでは剣術の道場のような物をやっている。 ――正確には実家がそうなんだが」
「そうですか」
特に驚きはない。
あの剣を見ればかなりやってるだろうなと思っていたので寧ろ腑に落ちた。
「先日の事だ。 道場に客が来た」
「はぁ」
相槌を打つが話が何処へ向かっているのかが分からない。
ここはICpwなのでてっきりゲーム関係の話かと思ったのにいきなりリアルの話をされてもヨシナリとしては何を言っているんだこいつはとしか思えなかったからだ。
「女の二人組で道場の見学がしたいと事前に連絡を受けていたのでそこは問題なかった」
ヨシナリは相槌を打ちながら首を捻りそうになったが、女の二人組というワードに段々と背筋が寒くなって来た。
「片方の中学生ぐらいの娘は特に問題はなかった。 問題はもう一人の方だ」
モタシラの声が少し震えている。 ヨシナリもそれが感染ったのか何故か体が震えた。
「美しい女ではあったが、目が、目がまるで獲物を狙う肉食獣のようで本音を言えば恐ろしかった。 ――それを感じていたのは俺と俺の親父だけだったようで、他はそうでもなかったようだ。 で、それに気づかないウチの数少ない門下生が鼻の下を伸ばして声をかけたのだが、女は待ってましたと言わんばかりに一手ご教授願いますと申し出て来たんだ。 俺はその時点で嫌な予感がしていた」
「奇遇ですね。 俺も嫌な予感しかしません」
付け加えるならその場にいなかった幸運に感謝したい。
「止めたかったが、止められる理由がなかったので許可を出すしかなかった」
――止めたかったんだろうなぁ。
「門下生は叩きのめされたよ。 そして剣の扱いを見てその正体も分かった」
「ふわわさんですね」
違って欲しいと思いたかったが、状況的にそうとしか考えられない。
モタシラは顔を覆って頷く。
「あの女は何なんだ? 門下生の動きから俺の正体――恐らくは探し物を見つけたといった様子だった。 あの女は俺を探していたんだ」
ヨシナリは絶句するしかなかった。 特定して直接行ったのか。
本音を言えばヤバい女だという事は何となく分かっていたつもりだったが、ここまでとは思わなかった。 恐らく連れの中学生ぐらいの娘はシニフィエだろう。
「あの人は一体、何をやっているんだ?」
いくら何でもライン越え過ぎだろう。
「表向きの理由はウチの剣を学びたいという事だった。 恢道流は元々、VRゲームを意識した育成で成功している道場という事もあって最初は軽い気持ちで受けたんだが、今では心底後悔している」
「あー、具体的に何が問題なんですか? 一応、体裁は整っているんですよね?」
我ながらくだらない質問をしていると思っていたが、話を進めるのは必要なプロセスだった。
「あぁ、だから追い返せない。 ――あの女は人間なのか? 俺を見る目が餌を見る肉食獣のそれだった。 あんな目に日中晒され続けるんだぞ? 頭がおかしくなりそうだ」
「ご愁傷様です。 恐らくですが、ふわわさんの琴線に触れてしまったんでしょう。 多分、悪気は一切ないと思いますよ」
これは本音だった。 彼女は負けた腹いせに嫌がらせをしようなどとはまず考えない。
恐らくモタシラの強さに興味があり、建前通りに学びに来たのだろう。
だが、負けた悔しさもあるので、勝負して借りを返したいといった気持ちが前に出てそんな感じになっているのだ。 きっとそのはずだ。
「あぁそうだろうな! だから猶更に性質が悪いのだ!」
モタシラはヨシナリの両手を縋るように掴む。
「頼む! 助けてくれ! あの女を俺の視界から消してくれるのなら、できる限りの事はする!」
Aランクプレイヤーで大抵の事には動じないとベリアルとユウヤが評価したモタシラが、他人に縋るほどに追いつめられている。 彼の声には紛れもない恐怖が宿っていた。
――これ、どうすればいいんだ?
思わず息を呑み、ややあって吐き出す。 アバターだというのに呼吸が乱れる。
脳裏には一瞬前まで繰り広げられた地獄のような光景とそれに纏わる者達の様々な感情が広がり、本当にこれはゲームなのかという疑問が――
――あれ?
ヨシナリはユニオンホームではっと我に返った。
時間を見ると深夜。 いつの間に戻って来たんだろうかと記憶を掘り返すと徐々に思い出してきた。
確かマルメル達を倒した後、エリア移動していくつかのチームを撃破して――
「あぁ、畜生。 負けたんだった」
スコアが一定数を越えた所で行けるようになった新しいエリアで特殊エネミーの群れに襲われたんだ。
スペックもカミキリムシの比ではない厄介な相手で、とにかく数で圧してきた。
あれは無理だ。 単純に処理ができない戦力をぶつけられて当然のように負けたとしか言いようがない。
もう少ししっかりと思い出そうとしたのだが何故か頭がぼんやりとしていて疲労感が酷かった。
加えて喉の奥に何かが引っ掛かっているような違和感。
まるで泣きはらした後のような、怒りを吐き出した後のような奇妙な感覚が僅かに尾を引いていた。
――負けて悔しいからって我ながら感情的になり過ぎだな。
今日の所は寝るかとウインドウを操作しようとして手を止める。
メッセージが来ていたからだ。 何だと開けると珍しい相手からだった。
一度、直接会って話がしたい。 頼みがあるとの事だったが、今日はもう遅いので明日だな。
ヨシナリは相手に明日会おうと返事を送ってそのままログアウト――しようとしたのだが即座に返事が来た。 凄まじい速さでほぼノータイムだった。
内容は今から頼むとの事。
「いや、必死過ぎないか?」
それだけ深刻な内容という事だろうか?
まぁ、いいかと了承の返事を送り、入る許可を貰いウインドウを操作して移動した。
移動先はとあるユニオンホーム。
構造は縦に細長い廊下で扉が等間隔に並んでいる。
「えーっと03号室だったか?」
指定された番号が振ってある部屋をノックすると中から応答があった。
そのまま中に入ると甚兵衛を着た青年と中年の間のような男性型のアバターが出迎える。
「よく来てくれた。 さぁ、入ってくれ」
促されるままに中に入るとそこは五畳ぐらい広さの畳が敷かれた和室といったデザインの部屋だった。
用意していたらしい座布団に座り相手と向かい合う形となる。
「ど、どうもです。 直接、話すのは初めてですかね。 ヨシナリです」
「こんな時間に無理を言って来てくれた事に感謝する。 モタシラだ」
モタシラ。 『烏合衆』所属のAランクプレイヤー。
ほぼ剣技だけであのふわわを仕留めた実力者だ。
正直、ヨシナリはモタシラの剣術に興味があった。
経験と才覚によって成立している面もあるが、その根本にあるのは合理だ。
つまり最終的には誰にでも扱える事を目指した形。
だからヨシナリは彼の技術を少しでも学べればと思っていた。
「時間も時間だ。 本題から入らせて貰っても構わないか?」
「はい、どうぞ」
一体何なんだと思っていたが、モタシラの雰囲気から嫌な予感がした。
「俺はリアルでは剣術の道場のような物をやっている。 ――正確には実家がそうなんだが」
「そうですか」
特に驚きはない。
あの剣を見ればかなりやってるだろうなと思っていたので寧ろ腑に落ちた。
「先日の事だ。 道場に客が来た」
「はぁ」
相槌を打つが話が何処へ向かっているのかが分からない。
ここはICpwなのでてっきりゲーム関係の話かと思ったのにいきなりリアルの話をされてもヨシナリとしては何を言っているんだこいつはとしか思えなかったからだ。
「女の二人組で道場の見学がしたいと事前に連絡を受けていたのでそこは問題なかった」
ヨシナリは相槌を打ちながら首を捻りそうになったが、女の二人組というワードに段々と背筋が寒くなって来た。
「片方の中学生ぐらいの娘は特に問題はなかった。 問題はもう一人の方だ」
モタシラの声が少し震えている。 ヨシナリもそれが感染ったのか何故か体が震えた。
「美しい女ではあったが、目が、目がまるで獲物を狙う肉食獣のようで本音を言えば恐ろしかった。 ――それを感じていたのは俺と俺の親父だけだったようで、他はそうでもなかったようだ。 で、それに気づかないウチの数少ない門下生が鼻の下を伸ばして声をかけたのだが、女は待ってましたと言わんばかりに一手ご教授願いますと申し出て来たんだ。 俺はその時点で嫌な予感がしていた」
「奇遇ですね。 俺も嫌な予感しかしません」
付け加えるならその場にいなかった幸運に感謝したい。
「止めたかったが、止められる理由がなかったので許可を出すしかなかった」
――止めたかったんだろうなぁ。
「門下生は叩きのめされたよ。 そして剣の扱いを見てその正体も分かった」
「ふわわさんですね」
違って欲しいと思いたかったが、状況的にそうとしか考えられない。
モタシラは顔を覆って頷く。
「あの女は何なんだ? 門下生の動きから俺の正体――恐らくは探し物を見つけたといった様子だった。 あの女は俺を探していたんだ」
ヨシナリは絶句するしかなかった。 特定して直接行ったのか。
本音を言えばヤバい女だという事は何となく分かっていたつもりだったが、ここまでとは思わなかった。 恐らく連れの中学生ぐらいの娘はシニフィエだろう。
「あの人は一体、何をやっているんだ?」
いくら何でもライン越え過ぎだろう。
「表向きの理由はウチの剣を学びたいという事だった。 恢道流は元々、VRゲームを意識した育成で成功している道場という事もあって最初は軽い気持ちで受けたんだが、今では心底後悔している」
「あー、具体的に何が問題なんですか? 一応、体裁は整っているんですよね?」
我ながらくだらない質問をしていると思っていたが、話を進めるのは必要なプロセスだった。
「あぁ、だから追い返せない。 ――あの女は人間なのか? 俺を見る目が餌を見る肉食獣のそれだった。 あんな目に日中晒され続けるんだぞ? 頭がおかしくなりそうだ」
「ご愁傷様です。 恐らくですが、ふわわさんの琴線に触れてしまったんでしょう。 多分、悪気は一切ないと思いますよ」
これは本音だった。 彼女は負けた腹いせに嫌がらせをしようなどとはまず考えない。
恐らくモタシラの強さに興味があり、建前通りに学びに来たのだろう。
だが、負けた悔しさもあるので、勝負して借りを返したいといった気持ちが前に出てそんな感じになっているのだ。 きっとそのはずだ。
「あぁそうだろうな! だから猶更に性質が悪いのだ!」
モタシラはヨシナリの両手を縋るように掴む。
「頼む! 助けてくれ! あの女を俺の視界から消してくれるのなら、できる限りの事はする!」
Aランクプレイヤーで大抵の事には動じないとベリアルとユウヤが評価したモタシラが、他人に縋るほどに追いつめられている。 彼の声には紛れもない恐怖が宿っていた。
――これ、どうすればいいんだ?
あなたにおすすめの小説
ホスト異世界へ行く
REON
ファンタジー
「勇者になってこの世界をお救いください」
え?勇者?
「なりたくない( ˙-˙ )スンッ」
☆★☆★☆
同伴する為に客と待ち合わせしていたら異世界へ!
国王のおっさんから「勇者になって魔王の討伐を」と、異世界系の王道展開だったけど……俺、勇者じゃないんですけど!?なに“うっかり”で召喚してくれちゃってんの!?
しかも元の世界へは帰れないと来た。
よし、分かった。
じゃあ俺はおっさんのヒモになる!
銀髪銀目の異世界ホスト。
勇者じゃないのに勇者よりも特殊な容姿と特殊恩恵を持つこの男。
この男が召喚されたのは本当に“うっかり”だったのか。
人誑しで情緒不安定。
モフモフ大好きで自由人で女子供にはちょっぴり弱い。
そんな特殊イケメンホストが巻きおこす、笑いあり(?)涙あり(?)の異世界ライフ!
※注意※
パンセクシャル(全性愛)ハーレムです。
可愛い女の子をはべらせる普通のハーレムストーリーと思って読むと痛い目をみますのでご注意ください。笑
局地戦闘機 飛電の栄光と終焉
みにみ
歴史・時代
十四試局戦 後の三菱雷電J2Mとして知られるこの戦闘機は爆撃機用の火星エンジンを搭載したため胴体直径の増加、前方視界不良などが続いたいわば少し残念な機体である この十四試局戦計画に地方の無名メーカーが参加、雷電を超える高性能機が誕生し、零戦の後継として太平洋戦線を駆ける これは設計者、搭乗員の熱く短い6年間を描いた物語だ
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》
盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。
ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……
始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。
さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。
スーパーのビニール袋で竜を保護した
チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。
見つけ次第、討伐――のはずだった。
だが俺の前に現れたのは、
震える子竜と、役立たず扱いされたスキル――
「スーパーのビニール袋」。
剣でも炎でもない。
シャカシャカ鳴る、ただの袋。
なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。
討伐か、保護か。
世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。
これは――
ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。
52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった
よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】
皆様の熱い応援、本当にありがとうございます!
ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です!
【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】
電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。
気がついたら異世界召喚。
だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。
52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。
結論――王都の地下下水道に「廃棄」。
玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。
血管年齢は実年齢マイナス20歳。
そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。
だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。
下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。
捨てられた魔道具。
長年魔素を吸い続けた高純度魔石。
そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。
チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。
あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。
汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。
スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。
この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。
魔力は毒である。代謝こそが命である。
軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。
でも、だからこそ――まず1話、読んでください。
【最新情報&著者プロフィール】
代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作!
◆ 2月に待望の【第2巻】刊行!
◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中!
◆ 【コミカライズ企画進行中】!
すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!
森のカフェしっぽっぽ
森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
五十代後半の初老――サトルが営むのは、就労支援B型事業所を兼ねた猫カフェ「森のカフェしっぽっぽ」。
一階には利用者が作った木工小物や布雑貨が並び、
猫たち(イチ・きな・トラ・チビ・そして極度の臆病猫ジル)が自由気ままに接客(?)をしている。
しかしこの店には、誰も知らない“もう一つの顔”があった。
地下の倉庫兼店舗は異世界と繋がっている。
ただし、異世界人は地球には来られない。
行き来できるのはサトルだけ。
向こう側には|蜥蜴人族≪リザードマン≫の商人、
頑固な|鉱人族≪ドワーフ≫の職人、
静かな|森人族≪エルフ≫たちがいて、
サトルは彼らから“ちょっとだけ現実を楽にする品”を仕入れている。
仕事に疲れた会社員。
将来に迷う若者。
自信をなくした人。
サトルは客の空気を読み、異世界の商品をさりげなく勧める。
そして、棚の影で震えるジル。
怖がりで、音にびくつき、すぐ隠れる。
それでも店からは逃げない。
その姿が、なぜか人の心を少しだけ軽くする。
これは――
福祉と商売と猫と異世界が、ゆるく混ざり合う物語。
震えながらでも前に立つ者が、
今日も小さく世界をつなぐ。