Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第610話

 瞬く間に時間は過ぎ、予定された当日。
 
 「はい、今回は集まって頂きありがとうございます。 では、始める前に簡単なブリーフィングをしておきたいと思います」

 場所は「思金神」のユニオンホームの一角。 
 人数が多いので場所を借りたのだ。 そこでヨシナリは集まったメンバーに声をかけていた。
 一番多いのはヴルトム率いる『大渦』のメンバーで、ずらりと並んでいるのは中々に迫力がある。

 来ると約束していたメンバーは全員参加しており、後は返事待ちのメンバーなのだが――

 「やぁ、今日はよろしく頼むよ」

 タヂカラオが小さく手を上げる。 
 場所を借りている事から分かるように早い段階で彼は参加を約束してくれた。
 ただ、他のメンバーは参加しないので彼個人の参戦となる。 

 「よろしくお願いします。 今日も頼りにしていますよ!」
 「ジェネシスフレームも帰って来た事だし役に立てると思うよ」
 「どんなフレームでも頼りにしていますとも」
 「はは、任せてくれたまえ」

 タヂカラオは機体が帰って来た事もあってやる気満々だ。
 そして――

 「うっす。 よろしくな!」

 『烏合衆』のメンバー。 アドルファス、カカラ、モタシラ、アリス、平八郎の五人。
 正直、一人か二人来てくれればいい方だと思っていたのだが、五人も来たのは嬉しい誤算だ。

 「よろしくお願いします!」

 ヨシナリはアドルファスと握手。 
 
 「何で来てくれる気になったんですか?」
 「俺達も今のままじゃ良くないって思ってな。 色々と勉強させて貰うぜ」
 「その通りだ。 いい加減に俺達も集団戦の経験を積むべきだと判断した!」

 アドルファスは集団戦の経験値を、カカラも同じなのか同意を示す。

 「俺はまぁ、世話になったから協力はさせて貰う」
 「あ、聞いたぜ。 こいつが世話になったんだって? しかも早々に沈むとか格好悪い所を見せたとか? モタシラ~ここは頑張りどころだなぁ!」
 「分かっているから離れろ暑苦しい」
 
 肩を組んで来たアドルファスをモタシラは少しだけ嫌そうに身を離す。
 
 「お久しぶりって事はなかったかしら? 今日はがんばりましょ?」
 「うっす。 よろしく!」

 アリスは前にイベント戦で組んだ事もあるのかマルメルに挨拶をしていた。
 あの様子だと、来たのはマルメルのお陰と見ていい。
 視線を少し遠くに向けるとベリアルと平八郎が何かを離している姿が見える。
 
 互いに思う所があったのか何やら話し込んでいた。
 アドルファスによると本当はケイロンも来る予定だったのだが、用事があって欠席のようだ。
 少し残念に思いながらもこれだけの戦力が居るならどうにでもなるだろう。

 軽い挨拶が済んだ所で作戦の説明だ。
 ヨシナリは可視化ウインドウを操作して最大化。 全員に見えるようにする。

 「はい、ではミッションの概要と動きを説明させて頂きます」

 表示されたのはもはや懐かしさすら感じる周囲を荒野に囲まれた基地。
 
 「参加した方はご存じかと思いますが、初見の方も居るので最初から説明します。 ミッションの勝利条件はボスの撃破となっています。 これはダウングレードした事での変更点ですね」
 「元々は12時間耐えろとかいうとんでもねー耐久ゲーだったな」

 マルメルがあれはきつかったなと付け加える。

 「あぁ、こっちでは最初の流れはほぼ同じだが、撃破数がイベント進行のトリガーになっているらしい。 タヂカラオさんから提供して貰った情報によると第一ウェーブは空から主戦力の蜂、爆撃機の蛾
地上からは基地を囲んでいる防壁の破壊を狙ったカブトムシとクワガタの四種類だ」

 ヨシナリは懐かしそうにそんな事もあったなと呟く経験者達の反応に苦笑。
  
 「フラグが立つのは撃破累計が1500から2000機。 攻勢が割と激しい事もあって正確な数ははっきりしないが、2000は越えないようだ」
 「ふーん。 という事はそれだけやっつけたら次は蟻型が出て来るん?」
 「いえ、先にカマキリ型を投下するタイプの蛾、強酸性の液体を飛ばしてくる芋虫型が出てきます。 そいつ等が出てきたら第二ウェーブ、狙撃して来るヤドカリが湧いたら第三ウェーブですね」
 「お義兄さん質問!」
 「はい、シニフィエ」

 挙手したシニフィエにどうぞと促す。

 「狙撃して来るヤドカリに関してですが、狙撃精度はどんな物ですか?」
 「かなり正確で貫通力も高い。 重装甲の機体でも当たり所が悪ければ即死もあり得るレベルだ」
 「対抗策は?」
 「ちゃんと用意している。 ――説明は後でもいいか?」
 
 シニフィエが頷いたのを確認してヨシナリは話を続ける。

 「こちらも撃破数が進行のトリガーとなっています。 第二は特に対処は変わりませんが、第三に入った後は斬り込んでヤドカリを接近戦で狩ると手っ取り早く進められますね。 こちらも1500から2000機の撃破で進みます」
 
 ヨシナリはウインドウを操作して映像を切り替える。
 
 「第四ウェーブは蟻型エネミー。 機動性はソルジャー以上、エンジェルよりやや下って感じなので足の速さに警戒を。 ――で、ここからが問題です」

 ウインドウの表示が変わる。 表示されたのは長大な砲が特徴的な巨大なカタツムリ型のエネミーだ。

 「第五ウェーブからはボスラッシュです。 仕様変更されたのか十五分前後でチャージが完了するのでそれまでに全滅させる必要があります。 ぶっちゃけると二、三発喰らったら当たり所が良くても基地が半壊するので撃たせる前に撃破を目指しましょう」
  
 ヨシナリはさらに映像を切り替える。 今度は巨大な蝦蛄型エネミーだ。

 「カタツムリを全滅させるとこいつ等と強化された蟻型が湧きます。 ミサイルをばら撒きながら基地に向かって来る上、仕留めると墜落して大爆発を起こします。 その為、基地の上空に辿り着く前に撃破する必要があるのでこちらもスピード勝負になります。 ――で、最後にこいつです」
 
 切り替えられた映像にはクラゲ型が映し出された。

 「大破した味方機を再生させて操り、本体に一定のダメージを与えるか操っている機体を半数以下にするとこれまでに発生した敵味方の残骸を取り込んだ最終形態になります。 こうなると後は総力戦なので全力でぶつかるしかないでしょうね」

 一通りのエネミーの説明を終えたヨシナリは小さく息を吐き。
 ここまでで質問はないかと尋ねるが、手は上がらない。
  
 「では、これから具体的な動きについて説明させて頂きます」
 
 前置きは終わったのでこれからは具体的な対策と本番での動きになった。
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