Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第619話

 確かにメガロドン型は脅威だが、今回は以前とは状況が違う。
 ここは視界が最悪な極寒惑星ではなく、充分な光量が存在する荒野だ。 
 つまり環境に足を引っ張られる事がなく、充分なパフォーマンスを発揮できるという訳だ。

 加えて味方の陣地が近い。 それが意味する事は――
 加速でエネミーの照準を振り切り、迎撃のミサイルを飛行形態で掻い潜る。
 接近した所で人型に戻し、イラをハンマーに変形させて一撃。

 メガロドン型の強固なエネルギーフィールドが砕け散る。
 
 「今!」

 ヨシナリが叫ぶと同時に高出力のレーザーがメガロドン型の胴体を射抜く。
 ちらりと後ろを見ると遠くでグロウモスが冷却中のスコーピオン・アンタレスを構えていた。
 近くに居た味方機が大急ぎで銃身の交換を行っている。 

 メガロドン型は苦しむように態勢を大きく崩した所を追撃。 
 傷口に向けてアシンメトリーを連射する。 
 どうやらグロウモスの一撃はフィールド展開に関わる部分を破壊したようでエネルギー弾がメガロドン型の堅牢な装甲に次々と穴を穿つ。

 普通なら通らないような攻撃が面白いように通った事にヨシナリは小さく笑みを浮かべる。
 いきなり現れた事には驚きこそしたが既知の相手なのだ。 
 対処法は既に頭に入っている。 

 お陰で楽勝とは行かないが、以前のような絶望感は感じない。
 メガロドン型はまだ負けていないと言わんばかりに内蔵火器をばら撒くが、既知である以上はそこまで怖くはなかった。 最大火力は正面にしか撃てない、ミサイルは問題なく振り切れる。

 特に空中は盾になってれるエネミーが多い事もあって躱しきれないようなら敵の群れに突っ込めばいい。 
 
 「悪いが後が閊えてるんだ。 さっさと落ちてくれ」
 
 回頭させ、腹を基地に向けさせる。 
 次の瞬間、グロウモスのレーザーが突き刺さり、あちこちに誘爆。
 破片を撒き散らしながらメガロドン型は大地へと墜落していった。

 あんなに苦戦した相手をあっさりと下した事には自身の成長を感じて気分がいいが、まだまだやる事は多い。 
 何故ならメガロドン型はまだまだ残っているからだ。 
 次の獲物はとさっき同士討ちさせた個体を仕留めようとしたのだが、マルメルがハンドレールキャノンを撃ち込んでとどめを刺していた。

 他はと周囲を見回すともう半数以上が撃墜されており、残りも時間の問題に見える。
 ユウヤがフィールドを剥がし、ベリアルが装甲をエーテルの砲で焼いて強度を落とす。
 後は残った面子で袋叩きだ。 特にカカラの攻撃が通るのが大きい。
 
 彼の集中砲火を浴びてメガロドン型の腹が数秒も持たずに抉り取られ、腸――ではなく内蔵パーツを大地にばら撒く事になっており、そうなってしまうとどうにもならなかった。
 抵抗も虚しく残りのメンバーからの集中攻撃を受けて沈む。

 他を見るとポンポンがツガルとまんまるの三人で一機沈めている姿が見えた。
 
 ――この面子だともう相手にならないな。

 正面で戦うには厳しい相手ではあるが、スペックが割れている上に地の利まであるのだ。
 負ける訳がなかった。 そうこうしている内にメガロドン型の最後の一機がふわわに首を斬り落とされて墜落。 派手な爆発音と共に全滅となった。

 『っしゃぁ! とんだサプライズだったが楽勝だったなぁ!』

 マルメルが嬉しそうにガッツポーズしていたが、ヨシナリは警戒を解かない。
 単純に差し替えただけでイベントの進行自体は変わっていないのだ。
 つまり、次が来る。 

 「警戒は解くなよ。 メガロドンが出て来たって事は次は蝦蛄型じゃないはずだ」
 『おう、次は何が出て来るんのかねぇ」

 
 ――規定タイム以下での全滅を確認。
 
 ――ボランティア職員の招集を開始――完了。

 ――MODの有効化――完了。

 ――ロード中――完了。

 
 思った以上にメガロドン型が簡単に処理できた事もあって全体の士気は高い。
 出て来た時はどうした物かとも思ったが、蓋を開ければあっさりだった。
 この流れだとメガロドン型よりも上位のエネミーが出て来るはずだが、そんな奴いたかな?と首を傾げているとセンサーに反応。 空間情報の変動だ。

 つまり空間系の攻撃。 狙われていたヨシナリは咄嗟に躱し、上を見る。
 それを見て僅かに頬を引き攣らせた。 

 「いや、まさかこうなるとは思わなかった」

 何だよ、本気出して来たじゃないかと笑ってしまう。
 識別はエネミーだが、形状的にはトルーパーと見て間違いない。
 だが、その機種が問題だった。 胸部に埋まった二つの頭部にさっき放った空間攻撃。

 侵攻イベントで現れたボスエネミーだ。 それが約二十機。
 基地の上空に居た。 いきなり現れたのは空間転移か何かだろうか?
 それとも出現位置があそこなのかは不明だが、厄介な連中が厄介な位置に現れた事には変わりはない。
 
 『まったく、次から次へと想定外のエネミーを繰り出してくるのは勘弁して欲しいね』
 
 タヂカラオの口調は苦い。 
 情報提供者として作戦立案に関わって来た身としてはこういった想定外を連続して繰り出すような真似はあまり面白くはなかった。 

 「ですね。 数は多いですが既知の敵ではあります。 飛行は重力制御、防御は斥力フィールドです。 他よりも防御範囲が広いので注意を。 可能であれば俺やポンポンさん達の近くで戦ってセンサーリンクの影響範囲内にいてくれると助かります」

 ――やべぇ、最高かよ。

 対処を口にしながらもヨシナリは内心でこの状況を歓迎していた。
 あの時はユウヤとベリアルを加えた三対一での戦いという有利な条件があっての事だったが、今回は相手が圧倒的に有利な状況だ。 

 前回は余り勝った気がしなかったので可能であるなら是非とも単騎で叩き潰してやりたい相手だった。
 再戦したくても通常のミッションに出現しないので機会を待っていたのだが、こんなにも早く現れてくれるとはこのゲームの運営には感謝しかない。

 侵攻戦の後、どれだけ脳内で攻略法をシミュレートしたか。
 あれから機体も変わり、技量も伸ばしたつもりだ。 
 
 ――何処まで通用するのか楽しみだ。

 ヨシナリは内心の歓喜を押し隠し、様子を見る為に仕掛けますと建前を口にして敵機へと突っ込んで行った。 
 敵の配置は基地上空を取り囲む形になっている点か部隊ではなく個の集まりとして運用するつもりと見ていい。
 三人乗りだけあって個としての戦闘能力はかなり高いと言えるが――
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