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第621話
追いつめられた敵機が局所的なフィールドを展開。
ヨシナリはその隙間に銃弾を叩きこんで黙らせる。
――これで三機か。
他を見るともう全滅しそうになっていた。
例の機体に借りを返せると思ってかなり張り切ったのだが、拍子抜けな結果に終わってしまった。
こいつ等が蝦蛄型の代わりであるのなら最後のクラゲ型の代わりも出て来るだろう。
メガロドン型、複座型の敵性トルーパーと来れば残りは更に格上が来るはずだが、他に居ただろうか?
まさかと思うがあの肉塊か?
いや、あれは反応炉の無尽蔵のエネルギーがあったからこそ成立したエネミーだ。
設定的にここに出て来るのは難しい。 だったらなんだ?
例の戦隊モノみたいなカラーリングの連中だろうか? だとしたら望む所なのだが――
そんな事を考えていると戦場に大きな変化が訪れた。 敵が撤退を始めたのだ。
ヨシナリの背筋にゾクリとしたものが走る。 見覚えのある流れだったからだ。
『おいおい、これはまさか……』
あまりにも強すぎる既視感にツガルが声を漏らす。
当然だった。 最初の防衛戦、その最後の戦いに生き残った者達はこの流れを忘れる訳がない。
「全員、戻ってきてください! 急ぎで修理と補給を!」
ヨシナリはもはや反射の域で指示を出していた。
流れ通りならあいつが来る。 最初の防衛戦でラーガストと互角に戦ったあの化け物が。
一度見ただけあってスペックは頭に入っているが、未だに明確な勝ち筋が見えない相手だ。
そんな相手ともう一度、戦える。
あの時はアシストするだけで精一杯だったが、今は充分に戦える力を蓄えて来た。
以前の様には行かないはずだ。 ヤバいとは思っていたが、それ以上に今の自分を試したい気持ちが強い。
あわよくば仕留めてやりたいが、一対一で勝てる相手ではないとも理解しているので確実に勝つ為に動く。
現在、味方側の損耗はヴルトムの仲間が三十機程。
他は健在。 ほぼフルメンバーで事に当たれる。
修理と補給をしている間に全員で作戦会議だ。
機体をハンガーに預け、全員がアバター状態で集合しており、中心はヨシナリだ。
「はい、どうやらこのミッションのボスは例の奴である可能性が非常に高いです」
そう言うとマルメルが露骨に嫌そうな声を漏らし、ふわわは薄く笑う。
シニフィエは遭遇していないので首を傾げる。
ベリアルは面白いと拳を握り、ユウヤは無言。
ツガルはマジかよと少し腰が引けており、フカヤは大丈夫かなと不安そうだ。
ポンポンはやってやるぜと気合を入れ、まんまる、ニャーコはやや不安そうだった。
タヂカラオは自分の持って来た情報が約に立たなくなった事で少しだけ気持ちが落ち込んでいたが、努めて気にせずヨシナリの話に耳を傾ける。
『烏合衆』のメンバーは一人残らず嬉しそうだ。
過去にやられた事もあってリベンジの機会を活かしたいと考えているのが分かる。
「初見の人もいるのでこれから出て来るであろう敵に関して説明をしたいと思います」
「はい、お義兄さん質問! 皆さんの反応を見れば強そうなのは分かるのですがそこまで何ですか?」
「あぁ、正直、このゲームをやってて五指に入るヤバさだと俺は思ってる」
「そ、そんなに何ですか? 最初に戦ったのでお義兄さん達がⅡ型とか使ってた頃じゃないんですか? だったら――」
シニフィエの言葉に小さく首を振る。 確かに前よりは戦えるだろう。
「分かり易く言うけど総合力はSランククラスだ。 機体も操作しているユーザーも最強クラス、一対一での勝利は現実的じゃないよ」
「そ、そこまでですか……」
驚く様子のシニフィエを見て納得したと判断し、ヨシナリは話を続ける。
「過去の戦闘時の話なので、今は強化されている可能性もあるので注意を。 まずは例のイソギンチャク型の強化外装を剥がす所からです。 ただ、これに関しては種が割れている上、相性のいいカカラさん達が居るので破壊する所までは問題ないでしょう」
前回の防衛戦での戦い方を見ればカカラならやってくれると確信していた。
次のウツボ型も問題ないだろう。 火力はあるが動き自体は鈍重なので落とすのは難しくない。
問題はその中身だ。 あの特殊な形状をしたトルーパー。
間違いなくかなりの強化を重ねたジェネシスフレームだ。
「過去の戦闘ではっきりしているスペックは高感度のセンサーシステム、恐らくはシックスセンスと同等クラスの物を積んでいると思われます。 次に武装、ドローンです。 レーザー、実弾、シールド、ホログラムと様々な種類の砲台を生み出しています」
「だナ。 だからガンガン使い捨てられるって訳だ」
「その通りです。 加えてプレイヤースキルも高いので懐に入るだけでも命がけですよ」
少なくともまともに攻撃の応酬が出来たのはラーガストだけだ。
当時、ランカーだったプレイヤー達の悉くが碌に反応できずにやられてしまった。
「敵の脅威度はよく理解できたよ。 で? 対策は?」
「あまり褒められた手段ではありませんが、数で押し潰します。 足の速い機体が攪乱しつつ攻撃を仕掛け、後衛は本体ではなくドローンを減らす事に注力。 とにかく相手の手数を減らす事を念頭に置いてください」
ヨシナリはウインドウを可視化しマップを表示。
「戦場は基地外の荒野。 敵の残骸が大量に転がっているのでまっさらとは言いませんが、何もないところで迎え撃ちます」
「ヨシナリ、質問いいか?」
「はいヴルトム」
「ヤベぇ相手なのは分かり切ってるんだしよ。 基地に引っ張り込んで地形を活かした方がいいんじゃないか?」
被害は出るが、勝つ為の必要経費だろ?といいたいのだろうが、有利に機能するのかが非常に怪しい。
「確かに地形を活かした方が上手く立ち回れるとは思う。 でもな、それは相手にも言える事なんだ。 さっきも言ったが相手のドローンは多種多様で機体を操作しながらマルチタスクで操っていると思われる点からも基地に入れば被害が増えるだけだと判断した」
特にドローンは視認性が良くない。
加えてステルス機能を備えたものがあれば場合によっては一方的に狩られかねない。
「――という訳で外の方がまだマシなんだよ」
「な、なるほど、理解した。 悪いな、話を続けてくれ」
「いいよ。 納得してれるなら質問は大歓迎だ」
ヨシナリはそう言って苦笑。 ウインドウを切り替える。
「次はフォーメーションに関してですが、ポジションは割り振ります。 ただ、それが通用しないと思った場合は独自の判断で動いてください」
そう前置きして話を続ける。
ヨシナリはその隙間に銃弾を叩きこんで黙らせる。
――これで三機か。
他を見るともう全滅しそうになっていた。
例の機体に借りを返せると思ってかなり張り切ったのだが、拍子抜けな結果に終わってしまった。
こいつ等が蝦蛄型の代わりであるのなら最後のクラゲ型の代わりも出て来るだろう。
メガロドン型、複座型の敵性トルーパーと来れば残りは更に格上が来るはずだが、他に居ただろうか?
まさかと思うがあの肉塊か?
いや、あれは反応炉の無尽蔵のエネルギーがあったからこそ成立したエネミーだ。
設定的にここに出て来るのは難しい。 だったらなんだ?
例の戦隊モノみたいなカラーリングの連中だろうか? だとしたら望む所なのだが――
そんな事を考えていると戦場に大きな変化が訪れた。 敵が撤退を始めたのだ。
ヨシナリの背筋にゾクリとしたものが走る。 見覚えのある流れだったからだ。
『おいおい、これはまさか……』
あまりにも強すぎる既視感にツガルが声を漏らす。
当然だった。 最初の防衛戦、その最後の戦いに生き残った者達はこの流れを忘れる訳がない。
「全員、戻ってきてください! 急ぎで修理と補給を!」
ヨシナリはもはや反射の域で指示を出していた。
流れ通りならあいつが来る。 最初の防衛戦でラーガストと互角に戦ったあの化け物が。
一度見ただけあってスペックは頭に入っているが、未だに明確な勝ち筋が見えない相手だ。
そんな相手ともう一度、戦える。
あの時はアシストするだけで精一杯だったが、今は充分に戦える力を蓄えて来た。
以前の様には行かないはずだ。 ヤバいとは思っていたが、それ以上に今の自分を試したい気持ちが強い。
あわよくば仕留めてやりたいが、一対一で勝てる相手ではないとも理解しているので確実に勝つ為に動く。
現在、味方側の損耗はヴルトムの仲間が三十機程。
他は健在。 ほぼフルメンバーで事に当たれる。
修理と補給をしている間に全員で作戦会議だ。
機体をハンガーに預け、全員がアバター状態で集合しており、中心はヨシナリだ。
「はい、どうやらこのミッションのボスは例の奴である可能性が非常に高いです」
そう言うとマルメルが露骨に嫌そうな声を漏らし、ふわわは薄く笑う。
シニフィエは遭遇していないので首を傾げる。
ベリアルは面白いと拳を握り、ユウヤは無言。
ツガルはマジかよと少し腰が引けており、フカヤは大丈夫かなと不安そうだ。
ポンポンはやってやるぜと気合を入れ、まんまる、ニャーコはやや不安そうだった。
タヂカラオは自分の持って来た情報が約に立たなくなった事で少しだけ気持ちが落ち込んでいたが、努めて気にせずヨシナリの話に耳を傾ける。
『烏合衆』のメンバーは一人残らず嬉しそうだ。
過去にやられた事もあってリベンジの機会を活かしたいと考えているのが分かる。
「初見の人もいるのでこれから出て来るであろう敵に関して説明をしたいと思います」
「はい、お義兄さん質問! 皆さんの反応を見れば強そうなのは分かるのですがそこまで何ですか?」
「あぁ、正直、このゲームをやってて五指に入るヤバさだと俺は思ってる」
「そ、そんなに何ですか? 最初に戦ったのでお義兄さん達がⅡ型とか使ってた頃じゃないんですか? だったら――」
シニフィエの言葉に小さく首を振る。 確かに前よりは戦えるだろう。
「分かり易く言うけど総合力はSランククラスだ。 機体も操作しているユーザーも最強クラス、一対一での勝利は現実的じゃないよ」
「そ、そこまでですか……」
驚く様子のシニフィエを見て納得したと判断し、ヨシナリは話を続ける。
「過去の戦闘時の話なので、今は強化されている可能性もあるので注意を。 まずは例のイソギンチャク型の強化外装を剥がす所からです。 ただ、これに関しては種が割れている上、相性のいいカカラさん達が居るので破壊する所までは問題ないでしょう」
前回の防衛戦での戦い方を見ればカカラならやってくれると確信していた。
次のウツボ型も問題ないだろう。 火力はあるが動き自体は鈍重なので落とすのは難しくない。
問題はその中身だ。 あの特殊な形状をしたトルーパー。
間違いなくかなりの強化を重ねたジェネシスフレームだ。
「過去の戦闘ではっきりしているスペックは高感度のセンサーシステム、恐らくはシックスセンスと同等クラスの物を積んでいると思われます。 次に武装、ドローンです。 レーザー、実弾、シールド、ホログラムと様々な種類の砲台を生み出しています」
「だナ。 だからガンガン使い捨てられるって訳だ」
「その通りです。 加えてプレイヤースキルも高いので懐に入るだけでも命がけですよ」
少なくともまともに攻撃の応酬が出来たのはラーガストだけだ。
当時、ランカーだったプレイヤー達の悉くが碌に反応できずにやられてしまった。
「敵の脅威度はよく理解できたよ。 で? 対策は?」
「あまり褒められた手段ではありませんが、数で押し潰します。 足の速い機体が攪乱しつつ攻撃を仕掛け、後衛は本体ではなくドローンを減らす事に注力。 とにかく相手の手数を減らす事を念頭に置いてください」
ヨシナリはウインドウを可視化しマップを表示。
「戦場は基地外の荒野。 敵の残骸が大量に転がっているのでまっさらとは言いませんが、何もないところで迎え撃ちます」
「ヨシナリ、質問いいか?」
「はいヴルトム」
「ヤベぇ相手なのは分かり切ってるんだしよ。 基地に引っ張り込んで地形を活かした方がいいんじゃないか?」
被害は出るが、勝つ為の必要経費だろ?といいたいのだろうが、有利に機能するのかが非常に怪しい。
「確かに地形を活かした方が上手く立ち回れるとは思う。 でもな、それは相手にも言える事なんだ。 さっきも言ったが相手のドローンは多種多様で機体を操作しながらマルチタスクで操っていると思われる点からも基地に入れば被害が増えるだけだと判断した」
特にドローンは視認性が良くない。
加えてステルス機能を備えたものがあれば場合によっては一方的に狩られかねない。
「――という訳で外の方がまだマシなんだよ」
「な、なるほど、理解した。 悪いな、話を続けてくれ」
「いいよ。 納得してれるなら質問は大歓迎だ」
ヨシナリはそう言って苦笑。 ウインドウを切り替える。
「次はフォーメーションに関してですが、ポジションは割り振ります。 ただ、それが通用しないと思った場合は独自の判断で動いてください」
そう前置きして話を続ける。
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