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第622話
「――とまぁ、全員の配置に関してはこんな感じなんだけど、大丈夫そうですか?」
一通りの説明を済ませたヨシナリが全員をぐるりと見回すと特に異論などはないようだ。
場所は変わって基地から少し離れた何もない場所。
ヴルトム達『大渦』は基地まで下がって防壁の上に居るが、残りはここで迎え撃つ。
ヨシナリ達の準備が終わったと判断したのか空から堂々と一機のトルーパーが現れた。
イソギンチャクではなかったが、フロート型の下半身にバイザー型の頭部、武装を兼ねた肘から下が浮遊している。
「は、本当に出やがった」
ツガルがやや引き攣った声を漏らす。 彼の本音としては来てほしくなかったといった所だろう。
僅かな時間、互いに睨み合う形になったが、戦闘開始は即座だ。
「全機散開!」
ヨシナリの鋭い叫びに全員が一斉に動き出した。
「最初は俺だ! あん時の借りを返してやるぜ!」
一気に加速したツガルが得意の機動で加速しながら旋回。 機銃を連射しながら距離を詰める。
敵機は何もない場所からドローンを精製。 花のようにも見えるデザインのそれはシールドを展開しツガルの銃撃を受け止める。
「なら、これでどうだ!」
ツガルは振り切ってやると加速するがドローンは難なくついてくる。
影のようにぴったりと張り付き、彼を完全に封じ込めていた。
無数のミサイルやプラズマキャノンが敵機に殺到。 カカラとまんまるだ。
敵機は更に二種類のドローンを精製。 先端の束ねられたガトリング砲とやや大型な砲のような物だ。
恐らくは光学兵器とヨシナリは判断した。 ガトリング砲が即座に弾丸を吐き出しミサイルを迎撃。
もう一つは想像に反して実体弾――カプセルのような物を発射する。
――何だあれは?
カプセルはプラズマキャノンに当たると機能を解放。 プラズマからエネルギーが消失する。
「プラズマキャノンからエネルギーを奪った? いや、霧散させて無効化した?」
だからどうしたと言わんばかりに迎撃されたミサイルの爆発に紛れて接近した平八郎が正面から驟雨のような突きのラッシュ。
敵機はドローンを使わずにフロートのスラスターを細かく噴かす事で機体を左右に振って回避。
「ぬぅ、ならばこれでどうだ!」
平八郎のラッシュが回転を増し、敵機が溜まらずに後退した所で薙ぎに切り替える。
袈裟の両断を狙った一撃は紙一重で躱された。 僅かに後退しての回避。
軌道を完全に見切っている。 悔し気に唸る平八郎の左右から彼を追い抜くようにアドルファスのドローンが敵機に殺到するが、応じるように別のドローンを精製。
――何だあれは?
筒のような代物だったが、正体が判明したのは次の瞬間だ。
縦に開いたと同時に電磁パルスを撒き散らす。 効果範囲内に入ったアドルファスのドローンは全て機能停止。 殺虫剤を喰らった虫のように力なく落下する。
僅かに遅れて二か所から高出力のレーザーが飛んでくる。
アリスとグロウモスの狙撃だが、敵機は鏡のようなドローンを呼び出すと即座に射線に配置。
命中と同時にレーザーは大きく屈折してあらぬ方向へ。
――これも防ぐのかよ!
完璧な連携ではないが防御を飽和させるべく畳みかけているのだが、悉く防がれる。
だが、こちらの攻撃はまだ終わっていない。 迷彩を解いたフカヤがボルトを射出。
敵機は一瞥すらせずに機体を僅かに傾けて躱す。 今度は無数の小型ドローンを精製。
ドローンは敵機の周囲に散って、銃口を真下に向ける。
「おい、まさか――」
何をしようとしているのかを悟って戦慄する。
連続した銃声と金属音。 転移によって飛んで来た分割された刃が銃弾によって弾き飛ばされたのだ。
「嘘ぉー!」
ふわわが驚きの声を上げる。 当然だった。
ナインヘッド・ドラゴンの転移刃を一つ残らず撃ち落とされたのだ。
ヨシナリでも似た反応になるだろう。
「だったらこれでどうだ!」
背後の基地から無数の銃弾や砲弾、ミサイルが飛んでくる。
ヴルトム達による火力支援だ。 大型のドローンが出現し、高出力のレーザーを放って薙ぎ払う。
細かな銃弾などはシールド型のドローンが間に入って防ぐ。
それに紛れてニャーコとシニフィエが肉薄。 ニャーコの拳によるラッシュ。
敵機は機体を左右に振って回避。 ドローンすら使わない。
「舐めすぎですよ!」
間に差し込まれたドローンを踏み台にして軌道を変えて間合いに入る。
横薙ぎの蹴り。 完全に捉えたはずだったが、シニフィエの一撃は機体をすり抜けた。
ホログラフだ。 いつの間に!?
本体は何処だとヨシナリは目を凝らずと、機体半機分後ろに下がっただけだった。
目測を狂わされたと悟ったシニフィエは慌てて後退。 敵機の追撃を防ぐためにヨシナリ、マルメル、ポンポンが銃撃して気を引く。
――は、とんでもねぇな。
笑うしかなかった。 攻撃、防御、機動、反応とどれを取っても一級品だ。
加えてあれだけのドローンを適切に運用できる能力も凄まじい。
ラーガストと互角に渡り合えるのも頷ける。
しかもこれだけのメンバー相手に観察する余裕すらあるようだ。
明らかに防御に徹していたのは余裕がないのではなく、余裕の表れに見える。
だが、観察していたのはヨシナリも同じだ。 一応はある程度のスペックは視えた。
まず、ドローンの種類は多岐に渡り、恐らくは全容を把握する事は不可能に近い。
要は個別への対処は無理と割り切るしかない。
ただ、エネルギー流動を視ればどこに現れるのかは分かる。
次にあの機体について、記憶にある物とそう変わらない。
機動は下半身のフロートに依存しており、スラスターと重力制御で機動性は非常に高い。
ジェネレーターもかなりの高出力ではあるが、あれだけの数のドローンを賄えている理由は別にあった。
あの時はシックスセンスがなかったので分からなかったが、一つ一つにジェネレーターが内蔵されているのだ。
つまり、完全に動力を自前で賄っている。
――そりゃいくらでも出せる訳だ。
種類、数だけでも反則じみているのにスタミナも減らないのはイカサマじゃないかと思ってしまう。
そして一番厄介なのは反応速度だ。 センサーシステムはシックスセンスと同等の観測範囲の広い代物を使っているのは分かっていた。
それを差し引いても攻撃に対しての反応が良すぎる。
挙動の柔軟性からチートの可能性は低い。 つまり純粋な技量でこれなのだ。
――これ、勝てるのか?
一通りの説明を済ませたヨシナリが全員をぐるりと見回すと特に異論などはないようだ。
場所は変わって基地から少し離れた何もない場所。
ヴルトム達『大渦』は基地まで下がって防壁の上に居るが、残りはここで迎え撃つ。
ヨシナリ達の準備が終わったと判断したのか空から堂々と一機のトルーパーが現れた。
イソギンチャクではなかったが、フロート型の下半身にバイザー型の頭部、武装を兼ねた肘から下が浮遊している。
「は、本当に出やがった」
ツガルがやや引き攣った声を漏らす。 彼の本音としては来てほしくなかったといった所だろう。
僅かな時間、互いに睨み合う形になったが、戦闘開始は即座だ。
「全機散開!」
ヨシナリの鋭い叫びに全員が一斉に動き出した。
「最初は俺だ! あん時の借りを返してやるぜ!」
一気に加速したツガルが得意の機動で加速しながら旋回。 機銃を連射しながら距離を詰める。
敵機は何もない場所からドローンを精製。 花のようにも見えるデザインのそれはシールドを展開しツガルの銃撃を受け止める。
「なら、これでどうだ!」
ツガルは振り切ってやると加速するがドローンは難なくついてくる。
影のようにぴったりと張り付き、彼を完全に封じ込めていた。
無数のミサイルやプラズマキャノンが敵機に殺到。 カカラとまんまるだ。
敵機は更に二種類のドローンを精製。 先端の束ねられたガトリング砲とやや大型な砲のような物だ。
恐らくは光学兵器とヨシナリは判断した。 ガトリング砲が即座に弾丸を吐き出しミサイルを迎撃。
もう一つは想像に反して実体弾――カプセルのような物を発射する。
――何だあれは?
カプセルはプラズマキャノンに当たると機能を解放。 プラズマからエネルギーが消失する。
「プラズマキャノンからエネルギーを奪った? いや、霧散させて無効化した?」
だからどうしたと言わんばかりに迎撃されたミサイルの爆発に紛れて接近した平八郎が正面から驟雨のような突きのラッシュ。
敵機はドローンを使わずにフロートのスラスターを細かく噴かす事で機体を左右に振って回避。
「ぬぅ、ならばこれでどうだ!」
平八郎のラッシュが回転を増し、敵機が溜まらずに後退した所で薙ぎに切り替える。
袈裟の両断を狙った一撃は紙一重で躱された。 僅かに後退しての回避。
軌道を完全に見切っている。 悔し気に唸る平八郎の左右から彼を追い抜くようにアドルファスのドローンが敵機に殺到するが、応じるように別のドローンを精製。
――何だあれは?
筒のような代物だったが、正体が判明したのは次の瞬間だ。
縦に開いたと同時に電磁パルスを撒き散らす。 効果範囲内に入ったアドルファスのドローンは全て機能停止。 殺虫剤を喰らった虫のように力なく落下する。
僅かに遅れて二か所から高出力のレーザーが飛んでくる。
アリスとグロウモスの狙撃だが、敵機は鏡のようなドローンを呼び出すと即座に射線に配置。
命中と同時にレーザーは大きく屈折してあらぬ方向へ。
――これも防ぐのかよ!
完璧な連携ではないが防御を飽和させるべく畳みかけているのだが、悉く防がれる。
だが、こちらの攻撃はまだ終わっていない。 迷彩を解いたフカヤがボルトを射出。
敵機は一瞥すらせずに機体を僅かに傾けて躱す。 今度は無数の小型ドローンを精製。
ドローンは敵機の周囲に散って、銃口を真下に向ける。
「おい、まさか――」
何をしようとしているのかを悟って戦慄する。
連続した銃声と金属音。 転移によって飛んで来た分割された刃が銃弾によって弾き飛ばされたのだ。
「嘘ぉー!」
ふわわが驚きの声を上げる。 当然だった。
ナインヘッド・ドラゴンの転移刃を一つ残らず撃ち落とされたのだ。
ヨシナリでも似た反応になるだろう。
「だったらこれでどうだ!」
背後の基地から無数の銃弾や砲弾、ミサイルが飛んでくる。
ヴルトム達による火力支援だ。 大型のドローンが出現し、高出力のレーザーを放って薙ぎ払う。
細かな銃弾などはシールド型のドローンが間に入って防ぐ。
それに紛れてニャーコとシニフィエが肉薄。 ニャーコの拳によるラッシュ。
敵機は機体を左右に振って回避。 ドローンすら使わない。
「舐めすぎですよ!」
間に差し込まれたドローンを踏み台にして軌道を変えて間合いに入る。
横薙ぎの蹴り。 完全に捉えたはずだったが、シニフィエの一撃は機体をすり抜けた。
ホログラフだ。 いつの間に!?
本体は何処だとヨシナリは目を凝らずと、機体半機分後ろに下がっただけだった。
目測を狂わされたと悟ったシニフィエは慌てて後退。 敵機の追撃を防ぐためにヨシナリ、マルメル、ポンポンが銃撃して気を引く。
――は、とんでもねぇな。
笑うしかなかった。 攻撃、防御、機動、反応とどれを取っても一級品だ。
加えてあれだけのドローンを適切に運用できる能力も凄まじい。
ラーガストと互角に渡り合えるのも頷ける。
しかもこれだけのメンバー相手に観察する余裕すらあるようだ。
明らかに防御に徹していたのは余裕がないのではなく、余裕の表れに見える。
だが、観察していたのはヨシナリも同じだ。 一応はある程度のスペックは視えた。
まず、ドローンの種類は多岐に渡り、恐らくは全容を把握する事は不可能に近い。
要は個別への対処は無理と割り切るしかない。
ただ、エネルギー流動を視ればどこに現れるのかは分かる。
次にあの機体について、記憶にある物とそう変わらない。
機動は下半身のフロートに依存しており、スラスターと重力制御で機動性は非常に高い。
ジェネレーターもかなりの高出力ではあるが、あれだけの数のドローンを賄えている理由は別にあった。
あの時はシックスセンスがなかったので分からなかったが、一つ一つにジェネレーターが内蔵されているのだ。
つまり、完全に動力を自前で賄っている。
――そりゃいくらでも出せる訳だ。
種類、数だけでも反則じみているのにスタミナも減らないのはイカサマじゃないかと思ってしまう。
そして一番厄介なのは反応速度だ。 センサーシステムはシックスセンスと同等の観測範囲の広い代物を使っているのは分かっていた。
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