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第623話
弱気な気持ちが僅かに顔を覗かせるが、嘆くのは負けてからでもできると思考を切り替える。
一先ずは相手の挙動とスペックは全てではないがある程度は視えた。
まずは闇雲やっても処理されるのは目に見えているのでゴリ押しは賢い手ではない。
こいつを倒したいのなら反応か処理を上回らなければならない。
ラーガストは前者の条件を満たした事で打倒に成功した。
アレを真似する事はこれだけの戦力をもってしても難しいだろう。
ならばやる事は防御を飽和させるのが唯一の勝ち筋だ。
具体的にどうするのか? 決まっている。
敵機は反撃の為に無数のドローンを出現させようとしたが――
「『創造者』よ。 貴様の生み出した群れ成す腕は軍勢と評するに余りある。 だが、貴様は所詮一人。 相対する我等は星に集いし真なる軍勢。 貴様の自我なき群れが集いし星の結束にどこまで抗えるか見せて貰おう!」
出現したドローンをベリアルとユウヤが即座に破壊する。
ベリアルはいつもの調子でユウヤは無言で叩き潰す。 シックスセンスで出現位置は分かる。
出る位置さえ分かればあの二人なら充分だ。
ドローンは確かに厄介だが、何かをする前に破壊してしまえば何の問題もない。
後は攻め手を封じつつ、当たるまで畳みかければいい。
ラーガスト並みの技量であろうともドローンの精製を封じられた状態でこれだけの数の攻撃をいつまでも捌けるわけがない――はず。
「手筈通り、追い込みと攻撃のメンバーは連携よりも味方の邪魔をしない事を意識!」
急造のチームである以上、いくら個々の能力が優れていたとしても連携に組み込めるのかはまた別の話となる。
簡単な流れは説明しているのでこの場合は複雑な指示よりも単純な指示を与えて実行させた方が機能すると判断したのだ。
前衛は少し密に行ったが、後衛に関しては二つ。
『味方の邪魔をしない』、『敵の動きを止める』この二点だ。
それだけ守られるなら充分に刺さるはずだった。
ベリアルがドローンを破壊した事によってフリーになったツガルが借りを返すと言わんばかりに突っ込む。
敵機は再度、同じドローンを呼び出そうとしていたが、出現と同時にユウヤの散弾砲に破壊される。
「へ、うざってぇドローンさえ居なきゃかなり楽になるぜ!」
機銃を連射しながら得意の機体を振り回すような挙動。
敵機は無駄と分かっていてもドローンの精製を止めない。
そうする事でこちらのリソースを削れると分かっているからだ。
ただ、排除はベリアルとユウヤが中心になっていると早々に理解し、広範囲――二人の手が届き辛い位置に出現させようとする辺りかなり冷静だ。
だが、その為にヨシナリがいる。
二人の反応が遅れる位置に出現したドローンをアシンメトリーで撃ち抜く。
さっきから観察していて分かった事がある。
敵機のドローンはその場で精製している所為か、出現してから起動まで一瞬ではあるが間があった。
つまり出現と同時に攻撃を仕掛ければ簡単に破壊できる。
間があると言っても一秒前後というシビアなタイミングだ。
その為、シックスセンスで予め出現位置を把握して先回りしなければ処理できない。
これで敵の手数は封じられるがどうも精製するにあたって本体の消耗はそこまで大きくないようで次から次へと後続が湧いてくる。
――これはいつまでも防いでられないぞ。
ユウヤ、ベリアル、ヨシナリ、ポンポンの四人でドローンの駆除を受け持ち、まんまる、カカラ、アリス、マルメルの四人でばら撒き攻撃を行って敵の軌道を制限。
残りのメンバーで本体を仕留めるという袋叩きと評するのも生易しい布陣だ。
一対一では絶対に勝てないと言い切れるレベルの相手なので、なりふり構わずに仕留めに行く。
ヨシナリは油断なく機体の知覚を最大限に用いて敵ドローンを撃破し続けた。
――とんでもねぇな。
アドルファスは内心でそう呟いて敵機への攻撃を緩めない。
防衛イベントのボス。
理不尽な強さでプレイヤー達を蹂躙し、あのラーガストと互角以上の戦いを繰り広げた。
あのイベントはアドルファスにとっても苦い思い出だ。
一応は終盤まで生き残ってはいたのだが、物のついでとばかりに撃墜されたのは未だに忘れられない。
そこそこの自信があっただけだけにあの敗北は中々に払拭できない記憶だ。
あれから少しの時間が経ち、自分も機体も強くなった。
だから前よりはもっと戦えると思っていたが、こうして動きを見ていると未だに勝てる気がしない。
自分の十倍近い数のドローンを扱っておきながらあの挙動。
チートでも使っているのではないかと疑いたくなる操作技術だ。
数十種類のドローンを状況に応じて適切な種類、数を繰り出す柔軟性。
同じドローン使いとして欲しい物をすべて持っている敵機に少しの妬みは感じるが、今は勝つ事のみに集中する。
今、敵の最大の強みは死んでいる状態だ。
ドローンはヨシナリ達が片端から破壊しており、敵機は腕に付いているレーザーの射出ドローン以外は使えない。
――にも関わらずオフェンス担当全員の攻撃を捌き続けている。
時折、撃ち返してくるが隙ができるのを嫌がっているのか頻度は低い。
明らかに回避に専念している事が分かる。 後は捕まえる事さえできれば撃破は可能だ。
勝ち筋は見えているのに敵はとにかく粘る。
技量差は圧倒的だが、物量という単純な差でそれを覆しているのだ。
ヨシナリ達もいつまでも抑えておけない。 いい加減に仕留めに行く必要がある。
これまでの攻防で敵の回避パターンは徐々にだが見えて来た。
――行くぞ。
アドルファスはドローンを展開し、敵機の真上に動かしてレーザーを連射。
まずは回避先を減らす。 地上まで落とせば下に躱せなくなる。
意図に気付いたカカラとアリスが畳みかけるようにミサイルとレーザーで敵機を追いこむ。
敵機は急降下。 地面を這うように飛ぶ。
よし、追い込んだ。 回避先にグロウモスの狙撃。
敵機は機体を僅かに傾けて躱す。 とんでもない反応だ。
だが、これで下に躱せず、機体の態勢が僅かに崩れた。
この状態で平八郎達の攻撃を捌けるか? 敵機がドローンを機体と接続。
エネルギーをチャージして拡散したレーザーを発射。
同時に転移して来たふわわの刃が全て叩き落とされる。
だが、これで一手使った。
直上からアドルファスのドローンによる攻撃に紛れてモタシラが斬りかかる。
急加速で回避。 二手――これで詰みだ。
逃げた先には平八郎が待ち構えていた。
「取ったぞ!」
彼の槍が閃き――
一先ずは相手の挙動とスペックは全てではないがある程度は視えた。
まずは闇雲やっても処理されるのは目に見えているのでゴリ押しは賢い手ではない。
こいつを倒したいのなら反応か処理を上回らなければならない。
ラーガストは前者の条件を満たした事で打倒に成功した。
アレを真似する事はこれだけの戦力をもってしても難しいだろう。
ならばやる事は防御を飽和させるのが唯一の勝ち筋だ。
具体的にどうするのか? 決まっている。
敵機は反撃の為に無数のドローンを出現させようとしたが――
「『創造者』よ。 貴様の生み出した群れ成す腕は軍勢と評するに余りある。 だが、貴様は所詮一人。 相対する我等は星に集いし真なる軍勢。 貴様の自我なき群れが集いし星の結束にどこまで抗えるか見せて貰おう!」
出現したドローンをベリアルとユウヤが即座に破壊する。
ベリアルはいつもの調子でユウヤは無言で叩き潰す。 シックスセンスで出現位置は分かる。
出る位置さえ分かればあの二人なら充分だ。
ドローンは確かに厄介だが、何かをする前に破壊してしまえば何の問題もない。
後は攻め手を封じつつ、当たるまで畳みかければいい。
ラーガスト並みの技量であろうともドローンの精製を封じられた状態でこれだけの数の攻撃をいつまでも捌けるわけがない――はず。
「手筈通り、追い込みと攻撃のメンバーは連携よりも味方の邪魔をしない事を意識!」
急造のチームである以上、いくら個々の能力が優れていたとしても連携に組み込めるのかはまた別の話となる。
簡単な流れは説明しているのでこの場合は複雑な指示よりも単純な指示を与えて実行させた方が機能すると判断したのだ。
前衛は少し密に行ったが、後衛に関しては二つ。
『味方の邪魔をしない』、『敵の動きを止める』この二点だ。
それだけ守られるなら充分に刺さるはずだった。
ベリアルがドローンを破壊した事によってフリーになったツガルが借りを返すと言わんばかりに突っ込む。
敵機は再度、同じドローンを呼び出そうとしていたが、出現と同時にユウヤの散弾砲に破壊される。
「へ、うざってぇドローンさえ居なきゃかなり楽になるぜ!」
機銃を連射しながら得意の機体を振り回すような挙動。
敵機は無駄と分かっていてもドローンの精製を止めない。
そうする事でこちらのリソースを削れると分かっているからだ。
ただ、排除はベリアルとユウヤが中心になっていると早々に理解し、広範囲――二人の手が届き辛い位置に出現させようとする辺りかなり冷静だ。
だが、その為にヨシナリがいる。
二人の反応が遅れる位置に出現したドローンをアシンメトリーで撃ち抜く。
さっきから観察していて分かった事がある。
敵機のドローンはその場で精製している所為か、出現してから起動まで一瞬ではあるが間があった。
つまり出現と同時に攻撃を仕掛ければ簡単に破壊できる。
間があると言っても一秒前後というシビアなタイミングだ。
その為、シックスセンスで予め出現位置を把握して先回りしなければ処理できない。
これで敵の手数は封じられるがどうも精製するにあたって本体の消耗はそこまで大きくないようで次から次へと後続が湧いてくる。
――これはいつまでも防いでられないぞ。
ユウヤ、ベリアル、ヨシナリ、ポンポンの四人でドローンの駆除を受け持ち、まんまる、カカラ、アリス、マルメルの四人でばら撒き攻撃を行って敵の軌道を制限。
残りのメンバーで本体を仕留めるという袋叩きと評するのも生易しい布陣だ。
一対一では絶対に勝てないと言い切れるレベルの相手なので、なりふり構わずに仕留めに行く。
ヨシナリは油断なく機体の知覚を最大限に用いて敵ドローンを撃破し続けた。
――とんでもねぇな。
アドルファスは内心でそう呟いて敵機への攻撃を緩めない。
防衛イベントのボス。
理不尽な強さでプレイヤー達を蹂躙し、あのラーガストと互角以上の戦いを繰り広げた。
あのイベントはアドルファスにとっても苦い思い出だ。
一応は終盤まで生き残ってはいたのだが、物のついでとばかりに撃墜されたのは未だに忘れられない。
そこそこの自信があっただけだけにあの敗北は中々に払拭できない記憶だ。
あれから少しの時間が経ち、自分も機体も強くなった。
だから前よりはもっと戦えると思っていたが、こうして動きを見ていると未だに勝てる気がしない。
自分の十倍近い数のドローンを扱っておきながらあの挙動。
チートでも使っているのではないかと疑いたくなる操作技術だ。
数十種類のドローンを状況に応じて適切な種類、数を繰り出す柔軟性。
同じドローン使いとして欲しい物をすべて持っている敵機に少しの妬みは感じるが、今は勝つ事のみに集中する。
今、敵の最大の強みは死んでいる状態だ。
ドローンはヨシナリ達が片端から破壊しており、敵機は腕に付いているレーザーの射出ドローン以外は使えない。
――にも関わらずオフェンス担当全員の攻撃を捌き続けている。
時折、撃ち返してくるが隙ができるのを嫌がっているのか頻度は低い。
明らかに回避に専念している事が分かる。 後は捕まえる事さえできれば撃破は可能だ。
勝ち筋は見えているのに敵はとにかく粘る。
技量差は圧倒的だが、物量という単純な差でそれを覆しているのだ。
ヨシナリ達もいつまでも抑えておけない。 いい加減に仕留めに行く必要がある。
これまでの攻防で敵の回避パターンは徐々にだが見えて来た。
――行くぞ。
アドルファスはドローンを展開し、敵機の真上に動かしてレーザーを連射。
まずは回避先を減らす。 地上まで落とせば下に躱せなくなる。
意図に気付いたカカラとアリスが畳みかけるようにミサイルとレーザーで敵機を追いこむ。
敵機は急降下。 地面を這うように飛ぶ。
よし、追い込んだ。 回避先にグロウモスの狙撃。
敵機は機体を僅かに傾けて躱す。 とんでもない反応だ。
だが、これで下に躱せず、機体の態勢が僅かに崩れた。
この状態で平八郎達の攻撃を捌けるか? 敵機がドローンを機体と接続。
エネルギーをチャージして拡散したレーザーを発射。
同時に転移して来たふわわの刃が全て叩き落とされる。
だが、これで一手使った。
直上からアドルファスのドローンによる攻撃に紛れてモタシラが斬りかかる。
急加速で回避。 二手――これで詰みだ。
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「取ったぞ!」
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