病弱系男子水川くん

蛍。

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男子高校生が倒れてました

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今年で社会人3年目になる俺、松野健人はごくごく普通のどこにでもいるサラリーマン。背はわりと高めだと思うけど顔も中の下くらい(自分で言ってて悲しい)、強いて言うなら働いてる企業が他の人より少し大きいくらいだ。 

ほぼ年功序列で成り立ってる今の会社で3年目なんてまだまだ下っ端の方だし、入社したての1年目と比べれば仕事もそれなりにこなせて当たり障りなく平凡なサラリーマン生活を過ごしている。
彼女とかいたらもう少し華のある生活になっているのかもしれないけど残念ながらそんな兆しもない。 

今住んでる家は少しでも会社への出勤時間の無駄を省くために電車で二駅行ったところに住んでる。そんな俺には出勤前にいつもこなしてるルーティンがある。ルーティンと言ってもコンビニで缶コーヒーを買って公園で飲むだけなんだが。 

別になんとなくできた流れで絶対にしないといけないという訳ではないが、これがないとなんか始まりがシャキッとしない気がしている。 

コーヒーを購入した俺はいつもの公園のベンチに向かった。ほとんど人が来ることがないこのベンチに今日は珍しく先客がいた。 

「(人がいるなんて珍しいな…しかも制服だし、高校生か?横たわってるし、これじゃ今日は座れないなぁ)」 

仕方なくここのベンチは諦めて離れようと思った時、その人から呻き声のようなものが聴こえた。慌てて彼に近づき顔を覗くと端正な顔立ちの少年の顔色がそれはもう真っ青だった。 

「え!ちょっと大丈夫!?救急車呼ぶ!?」 

「いらない…ただの貧血、ほっとけば治るから。あと今ここ退きます」 

「ほっとけばって言われても、そんな訳にもいかないだろ。てか動くなって、横になってて良いから!」 

こんな状態の人を介抱した事がない俺はスマホで対処の仕方を調べ、ベンチからはみ出てる少年をちゃんと寝かせ足を高くすると良いとネットに書いてあったので自分のカバンを足に敷いて足元を高くした。その後は急いでコンビニに水を買いに行った。 

ふと時刻を見るともう少しで出勤しなければいけない時間だったがこんな状態で少年を放っておくこともできず、仕方なく急ぎで会社に午前休の連絡を入れることにした。 

「ほら水買ってきた、飲めるか?」 

「もう大丈夫だから、仕事でしょ。行って」 

フラフラな状態で起き上がった少年にそのセリフを言われても全然説得力がなかった。 

「アホか、こんな状態のやつおいて働けるか。心配で仕事にならん。それにもう午前中は休むって連絡いれた」 

「…なんか、ごめん」 

「良いよ、俺がしたくてしたんだ」 

「おじさんよくお人好しって言われるでしょ」 

そう言うとまだ全快じゃない少年は力のない笑顔で笑った 

「ちょ、おじさんて俺はまだ25だ!」 

「俺から見たら十分おじさんだよ」 

先程も思ったが端正な顔立ちなこともあり少年の笑った顔に少しドキッとしてしまった。 

「俺は松野健人25歳、見ての通り普通のサラリーマン。お前は?」 

「水川涼(みずかわりょう)17歳、高校三年生」 

水川涼。名前を聞いた時彼にぴったりだと思った。水のように透明感があってなにか風のような涼しさというか穏やかに吹き抜けて消えていくような感じが彼っぽいと思った。 

「高三か、この公園俺は良く来るんだけど水川くんのことは初めて見た。いつもこんな風に体調悪くなるの?」 

「…人混みとか苦手だからいつも自転車なんだけど朝見たらパンクしてて使えなかった。だから久々に電車使ってみたら人混みに揉まれてしんどくなった。ちょっと気持ち悪いだけだから、しばらくすれば治ると思う。あと涼で良い」 

「そういうことか。てか涼君みたいな子は人混みが苦手とか関係なく電車は使わない方がいいと思うよ」 

「?」 

俺の言ってることが理解できないのかこてんと首を傾げる。そういうところも無意識なんだろうけどめっちゃあざとい。 

「容姿が良いから電車とかに乗ると変なおじさんとかに痴漢されそうだし、涼君少しぼやっとしてる部分ありそうだから危ないと思う」 

「そうかな…?」 

現に今だって制服のボタンが第二ボタンまで開いていてチラチラ鎖骨が見えるのが本当に心臓に悪い。助けたのが俺だったから良かったもののタチの悪いおじさんだったら確実に身体を触ってきている。本人はそんなこと気にもしてないんだろうけど。 

すると何を思ったのか突然涼君は俺の手を掴んでするっと指を絡め、その手を自分の口元に持っていき俺の手の甲に優しく触れるくらいのキスをした。



「おじさんには、俺がそれくらい魅力的に見えてるってこと?」



かいてる汗と相まって高校生とは思えない色気を纏いながら妖艶に笑った彼に、俺は確実に顔が熱くなったのを感じた。


「そういうの、タチ悪いから止めろ。あとおじさんじゃないって」

「はーい、ごめんなさい」

「…俺、午後から出社だからそろそろ行く。涼君もこれから学校行くんだろうけど無理すんなよ」

絶対に悪いと思ってない涼君に対して目を合わせられなくなった俺は立ち上がってその場を去ろうとした。するとまた後ろから腕を掴まれて涼君の方を向かされた。

「ありがとう、健人さん」

立ち上がった俺からは座っている涼君が上目遣いに見え、先程とは違った爽やかな笑顔で名前を呼ぶもんだからまたしてもキュンとしてしまった。

「お、おう」

無愛想な俺はこんな返事してその場を去ったがその後の仕事は涼君のことで頭がいっぱいでびっくりするくらいポンコツだった。



「健人さんて言うんだ…やっと話せた…」
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