魔王がやって来たので

僕の日常にやって来た魔王 (本編はここからです)

変わりつつある日常

　魔王と別れ、講義室来るとまだ早い時間の為か、いつもより人が少ない感じがした。

　講義室の中程の席が空いていたので座ると、少し落ち着くことが出来た。
　次の抗議の準備をした後に、回りを見まわしていても知り合いはまだ来ていようだ。

　その時ふぁっとした柔らかな花の香りがした。
「すみません 隣いいですか？」
　
「どうぞ」
　
　聞き覚えのある声に、返事をしながら振り向くとフィーナが隣にすわった。
　今日は白銀しろがねの色の長い髪をおろして少し大人っぽい雰囲気だ。就活のスーツより少し華やかな程度のスーツを着ている。彼女の白銀しろがねの髪からのぞいている狐の耳は、今日もかわいらしく動いている。耳は、たぶん魔王同様に魔法か、なにか見えない様な仕組みがあるのだろう、気付いている人はいない様だ。
　
　いろいろ謎な事、知りたい事はあるが今はこの幸福に浸っていよう。
　
　そんな事を考えながら彼女を見てると、彼女は『うふふっ』と可愛らしく笑う――。
　
　それ見ているのが気恥しくて、目の前の机に目を向けた。そんなぼくの耳もとに内緒話をする様に、彼女が囁く。
　
「私も、しに来ちゃいました……」

「デート」

（魔王とは断じてデートではないが……これは……これは……）
　
　以前から伝えたかった言葉を伝えたいその思いが強くなるが、もっと僕達に似合う素敵な場所があるかもしれないしかし彼女の事は考えれば考えるほど止める事の出来ない気持ちに突き動かされる。

（すべては心のままに）

　彼女を見つめ、彼女のはにかむ笑顔になって少し前を向いた時にーー。

「好きです」
　そう彼女の耳に僕が囁ささやく。
　
　フィーナと僕は一緒に照れわいをし、そこで再び気恥ずかしくなったぼくは、今度は彼女とは反対側を向く。
　――僕のにゃけた顔を見られたくないなからだが、しかし隣の席にはいつの間にか耳にピアスした少し派手な感じの茶髪の男が居てそいつと目合う。

　そいつにやと笑っい『グッツジョブ』と言って親指立てるので――。

「うむ」

　そう言って頭を縦に振った。なんかそのしぐさは魔王ぽかったかもと思ったがそれはまぁいい。
　
　一旦落ちついた僕は、フィーナのへと振り返ると彼女は、机に肘をつき顔を覆おおっている。
　髪から除く耳はだけは少し僕の方を向いてる。　気がする……。

　しかしそこでまたもや隣の男の視線を感じを感じ振り返ると……。そいつが俺越しに彼女を見ているものだから、振り返った俺とは普通は男同士であまりない感じに顔の距離感になっていた。しかしそいつはそんな事を、気にも留めないように俺の背中を２度、激励する様に叩いてくるのだった。

　――魔王といい、この男といい俺の周りにはいなかった様な奴が、短期間に何人も現れるので俺は知らぬ間に異世界へと来てしまっているのではないか？
　
　そんな事を考えていると、講師の先生が入って来て抗議を始めた。
　
　フィーナも顔を上げて黙って講義聞いているが、その耳はやはりちょっと僕の方を向いててくれる気がした。

　つづく