29 / 292
未来へ向けて
転移(てんい)
しおりを挟む
彼の印象は、ぱっと見、派手と言う印象を受けた。
耳に、沢山のピアス、それでも彼の印象をダークサイド側と言うより、明るく社交的に見える。
いつでも、笑いを浮かべているかのような口角の上がった薄い唇のせいかもしれいない。まぎれもなく、その男は、大学で、フィーナと僕の様子をみていたリアクションのうるさい男だった。僕の様子がおかしいのを感じとった魔王が、僕の視線の先をたどって後ろを振り返る。
「魔物の頂点に立つ魔王が、そんな顔をするものじゃないと思うなぁ」
「今の君の顔を、見て君の大切な部下達が心配すると思うよ」
「そだねぇ……例えば……彼とか?」
魔王が、椅子を引いて立ち上がり、僕と彼、アポストロフィの間をさえぎる様に立つ。
「貴方に対しての警戒は、するに越したことはない」
「どうしてそんな事を言うのかな? 僕は提示して、いつも結局は、君はそれを受け取っている」
「僕が示さなければ歩けなかった道は、1つじゃないはず」
「例えば、彼は……」
「辞めろ!!」
魔王の声が耳に痛いほど響く。
「辞めてくれ頼む……」
そして魔王は静かに懇願するのだった。僕は言葉を発する事は出来なかった。張り詰めらた糸の上に居る存在の僕と魔王。僕が発した不用意な一言で、その糸はあけっなく切れて……、底の見えない深い穴の中へ落ちてしまうのだろう。
「君は、そんのに大切なの? この子達が」
「君をただの魔物の王と、魔王であるとした――」
僕は、目の前の様子が見ていられなくて……。
「すっ、すみません――異世界へ行きたいのですが、何の見返りも無に引き受けてくれませんか?」
「好きな子を助けたいんです!」
と、手を挙げて宣言していた。ぼくの姿は、滑稽だった。
「君達は、なんでいつもそうなのくふぅぅ」
謎の人物アポストロフィは、笑いをこらえていたが……やかて、手を叩いて爆笑しだした。魔王は、お前は……と言う顔で、僕と彼を見比べて、小さくため息をはく。
「狐の一族はいつでも恋愛、れんあい、れんあいしてると思ってたけど」
「次元を超えて、恋愛した相手も、恋愛しか頭にないとか、どうなのそれは?」
「幸せになりますが? 」
「そうか、それは見てみたいものだね」
彼は、さも面白いおもちゃをみつけたかの様に笑う。
「そうだ! ぼくからを祝福あげよう」
僕はとっさにキッチンのお菓子の詰め合わせボックスに、手を伸ばし限定商品のお菓子掴む。
「あの――これ、限定商品のお菓子です! 美味しいらしいので僕から!」
その後、彼にそのお菓子がどんなに素晴らしいか感謝しているかの説明をした。
魔王がそれくらいでいいだろうって言うまで、言い倒した。アポストロフィは、祝福の話をすれば……僕がふたたび違うものを持ち出す事を感じ取ったのか……彼は僕を見ていた。
彼の目は色彩を変えて変化する……。
「目的の場所は、召喚の間でいい?」
少し吐き捨てる様に彼は言う。
「はい、お願いします」
「ハヤト、我は人間界へはいかぬ」
「魔界へ入ったら使いを差し向けるから頑張る様に」
「はい、フィーナの事よろしくお願いいたします」
「お前に言われるまでもない」
「はい」
と、アポストロフィが言った。なぜ彼が?と思うと同時に、辺りは厳かな室内だった事に気付いた。
つづく
耳に、沢山のピアス、それでも彼の印象をダークサイド側と言うより、明るく社交的に見える。
いつでも、笑いを浮かべているかのような口角の上がった薄い唇のせいかもしれいない。まぎれもなく、その男は、大学で、フィーナと僕の様子をみていたリアクションのうるさい男だった。僕の様子がおかしいのを感じとった魔王が、僕の視線の先をたどって後ろを振り返る。
「魔物の頂点に立つ魔王が、そんな顔をするものじゃないと思うなぁ」
「今の君の顔を、見て君の大切な部下達が心配すると思うよ」
「そだねぇ……例えば……彼とか?」
魔王が、椅子を引いて立ち上がり、僕と彼、アポストロフィの間をさえぎる様に立つ。
「貴方に対しての警戒は、するに越したことはない」
「どうしてそんな事を言うのかな? 僕は提示して、いつも結局は、君はそれを受け取っている」
「僕が示さなければ歩けなかった道は、1つじゃないはず」
「例えば、彼は……」
「辞めろ!!」
魔王の声が耳に痛いほど響く。
「辞めてくれ頼む……」
そして魔王は静かに懇願するのだった。僕は言葉を発する事は出来なかった。張り詰めらた糸の上に居る存在の僕と魔王。僕が発した不用意な一言で、その糸はあけっなく切れて……、底の見えない深い穴の中へ落ちてしまうのだろう。
「君は、そんのに大切なの? この子達が」
「君をただの魔物の王と、魔王であるとした――」
僕は、目の前の様子が見ていられなくて……。
「すっ、すみません――異世界へ行きたいのですが、何の見返りも無に引き受けてくれませんか?」
「好きな子を助けたいんです!」
と、手を挙げて宣言していた。ぼくの姿は、滑稽だった。
「君達は、なんでいつもそうなのくふぅぅ」
謎の人物アポストロフィは、笑いをこらえていたが……やかて、手を叩いて爆笑しだした。魔王は、お前は……と言う顔で、僕と彼を見比べて、小さくため息をはく。
「狐の一族はいつでも恋愛、れんあい、れんあいしてると思ってたけど」
「次元を超えて、恋愛した相手も、恋愛しか頭にないとか、どうなのそれは?」
「幸せになりますが? 」
「そうか、それは見てみたいものだね」
彼は、さも面白いおもちゃをみつけたかの様に笑う。
「そうだ! ぼくからを祝福あげよう」
僕はとっさにキッチンのお菓子の詰め合わせボックスに、手を伸ばし限定商品のお菓子掴む。
「あの――これ、限定商品のお菓子です! 美味しいらしいので僕から!」
その後、彼にそのお菓子がどんなに素晴らしいか感謝しているかの説明をした。
魔王がそれくらいでいいだろうって言うまで、言い倒した。アポストロフィは、祝福の話をすれば……僕がふたたび違うものを持ち出す事を感じ取ったのか……彼は僕を見ていた。
彼の目は色彩を変えて変化する……。
「目的の場所は、召喚の間でいい?」
少し吐き捨てる様に彼は言う。
「はい、お願いします」
「ハヤト、我は人間界へはいかぬ」
「魔界へ入ったら使いを差し向けるから頑張る様に」
「はい、フィーナの事よろしくお願いいたします」
「お前に言われるまでもない」
「はい」
と、アポストロフィが言った。なぜ彼が?と思うと同時に、辺りは厳かな室内だった事に気付いた。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
婚約破棄&濡れ衣で追放された聖女ですが、辺境で育成スキルの真価を発揮!無骨で不器用な最強騎士様からの溺愛が止まりません!
黒崎隼人
ファンタジー
「君は偽りの聖女だ」――。
地味な「育成」の力しか持たない伯爵令嬢エルナは、婚約者である王太子にそう断じられ、すべてを奪われた。聖女の地位、婚約者、そして濡れ衣を着せられ追放された先は、魔物が巣食う極寒の辺境の地。
しかし、絶望の淵で彼女は自身の力の本当の価値を知る。凍てついた大地を緑豊かな楽園へと変える「育成」の力。それは、飢えた人々の心と体を癒す、真の聖女の奇跡だった。
これは、役立たずと蔑まれた少女が、無骨で不器用な「氷壁の騎士」ガイオンの揺るぎない愛に支えられ、辺境の地でかけがえのない居場所と幸せを見つける、心温まる逆転スローライフ・ファンタジー。
王都が彼女の真価に気づいた時、もう遅い。最高のざまぁと、とろけるほど甘い溺愛が、ここにある。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる