魔王がやって来たので

もち雪

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王の命

力の使い方

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 屋根の上の宝箱を、探る勇者。
 まだ、有り寄りの有りだ。僕に、ふとある考えがよぎった。屋根の上の宝箱を、探る恋人……。すぐに首を振り忘れる様務めた。……背に腹は代えられない、中に入って居る魔法回復薬と箱を鞄の中に入れる。
 そのまま、城の中をマラソンをし、時には兵士に挨拶し、今日初めて会う城の職員には農民と見紛みまがう身なりにぎょっとされた。兵士訓練所へ戻ると、訓練所の兵士が大豆の苗と道具は既にルイスと一緒に畑へ荷馬車で向かった事を教えてくれた。僕は、小さなため息をし、走り始める。
 
「畑ですか? 勇者様、精が出ますね」

「はい! ありがとうございます! お互い頑張りましょう! 行ってきますー」

 門番が、勇者に掛けて良い言葉では、無い様に思うが……昨今では普通の事で、僕もその一人になったに過ぎないのだ。ちなみに牧場系のゲームはめちゃやったので、ゲームの上ではプロ農民だ。温泉に入りまくりである。

 城から出てしばらくは石畳が、永遠と続く。山は、緑に覆われ鳥の声が聞こえマイナスイオンはとどまる事を知らないだろう。その中で僕の呼吸音と石畳を踏む足音が静かに響く、その音を長い時間、聞いているといつしか、つかの間だが草木を踏み分ける音に変わる。もうすぐ城下町へと行きつくだろう。だが、目的には遙かに遠い。一度水分補給をして再び走り出すと、街の看板が遠くに見えた、その頃には、癒したはずの筋肉痛が復活したきたかの様にいたみ始める。
 石畳み、ふかふかの芝生を越えていくとベンチが見えてそこで休み、回復魔法を使う。驚いた事になんだか魔法の浸透力が違うのだ。これはもしかして僕の魔法の力がアップしているのか、ウンディーネとの契約のおかげか、その両方かわからないが、これは素晴らしい成果と言っていいだろう。とても喜ばしい事だが、ルイスは許さん。

 元気になり僕は、また走り始めた。

 魔法学校の横を通り、そのまま、魔法学校に沿って回り込むと、門の先に上げ橋がある。兵士に下げて貰い、やっと城下町を出る事は出来た。そのまま、道にそって進む。もうこれどんだけ行くの?って思い始めた頃やっと、畑に着く。ここまで遠くに畑を作る必要があっただろうか?いやない。

「ハヤト、いい加減待ちくたびれましたよ――」
 
 ルイスは、ガーデンの椅子と傘付のテーブルを持ち込んでいた。もちろん椅子は、ビーチでよくある寝られるタイプだ。彼は有名なコーヒー店で、自ら持ち込んだノート型パソコンで仕事をスムーズに行える様な人種なので、そういうリゾート風の椅子に寝転がっていてもまあ似合う。有名なコーヒー店のコーヒーを今、異世界で飲んでいても彼ならいわかんはないだろう……。実は、それに準ずる物はここに持ち込んでいるのでは? という疑惑まである。 

「ハハハ荷馬車に乗せてくれても良かったじゃないですか? ルイス。また、ボコりますよ」

「ハヤト様、そう言う原始的なのいいので早く、畑作りお願いします。予定が押してますんで」

「はい……」
 
「じゃ……今日は、風魔法の訓練もいたしましょう」

「そう言うのは、ぬいぬいの管轄なのでは?」

「そもそも彼みたいな人に、初期魔法を教えを受けてるのがおかしかったですよ。彼は、ギルドのランクで言えば上級ですよ。彼の才能の無駄遣いでしかなかったと思いますよ」

 それを言われるとそうなのかもしれないが、ルイスも違うベクトルで、初心者に教えていい人間ではないだろう。しかし基本に忠実に、僕の横にルイスは立つ。

「では、最初は、前回の続きでこの草を根ごと切り刻んでください。ここは山間やまあいの場所なので風も結構強い方なので、それを参考にしてください」

 今まで、水、土、回復魔法とやって来たので、その要領で、心臓、腕、手先を、通す。魔紋は、青、緑の間だが、それほど色は強くない。風の透明感なのだろうか。しかしさすがと言うかなんというか、今までにない比重の軽さなのに、風力と言う威力は以前の魔法と変わらない。以前、難しいと思っていた。目的地に到着させる、威力を分散させずに保つ事も難しい。それでも、手を離すと下に掘り下げそして前へと進む感じになった。

「ハヤト、魔法を落として、そこで安心して終わってませんか? もしくはそこまで、教わってないのかもしれませんね。威力とか、魔法の組合わせの仕方が独特ですし」

「ハヤト、参考までに聞いてください。魔法は、ある程度方向を操作することが出来ます。しかしそれには集中力を必要とします。今の、貴方はその集中力を魔法を抑え込む事に使っていますが……初心者からそれを行う者はまれです。

 ぬいぬい、彼ならそんな事があったかもしれませんが……。魔法学校入りたての学生は、皆、逆に魔法を継続そして威力の拡大させる為の、魔法発動時の瞬発力に力を使う事にのみ学びます。1年もしない内に……それを行う事が容易になれば、今までそこに当てていた集中力を魔法を誘導する事にも使える様になるのです。それからは2つの過程で得た技術を持続・発展させる事について知識的、実技面でも学べるようなるのですが……。

 貴方の魔法は、暴れ馬過ぎて、誘導必須であるが、それが大変難しいのです。 変なところに力が加わってこっちへ来てもいやなんで、魔力使い切りそうな時にやりましょう。」



 僕は、その言葉を聞き、単純な解決方法を思いつく。力の弱い方を良しとするなら、そう作り出せばいい。魔法は、イメージなのだから。

 野球の玉の動き回る様子を思い浮かべる。それは確かに手の中にあり転がる。繊細に、そのイメージの設計図に魔法の力落とし込む。僕から流れ出す魔法の細い糸がそこの繋がる。それが僕と発動魔法を誘導する力へと置き換わるのを確信すると、ゆっくりに手から下のおろす。小さなイメージの組合わせで確実に課題をクリア出来ている手ごたえを感じる。力の加え方に、注意し魔法の性質を理解していく。すべて、刈り終えるた時、玉の威力もおおきさもさほど変わっていなかった。魔法学校の生徒が5年かけて覚えていく過程を覚えるためには、この程度の畑では小さい様だ。

「ハヤト……」

「はい」

「私は、少し貴方を見くびっていたようです。これなら私もどんどん本気が出せます」

「だしちゃいますか……本気……」

 ぼくは、そう言った、それはもちろんルイスの本気が、どっちの方向にいくのか戦々恐々としていたからである。


           つづく
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