魔王がやって来たので

もち雪

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王の命

三人で歩く道

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「ルイス、腰が痛い……」

 精神的疲れを、漫画を読んであげる作戦で、ふたたび畑にたつた僕ではあったが……。
 畑に肥料などをまいた跡、棒を刺しそこに糸を張って、まっすぐに植えるようする作業までは、なんの疲れもせず出来た。

 その後、穴を掘る。プランターから苗出す。埋める。までは、なんなくクリアーだった。しかしそれを何度もとなると、話は別だ。立って座っての繰り返しで、腰の痛みのピークが来た。

 3度までは、ルイスからの回復も、労わりもあった。4回目からは、全員で作業をやり始めたて今、腰痛状態、「ルイス……」……もしや聞こえてないのでは……?

 なわけないか……、自分で回復魔法をかける。(これは、いいかもしれない!将来、回復士として生きて行こう)

「あっ」(あっ?)
 
「ハヤト、腰をやってしまいました。激痛の後、動けません」
 ルイスは、珍しく限界を見誤みあやまったようだ。座った姿勢のまま、ピクリとも動かない。

「は――い」
 ルイスの横に座り、腰に回復魔法をかける。

「ハヤトの回復魔法は暖かいを、通りこして熱い感じですね。サウナ的な熱さを感じます。楽になりました。ありがとうございます」
 ととのうって奴なのかもしれない。なおも念入りに魔法をかける。

 

「出来ましたわ」
 あまり期待していなかった、ウンディーネが結構頑張ってくれて、苗を植える事は終了した。

「終わった、腰痛で腰がまだ痛いが終わった! 二日続けて、死にそうになりましたが………………………………が!焦燥感しょうそうかんが、凄い」
 僕は、手で顔を覆い話す。現代知識がそうさせるのか、今の冒険スピードを通りこしてUターンぶりに、苗を植えた達成感は、逆に焦りに変換されていたようだ。

「僕は、明日も明後日も大豆を、作って暮らすのだろうか……それは、困る。問題は、やはり、僕自身の物理攻撃、防衛の弱さと物理系基本ステータスの低さ、後、回復の弱さがもろにでている。」

 後は、自虐モードの反省会の内容がどんどん口から出て来る。

「大豆の作りはやって下さい、回復魔法や木性の属性の魔法を、使えば威力が増していきますが。後衛がおらず、前衛で戦えるメンバーが、ハヤトしかおりませんので、実地訓練を行うと回復不足で、ハヤトの命の危険が増すだけです」

「それを、言われると弁解のしょうがないな……。じゃ――ウンディーネ彼女の話をしょう」僕とルイスは、ウンディーネを見た。彼女は、ちょっとびくっとなる。そこで少しだけ冷静になるが、そのまま僕は、対策会議は続行する。もう大豆はいやだ!大豆はいやだ!な状態なので仕方ない。

 「その前に荷物を持って、歩きながら帰ろうか」朝の荷物はほぼ、畑にまいてしまった。少ない荷物だけもって、僕達は帰途に着く。

 ウンディーネを挟んで僕達が歩いているが、普通なら絶対出会わない3人が、こうやって肩をならべて歩いているから不思議なものだ。

「ウンディーネは、攻撃魔法は出来るんだよね」

「うん、出来るよ」彼女はやはり手をぐうにして胸の辺りに持って来ている。やはりちょっと幼い印象を受ける。

「ですが、以前もいいましたが、彼女を先に狙われると、どれだけ防ぎきれるのかが心配な所です。普通の精霊の場合、契約者の魔力量に比例した、復活の速さで精霊の世界より舞い戻りカウンターを行えますが、彼女にはそれが出来ません」

 そこで、ウンディーネは、少しがっかりするが……「並みに攻撃なら受け流す事も、そこから反転する事もできる。だから、私が主様あるじさまをお守りします」

「でも、それだけでは、駄目だ。契約した以上君には、死んでほしくない。好きとか嫌いとかは別にね。ぬいぬいが、やった防御方法なのだけど……。彼は、自分の偽物を作り、そこへ攻撃した相手の隙をついて倒した。ウンディーネ、君にそれが出来ないかな? それか君の世界を人口的に作り出しそこへ逃げ込むとか、君は戦わず先制攻撃のみに徹するか、後衛にまわり回復する専念するか。今の提案したどれかを昇華させて君の武器にする事は可能かい?」

「ウンディーネむずかしいけど頑張る。主様あるじさまに……必要だから、そして好きだから死んでほしくないって、言って貰う為に」

「うん……そうか……しか言えないやウンディーネ。後、出来たら必須で回復魔法もお願い」

「わかった……」

 ルイスは、色恋の話を、いつまでしてるんですか? みたいな顔してるし困るなぁ……。

「ルイスの戦闘スタイルは、今後、聞くとして、僕には物理的武器が必要だと思うから、そちたの師匠の当てを探して欲しい。まだ、どんな戦闘スタイルかも未知の領域だから知識の広い人がいいと思う」
 
 ルイスは、メモを取り出したので、僕達は止まった。
 
「お気遣い、ありがとうございます、それでは、そろそろオリエラに本格的に合流の話をしてみては?」

「魔法学校に、師弟制度の申し込みだけして、その事と僕達の最近の出来事を大まかにでもいいから、ぬいぬいに伝えてください。彼が、オリエラ師匠だから勝手には出来ない」

「後、そうそう、聖女様か日出国の巫女様、どちらか、か両方に会いたいむねを管轄の人に、王の身代わり計画と、ともに伝えて下さい」

「伝えて大丈夫なんですか? 変更不可のになる場合までありますよ?」

 彼は、ペンを止めて僕の顔を見る。僕の心配してくれているようだ。まぁ、今、僕は本当に疲れているからな……。

「全然良くないけど、伝えないと進まないしねぇ……国あげて行くなら形だけでも整えないと……でも、オリエラの事は僕が、まだ検討出来てないとでもうまく言っておいて。これで以上だけれど、他になにか計画はある?」

「いえ、特には」「ウンディーネもない」

「じゃあ……ウンディーネ、今日は、街でご飯を食べよう。君の好きな物でいいよ」

 僕が、そう言うと少し落ち込んでいたウンディーネの顔がぱっと輝いた。やはり彼女は、笑っている顔の方が似合う。そして彼女にもこの街を知ってもらいたい。彼女への中途半端なやさしさかもしれないが……。何かを守るためには彼女にも必要なもはあるだろう。それが僕には何か知らないが。

「ルイス、いいでしょう? ウンディーネにはもっと街の事好きになって貰いたいしね」

「ええ、ウンディーネが、ちゃんとした晩御飯を選ぶのならなんでもいいですよ」
 ルイスも下手なりに彼女を励ましているようだ。まぁ彼らしくはある。

主様あるじさま、優しい。ルイスもたまには優しいかも?」
 そうして僕達は、城下町の中に足を踏み入れる。今日は本当にお疲れ様でした。


           つづく
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