魔王がやって来たので

それでも少しずつ歩む日々

教会で旅の祝福を受ける

　僕達はこの国を出る為にこなさなければいけないイベントが、今のところ３つある。

　それに助言を求めたところ、ルイスと聖女ルナの勧めもあり、まずは教会にて祝福を受ける事になった。『書類にはギルドからも、教会へも連絡いたします』とは書いているが、ギルド職員の手間を省く為、ルナのつてを借りる事になった。

　その日の朝ルナは、僕達の家をでて行くと、夜遅く帰って来た。

　「明日、儀式を行えることは決まったのですが……、教会運営のすべての病院や孤児院を回ったら、つい……」と、彼女は可愛らしく恥じらいながら言うが、聖女ルナ様、お前もか！？

　と、言えれば、すべての世界は、白く漂白されるのかもしれない。

　世界の黒さに翻弄ほんろうされる。僕らの後ろを、ぬいぬいが通る。

　彼も彼で旅立ちの日まで、古代魔法を復活させるべく、最近、日夜研究している。なので、僕とルナは、標的をぬいぬいに変え、彼に寝る様に説得や回復魔法をかけに彼を追い回すのだった。

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　朝、あの後ぬいぬいを無理やりベッドに寝かせたが、彼はちゃんと寝てくれただろうか……？

　朝の用意を済ませ、ダイニングルームに立つ。

　はい！　寝てませ――ん！　ぬいぬいが、昨日より濃いクマを作りながら、もうろうとしながら歩いている。

「ぬいぬい、回復の魔法をするから少し座って」

「ちょっと待て！　今の研ぎ澄まされた意識でないと、新しい魔法のヒントが生まれない。これでいいんだ。むしろ今の状態でなくてはならない」

　そう言って聞かない、レンさんを叱ったぬいぬい帰って来て……。

　その後の馬車に乗り込み、教会へ行く短時間の間もうとうとすると、飛び起きて手帳を片手に何かぶつぶつ言っている。
　
「仕方ないですね……もうすぐ教会へ着くの今すぐには難しいですが、ハヤト安心してください、彼は後で落としますよ」
　
　ルイスは、優しい笑顔で言った。落とす……？

　そんな不穏な発言も発せられながら、馬車は教会の本部へと辿りついた。

　高らかに鐘がなり、僕達一行は教会の前に通され、人々の期待を一身背負いながらそこに立っていた。

　法王の祝福は、聞きやすく、そして落ち着いた声だ。
　
　そしてガクッとぬいぬいが眠りに落ちる。さすが、戦いに生きる僕達、瞬発力で彼の脇に手を通し彼を受け支える。
　
　オリエラとフィーナが、僕の手を隠す為ぬいぬいの両脇を隠すように立ってくれた。

　丁度、法王が勇者の絵について話をしている途中で、みなそちらの絵を見ている時でよかった……。そうしてぬいぬいの意識は、儀式が終わるまで戻る事はなかった。

　そしてやっと目を覚ましたぬいぬいは、どうやらやっと古代魔法の解読のヒントを得たらしく。神の啓示とか言ってたが、たぶんいっぱい寝たおかげ。

　帰りの、馬車の中でルイスに相手を眠らせる睡眠魔法のスクロールを貰った。
「魔物へ攻撃魔法にも使えるらしいので、使ってください」

　いや、魔物にしか使わないやつだよ、これは。

　　　　　　　　つづく