魔王がやって来たので

もち雪

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旅立った僕達

新しい街に向けて

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 山間の谷で、山賊を捕まえた勇者一行。そして勇者の中の切れ者の執事が、山賊にアジトの場所を吐かせた。
 
 ここまでが、普通の勇者譚。しかし僕は、演技力が半端なかったらしく、僕が尋問した男が……。

「あの若い男は俺の担当とから外してくて――」と、声高らかに宣言し、ウンデーネが、「主様に、そんな事を言う何て……、ルイスもうこいつやっていい?」

「駄目です」

「本当に?」

「はいはい。ウンデーネしつこくしない!」

「主様は、優しいから……」と、恨みがまし目で、その山賊を見てから静かになったけれど。ある恐怖がが彼らを包み込んだように思う。

 そんな僕らを残し、ルイスとミッシェルは、山賊の馬車に乗り近くにあると言う街に向かい、次の日の朝早く帰って来た。

 僕は、前の晩に途中から交替した見張りで、山賊との気まずい夜を過ごした。ほぼ寝ずの一夜が明け朝が来ると、街へと立ったルイスが街の自警団を連れて帰って来た。

「ハヤト、只今帰りました。どうですか? 山賊との気まずい一夜は?」

 戻って来たルイスの第一声に、見張り番の僕と山賊に沈黙が流れる。

「いや、みんな熟睡してたぽくって、普通に大丈夫だったよ」

 朝起きたら、わぁ……って言ってみんな黙っていたけど。そこに見知らぬ男性が現れた。

「勇者様初めまして、ソイルドソレルの街の自警団、団長ホデイルです。皆さんが捕まえてくださった山賊は、ギルドにクエスト申請をしていた『山間の狼』に間違いありません。ご協力感謝いたします」

 僕達は彼に、ギルドへ届ける書類を貰うと、彼は僕らの同行について聞くので喜んで彼らの馬車に乗せて貰う事にした。馬車に乗る時に見た山賊にはやはり、恐怖や、おののきと言う空気が漂って居たが、彼らは次々彼らの馬車に乗せらて行く。ミッシェルは、席数確保の事務手続きを行うべく街へ残ったらしい。

 自警団の一部はここへ残り、乗せられない荷物や盗品の種類分けしたのち帰るとの事だった。団長ホデイルを含め、半分以上の者が馬車に残り僕らを見送ってくれた。

 馬車の中でやっと一息つく。残った一一同で、一通りの挨拶を済ませる。
 
 その際にウンデーネについてはホーエンツォレルン城のギルド本部から連絡を受けていたのか、別段驚かれる事は無く。

 逆に珍しい種族の、ウンデーネを見て、「美しい……」と漏らす者も居たくらいだった。

 彼女は、それを聞いて「恥ずかしいですわ」と、頬を染めていた。

 自警団の中に紛れて、しばらくギルドで僕達の受付になるヴァリスさんと言う若い女性が居た。

「勇者様御一行の皆さま初めまして、しばらくの間、皆様のギルド受付担当にヴァリスです。わからない事、困った事などありましたら本部同様のサービスが受けられるのでよろしくお願いします!」

「「よろしくお願いします」」と返事した者いれば、「よろしく」と様々な挨拶がうちのパーティから発せられる。

「今回、ギルドクエスト『山間の狼』捕獲お疲れ様でした。自警団に引き継いだ、次点でクエストはクリアーとなっております」

「ギルドクエストは、今まで通りの階級に別れ今回の上級のクリアーでしたので、疲労談話などによる事故の無い様、当日中にクリアーの承認が行えるクエストはエクストラの1種類のみになっております」

「今日は、クエストのオファーはを受けるかもしれないけれど、そこまで考えていません。泊まる宿屋を、決めなければいけないし……」

「滞在場所については勇者様御一行に対しては、各自治区のゲストハウスが滞在中自由に、一か所のみ使える事になっております」

 そう、ヴァリスは言った。それだけここに根を張って、働けって事だろうが……。つもりに積もった、疲労取るにはいい機会だろう。

 そうしてソイルドソレルの街の長期滞在が、決まったのだった。


        つづく
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